SWOT分析とは?戦略立案の基盤を築き上げるSWOTの分析例

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

経営やマーケティング戦略を策定するために、分析対象を取り巻く環境を多角的に分析が必要な際に、「SWOT分析」を行うことで、ビジネスの全体像を把握することが可能になります。

古典的な方法ではありますが、自社の可能性や見逃していた強みに気づかせてくれる手法だと言えます。SWOT分析はシンプルな方法であるだけに、間違った結論を導き出してしまう可能性も孕んでいます。

SWOT分析を行う上では、明確な目的を定めて取り組まないと、結果が抽象的になったり、どのような結論が最適解なのか判断できなくなる可能性があります。

そこで今回、SWOT分析とは何か、戦略立案の基盤を築き上げるSWOTの分析例について解説します。

「偉大な戦略というものは、容易に真似のできない多くの強力な活動を基にした、独自の組み合わせから構成されている。」

<フィリップ・コトラー>

■SWOT分析とは?
SWOT分析は、企業や事業の現状を把握するのに効果的なフレームワークです。

SWOT分析は、起業家やコンサル会社では、ビジネスを分析する上で、必ず利用する経営戦略の代表的なフレームワークであり、提唱から50年ほどたった現在でも様々シーンで活用される手法になります。

自社の社内リソースと、自社をとりまく外部要因を照らし合わせて分析することで、今後挑戦できる市場領域や解決すべき事業課題が見えてくるのがSWOT分析の特徴です。

例えば、新規事業立上げを推進する際に、起業家や事業開発の責任者が自社の強みを明らかにする際や、反対に弱みを補うための方策を考え、事業計画書に落し込むことが必要になったケース等で、SWOT分析を用いることが多いです。

■SWOTとは?
企業の現状を理解し、戦略の立案の基盤を築くのがSWOT分析です。

SWOT分析は、内部環境と外部環境の横軸、目標達成に対してプラスかマイナスかの縦軸、それぞれで分けた4つの項目からなります。

・Strength=強み(プラス要因)
企業、あるいはサービスが持つ資源・特徴で、目標達成に大きく貢献しうるもの。

・Weakness=弱み(マイナス要因)
企業、あるいはサービスが持つ資源・特徴で、目標達成の妨げとなりうるもの。

・Opportunity=機会(プラス要因)
企業外部の環境で、企業、あるいはサービスの成長に大きく貢献しうる

・Threat=脅威(マイナス要因)
企業外部の環境で、企業、あるいはサービスの成長の妨げとなりうるもの。

という4つのカテゴリーを視点にして、経営戦略や事業計画の現状分析を行う経営戦略策定方法です。

プラス要因は自社に対して好ましい影響を与える要因であり、反対にマイナス要因は好ましくない影響を与える可能性のある要因です。

■SWOT分析を行う目的と5つのメリット
SWOT分析の最終的な目的は、効果的な経営戦略やマーケティング戦略の立案です。

1、経営戦略に活かすための強みと弱みを発見する。
効果的な戦略を用いて競争優位性を確保するためには、競合他社と比較した自社の現状や、市場分析による今後の事業可能性を把握する必要があります。

マーケティング戦略は闇雲に高額な費用をかけて多くの人に見て貰えば良い訳では限りません。多くに告知できれば当然売上は上がるものの、効率的な宣伝でなければコストが増加し利益が減少します。

自社の強みを必要とする企業に向けて、ピンポイントで効率的な宣伝を行ない、少ない費用で利益を上げれます。最適な戦略立案に必要な複数の要素をわかりやすく集約でき、分析しやすいように分類したフレームワークがSWOT分析だと言えます。

2、事業の方向性を外部環境の変化に合わせる。
将来的な事業の方向性を定める際にも役立ちます。過去に安泰と思われていた企業が流行り廃りや社会情勢に合わせて、今までのような運営が難しくなるケースもあります。

そのような際に、外部環境をもとに市場の現状や成長性を把握し、自社が保有する強みと弱みを洗い出せば、新たなビジネスチャンスの発見や事業撤退の判断にも役立つでしょう。

