プロのアスリートの多くが、試合の最中にフロー状態を体験していると語っています。スポーツにおけるフロー状態では、頭の中が完全にクリアになったように感じられます。
ビジネスでも他のことに気を取られたり、人目を気にしたり、何かの心配することなく、仕事のパフォーマンスに集中できれば、フロー状態に入っていると言えるでしょう。
フロー状態に到達すると、集中力、創造性、集中力が高まるため、経営者やリーダーが「ピークパフォーマンス」の状態を長期的に維持できれば、事業が大きく発展します。
フロー状態に入るためには、「心技体」のバランスを鍛え上げることが必要になります。
そこで今回は、心技体とは何か、仕事のパフォーマンス向上に心技体が大事な訳について解説します。
「人生における成功の姿は、予知できない障害を乗り越え、自分に与えられた道を着実に歩んで行くことで現れる。」
<松下幸之助>
■心技体とは?
心技体(しんぎたい)とは、心、技、体の3つのバランスが全て整ったとき、特定の分野で最大限のパフォーマンスが発揮できるという「フロー状態」に入ることを指します。
「心技体」が初めて使われたのは、1953年に、柔道家の道長伯氏が、来日したフランス柔道連盟会長に「柔道とは一体何か」との問に対し、『最終目的は心技体の錬成であり、それによって立派な人間になることである』と答えた時だと伝えられています。
心・技・体は、すべて密接に繋がっており、相互に影響を与えています。
古代ローマの詩人・ユウェナリスの名言に「健全な精神は健全な肉体に宿る」と言う言葉があるように、健康な肉体「体」と健全なマインド「心」があり、その上で幾つものスキル「技」が磨き上げられていきます。
日本の武道には、「心・技・体」即ち、「心磨技練体斉」という伝統的な教えがあります。
簡単にいえば、精神を磨き、 技術を訓練し、身体を鍛えなさいということです。
ただ単に精神力だけではダメ、技術力だけでもダメ、もちろん体力だけでもダメ、これらの三つの要素がバランス良く整って初めて目的が達成できると教えています。
■ビジネスにも心技体が重要な理由
スポ-ツの世界では心技体が三位一体となって身につくことにより、一流になれるとされています。
心・技・体をビジネスに置き換えてみると次のようになります。
心:志、精神力、心の強さ、使命、構想、価値観
技:技術、スキル、マ-ケティング、セ-ルス、コミュニケ-ション
体:身体能力、取り組みの姿勢、挨拶、返事、掃除
スポ-ツに限らずビジネスの世界においても、心技体がバランスよく磨きあげられることによって良い結果に結びつきます。
ビジネスシーンにおける、心技体は、仕事の「パフォーマンス」に直結しています。
「ピークパフォーマンス」は、アスリートの間ではよく知られている言葉で、最大のパフォーマンスを長期的、持続的に発揮することです。
現在、ビジネスのプロ人材にも、心技体のトレーニングの思想が求められています。
ビジネスの世界では、スキルを身に付けるほど能力が発揮されていきます。スキルと言うと資格や技術のみだとと思いがちですが、周囲を明るい雰囲気にする、リ-ダ-シップがあるなど人間的な能力も重要なスキルです。
仕事ができる人には、共通点があります。
それは、『仕事に熱い情熱を傾けている。』ということです。
エネルギーは、身体→感情→思考→精神と階層構造になっており、一番の上の精神のエネルギーが他の3つのエネルギーの方向性を決めます。
その情熱が熱いエネルギ-となって、周囲に活力を与え組織やビジネスが活性化するのです。
■プレゼンテーションにも心技体の鍛錬が必要な理由
経営者が大勢の前でプレゼンテーションを行う際にも、心技体を鍛えることが必須要件になります。
プレゼンテーションでは、資料作成や人前で話すスキルを高めると同様に、人前で緊張しないようにメンタルの鍛錬を学び、ボディランゲージ習得していくことで、説得力にも違いが生まれて来ます。
経営者を問わずビジネスにおいては、企画説明や営業活動、上司への報連相に至るまで、プレゼン力が求められることは本当に多いです。
しかし、大勢を前にした状態でのパブリックスピーキングやプレゼンテーションを苦手とするビジネスマンが非常に多いです。
日立ソリューションの調査によると、プレゼンテーションの発表が「不得意」、あるいは「どちらかといえば不得意」と答えた人は77.7%もいました。
また、「プレゼンテーション発表の上達のために身につけたいことは」という問いへの回答で、一番多いのは「説得力のある話の組み立て方」で50%でした。次点は、「あがらない方法」という初歩的なことでした。
経営者でもプレゼン力が備わっていなければ、重要な局面で自分の考えや意図を的確に相手に伝えることができません。
そのため、プレゼン力を鍛えることは経営者だけでなく、ビジネスマンにとって必須要件になると言えます。
■プレゼンテーションのゴールは何か?
