嘱託社員とは?嘱託社員の意味・仕事内容・雇用条件や責任

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 働き方改革   パーマリンク

労働人口が不足している日本では現在、第二の人生で大手企業の出身者が定年退職後に、元勤務先から再雇用され「嘱託社員」として働く、アクティブシニアが増えています。

その理由としては、「生涯現役でいたい」と考えるシニア世代と、「豊富な知見を持つ人材に継続して働いて欲しい」と考える企業の両者にメリットがあるからです。

嘱託社員の導入に際しては、雇用条件の設定や働きやすい環境づくりなどの配慮が必要ですが、知見の伝承や組織力の維持に大いに役立ちます。

そこで、今回、嘱託社員とは、嘱託社員の意味・仕事内容・雇用条件や責任について解説します。

■嘱託社員とは?
嘱託社員とは、定年後に再雇用された労働者を指します。企業を定年退職した社員をもう一度企業が雇い入れるケースで、その労働者を正規の社員と区別するために、嘱託社員と呼ばれています。

嘱託社員は英語で、「non-regular staff」「part-timer」「temporary employee」「part-time engagement」と表現されています。日本語で、企業と有期雇用契約を結んでいる非正規雇用社員のことを意味します。

嘱託社員の契約形態は、正社員ではない雇用の一つの形になります。一般的には、定年を迎えたあとに企業と再雇用を結び、非正規雇用社員として働いている人は、嘱託社員に該当します。

嘱託社員には、定年退職した人が定年退職前の企業に再び雇い入れられる再雇用という形で、雇用契約を結びますが、「正規の社員でない」「有期労働契約を結んでいる」という特徴があります。

給与については、企業によって様々で、仕事内容や稼働頻度、労使間の合意に基づいて行われます。多くの企業の場合、定年退職者と有期契約を結んで、労働時間や労働日なども個別に決める形になります。

嘱託社員という雇用形態については、労働法による定義がないため、待遇などについては企業と労働者の合意のもと、比較的自由に決めることができます。

■嘱託社員と契約社員との違い
企業が求めている特別なスキルを持った人を招き入れ、手の空いた範囲で働いて貰うようなときにも、「嘱託」という言葉が使われます。

嘱託社員は、企業と有期雇用契約を結ぶことから、契約社員の一種になります。同じような仕事内容や勤務実態でも、「嘱託社員」と「契約社員」のどちらの名称で呼ぶかは、企業によって異なります。

嘱託社員の働き方は、非正規雇用の一つになります。実際には長年勤めてきた企業で定年退職後に再雇用されるケースがほとんどです。

嘱託社員は、多くが時短勤務や週3日、週4日などの雇用契約を結んでいます。これは嘱託社員の多くが退職者であることとも関係しているでしょう。

契約社員という雇用形態自体が特に法律で規定されていません。

つまり、再雇用をするにあたって、本人の体調や希望を優先して労働条件を決めようと努める企業が多いことの現れです。

■嘱託社員と業務委託で働く顧問との違い
顧問として業務委託契約を結ぶ場合には、雇用ではないので労働法は関係はありません、

そのため、顧問は、フリーランスという立ち位置になるため、嘱託社員とは雇用形態が異なり、自営業としての働き方となります。

嘱託社員:非正規雇用の社員・元社員の出戻り                                    顧問:フリーランス・個人事業主・パラレルワーカー

また、医師など特別職としての嘱託の場合は、契約社員として有期契約を結ぶというよりは、独立したビジネスパートナーとして業務委託契約や請負契約を結ぶことの方が多いです。

■退職金だけで老後の生活が可能なのか?
経団連の調査によると、国民の退職金の平均支給額は2000万円だと言われています。

退職までの貯蓄を合わせると余裕があるようにも思えますが、この支給額は新卒から定年まで一社に勤続し続けた場合の平均値です。

新卒で入社した企業から転職をした場合はこれよりさらに退職金が下がり、場合によっては退職金がないこともあります。十分な貯蓄がなければ、定年後の生活が苦しくなってしまう可能性さえあるのです。

「60歳から65歳の間をどうしのぐか」という問題は、シニア世代にとっては大きな課題です。

「働きたくても再就職先が見つからない」などの悩みを抱える方もいる中、見知った職場で定年後も働ける嘱託社員という選択肢は、シニア世代にとって魅力とだと言えるでしょう。

