労働人口の減少に伴い、有効求人倍率の上昇、正社員の人手不足感も急速に強まる昨今、ヘッドハンティングという人材獲得の手法の利用を検討する企業が増加しています。
ヘッドハンティングという言葉は聞いたことがあるかと思いますが、「具体的にはどういう仕組みなのか、その意味なのかわからない」と思われる人が多いです。
そこで、今回は、ヘッドハンティングの意味や、従来のヘッドハンティングの仕組み、現在増えているサービスを含め、経営者が知っておきたい社外取締役や顧問の人材スカウトについて解説します。
■ヘッドハンティングとは?
ヘッドハンティングとは、大手企業の経営者、役員、幹部の企業で優秀な人材として従業している方を外部企業からスカウトし、顧問を含めて優秀な人材を外部企業に迎え入れることを意味しています。
つまり、ヘッドハンティングとは、会社が外部の人材を調査してエージェントがその人材にアプローチし、自社に引き抜く採用の手法のことになります。
ハイクラス人材で業界の中で知られている人であれば「心当たりがないのに突然、オファーの連絡を受けた」というケースもあるものです。
引き抜きをする対象としは、最近ではAIエンジニア、技術者、特殊技能を持っている人など、職位問わず外部から勧誘して転職させること一般を意味します。
これまで人材採用といえば、ホームページや転職サイトなどで募集をかけて入社希望者からの応募を待つ受け身のスタイルが定番です。
しかし、ヘッドハンティングは自社の社内から、もしくは依頼先のヘッドハンティング専門の会社から、特定の人材にピンポイントで働きかけるという点が大きく異なります。
ですので、ヘッドハンティングを行う際は、引き抜きの対象とする会社に所属中の人材とのコネクションがない限り、ヘッドハンティング専門会社に依頼するのが一般的です。そのため、ヘッドハンターの年収は大体数千万円から1億円を超える人もいます。
■ヘッドハンティングの流れ
ヘッドハンティング会社に依頼する際は会社側が、経歴や実績など希望する人材の要件やもしくは特定の人物の情報を伝え、依頼を受けた人材紹介会社のヘッドハンターは独自のリストや人脈などを活用してサーチを実施します。
ヘッドハンティング会社の活動内容としては、クライアントが求める人材を探す為に、全労働市場の中からターゲットとなる人材を公開情報や独自のネットワーク等を駆使し、ピンポイントで探し出します。
会社の求める条件とマッチする人材が見つかれば、ヘッドハンターがアプローチしてクライアント企業への移籍を促し、会社側の社員と面談をした上で、条件などがマッチすれば、入社が決まるという流れが一般的です。
ターゲットとする人材と面談の際は、クライアント企業側としても自社の魅力、ポジションやミッション等の魅力を語り、ターゲットの方を口説き落とす必要があるため、基本的には転職を前提に応募してくる転職希望者との面接と比べると、時間と労力を費やすこととなります。
また、ヘッドハンティングは、最初のアプローチから内定までに平均4~6ヶ月程度の期間を必要とします。そのため、急募のポジションの採用においては適さない採用手法といえます。
■ヘッドハンティング会社の仕組み
ヘッドハンティング会社の仕組みを大きく分けると、候補者本人へスカウトを行うサーチ型、年収700万円以上など限られた人材のみ登録できる登録型、ヘッドハンターの人脈を活用した人脈型の3種類があります。
これらの手法は、単体で使用される場合の他、複合的に組み合わせてサービスを提供する会社も数多くあります。
1、サーチ型
サーチ型とは、ヘッドハンターがさまざまな情報網から情報収集し、候補者にアプローチする方法です。これは、ヘッドハンティング本来の、欧米式の手法であり、日本では、専門分野を絞った小中規模のヘッドハンティング会社がサービスを提供するのが一般的です。
ヘッドハンターの人脈のみならず、近年はSNSなどさまざまな情報網からターゲットにアプローチします。
また、サーチ型ヘッドハンティングの具体的なアプローチ手法には、2つのパターンがあります。
【ロングリスト形式】
こちらのアプローチ方法は、クライアントよりヘッドハンティングしたい人物の業種や役職など、条件のみ指定された場合に使用されます。
依頼された条件をもとに、情報網から条件をクリアする人材を複数リストアップ後、アプローチ・面談後、マッチした人材をクライアントに紹介します。
その後、クライアントの面談があり、採用となる流れです。
【指名スカウト形式】
一方、指名スカウト形式は、クライアントが具体的に指名した人物のヘッドハンティングを行うものです。
対象者の具体的な連絡先をもらえる場合もありますが、もらえない場合は、独自の情報網から調査を行い、対象者にアプローチをします。
採用することが確約されており、1人に狙いを定めたヘッドハンティングの手法です。
2、登録型
登録型とは、主に転職サイトなどを展開しており、サービス内で転職希望者と会社側のマッチングを行う仕組みです。
サービスに登録している転職希望者に対して、会社の人事担当者やクライアントから依頼を受けたヘッドハンターがオファーを行うため、サイト内でマッチングが完結します。
登録型サービスは、登録する人材について一定の条件を定めているのが一般的です。
例えば年収が1000万円を超えていたり、役職が経営層や管理職であったりという条件が定番です。あるいは、医療系やITエンジニア系など、業種や職種によって制限されていることもあります。
会社側が登録型サービスを使うメリットは、ハイレベルの水準を満たした人材を広い条件から確保しやすいという点です。
ただし、「ヘッドハンティングサービス」とは名ばかりで、実際は他の一般的な登録型人材サービスと遜色ない場合もあるので、登録者の条件などしっかりと事前確認する必要があるでしょう。
3、ヘッドハンターの人脈型
ヘッドハンターの人脈を主力として、人材の情報を収集するパターンもあります。
