新規事業のキャズムとは?起業家がキャズムを乗り越える必要性

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

大手企業の新商品開発でもスタートアップの新規事業でも、新たな事業を成長させることが目的です。しかし、事業を継続的に成長させることはそう簡単なことではありません。

市場に新規参入してから十分に事業を拡大するまでには、いくつかの見えない「壁」があります。

その一つが新規事業のキャズムです。「キャズム」は直訳すると「溝」のことを指し、マーケティング用語では「市場に製品・サービスを普及させる際に発生する、超えるべき障害」を指します。

そこで、今回は、新規事業のキャズムとは?起業家がキャズムを乗り越える必要性解説します。

■新規事業のキャズムとは?
新規事業のキャズムとは、市場に製品やサービスを普及させる際に超えるべき障害があって、この溝を超えることが市場開拓において重要だとする理論です。

イノベーター理論では、スタートアップの新規事業の立ち上げでは、イノベーターとアーリーアダプターの存在が欠かせません。初期市場の開拓にアーリーマジョリティーからラガードをメインストリーム市場とし、両者の間には「キャズム」と呼ばれる深い溝が出現することが多々あります。

特に急速に市場拡大することが特徴であるハイテク業界では、新しい商品やサービスが市場で大きく広がっていく過程で、大きな2つの買い手のグループ層に分かれてしまうというキャズムを表す断絶や深い溝が起こります。

このキャズムは、買い手によって商品やサービスに求める価値が異なるために発生します。

売上を継続的に拡大する新しい商品やサービスを取り扱う時には、このキャズムを超える必要があります。

■イノベーター理論の5つのタイプ
イノベーター理論の5つの層がそれぞれどのようなタイプなのかについて説明します。イノベーター理論では、普及の過程を5つの層に分類しており、それを基にマーケティング戦略、市場のライフサイクルについて検討することが推奨されています。

1、イノベーター(革新者)
まず、最初期に製品、サービスを採用するのがイノベーター(革新者)という層です。イノベーターは情報感度が高く、新しいものを積極的に導入する好奇心を持った層です。

「新しい」ということに価値を感じて、市場にまだ普及していない、コストが高い製品やサービスであっても、そのユーザーの価値観に合致したモノであれば支えてくれます。

割合にして市場全体の約2.5%がこのイノベーター(革新者)であると言われています。

2、アーリーアダプター(初期採用者)
イノベーターほど急進的ではありませんが、これから普及するかもしれない製品やサービスにいち早く目をつけて、購入するユーザー層のことをアーリーアダプター(初期採用者)と呼びます。割合にして市場全体の約13.5%がアーリーアダプターだと言われています。

アーリーアダプターは世間や業界のトレンドに敏感で、常にアンテナを高く張って情報を判断し、これから流行りそうなものを採用するので、世間や業界のオピニオンリーダーやインフルエンサーになりやすい層です。

アーリーアダプターはこの後の層に対する影響力も大きく、5つの層の中でもアーリーアダプターの攻略は特に重要だと言われています。

3、アーリーマジョリティー(前期追随者)
情報感度は比較的高いものの、新しい製品やサービスの採用に慎重なのが、アーリーマジョリティー(前期追随者)という層で、市場全体の34%程度を占めていると言われています。

アーリーマジョリティーは、アーリーアダプターの意見に大きく影響を受けるので、アーリーマジョリティーを開拓するためにはアーリーアダプターをきちんと攻略することと、製品やサービスを導入する合理性をきちんと説明できなければなりません。

4、レイトマジョリティ(後期追随者)
新しい製品やサービスについては消極的で、なかなか導入しないのがレイトマジョリティ(後期追随者)です。アーリーマジョリティーと同様に市場の34%程度を占めていると言われています。

この層は、多くのユーザーがこの商品やサービスを採用している、導入側が多数派だと確証を得てから採用するユーザー層です。この層を攻略するためには、まず普及率を高めなければなりません。

