ゲーム理論とは?関係者全員にメリットのある仕組みが大事な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

ビジネスの交渉の場で、自分だけが得をする提案をしても、相手に利益がなければ成立する可能性は低いでしょう。逆に、相手だけが得をするような内容でも、こちらは容認できません。

関係者全員にとって最も良い選択は何かを数学的に導き出すのが「ゲーム理論」です。

ゲーム理論は、経済学を中心に発展した理論になります。最近では経営工学や都市計画、交渉の際のネゴシエーション手法としても盛んに使われるようになり、興味を持つ経営者も増えました。

そこで今回は、ゲーム理論とは何かと関係者全員にメリットのある仕組み作りが大事な訳について解説します。

「ビジネスは、楽しいゲームだ。ライバルは多くルールは最小限。そして、得点はお金で数えるというわけ。」

<ノーラン・ブッシュネル>

■ゲーム理論とは?
ゲーム理論とは、利害が必ずしも一致しない状況において、複数の人間の行動の最適戦略を分析する数学の理論です。国家間や企業間の合理的意思決定にも適用され、「利害関係を持つ相手がいる状況で、自分と相手の利益を考え、最適な行動を決める」ための思考法です。

ゲーム理論は、社会・経済・ビジネスのさまざまな問題について、そこに登場する個人・企業・政府をプレイヤーと見なし、どのような行動をとるのかを数理的に分析する新しい経済学になります。

現実のさまざまな問題を、将棋やボードゲームのようなゲームと考え、そこでプレイヤーがどのような戦略を選ぶかを分析できることから、この名前がついています。

従来、経済学は戦略的な相互依存関係の希薄な完全競争や独占のみを分析していましたが、ゲーム理論の登場によって、現代の寡占経済の本格的な分析が可能になりました。

元々は経済学の分野で使われていましたが、最近は経営、政治、軍事などあらゆる分野でゲーム理論が応用されています。

■ゲーム理論の歴史
ゲーム理論は、元々経済学を中心に発展し、市場や産業のさまざまな問題において、政府・企業・消費者がどのように行動するかという理論の基礎を与えました。

ゲーム理論の代表例としては、互いに望ましい協力行為がありながら、会話と拘束力の欠如のために互いに望ましくない裏切り行為をとるという「囚人のジレンマ」は特に有名な話です。

お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマが働くことになります。

ゲーム理論の基礎を築いたのは、「ジョン・フォン・ノイマン」というアメリカの数学者で、彼は数学だけではなく経済・物理学・気象学・計算機科学など様々な分野で成果を上げています。

ノイマンが発表した「ゲーム理論」の論文により、今まで不可能と思われていた「人間の意思決定が相互に影響をあたえることを数学的に展開できる形」にすることに成功しました。

その後、経済学者のオスカー・モルゲンンシュテルンと共同で『ゲームの理論と経済行動』を1944年に出版しました。この書籍をきっかけにゲーム理論が確立、普及していきます。

■ゲーム理論の基本的な考え方
ゲーム理論は、政治学・社会学・経営学などでも多用され、生物学でも生物の行動や進化を説明するために使われています。

さらに都市計画では、さまざまな規制の効果や公共工事の入札の理論に、経営工学では、物流・サプライチェーンの分析やマーケティングなどに応用されています。

近年、ゲーム理論はコンピュータサイエンスや情報学の分野でも非常に注目されており、新しい理論が次々と生み出されています。

その理由としては、本来は計算式を組み立てて数字的な根拠を求めていくものだからです。

様々なプロジェクトを円滑に推進するためには、重要なのは計算式を覚えることではなく、「より合理的な判断をするための思考プロセスを理解することが必要になります。

■インセンティブの重要性
ゲーム理論では、プレイヤーが選ぶ行動を戦略といいます。1 人ひとりのプレイヤーが行動を選び、その結果として利得を考え、プレイヤーがどのくらい得をするかという値が決まります。

例えば、企業の価格競争では各企業がプレイヤーであり、戦略として価格を選び、その利得は利益であると考えます。企業の投資競争では、投資する金額が戦略で、その投資によって得られる利益を利得と考えたりします。

