アルムナイ採用は、一度企業から飛び立っていったアルムナイ(OB/OG)を再び雇用する採用手法です。
日本ではまだあまりなじみはありませんが、雇用の流動性が高く、積極的な転職が推奨されているアメリカの企業では導入が進んでいます。
そこで、今回は、アルムナイとは?顧問のアルムナイ活用が課題解決の鍵となる訳について解説します。
■アルムナイとは?
「アルムナイ(アラムナイ)」(alumni)はalumnusの複数形で、本来は「卒業生、同窓生、校友」の意味。転じて、企業の離職者やOB・OGの集まりを指します。
海外では、企業が一度は自社を離れたアルムナイを貴重な人的資源としてとらえ、これを組織化し活用する事例が少なくありません。
元社員に対して会社側が継続的にコミュニケーションをとり、優秀な人材の再雇用につなげるなどの施策を「アルムナイ制度」と呼び、近年は日本でも注目を集めています。
■アルムナイ採用の3つのメリット
アルムナイ採用のメリットはコストをかけずに即戦力を獲得できブランディングにも役立つことです。
アルムナイ採用の代表的なメリットは「即戦力になる」「採用コストの削減になる」「ブランディングに役立つ」の3点です。それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
1、アルムナイ採用で即戦力が手に入ること
アルムナイ採用は普通の中途採用とは違って、企業側も求職者側もお互いをよく知っています。求職者は企業の風土やビジネス内容について熟知しており、社内に既に人脈が形成されています。
採用にあたっては、何かしらの不満を持って辞めた人も多いのでその点を慎重に聞き出すといった対応が必要になりますが、企業側も求職者の人となりを知っているので、ミスマッチが起きる可能性について高い精度で判断が可能です。
また、出戻り社員はエンゲージメントが高いことも多く、他の社員の見本となる働きをしてくれることも多いです、
他社で知識やスキルに磨きをかけた人材は、社内にイノベーションをもたらしてくれる可能性もあり、即戦力として期待できます。
2、アルムナイを活用すると採用・教育コストを削減できる
アルムナイ採用の応募経路の大半は、本人からの直接応募か、在職時の上司・同僚からのリファーラルです。[注1]そのため、求人エージェントの仲介が必要なく、採用コストを削減できます。
また、アルムナイは以前の在籍時に研修やOJTを経験しており、企業の慣例についてよく知っているため、オンボーディングにかかるコストも最小限で済みます。
3、自社のブランディングに役立つ
アルムナイ採用の導入においては、退職時の出口の部分のデザインが重要になります。具体的には、企業と繋がりを保ちたいという社員を増やす必要があるのです。
内部マーケティングによりアルムナイと友好的な関係性を保ち、エンゲージメントを高めておけば、人材が気持ちよく働いている会社として評判になります。
口コミなどによるレピュテーションリスクの軽減も見込めます。その結果として、優秀な中途人材に選ばれる可能性も高くなるなどのメリットがもたらされます。
■アルムナイのケーススタディ
退職者は「裏切り者」ではなく貴重な資源です。継続的な交流を維持し優秀人材の再雇用も可能です。
アクセンチュアを始めとする外資系コンサルティング企業は、「アルムナイパーティー」と呼ばれる、同社OB・OGの同窓会が毎年催されています。
同社を離れた元社員が一堂に会し、現役のトップや役員、社員も加わって交流を図るというものです。
同窓会といっても、単に旧交を温めるだけではなく、会場内のいたるところでお互いのビジネスに関する情報交換が活発に行われるそうです。その中から商談や提携の話が生まれ、ビジネスチャンスにつながることも少なくないといいます。
というのも、このパーティーは定年退職者の集まりではなく、参加するのは同社を退職してキャリアチェンジを果たした20~40代の現役ビジネスパーソンがほとんどだからです。
企業自らがそうした場を主催し、退職者を招待することは、伝統的な日本の組織文化からすると、なかなか理解されにくいかもしれません。
終身雇用に慣れ親しんだ日本の会社では、自社を辞めて転職したり独立したりした人は、ともすると「裏切り者」として敵視されがちです。少なくとも歓迎される存在とはいえないでしょう。
■アルムナイが活躍するアメリカ
人材の流動化を前提とする欧米の企業社会では、アルムナイがさまざまな場所に散らばり、転職先で活躍することによって前職の企業の価値が高まります。
したがって、企業にとってアルムナイは敵や裏切り者ではなく、むしろ自社の重要な仲間であり、尊重すべきOB・OGなのです。
また退職者の中には、会社側としては「できれば辞めてほしくなかった」という優秀な人材が存在する一方で、退職者側でも事情が変わって「できれば前の会社に戻りたい」と考えている人がいるかもしれません。実際、外資では“出戻り”は一般的です。
日本でも近年、自社の退職者と定期的・継続的なコミュニケーションをとることで、優秀な人材の再雇用や退職者のネットワークを活用した人材獲得などを目指す「アルムナイ制度」に、注目が集まっています。
「なかなかいい人材が採用できない」と嘆く前に、アルムナイを自社の貴重な資源として捉え直し、もう一度働いてもらいたい人材にアプローチしてみることも検討されるべきでしょう。
ソーシャルメディアなどの普及を考えると、退職者との良好な関係を維持することは、彼らによるレピュテーション(評判)リスクを防止・軽減する意味でも重要です。
■まとめ
日本の企業では、採用候補者や現職社員とリレーションを築いてきましたが、社員が辞めた途端に関係性が途切れていました。しかし、この断絶は非常にもったいないことだと認識され始めています。
HRテックの活用により、簡単に関係性を築ける時代です。多くのメリットをもたらすアルムナイとの関係性の強化は、採用力向上のためにも今後更に重要性を増していくのではないでしょうか。
アルムナイ採用は、人材供給源の拡大や採用コストの削減といった大きなメリットをもたらす可能性を秘めています。特にものづくり大国日本において、「優秀な技術者」は喉から手が出るほど欲しい人材です。
有能な技術者の獲得は事業の成長・拡大に大きく寄与しています。
しかし、こういった人材を通常の採用で見つけるのは非常に困難であり、名の通った大手企業でさえも苦労されているのが現状です。
技術者と一口に言っても分野は様々ですが、これまで顧問やプロ人材が培った課題解決の経験やノウハウは間違いなく、数多くの企業に貢献できるものと信じています。
■最後に
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」には、上場企業の元取締役や事業部長経験者など、5000人を超えるアルムナイ人材が揃っています。自社のOBを再雇用することも有力な採用手法になりますが、企業によっては様々なハードルもあります。
そのため、KENJINSのような外部人材プラットフォームを活用することで、大手企業やベンチャー企業など他社で沢山の経験や実績を積んだプロ人材に適正価格で仕事をプロジェクトとして依頼することも非常に有効です。
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