プレゼンテーションとは、企画や意図に対する理解を促すために効果的な説明を行うことを指します。
プレゼンテーションは「説明と説得」を基盤に展開されますが、最終的な目的は相手に購買やサービス利用など、実際の行動に至って貰うことです。
つまり、ただ聞いて納得して貰うことが目的ではなく、「具体的な行動を決断して貰う」ことが、プレゼンテーションの最大のゴールになると言えるでしょう。
そのためには、ただ主張したい内容を話せば良いのではなく、聞き手の目線やニーズに沿って話を進めていくことが重要となってきます。
プレゼンテーションの語源には相手への贈り物という意味が含まれているため、実際にプレゼンテーションする際には聞き手の立場に立って、分かりやすく伝え、行動変容を起こすことが重要となるのです。
■経営者にプレゼンスキルが必要になる3つの場面
現代では業界を問わずさまざまなビジネスシーンにおいて、プレゼンテーションが活発に行われています。
プレゼンを通じて提案に共感して貰うためにも、心技体を鍛え、大事な場面で「ピークパフォーマンス」の状態に持って行わなくてはならないのです。
1、投資家などからの資金調達を得るためのアピール
会社においては、事業拡大や資金繰りの安定化のために、銀行からの融資を受けたり、株式を発行し投資家から資金調達をすることもあるでしょう。
銀行融資やエンジェル投資家、ベンチャーキャピタルから投資を受けるには、自社が持つ斬新なアイデアや、それに伴う成長力や売上げ見込みなどの魅力を的確に伝え、自社に興味を持って貰うことが重要です。
起業家の情熱が高く、ミッションを帯びたビジネスであり、成長が見込める会社であることが証明できたばら、投資家の資金提供も受けやすくなります。
2、営業活動での商品説明
営業活動においては、自社が販売したい商品の魅力をいかに効果的に伝えるかがカギとなります。
商品のメリットや独自性などの的確なポイントを捉えて、相手に興味を持ってもらい、購買意欲を高める話し方を考える必要があります。
プレゼンが曖昧だと相手の納得を得られない、また不安に感じてしまうといったリスクがあり、せっかくの顧客を逃してしまうことにもなりかねません。
3、アライアンスを推進する
アライアンスは経営戦略のひとつであり、ビジネスを大きく広げる可能性を秘めています。中小企業やベンチャー企業がアライアンスを組むことで、下記を成功させた事例は数多く存在します。
・海外進出を含む事業規模の拡大
・経営の多角化
・営業力を補完した新商品開発 など
アライアンス戦略を成功に導くためのポイントは、「Win-Winの関係が構築できるか」にかかっているといえるでしょう。自社の利益だけを主張していてはパートナーと良い相互関係が構築できません。
■プレゼンテーションの3つのプロセス
プレゼンテーションのプロセスは、以下の3つのフェーズに分解できます。
1、相手に伝える=心
2、相手に理解して貰う=技
3、相手に行動して貰う=体
1、相手に伝える=心
「相手に伝える」というフェーズでは、相手に共感して貰い、提示する事柄で人を動かすための準備が必要です。
プレゼンテーションにおいては、相手を説得させるという目的があるので、聞き手の反応によっては途中で内容や話し方を変えたり、時には質問に答えないといけないこともあります。
まずは、相手に的確に伝えるために重要な点をどう表現するかが大切です。
話を組立てるうえで、訴求ポイントを強調することはもちろん、その内容を伝わりやすくするために資料も併用しながら表現することを意識します。
2、相手に理解して貰う=技
プレゼンをする相手に伝える目的や内容について、いかに伝わりやすく表現できるかは話の構成力が重要です。
この部分の構成については、事前に聴衆が何を知りたいかを知って置くことがとても大切です。
プレゼンテーションで伝えるものは大きく分けて以下の4つです。
WHAT(具体的な情報を伝える)
WHY(因果関係を伝える)
HOW(実行する手順を伝える)
IF(実行するとなにが期待できるかを伝える)
自社の製品を相手が取り入れることによるメリットは何なのか、なぜそう言えるのかを説得力を持たせて伝えるためにも論理的思考力は必要不可欠です。
3、相手に行動して貰う=体
人は自分が思っているよりも多くのことを「ボディ・ランゲージ」から理解しています。
UCLAの研究では人はコミュニケーションをする際、人のことを7%を言葉から、38%を声のトーンから、残りの55%をボディ・ランゲージから理解しています。
身振り手振りを交え、ボディランゲージで相手の注目を集め、聞き手の目をしっかりと見て反応を伺いながら話すように意識してみましょう。
また、話し方により相手にどう伝わっているか、リアクションをよく観察しながら対応を変える柔軟性も身に着けたいところです。話し方を変えてみたりアイコンタクトを頻繁に取るようにしたり、コミュニケーションとして成立させることを意識します。