ゲーム理論では、このようにプレイヤー・戦略・利得が与えられた状況で、プレイヤーは利得を最大にするための戦略を選ぶと考え、その結果を予測するのです。

このプレイヤーが利得を最大にするという考え方によって、ゲーム理論は戦略的行動の理論とか「インセンティブ理論」と呼ばれることもあります。

マズローの高次欲求である「自己実現欲求」や「尊厳欲求」は、“組織が与えるインセンティブ”としては「自己実現的インセンティブ」と「理念的インセンティブ」でしか得ることができません。

特に「理念的インセンティブ」は、経営理念などの会社の基本的価値観や存在意義から満たされるものです。

金銭などの物質的なインセンティブとはまったく異なるもの、たとえば自らが属する会社組織への誇りや信頼、世の中から必要とされる存在意義が重要になります。

そのような商品やサービスを提供している会社の場合、価値観や使命感に基づくインセンティブは人間に行動を促す強力な動機づけとなるのです。

■ビジネスにも密接に関係するゲーム理論

1、サンプライチェーンでの事例
サプライチェーン(仕入れから出荷までの流れ)の設計などでも、各企業や各部署は、自分たちの利益を最適にするように行動すると考えます。

その結果、各企業や部署ごとの部分最適はされるものの、全体の最適がされないという現象が生じます。このように「設計者やマネージャの意図どおりに人は行動せずに利己的に行動します。

たとえ、その意図に従って行動した方が、結果的にその人のためになったとしても」という考え方が、「合理的なプレイヤーを前提にしたゲーム理論」の考え方であるといえます。

2、品質に対する事例
例えば、企業が消費者に製品を販売するとき、企業は品質について情報を持っていても、消費者はそうではないことがあります。

このとき、企業が良い品質の製品を売っているにも関わらず、消費者がそれを悪い製品であると推測すれば、その製品の売り上げは減少するでしょう。

製品の品質の例で考えると、まず消費者は、最初に企業の製品の品質が良いか悪いかについて、あらかじめ予測していると考えます(事前確率)。

ここで、他の消費者がその製品を購入するのを見たり、企業が製品の品質について広告するのを見たりすることで、自分の情報を更新します(事後確率)。

このときに、ベイズの定理が使われます。しかし、もしかすると消費者は企業側に立ったサクラであるかもしれませんし、広告も正しいかどうかは分かりません。そうすると、更新された情報も正しいかどうか分からないわけです。

■まとめ
利害関係のある人間全てが良い結果を得られるための思考がゲーム理論の基本です。

現実の世界では、私たちを取り巻く状況は不確実で、それが意思決定に影響を及ぼします。どのような行動が選べるのかも不確実であり、その結果として得られる利益もはっきりと分かりません。

そのような状況の中にあっても自分だけの利益を追求してしまうと、結果的に悪い結果を招くことを、ゲーム理論は数学的に証明しています。

物事を決断する場合、自分だけでなく、関係する人間の利益も考えた上での決断は、結果的に自分にとっても良い結果を招くでしょう。

合理的な判断をするためには、まず置かれた状況や条件を理解し、考えられるパターンを想定してそれぞれのパターンを「点数」で評価する必要があります。

その点数を出すために計算式が必要となります。数値化した方が合理的に判断できますが、まずは判断が必要になった時にゲーム理論的な思考プロセスを思い浮かべるようにしましょう。

■最後に
インセンティブが動機づけとなり、働く人のモチベーションを高めることができます。同時に経営理念、経営戦略、業務プロセス、組織風土などあらゆるものが、ゲーム理論の考え方やビジネスの仕組み作りに関連していることもわかります。

“自己実現的インセンティブ”や“理念的インセンティブ”を見出した個人は、組織の中で自ら生きがい・やりがいを見出します。そして、自らの価値観と一致させ、使命感に燃え、結果的に非常に高いパフォーマンスを発揮する人材になる可能性を秘めています。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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