■嘱託社員や顧問が注目されている背景
「嘱託社員」というポジションの注目度があがっている理由についておさらいしてみましょう。まず前提として、現代の日本はいわずと知れた高齢社会になります。

つまり、65 歳以上人口が総人口に占める割合である高齢化率は、国の調査によると平成 42 年(2030 年)には約31.6%になることが予想されています。

将来的には労働力人口がさらに減ることが懸念されているのです。

そこで労働力人口の底上げ役として注目されているのが、「定年後でも仕事をしたいと考えているシニア世代」になります。

内閣府が実施した「平成 25 年度 高齢期に向けた『備え』に関する意識調査」によると、65 歳を超えても働きたいとする人が約 5 割になります。

「70 歳くらいまで」20.9%、「働けるうちはいつまでも」25.7%などを占めるなど、生涯現役に前向きな意見が挙がっています。

「生涯現役社会」に向けて、第二の人生で嘱託社員へのニーズが高まっている理由がおわかりいただけるのではないでしょうか。

■嘱託社員として働く労働者側の3つのメリット
嘱託社員というワークスタイルは、労働者にどんなメリットをもたらすのでしょうか。具体例を3つ見てみましょう。

1、慣れ親しんだ職場で引き続き働ける。
嘱託職員は、定年前に働いていた企業でそのまま継続的に勤務するケースがほとんどになります。

よって嘱託社員は慣れ親しんだ環境で、スキルを今までどおり活かしながら働くことが可能です。

「定年後も働きたいけど、今から見ず知らずの環境に行くのは不安」「今から新しい職場のやり方に慣れられるか心配」が少ないことが労働者にとって、大きな魅力のひとつといえます。

契約社員と比べ、働き方や契約内容に多様性のある嘱託社員です。その多様性からライフスタイルに合わせたフレキシブルな働き方を構築できる可能性があります。

2、労働時間を今の体力に合わせて調整しやすくなる。
嘱託社員になる際には、一般的に労働条件の見直しが行なわれます。

従来のフルタイム勤務のまま働くケースもありますが、企業と相談した上で時短勤務にしたり、週3勤務に変えたりなど、体調を考えたワークスタイルに変更することができます。

ただし、嘱託社員は雇用期間について、はっきりとしたルールがありません。公務員が嘱託職員として働く場合には3年が目安にはなっているものの、一般企業であれば自由な契約が可能です。

もし企業にとって必要な人材だと思って貰えれば、長期的に嘱託社員として働き続けられます。

一般的に定年退職を迎えた人材を嘱託社員にするときは、1年契約で様子を見るケースが多いといえます。契約が更新されなければ、嘱託社員は新しい職場を探さなくてはなりません。

3、定年退職後も収入を得られる。
嘱託社員になる大きなメリットとして挙げられるのが、「定年後も安定した収入を得られること」です。国民年金と厚生年金の支給は、原則的には満65歳からです。

そのため、60歳で定年を迎えた場合、向こう5年間は貯蓄を使って生活していくことになります。

総務省統計局による「労働力調査(詳細集計)2020年(令和2年)平均結果」によれば、嘱託社員の給料は正社員よりも低くなっています。

特に定年退職を迎えた嘱託社員については、正社員時代の5割減の給料で働いていることが少なくありません。

■嘱託社員を雇う企業側の3つのメリット
まだまだ働きたい労働者にとって魅力的なワークスタイルといえる嘱託社員ですが、企業側にも以下のようなメリットがあります。

1、ベテランの人材に引き続き自社で活躍しても貰える。
嘱託社員は、すでに自社で起用したことがある人材を引き続き雇用するケースがメイン。

よって企業側は、人材育成のコストを最小限に抑えながら、有力な人手を引き続き確保することができます。

退職者を嘱託社員として再雇用する場合は、自社の方針や仕事のやり方を熟知した人物を雇用できることにつながります。

嘱託職員が周囲から厚く信頼されている場合は、たとえフルタイムでなくても「あの大先輩がまだ現場にいてくれる」という安心感があり、若手の支えになりやすいところも大きな利点です。