■経営者とって心技体の3つが必要な理由
経営にはこの心技体の3つの要素が必要になります。
1、心⇒フィロソフィ、経営理念、価値観
ミッション、ビジョン、バリューを持つ、意志を持つこと。
心の部分においても、メンタルの上に成り立つマインドの確立が重要であると考えます。そのメンタルの上に成り立っているのが、信念であったり価値観であるマインドであると考えます。
ビジョンを掲げることはすなわち、「目標を達成することでどんな姿になっていたいか」と言い換えることもできます。
ビジョンは意思決定の軸にもなるため、日々の業務を円滑に進めるためにも重要です。
日々の仕事においてビジョンを持って働くことで、行動の精度とスピード感が高まることが期待できるでしょう。
2、技⇒戦略、戦術、スキル、技術
他社と差別化できる知恵、ノウハウの部分です。
戦略とは、最終的な目標を達成するために今後とるべきアクションプランです。戦略を立てると、長期目標とそれを達成する方法を決めるのに役立ちます。つまり、成功のための方向性や考え方を指し、全体像を見据えながら練るのが、この「戦略」です。
戦略が、目指すところへ到達するためのアクションプランだとすれば、戦術は、そこに至るまでの個々のステップやアクションを指します。
戦略だけで目標に到達しようとしても、どこにもたどり着けません。というのも、戦術とスキルこそが、目標に至るための具体的なアクションアイテムだからです。
3、体⇒実践、実行力、継続する力
高いパフォーマンスを発揮し、成果を得たいのであれば、まずは、身体が大切ということです。
自分の限界を超えて、ビジネスを通じて可能性を拡大して行くには、「自己変革」を起こすことが欠かせません。ある手応えを持って仕事を継続していくためには、そのための基礎体力が必要です。
デキるビジネスマンは体力作りに余念がありません。
優秀な経営者は、必ずと言っていいほど、運動し体力を維持、向上をはかっています。
運動で1日を最大化させる生活リズムを作っています。運動により、睡眠の質も上げられ、長く睡眠を取らなくても疲労が回復し、パフォーマンスが挙げられるのもメリットになります。
■まとめ
心技体を鍛えることは、影響力の大きい仕事を成し遂げるのに役立つだけでなく、長い間、集中してビジネス活動を推進するために重要な意味を持ちます。
特定の分野でプロと呼ばれる様になるためには、「感じる」、「考える」、「動く」の3つをバラバラなものとしてではなく、一つのループとして捉え習慣化することが欠かせません。
仕事をしているときに「ゾーン」に入ると、仕事が楽に感じられ、他のことを忘れ、時間も忘れてしまうほどになります。
「ゾーン」は「フロー状態」とも呼ばれます。フロー状態とは、ある活動に完全に没頭し集中できる心理的状態を指し、その仕事自体から充実感や満足感が得られるような状態を言います。
フロー状態に入ると、生産性と創造性がぐんと上がり、無理せず楽にいい仕事ができるようになります。
フローとは、以下の要素によって作り上げられる心理状態と言えます。
・明確な目標・ビジョン
・達成可能な課題
・取り組み自体に喜びや達成感がある活動
心技体の大切さを理解し、まずは心を豊かにして安定させ、その上で技と体も磨いていきましょう。
■最後に
キャンバスを前にした画家のように起業家が真のフロー状態になるには、以下の心技体の要素が必要になります。
・取り組んでいるタスクに情熱や事前の好ましい感情を持っている。
・仕事に取り組むことで、スキルや達成感が向上する感覚がある。
・健康な体の状態が維持され、やる気に満ちて、気力が充実している。
何か上手くいかない時、どうも自分の持っている実力を発揮できていないと感じるとき、「心技体」のバランスをチェックしてみましょう。
心技体の3つの歯車は、それぞれがピークパフォーマンスの状態でよく回っているか?
難易度の高いビジネス推進する上でも、心技体を意識して仕事に取り組むようになれば、常に最高のパフォーマンスを発揮することが可能になるはずです。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」には、卓越した知識・経験・人脈・スキル・ノウハウを持ち、即戦力となる5000人を超えるフリーランスの顧問や副業のプロ人材が集結しています。
その中で人脈を活用した営業顧問によるトラクションの獲得や、新規事業立上げのスケールアウトに詳しいプロ人材が揃っています。
プロの知見により、社長の懐刀として経営課題を抱えている経営者へのアドバイスだけでなく、メンターとして心技体の重要性を伝え、実行支援を行うことで成果を上げることを最大のミッションとしています。
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