5、ラガード(遅滞者)
最後に紹介するのがラガードという層で、市場全体の約16%を占めると言われています。

ラガードは市場の中でも最も保守的な層で、その製品やサービスがただ普及するだけではなく、伝統的、文化的なレベルまでその商品を採用することが一般的にならないと採用しない層です。

ラガードを攻略するためには、すでにその製品、サービスが世間の定番になっていることを訴求し、その次のトレンドとなりそうな新商品よりも安心できることを訴求する必要があります。

■キャズムを乗り超え成長曲線に入るために
新市場開拓をねらう製品を手がけるマーケティング戦略では、最初は少ないユーザーに受け入れられることから始まり、徐々に評価を固めて、多くの買い手に対して販売していきます。

攻める市場が切り替わる時に、キャズムが存在するとキャズム理論は示唆しています。キャズムを超えるためには、マーケティング戦略を大きく変えなくてはなりません。

キャズム理論の注意点は、全ての新製品にキャズム理論が当てはまるわけではないということです。新製品を既存市場に展開するなら、最初からキャズム理論における普及市場に販売します。

一般にアーリーアダプター層が積極的に新しい技術を採用するのに対して、アーリーマジョリティ層は安定や安心を重視する傾向があります。そのため市場の一部に過ぎないアーリーアダプター層が採用したところで、アーリーマジョリティ層の不安は解消しません。

つまり両者の要求が根本的に異なっており、キャズムを超えて初期市場からメインストリーム市場に移行するためには自社製品の普及段階に応じて、マーケティングアプローチを変える必要があるのです。

■キャズムを超える方法はあるのか?
キャズム理論のキャズムを超えるためには、製品やサービスの効用、機能、メッセージを変える必要があります。キャズム前の初期市場の売り方から、キャズム後の普及市場を目指すために必ず必要なことです。

普及市場では、多くの人が満足する安心感のある商品やサービスがカギとなります。機能などが目新しいだけではなく、多くの人にとって、使いやすく、ユーザーフレンドリーであることが大切であり、周りに購入者が多いことや安心感という普及市場の買い手の価値観にあう商品、サービスであることが大切です。

安心感は主に、初期市場の買い手の評価が蓄積する、売り手が初期市場の買い手に対して販売実績を積んでいる、などの状態にあることによって生まれます。普及市場では、多くの人が使っていること、良い評価を得ていること、を中心として商品のバリュープロポジションを作ります。

キャズム理論では、初期市場から普及市場へのマーケティング戦略をうまく変換することが大切ということをわたし達に伝えてくれています。

■新規事業のキャズムを乗り越えるポイント
多くの商品・サービスが初期市場と一般市場のはざまのキャズムを乗り越えられず、普及しないまま姿を消しています。

新しい製品、サービスを普及させるためには、ターゲット市場における自社製品・サービスの現状の立ち位置を理解し、そのフェーズと顧客層に合わせたマーケティング戦略を立てることが重要です。

イノベーター理論とキャズム理論への理解を深めることは、それらを実現するのに非常に役立ちます。まずは、現状の自社製品・サービスはどのフェーズに存在するのか?から考察してみましょう。

キャズムを抜け出すための基本戦略は「メインストリーム市場の中にターゲットセグメントを一つ選定し、その攻略に徹する」ことです。

そのための戦術は、ターゲット・カスタマーを決定して「購入の必然性」を導き出し、提携企業やプロ人材などと協力して強力なホールプロダクトを構築する必要があります。

次に、競争相手に対して自社をポジショニングすることで戦略を見定め、最後に販売チャネルを整備する戦略になります。

キャズムを超えるためには、製品・サービスを「目新しい」モノから「安心」して使用できるモノに昇華させる必要があります。そのためには、信用訴求、品質訴求のためのマーケティング戦略やコンテンツ作りが必要です。

BtoBであれば、その業界に大きな影響を与える企業が製品やサービスを導入し好意的な意見を貰うことも良い施策になります。また、研究機関、その道の専門家がお墨付きを与えることなどが、キャズムを超える鍵の一つになると言えます。