2、労使間でフレキシブルな契約ができる。
単なる契約社員の場合は、フルタイムで勤務してもらいたい、また勤務したいという双方のマッチングがなければなりません。

一方、嘱託社員の場合は、「週に3日だけ来てほしい」「時短で働きたい」といった労使の希望を、個々の契約によって叶えることができます。

嘱託社員側も定年後にフルタイムで働くのは体力的にしんどいと思うので、週5日から週3日に減らすといったような契約内容であれば、働いてもらいやすいでしょう。

3、労働条件の見直しにより、人件費の削減もしやすくなる。
「労働条件の見直しにより、人件費の削減もしやすくなること」です。

嘱託社員は一般的に、勤務時間の減少や業務責任の緩和などの理由から、正社員よりも給与が安くなる傾向にあります。

人件費をうまくおさえながら、嘱託社員の退職前に近い戦力をそろえることも可能です。

新人教育には人手も時間もかかるので、仕事を手一杯抱えている正社員に任せるとなると通常業務が滞ってしまい、会社の利益にも影響しかねません。

それならば、嘱託社員にお願いして正社員の負担が減らした方がいいでしょう。

■嘱託社員になるデメリット
嘱託社員は「今まで働いていた会社で定年後も働く」というケースがメインです。よって、新規に入社した方と比べて当人に大きな環境の変化もなく、スムーズに勤続しやすいところがメリットといえます。

一方、デメリットとしては、長期の雇用を希望したとしても、契約更新ができなければ職場に留まれない可能性がある。また、現職時と異なり、給料が半分以下になることも一般的です。

企業によっては、定年前水準の給料を維持しようとしたり、退職直前の人事評価を考慮して給与割合を決めることもありますが、平均として正社員時代の6~7割の月額給与となることが多いです。

基本的にこれまで取締役だった人や部長職であった人でも、一切の肩書がなくなり、当然部下もいなくなります。

予想以上に環境の変化が起きるため、当人のメンタルの変化にも注意が必要です。

例えば、嘱託社員は、正社員のときの部下が上司になったり、簡易な雑用的な仕事ばかり任されるなど、同じ職場内であっても会社での地位が劇的に変化し立場が逆転することがあります。

この変化により、「かつての部下を上司と呼ぶことに抵抗がある」「定年前の立場なら口を出せた業務に、今はまったく関われなくなり、フラストレーションがたまる」といった不満を抱える人も珍しくありません。

このような変化を放置すると当人のモチベーションが低下しやすくなり、最悪の場合、うつ病やノイローゼなどの精神疾患にも繋がることもあります。

■まとめ
嘱託とは、一定の業務や仕事を正規の職員や社員以外の人に頼み任せることを指します。嘱託社員とは、企業が正規の社員ではない形で、特定の業務や仕事を依頼された労働者を意味します。

嘱託制度とは、正社員とは異なる雇用形態によって、嘱託社員・嘱託員といった名称で労働者に仕事を任せる制度のことです。

特殊なスキルや知識を持った人に仕事を依頼することも嘱託にあたり、医師や弁護士といった人物に仕事を頼む場合、嘱託社員という呼び方を用いることもあります。

一方、企業が元社員に対して仕事を依頼する場合、嘱託社員という呼び方でも、その契約形態は、フリーランスの業務委託や請負契約となり、その場合、自営業という扱いになるため、労働基準法の適用からは外れます。

嘱託社員の多くは1年程度の雇用期間を決めて労働契約を締結しています。そのため、嘱託制度は非正規雇用のひとつだと考えられています。

■最後に
人生100年時代に突入した現在では、現役時代の能力を活かして新たなフィールドで思い切って活躍できる環境に身を置くことが理想的です。

嘱託社員の「嘱託」という言葉には、「頼んで任せる」という意味があります。

つまり、嘱託契約は「業務を頼んで任せる」ことが条件になっているため、雇用契約以外のフリーランスの委任契約、請負契約、業務委託契約といった契約でも構わないとされています。

このようなことから元の職場に再雇用されることは避け、嘱託社員として働くのではなく、複数の会社に顧問として関与することができる、個人事業主としてフリーランスになる人も非常に増えています。

その多くは、社会貢献とやりがいを求め、新たなイノベーションに挑むベンチャー企業やスタートアップの顧問として複数のクライアントとなる会社と顧問契約して活躍しています。

理想のワークライフバランスを目指すには、フリーランスの個人事業主として挑戦できる可能性をいつでも実現できるように準備することが大切です。嘱託社員になるか、複数の会社の顧問になるのか決めるのは後からでもできるからこそ、準備だけはしておくことをお勧めします。

また、就業規則の内容にもよりますが、嘱託社員として働きながら、副業として顧問活動をスタートすることも可能です。

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顧問の場合には、年齢制限や定年退職の概念も無く、複数のクライアントに関与することが可能です。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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