SaaS型企業やサブスクリプション型のビジネスモデルを展開する企業が増加する中、多くの企業が「カスタマーサクセス」に注力し、最善の方法を模索していると言われています。
近年スタートアップ界隈を中心に耳にすることが増えてきた「カスタマーサクセス」ですが、求められている役割について、理解できていない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、カスタマーサクセスとは何か、サブスクモデルでは継続率が大事な訳について解説します。
「事業において最も大切なことは、他社とは違う独特の方法で(顧客や社会の)ニーズを満たすことです。ニーズを満たすことから利益が生まれます。
利続が先にあって、その後にニーズがあるのではありません。当たり前のことに聞こえるでしょうが、実際には「どうすれば利益を得られるか」と考えるところから事業を始める人が多すぎる気がします。」
<マイケル・ポーター>
■カスタマーサクセスとは?
カスタマーサクセスとは主にサブスクリプション型(継続課金)ビジネスの企業で設置され、顧客を成功に導くことでLTVの最大化を目的とする組織や一連の活動を指します。
現在、多くの製造メーカー会社などでは、従来の「製品を作り販売することが目的」いわゆる、「売り切り型」のビジネスモデルが通用しなくなりつつあります。
その理由としては、商品やサービスの販売後も顧客へのアプローチを継続し、顧客が製品を使って期待する成果を上げるまで 能動的に関与し伴走しながら顧客満足度を高め成功に導くことが求めらているからです。
今、まさにカスタマー(顧客)のサクセス(成功)を生み出しそれを継続させていく仕組みづくりが求められています。
つまり、カスタマーサクセスとは、LTVの最大化を目的とし、能動的に問題や課題の解決を働きかけ顧客がサービスを通して目的を達成するために支援する新しい顧客管理スタイルを指します。
企業側が積極的に顧客へコンタクトをとることにより、潜在的な不満をいち早く解消し、お客様の契約目的の理解からの使用方法提案や、契約コースのグレードアップやアップセルを行うことが可能になります。
また、付属商品のクロスセルを行うことにより、顧客の成功支援と収益向上、両側面での成功を目指します。また、リテンションマーケティンとして、顧客と企業との新たな関係性構築が期待されています。
■カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
現在、求人媒体でカスタマーサクセスに関する人材を募集している会社の仕事内容を読むと、顧客からの問い合わせ対応、ユーザーサポート、顧客満足度、既存顧客のフォローといった記載があります。
これだけでは、既存営業なのか、それともカスタマーサポートなのか判断しづらいことが非常に多いです。
カスタマーサポートは、主に顧客からの不明点を受動的に解消し本来の状態に戻すことが目的になります。
これに対し本当の「カスタマーサクセス」は、自社の商品やサービスが「顧客の成功体験」に寄与できるように、企業側から能動的に支援を行う形になります。
カスタマーサクセスの場合は、顧客を成功に導くことが目的となるため、アクション起点は顧客ではなくサービス提供側であると言えます。
例えば、BtoB業界で月額課金型のサービスを提供している企業であれば、契約開始はゴールではなく、あくまでもスタートになりますから、契約後にフォローができていないと満足度は低下し早い段階で解約ということも想定できます。
そのため、提供サービスを通じてクライアント企業の課題が解決されていくことが重要なポイントになります。つまり、顧客に寄り添い、伴走することで成功体験のプランニングを実施するのがカスタマーサクセスです。
■カスタマーサクセスが注目される2つの理由
カスタマーサクセスという言葉が注目を集める背景には、2つの変化があります。
1、ビジネスモデルの変化
BtoB業界では、これまでは、パッケージ型商材のように初期に大きな費用を払うことでサービスを利用するビジネスモデルが主流になっていました。
しかし、現在ではSaaSベンダーに代表されるように、インターネット上でサービスを提供する会社では、製品が売り切り型ではなく、継続モデルとなっている月額課金の方式が、多方面のマーケットで浸透してきています。