3、ライバル企業との差別化に必要なことを見つける。
同業他社に差をつけるためには自社の強みを伸ばすのが重要です。

主に内部要素が強く関わってきますが、下記の点は利益を上げるのに当たり前ではあるものの入念に分析しなければ簡単には見つけられません。

・他社が提供していない商品やサービスを展開。
・顧客のニーズに対応する。
・人気が高まるセールスポイントに力を入れる。

4、企業のブランディング戦略の方向性を考える。
市場やポジショニングを認識していなければブランディングは簡単に成功しません。

より効果的な戦略を考える際には、SWOT分析で世間の情勢や自社で改善しなければいけない点を把握しておく必要があります。

5、普段認識できていない強みやリスクの再発見に繋がる。
商品やサービスの売上を上げるためには自社の分析が大きく戦略や方向性の決定に役立ちます。

下記のような点は経営に重要ですが、しっかり分析しなければ見逃してしまいがちです。

・市場における自社のポジションとは?
・自社が持つノウハウ
・リソースや資金に余裕はあるか?

■SWOT分析を活用するタイミング
SWOT分析は最適な戦略立案が目的なため、事業計画を作成するタイミングで活用するのがもっとも効果的です。

もちろん、すでに事業を走らせている場合でもSWOT分析は活用できます。

競合他社と比較した自社の現状と市場の動向や成長性を踏まえて、戦略をより最適化し、継続するか撤退するかの判断に活用すると良いでしょう。

■SWOT分析の5つのステップ

1、目的を明確にする
SWOT分析でもっとも重要なポイントが目的の明確化です。事業や経営状況をどのようにしたいのか、という目的やビジョンを、どのように達成するのかを見出すのがSWOT分析の役割です。

なぜSWOT分析を行うのかが明確でないと、調査や分析がブレて中途半端になってしまい、結果的に競争優位性を確保できる戦略立案も見出せないでしょう。

まずは自社や組織内での目的意識を明確化し共有しておくことが重要です。

2、外部環境を分析する(機会・脅威)
自社の機会創出や脅威となる外部環境から分析しましょう。

市場や経済、顧客や競合他社などの要素から、自社にどのようなビジネスチャンスがあるのか、どのようなリスクがあるのかを洗い出していきます。

外部環境を分析する際に効果的なフレームワークが「PEST分析」と「ファイブフォース分析」です。

PEST分析とは、以下の4つの項目から情勢を分析するフレームワークです。

Politics:政治
Economy:経済
Society:社会
Technology:技術

ファイブフォース分析とは、事業の収益性に影響する5つの競争要因をもとに分析を行うフレームワークです。主に脅威について細かく分析する際に適しています。

2、顧客層・市場・自社の現状を明確にする
自社の現状や、市場・顧客層などの各要素の分析は、徹底的に行い、明確化するようにしましょう。マーケティングを行うにあたってターゲット層を精査し、ターゲティングを行うことはとても重要です。

なぜなら、現在の市場特性において、製品やサービスは購入する対象者を最終的に「フォーカス」しなければ、その製品やサービスは売れない時代になったからです。

ただし、外部環境と内部環境の分析結果と実情に差異があると、戦略立案に影響を及ぼす可能性があります。

主観的な分析にならず、客観的な視点を持ってSWOT分析を行いましょう。

3、内部環境を分析する(強み・弱み)
外部環境の分析の後で、自社の強みと弱みを洗い出して内部環境を分析しましょう。

自社のリソースや商品力、顧客データやブランド力などの要素の中で、強みになる要素と弱みになる要素を出します。強みと弱みを出す際には各部署で行い、自社全体の現状を把握するようにしましょう。

内部環境の分析で注意すべきは主観的に決めないことです。

主観的に強みと弱みを出してしまうと、分析結果と実情への乖離が大きくなりかねません。必ず外部環境を踏まえて分析するようにしてください。

4、クロスSWOT分析で具体的で実行可能な戦略を練る
外部環境と内部環境の分析は、現状を整理しただけのため、具体的に実行可能な戦略を練る必要があります。

戦略立案のためにSWOT分析の各項目を掛け合わせた「クロスSWOT分析」を活用しましょう。

時代遅れと言われる要因の一つに、分析しただけで終わってしまう手法であることが挙げられます。しかし、クロスSWOT分析まで行えば、具体的なアクションプランまでの落とし込みが可能です。

