経営者にとってプレゼンを行う機会は、日常的にやってきます。例えば、取引先との商談や株主への報告、朝礼や会議でのちょっとしたスピーチに至るまでプレゼンがするシーンは様々です。
プレゼンテーションを行う目的としては、「相手に何か説明する」「相手に納得して貰うこと」が挙げられますが、それがゴールではありません。
なぜなら、最終的にはその先にある「相手の行動を促す」ことが最も重要な要素になるからです。しかし、プレゼンのやり方や手法について、体系的に学んだりきちんと教わったことがある方は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで今回、人を動かすプレゼンとは、クロージング率が高まるプレゼンの鍵について解説します。
■人を動かすプレゼンとは?
プレゼンテーションとは、英語で「表現、提示、紹介」という意味になります。ビジネス用語としては、初めに米国の広告業界で使われ始めました。
元々は、実体のない広告という商材を売り込むために、いかに顧客を説得するかという目的で広告代理店の間で広まっていった活動です。
プレゼンとは、聞き手が知りたい情報を論理的に整理し、聞き手にとって理解しやすい構成で伝えることです。その理由は、プレゼンテーションの目的は、単にサービスを説明することではなく、相手にアクションを起こさせることだからです。
例えば、法人営業でクライアントに企画についてのプレゼンテーションを行ったとします。まずはクライアントにその企画の意図、趣旨を理解してもらうことが大前提になります。
プレゼンテーションの最終的な目的は「クライアントがその企画を採用する」=「次の行動に移す」になると言えます。
そのため、ただ説明するだけでなく相手にとって、その商品・サービスが必要なものであることを理解してもらう必要があります。
時には、限られた時間の中で「どのように自社の商品・サービスを活用できるのか」や「競合他社との違い」を顧客に伝えなければならないこともあるでしょう。可能な限り、短時間で分かりやすく説明することが求められます。
しかし、あくまで語源はプレゼント=贈り物であるため、一方的に売り込んだり説得したりするという考え方では受け入れられないことを覚えておきましょう。
■営業プレゼンはなぜ大切なのか
営業活動では、商談の一環として、個人や企業といったお客様に対して自社の商品・サービスをプレゼンテーションすることは、もはや常識です。
プレゼンを通して、商品・サービスのメリットや効果を理解してもらい、受注に結びつけることを目的として行われます。
営業活動におけるプレゼンは受注を獲得するために欠かせない、極めて重要な機会になります。
なぜなら、インターネットが普及した今、営業プレゼンを行える状況にあるということは、顧客はすでに検討段階であったり、ライバル会社からもプレゼンを受けていることも多く、事前に見込み客がネットを見てサービスの提案にかなりの興味を示していることがあるからです。
法人営業の場合、オンライン会議であってもクライアント候補企業の担当者は本格的に依頼することを見据えて、実際に自社ではどのように活用できるのかを考えながらプレゼンに耳を傾けるケースも多々あるはずです。
特に決裁者が現在コミュニケーションをとっている担当者より上の役職の人であれば、場合によっては担当者の上司も同席することもあるでしょう。従って、多くの場合、営業プレゼンの出来次第で受注に繋がるかどうかが決まるといっても過言ではないのです。
■企業(BtoB)向けの営業プレゼン
BtoBの場合、営業プレゼンを行う相手が大人数になるケースがあります。
数名から、十数名がプレゼンに参加することもあるでしょう。中でも大手企業を対象にした法人での営業プレゼンは、さまざまな役職や立場の人を対象とするため、プレゼンの内容が非常に複雑になります。
また、企業向けの提案の特徴として、受注にかかるコストとリターンに注視することが挙げられます。費用対効果などメリットをわかりやすく数値化したプレゼンが効果的です。
BtoBの場合、担当者の判断のみで受注が決まることは稀です。
基本的には、社内稟議を通過する必要があります。社内の稟議にあげて貰うためには、プレゼンの場に出席しなかった関係者にも伝わる分かりやすい提案資料を用意しておくことも大切です。
■プレゼンテーションの準備で押さえておく3つのポイント