近年では、インターネットを駆使して革新的なサービスを提供するスタートアップやSaaS業界を中心に、サブスクリプション型のビジネスモデルが普及してきています。
2017年の調査レポートによると、SaaS市場は平均成長率10%を超える勢いで伸びており、2020年までには約3,800億円の市場規模になると見込まれています。
※サブスクリプションモデルとは、クライアント企業が単純に「プロダクトを購入する」のではなく「利用期間に応じて費用を支払う」というスキームになります。
2、サブスクリプション型の営業
サブスクリプション型のサービスの場合、契約を取ることがゴールにはならず契約開始がスタートになります。
月額型の場合は、クライアント企業との契約が顧客との関係のスタート地点になるため、サービスに期待する目的を理解した上で、顧客が手に入れたいゴール設定ができていなければ、継続してもらうことは望めません。
特にスタートアップが開発した、SaaS型のサービスの場合には、リリース当初は改善が必要な部分も多いですが、徐々に機能がアップデートされ、顧客や市場とともにプロダクトがブラッシュアップされ成長していきます。
そのため、SaaS業界などのサブスクリプション型ビジネスの営業では、顧客の声をプロダクトやソリューションにいかにしてフィードバックし、製品力を高めていくモチベーションが欠かせません。
■カスタマーサクセスで実現できる5つのこと
サブスクリプションモデルの場合、いかに顧客の継続率を維持できるかが鍵となります。役割の1つは既存顧客の成功体験をプランニングし、チャーンレート(解約率)を下げることです。
サブスクリプション型の場合は、解約数や契約の理由を定期的に確認することが大切ですが、売上インパクトを図るレベニューチャーンをモニタリングする必要もあります。
1、ブランド価値・リピート率向上
カスタマーサクセスは、契約直後の全てのクライアント企業へフォローコールを実施することにより、初期段階で陥りやすいポイントについて先回りしコンタクトを取ることで、オンボーディングを成功させることが可能になります。
また、継続的なカスタマーサクセスを提供し続けることにより、製品やサービス、ひいては企業への信頼につながり、副次的にリピーターを生み出することが可能になります。
2、LTV「ライフタイムバリュー」の最大化
営業経験のある方であればイメージができると思いますが、新規開拓のハードルよりも既存顧客から売上を上げる方が比較的容易に実現することができるものです。
そのため、初期段階でクライアント企業と接点を持つことにより、その場で顧客の潜在的な不満を発見し解決することができる様になります。オンボーディングに成功した顧客が継続してサービス利用できる状態を作り出すことにより、LTVの向上が実現します。
3、売上アップ
既存企業へのアップセル・クロスセルを実施することで顧客単価の引き上げを行います。チャーンレートを低水準で維持しながら、課題に合わせた提案を行うことで、収益の最大化を図ることができます。
カスタマーサクセスを徹底することで、顧客が抱える潜在的な課題や問題点がクリアになるため、押し売りではない顧客のニーズに合わせたプランアップ、またはオプション購入をご提案が出来るようになります。
アップセル・クロスセルによる関連商品の販売に繋がるだけではなく、チャーン率の軽減=継続利用者の増加に成功することで企業側の長期的な売上拡大を実現する大事な要素になると言えます。
4、PMF「プロダクトマーケットフィット」の改善
PMF(プロダクトマーケットフィット)とは、提供しているサービスや商品が、顧客の課題を解決できる適切な市場で受け入れられている状態のことを指します。
PMFに到達していない状態、つまり適切な市場にサービスや商品を提供できていなかったり、そのサービスや商品を受け入れる市場(ニーズ)がないと、どんなに規模を拡大しても事業は失敗に繋がってしまいます。
そのため、PMFの状態にもっていくためには、企業内のみで思い込んでいるだけの状態ではなく、解決を望んでいる企業から実際にフィードバックを受けることが重要です。カスタマーサクセスに取り組むことでその前の段階にあるPSF「プログレムソリューションフィット」への対応も可能になります。
5、マーケティング活用