5、アクションを起こす
SWOT分析は状況の把握だけで終わらず、必ず具体的なアクションにまで落とし込むようにしましょう。

クロスSWOT分析で戦略立案のアクションは、以下4つに分類できます。

・強みを活かして機会創出を狙う
・弱みを改善・強化して機会創出を狙う
・強みを活かして脅威やリスクを回避しつつ、機会創出も狙う
・弱みを理解することで脅威を回避してリスクを最小限に抑える

各アクションに優先順位を付け、明確な計画設計や目標設定まで落とし込めば、自社に最適な戦略立案や戦略の見直しが可能です。

■マクドナルドのSWOT分析の例
マクドナルドの場合には、SWOT分析で見出された以下の戦略が、分析目的である「顧客を呼び戻し業績を回復させる」ということに繋がっているかどうかを確認しました。

・商品開発力を活かして付加価値の高い新商品を発売する
・ニーズに即した販売方法で回転率を上げる
・利便性の高い店舗を低価格路線とは一線を画したものに改修する
・品質・イメージともに良質であることをアピールする

どの戦略も、成功すれば来客と売上の増加に繋がりそうなので、分析目的に見合った結果を得られたと判断しました。

そこでマクドナルドは実際に以下の具体策を講じ、過去最大の赤字からのV字回復を果たしました。

1、商品開発力を活かして付加価値の高い新商品を発売する。
「限定」「復刻」といった付加価値の高い商品を定期的に新発売

2、ニーズに即した販売方法で回転率を上げる。
マックデリバリー・テイクアウトを簡便化するモバイルオーダーシステムの導入。

3、利便性の高い店舗を低価格路線とは一線を画したものに改修する。
利便性の高い場所を中心に、バリスタの淹れる高品質なコーヒーを楽しめるマックカフェを展開。

4、品質・イメージともに良質であることをアピールする。
材料の原産国や加工工場を公開して品質に対する安心を提供するとともに、ブランドイメージを向上させるために有名芸能人をCMに起用。

■まとめ
SWOT分析とは(スウォット分析)、「強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)」の頭文字から命名されたフレームワークです。SWOT分析を使うことにより、マーケティング戦略立案における環境分析ステップで、自社の環境要因を考える視点を提供できます。

SWOT分析のやり方としては、SWOT=強み、弱み、機会、脅威の4つを組み合わせて分析することで、自社にとっての、市場機会や事業課題を発見します。SWOT分析では、一つ一つの事実も組合せにより様々な解釈が可能です。そのため、解釈した結果である、戦略目標も複数作成できます。

マーケティング戦略策定プロセスとしては、SWOT分析において、決め打ちにせず、いったん複数の戦略目標を出すように心がけましょう。

これを「オプション思考」と言います。「オプション思考」とは常に選択肢をもって問題解決に取り組もうとす考え方のことを指します。「オプション思考」では、原因を1つに特定せず、あらゆる可能性を考慮しながら問題に当たることで、より適切な対応を行うことができると考えられています。

戦略目標のあり得るオプションを洗い出した上で、最適な選択肢を選択します。

SWOT分析は、社内・社外のプラスマイナスの各要素を客観的に把握することができ、現状の理解を深めることができるというメリットを備えています。

上手く使えば弱みを強みに転換する戦略へ落とし込むこともできるでしょう。SWOT分析を存分に活用して自社の可能性を広げ、新たなビジネスチャンスを手にしてください。

■最後に
SWOT分析では、最適な人材を選定することが非常に重要な要素となります。

なぜなら、自社の製品やサービスが現在の市場トレンドに合致しているとしても、それは市場がそうした傾向を持っているためであり、自社の強みとイコールではないからです。

ここを勘違いしたまま戦略に落とし込んでしまうと、トレンドの変化についていけず、足元をすくわれることにもなりかねません。

SWOT分析に限らず、マーケティングにおける分析は課題や問題を洗い出し、戦略や施策に落とし込むために行うものです。

SWOT分析はひとつの部署だけではなく、企業全体の現状把握が必要です。そのため、開発部と営業部、経営層など、各部署の分析に適した人材を選定するようしてください。

その上で、経営戦略を立案する際には、第三者のコンサルタントの意見も取り入れながら、「市場の状況はこう」「自社の場合はこう」という具合に、分けて考えるようにすることがキーファクターになります。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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