まずは、プレゼンテーションの準備で押さえておくべきポイントを3つ紹介します。
1、目的を押さえる
プレゼンテーションごとに最終的な目的・目標を明確に定めておくようにしましょう。
例えば、「相手の購買意欲を高めること」が目的のプレゼンテーションなら、自社の商品を購入することで「相手にどのようなメリットがあるのか」をしっかりとプレゼンテーションの中で伝えなければなりません。
このように目的を明確に押さえておくことによって、そのために必要な要素がはっきりしてくるので、より相手に効果的に届くプレゼンテーションが可能となります。
2、聴き手を理解する
目的を押さえたら、次は聴き手を理解することが大切です。
例えば商談の場においてプレゼンテーションをする場合、最終的な意思決定を下す立場にある人とそれ以外の人がいます。このとき、「最終的な意思決定を下す人」に焦点を当てて計画を練っていくと良いでしょう。
「少し絞りすぎでは?」と思うかもしれませんが、ターゲットを広くしてもかえって誰にも響かないという結果を招きかねません。
ここはターゲットを絞り込んで聴き手の置かれている状況やニーズ、悩みを設定し、その解決へ向けて聴き手の感情をどのように導いていくのかを考えましょう。ビジネス用語でペルソナと言われる、サービスや商品の典型的なユーザー像の設定を行うのも効果的です。
3、聴き手の導き方と理想的なゴールを想像する
目的を明確にして相手への理解も深まったら、次は聴き手をどのように導くかを考えましょう。具体的に決めるのは、話す内容と時間配分です。
例えば、相手の関心が高い内容をはじめに持ってくるという方法は効果的です。その際、時間配分も多めに取って相手の興味をひきつける時間を長くとるようにします。
事前にリサーチした相手の悩みに照らし合わせて進行しながら、聴き手が疑問に思っていることをスルーしてしまわないようにコミュニケーションを意識したプレゼンテーションを想像しておくとスムーズです。
また、聴き手との間に心的距離がある場合は、プレゼンテーションを始める前にアイスブレイクを挟むのもいいかもしれません。相手との仲を深める努力をすることで信頼関係も生まれて、安心して話を聞いてもらいやすくなります。
このように、実際のプレゼンテーションをどのように進行していくのかを事前に考えておくことは大切です。
■人を動かすプレゼンに必要な3つの構成
最もオーソドックスな流れ(構成)である「序論→本論→結論」をポイントごとに紹介します。
1、序論(イントロダクション)
聞き手にこれから始めるプレゼンに関心を持ってもらい、参加意識を高める導入部分です。プレゼンのテーマや目的、どのような観点から話をするのか簡潔に伝えましょう。
アンサーファースト形式のプレゼンテーションは、時間があまりないときに有効な方法です。内容も、極力短時間に要約できるものにしましょう。
序論で聞き手に興味を持ってもらえると、最後までプレゼンを聞いてもらいやすくなります。プレゼンの全体構成が長い場合は、聞き手が先の展開を予測できるように、目次(アジェンダ)を先に紹介しておくとよいでしょう。
2、本論(ボディ)
本論は、プレゼンで最も伝えたいこと(=要点)を話す、”メイン”となる箇所です。序論であげた論点に関して、具体例やデータを用いながら考察を展開していきます。
例えば、現状にはこのような問題があることを主張し、その理由や根拠解決できれば、もっとも伝えたいことが良く伝わる可能性が高まります。
ストーリー展開に矛盾がなく、「伝えたいこと」とそれを「支えるもの」がセットになり、論理的に一貫していることが重要です。例えば、主張を話すのであれば、その根拠や具体的な事例をセットで伝える必要があります。
3、結論(クロージング)
最後は、「まとめ」「締めくくり」を行い、結論を伝えます。例えば、あらためて序論で伝えた「プレゼンのテーマ」や「目的」を、もう1度振り返ります。
本論で展開した考察の重要部分を簡潔にまとめ、特に伝えたかった内容を念押しし、結論と根拠をセットで伝えて締めくくる形にすると良いでしょう。
結論を先に持ってきて話をする場合には、その後の説明はだらだら長くしないことがポイントです。
クライアントへ新商品を提案、サービスを導入してもらうための営業プレゼンでは、「序論→本論→結論」の構成法がオーソドックスです。さらに、この構成に「AIDMAの法則」を取り入れると説得力が増します。
■AIDMAの法則とは?