スタートアップの場合、顧客のニーズを拾いながらプロダクトを育てていく必要があります。その際にサービス利用者と接する機会が1番多いのが、カスタマーサクセスとなります。
また、営業活動のシーンを問わず、マーケティングの効果を高めるためには、商品やサービス説明文の伝わりやすさ、製品の使いやすさを改善する必要があります。
そのような際には、新規のクライアント企業にサービスの利用の経緯を確認したり、購入した理由、契約判断に至った理由についてヒアリングを行うことも大切です。
このような地道な取り組みにより営業提案書や広告制作、サイトコンテンツのわかりづらさの改善など、顕在化した問題点を一早く商品開発やマーケティングへフィードバックを行うことが可能になります。
■まとめ
カスタマーサクセスとは、リピート数を増やし、既存顧客一人一人からの利益率を高めるためにビジネスが用いる行動のことです。
それらを実現するためには、顧客獲得と並行して既存顧客との関係を築き、クライアント企業の一社一社の課題解決に貢献することで継続率を高め、収益をいかに最大化するかに注力することです。
現在、インターネット業界のスタートアップ企業やSaaS業界を中心に広がりをみせるサブスクリプション型のビジネスモデルが拡大しています。
ですが、セールスの延長での顧客フォローをカスタマーサクセスと呼ぶ企業や、新規セールスが受注後に既存担当に顧客を引き継ぐなど明確にチーム区分けをしてない会社も多いのが現状だと思います。
しかし、サブスクリプション型のビジネスでスケールしていく際には組織体制はどうであれ、これまでとは違ったプロダクト改善を意識したセールスモデルが理想です。
カスタマーサクセスの最終目標は「顧客価値を高める」ことに尽きます。「顧客価値」はパズルの最後のピースのようなもので、それぞれの顧客がどのくらいの値打ちがあるのかを把握することに役立ちます。
解約率が気になる、プロダクトの方向性が変化しそうといった場合は、顧客の声を拾い改善につなげるカスタマーサクセス部門を検討してみてはいかがでしょうか?
■最後に
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」には、新規事業立ち上げ時にPMF「プロダクトマーケットフィット」の改善を早期に導き出すために「カスタマーサクセス」の豊富な実績を持つ顧問が沢山います。
新規事業開発に関する卓越したノウハウを持つ顧問が5000人以上集結しています。
スタートアップの起業家で新規事業開発の立ち上げ時に、新規開拓に必要な市場開拓の知見や実行スキルが不足している場合には、新規事業開発に詳しい顧問から、コンサルティングや実行サポートを受けることをお勧めします。
新規事業開発にあたっては、ビジネスモデルの構築、ポジションングや方向性の検討、ホールプロダクトの開発方針の策定、人脈を活用したアライアンスや企業間取引に必要な新規販路開拓など、幅広いプロ人材や専門家が必要になります。
そのため、PMF「プロダクトマーケットフィット」の改善を含めた「カスタマーサクセス」を実現するためには、1名の顧問では限界があるため、複数の顧問を集めプロジェクトチームの編成に着手する必要があると考えています。
その理由としては、沢山の新規事業立上げの場数を踏んだ顧問なら、特定の業界や事業会社で新規事業を立ち上げる過程で培った豊富な知識、経験、人脈を活かせるため、社員の採用とは異なり費用対効果のパフォーマンスが圧倒的に高いからです。
即戦力となる優秀な顧問から「カスタマーサクセス」に必要となる営業支援や販路開拓の実行サポートを受けることも可能です。
また、新規事業開発の進め方などのアドバイスや意見交換の壁打ち相手になったり、プロダクト改善のアイデア創出など、重要なセクションでの適切な判断に役立ちます。
アドバイスを超えた実行サポートが可能な顧問なら自社のメンバーでは解決困難なフェイズやどうしても補えない部分をプロジェクトメンバーの一員として入り、新規事業の開発の推進を強力にサポートすることもできます。
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特に未開拓の分野で販路開拓に取り組みたい企業様は、PMF「プロダクトマーケットフィット」の仮説・検証も可能です。
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