■最後に
キャズムを越えられずに一時的なブームで終わるか、乗り越えて対象市場を独占できるかは、事業戦略次第で大きく変わってきます。革新的な製品やサービスを打ち出す際は、段階によってマーケティング戦略を変える必要があります。

日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」には、様々な事業に携わって限界を突破した5000名を超える顧問やプロ人材が揃っています。

これからは、企業という枠組みを越えた、プロジェクト型の仕事が中心と移行してきます。プロジェクトは企業の中だけで組成する必要はなく、さまざまな人材とコラボレーションを行っていくことが重要になります。

あなたの会社も「顧問のチカラ」を活用し、自社のビジネスモデルや製品・ブランドの特性を見極めながら、自社にマッチする戦略を独自の練り上げ、キャズムを乗り超え新規事業の成功を掴み取りましょう。

顧問からアドバイスを超えた、実行サポートを受けることで、新規事業開発の進め方などのコンスタントな意見交換やアイデア創出、重要なセクションでの適切な判断に役立ちます。

また、自社のメンバーでは解決困難なフェイズやどうしても補えない部分をプロジェクトメンバーの一員として入り、新規事業開発の推進を強力にサポートすることができます。

日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」なら、成果報酬型で新規事業の営業支援をしたり、新規事業立上げの実務を委託することも可能です。未開拓の分野にチャレンジしたい企業様は、是非、一度お気軽にご相談ください。

【無料お試し】が可能ですので、まずは会社アカウントを登録し、是非、どのような顧問がいるか選定をしてみてください。

【人数無制限】複数の営業顧問が成果報酬型で営業支援
https://kenjins.jp/lp/saleslep/

本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

経営者・採用担当者の皆様へ 日本最大級の顧問契約マッチングサイトのKENJINSでは、年収700万年収1500万クラスのハイクラス人材を、正社員採用よりも低価格で活用可能です。顧問のチカラで圧倒的な成果をコミットします。

この記事にコメントする


この記事の関連記事

セールステックとは?営業活動を激変させる顧問のセールスレップ

ERPに代表されるパッケージ導入やSaaSの発展、ソーシャルメディアの活用など企業経営におけるさまざまな局面でIT化の流れが加速しています。 営業活動についても例外ではなく、セールステックと呼ばれる新しいサービスやツールが続々とリリースされ、多くの企業で活用されているのはご存じ...[続きを読む]

社長向け1on1ミーティングとは?1on1が行動改革に効果的な訳

現在、上司から部下への一方的なコミュニケーションではなく、時には上司が部下に教えを乞えるような、対話するコミュニケーションが組織として必要になっています。そのやめ、多くの企業では、部下との定期面談の機会を設けています。 しかし、面談の目的が十分に理解されず、雑談や当たり障りのな...[続きを読む]

営業心理学とは?新規開拓の商談に営業心理学を活かすポイント

新規顧客に商品やサービスを購入して貰うためには、顧客の「心を動かす」ことが必要不可欠になります。 その際に絶大な効果を発揮してくれるのが「心理学」のテクニックです。なぜなら、心理学に基づく、営業テクニックを身につけておけば、自分にとって有利な状況を作り上げやすくなるからです。 ...[続きを読む]

SWOT分析とは?戦略立案の基盤を築き上げるSWOTの分析例

経営やマーケティング戦略を策定するために、分析対象を取り巻く環境を多角的に分析が必要な際に、「SWOT分析」を行うことで、ビジネスの全体像を把握することが可能になります。 古典的な方法ではありますが、自社の可能性や見逃していた強みに気づかせてくれる手法だと言えます。SWOT分析...[続きを読む]

アンバサダーとは?法人営業でもアンバサダーの活用が有効な訳

近年、様々な企業で「ブランドアンバサダー」を起用して行う「アンバサダーマーケティング」が盛んに行われており、その効果の高さからアンバサダーは、マーケティング業界で大変注目されています。 海外ブランドでは、多くの会社がアンバサダーセールスやアンバサダーマーケティングを戦略的に活用...[続きを読む]