AIDMAの法則頭文字をつなげたマーケティング領域の呼び名で、ユーザーの購買プロセスです。
Attention(注目)
Interest(興味・関心)
Desire(欲求)
Memory(記憶)
Action(行動)
プレゼンの序論で興味を引くために、「ここに示した数字は一体何の数字だと思われますか?」と最初にインパクトのある数字を提示し、聞き手への質問からはじめるのも一つのテクニックです。
本論では、新商品や新サービスの具体的な導入例を提示したり、データを用いたりしながら主張を展開していき、「新商品を買いたい、サービスを導入してみたい」という欲求を引き出します。そして結論で、もう一度要点を念押しします。
そうすることで、聞き手にしっかりと記憶させることができます。その後に、聞き手のアクションを待つと良いでしょう。
クライアントが何かに困っていて、解決すべき問題が明確になっている場合は、「DESC法」も有効な構成法です。
DESC法では最初に、クライアントの抱えている問題点を客観的にDescribe(描写)し、次に主観的なExpress(表現)、Suggest(提案)を行い、相手の反応によってこちらの対応をChoose(選択)し、商談を進めることができます。
■プレゼンテーションの準備で行う3つのこと
プレゼンテーションの準備において重要なのは資料作りです。
資料は、聴き手の理解をより促すという意味で大切な役割を担っています。ここでは、資料を準備するうえで押さえておきたいポイントをご紹介します。
1、聞き手の問題解決を手伝うという意識で話す
プレゼンテーションの冒頭で具体的な行動を推奨してしまう方法として結論から先に述べる=アンサーファーストとい手法があります。その後で、その根拠や詳しい説明を肉付けしていきます。
限られた短い時間の中で、できるだけ多くの情報量を聞き手に伝えたいときに有効な方法と言えるでしょう。
具体的な問題点と、それを解決するための行動の大切さを納得してもらうには、「行動することで聞き手にどのようなメリットがあるか」を具体的に伝えることが重要です。
ですので、伝わりやすい説明を心がけ、聞き手の行動で問題が解決されると説明することはできても、行動する必要性が感じられなければ目的の達成には至っていません。
2、事前にヒアリングを行う
事前に調査が可能な場合には、聞き手のニーズや悩みをしっかり把握した上で「問題解決を手伝うためにこの説明をしている」ことを、聞き手の目線や理解度に沿って伝える必要があります。
プレゼン資料を作成するとき、聴き手に質問や課題を聞ける状態であれば、事前にヒアリングすることが成功の鍵となります。
その理由としては、聴き手がどのような機能を持った製品を求めているか、何に懸念を抱いているのかがわかれば、それに沿ったデータや情報を資料に盛り込めるからです。
グラフや表などがあれば、聴き手はプレゼンターの話を聞くと同時に、視覚的にも理解ができるでしょう。わかりやすい資料を作成するためには事前のヒアリングが大切です。
3、資料は見やすいデザインに
資料は、瞬間的な見やすさを重視しましょう。パワーポイントなどの投影資料の場合、あまりに文字を盛り込むと、聴き手が資料に気を取られて、肝心の話に集中できなくなってしまいます。
プレゼンテーションに使用する資料には、あまり多くの情報を盛り込まず決め手となる重要な項目のみを入れるようにしてください。聞き手の視線が、もっとも伝えたい要点に集中するように工夫をしましょう。
「ワンスライド・ワンメッセージ」という言葉があるように、1枚のスライドに入れるメッセージは1つまでに抑えておきましょう。また、文字が小さすぎるのもよくありません。
瞬間的に見て何が書いてあるのかわかるくらいの文字の大きさが良いです。具体的には、最低でも18ポイントの大きさで資料を作成しましょう。背景やデザインもあまり凝りすぎず、シンプルなものを選びましょう。
図や表を盛り込む場合は、ただそれだけを載せても聴き手には何なのかわかりにくいので、何を伝えたいのか簡潔に書くことを忘れないでください。
■まとめ
プレゼンテーションで聞き手に具体的な意思決定を促すには、説明内容の分かりやすさに加えて「説得力」を持った話ができることが重要です。
そのためには、盛り込む話題に必ずストーリー性を盛り込み、その中に一定の論理性を持たせながら聞き手を最終的に納得へ導く「物語+論理」での話題展開を心がけましょう。
効果的なプレゼンテーションを作りたいのであれば、まずは相手が何を求めているかを考え、それを満たすものをメリットととらえ提案する必要があります。
例えば、相手がコストを重視している場合は、メリットは「低価格で提供します!」であり、スピードを重視している場合は「短納期を実現!」となります。
その際、プレゼンテーション資料には、内容を詰め込み過ぎたり、必要以上に長過ぎたりするものはよくありません。相手をいかに次の段階へ導き行動させるか。それがプレゼンテーションのゴールになります。
プレゼンテーションの内容に聞き手が共感し、疑問を持たずに行動を決意してもらうには「論理的なストーリー展開」を意識し、話題に説得力を持たせてみてください。
■最後に
プレゼンテーションが上手くできる様になったとしてもキーパーソンに提案する機会を得ることが出来なければ、せっかくの商談が進展する可能性は低くなります。
なぜなら、営業活動の中で決裁権限者でない新入社員にと打合せをしたり、アライアンスの提案をキーマンでない相手に一生懸命に話をしたりしても業務提携のプロジェクトが次のステップに進み商談が一気に好転することは、まず期待できないからです。
そのため、最終的にプレゼンテーションは、キーパーソンの前で実施をすることが極めて重要となります。
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