人脈型では、マッチング用のサイトなどを持たず、クライアント企業からオーダーを受けて対象人材をリサーチする形態です。プラットフォームを使わないため、少数精鋭で以下のような方法を駆使して人材を探します。
・メディア:新聞、ビジネス誌、専門誌、
・Web:Web媒体、SNS、人事情報サービス
・イベント:交流会、勉強会
・専門機関:人材系会社、コンサルティング会社、専門調査機関
・紹介:ヘッドハンター独自のネットワーク、業界事情に詳しい人物
アプローチ自体はサーチ型に近い手法ですが、特に、社内のヘッドハンターが過去に接触したことがある候補者など、ヘッドハンターの人脈網に重きをおいてヘッドハンティングを行います。
公開情報やインターネットなどの二次的情報だけでなく、ヘッドハンティング会社に蓄積されたノウハウによる探索をメインに据える点が人脈型です。
■ヘッドハンティングのメリット・デメリット
ヘッドハンティングを利用する前に、メリットとデメリットを確認しておきましょう。
1、ヘッドハンティングのメリット
ヘッドハンティングのメリットは、市場には出回っていない情報を入手できる点です。そのため、他社も狙っている人材とバッティングして競り負けてしまうケースを回避しやすいという特徴があります。
仮に一般的な転職サイトを使って採用活用をすると、そこに登録している人材が魅力的であればあるほど他社からも声がかかり、どうしても年収や待遇などを比較されてしまうでしょう。
一方、ヘッドハンティングであれば、転職市場に出回っていない人材情報をもとに、対象者と独占的に交渉できる可能性があります。また、採用に至った場合には即戦力としての活躍も期待できる点が魅力です。
2、ヘッドハンティングのデメリット
ヘッドハンティングのデメリットは、コストパフォーマンスが未知数であることが挙げられます。
ヘッドハンティングを専門会社に依頼する場合、先述の通り着手金やサービス利用料、成功報酬などさまざまな費用がかかることがありますし、成功報酬の相場は年収の40~50%程度と決して安くありません。
仮に希望の人材探しに難航すれば時間がかかってしまうこともあるだけでなく、候補者と交渉しても破談になる可能性もあります。
そのため、費用に見合った満足できる結果が出るかは予想がつかず、費用がかさんでも成果がでないリスクがあることが、デメリットとして挙げられます。
■ヘッドハンティングのオファーを受ける3つのメリット
スカウトやヘッドハンティングは、会社がどうしても欲しい人材を採用する時に使う手段ですが、一方でオファーを受けた側にもさまざまなメリットがあります。
そのため、声がかかった際はまず内容を検討してみることに損はありません。ここでは3つのメリットを紹介します。
1、高い報酬につながる
スカウトやヘッドハンティングは、応募してきた人材を選考する通常の採用方法とは異なり、会社側が外部の人材にオファーを出すという特徴があります。そのため、通常の採用方法に比べて、転職にそれほど熱心ではない人か、あるいは現職で十分に満足している人も対象です。
そこで、会社側は魅力的な条件を提示することで、そのような外部の優秀な人材を引き抜こうとします。また、会社側はオファーを出す人材を高く評価しているため、その分報酬も高くなる傾向があるのです。
2、重要な役割を任せられる
ヘッドハンティングでは、管理層や経営層といった中堅・ハイクラスのポストの人材が対象になります。
そもそも役職が高くないポストを募集する場合、わざわざスカウトのような費用や手間がかかる方法でなくても、一般的な転職サイトやホームページでの募集で採用できるのが普通です。
しかし、中堅・ハイクラス層は、もともと十分な実力がある人材が希少な存在であり、現役で活躍している人材を外部から引き抜くしかないため、スカウトやヘッドハンティングという方法を選ぶのです。
そのため、スカウトやヘッドハンティングの話が来た時点で、経営上重要なポストで活躍することを期待されていると考えることができます。
3、評価される環境で働ける
スカウトやヘッドハンティングは、会社の重要ポストを担う人材を探すために使われる手法で、また手間も費用もかかります。そこまでしてリサーチしているので、オファーを受けたということは、それは会社側が非常に高く評価しているという表れです。
そのため、待遇や昇格といった点で有利なのはもちろん、これまで以上にやりがいやモチベーションを感じながら活躍できる可能性があります。
■顧問としてスカウトを受けるために
顧問の場合には、フリーランスという立ち位置になりますので、基本的に1つの会社と雇用契約を結ぶスキームではありません。
顧問として活躍するプロ人材の多くは、複数のクライアント企業を持ち経営のアドバイスや実行支援サービスを行っています。
また、顧問仕事をする上ではまず、クライアントとなる企業を獲得する必要があるため、顧問としてスカウトやヘッドハンティングを受けられる専門サービスに登録しておくことが役立ちます。
その際、スカウトのオファーを受けるには待つしかありませんが、日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」なら、興味のあるプロジェクトがあれば、自らエントリーをし自己PRをすることが可能です、
エージェントの目に留まり、ピンポイントで特定のクライアント企業への推薦が声がかかることがあります。
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■悪質な顧問紹介会社には注意
顧問紹介会社の中には、顧問報酬の極端なピンハネをする悪質な会社もあるため注意が必要です。
クライアント側が顧問会社に支払う種類を大まかに分けると、顧問人材の紹介料、月額顧問料という構成になります。
顧問紹介会社によって料金体系は異なりますが、ほとんどの顧問紹介会社は、顧問報酬の50%~70%を中間マージンとして搾取しています。
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