プレグナンツの法則とは?売れるデザインにシンプルさが大事な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

フラットデザインの流行や、ミニマルデザインの浸透など、いま、世の中のデザインは「シンプル」が主流となっています。

ビジネスにおけるデザインの最大の目的は、「情報を伝えること」です。シンプルなデザインは、ムダな装飾に走らず、モチーフや使う色を意味のあるものだけに絞ります。

「プレグナンツの法則」を理解すれば、WEBデザインやプレゼン資料などで一番伝えたいことへの誘導がスムーズになり、訴求ポイントや情報が伝わりやすくなります。

そこで今回、プレグナンツの法則とは、売れるデザインにシンプルさが大事な訳ついて、解説します。

■プレグナンツの法則とは?
プレグナンツの法則とは、人が脳での処理を減らすために、対象となるものをグループ化しようとする傾向を言ったものです。

「プレグナンツ」とは、英語で「Pregnant’s law」「Law of pregnant」と訳されます。日本語では「簡潔」という意味があります。

対象となる商品やサービスを簡潔で規則的な形態として把握する傾向は、「簡潔化の法則」と呼ばれることもあります。

プレグナンツの法則とは、ゲシュタルト心理学では中核となる概念になります。対象物をグループ化することで簡潔に脳内で情報を処理できるようにすることを表しています。

プレグナンツの法則をデザインの側面から一言で説明すると、「一連のあいまいな要素を単純な形で訴求する」ことで、インパクトを与えることが可能にする手法になります。

シンプルさが重要な理由としては、イメージが最初から単純であれば、必要とする認識能力は少なくて済むということが様々な研究により裏付けられているからです。

人は複雑な形よりも単純な形の方を、よりよく視覚的に処理し記憶することが確認されています。

■ゲシュタルトの法則とは?
ゲシュタルトの法則は、ドイツの心理学者・ヴェルトハイマーによって提唱された「ゲシュタルト心理学」における中心的な概念です。

ゲシュタルト心理学は、人間心理の個別要素ではなく、全体の構造に着目するのが特徴になります。

ゲシュタルトとは、英語で「Gestalt」で表記され、ドイツ語で「かたち」や「構造」を意味します。ゲシュタルト心理学は、「形態心理学」と訳されることがあります。

ゲシュタルトの法則は、複数の要因で構成されています。以下の7つに分けられることが多いようです。

1.近接の法則(Law of Proximity)
2.類同の法則(Law of Similarity)
3.連続の法則(Law of Continuity)
4.閉合の法則(Law of Closure)
5.共通運命の法則(Law of Common Fate)
6.面積の法則(Law of Area)
7.対称性の法則(Law of Symmetry)

ゲシュタルトの法則を活用すれば、起業家が投資家向けの事業計画書を作成し、事業サマリーのプレゼンテーションを行う際に、スライドを見やすし、インパクトを与えることができます。

経営におけるデザイン思考が大事になった現在、ゲシュタルトの法則への理解を深めることがヒット商品を生み出すことに繋がります。

■ゲシュタルト崩壊とは?
プレグナンツの法則は、別名「ゲシュタルト崩壊」と呼ばれ、ゲシュタルト心理学では、部分的に物事を見るのではなく、全体として見る必要があるということを提唱しています。

ゲシュタルト崩壊とは、「持続的に注視すると、全体形態の認知が減衰してしまう」ことを指します。

初めは全体としてひとつのデザインとして認識できているのが、じっと眺めているうちに、視覚的疲労が起こりバラバラのパーツ「部分部分=構成部分」に見えてきてしまい、結果的に意味がわからなくなってしまう現象をいいます。

プレグナンツの法則とは、「簡潔さの法則」という意味を持ちます。人は「視野に与えられた図形が、全体として、最も単純で最も規則的で安定した秩序ある形にまとまろうとする」という法則です。

デザインを行う上では、直感だけに頼らない、論理的な問題解決こそが、デザイナー・設計者として必要なことになります。

■デザインはシンプルな方が良い5つの理由
なぜデザインはシンプルな方が良いのでしょうか?

1、コミュニケーション性の向上
脳科学的によると、人間の記憶には表示要素の20%程しか残らない。これは、無駄な要素を極力排除した方が情報伝達がしやすいということ。

例えば、UIの最も重要な役割として、コンテンツを伝えることとユーザーの誘導が挙げらます。

コンテンツの設計の分野でも、1つのテーマに絞り、複数の内容や選択肢と言ったノイズを少なくすることが求めます。また、情報のカテゴライズをわかりやすく見せることができます。

装飾や要素を抑えるということは、惑わすものが少ないため、見せたいものへしっかり視線誘導が可能になります。

2、普遍的な存在を生み出す
トレンドを追いかけたデザインは時代と共に廃れ、ダサくなります。つまり、センスが良く感じられるということです。

子ども向けの洋服などは、デザインは装飾されたものが多いですが、シンプルなデザインは洗練された大人の印象を演出することができます。

企業や商品・サービスのセンスを上げることができます。基本に忠実に無駄を極力排除した洗練されたデザインは、何年経ってもその魅力が色あせません。

シンプルなデザインが素晴らしい理由は、「普遍的」=「タイムレスな存在」であり続けることが出来ることにあります。

3、ゲシュタルト崩壊が起こり難い
構成する要素が少なければ、壊れる可能性のある要素も減ってきます。装飾が少ないシンプルデザインは、時代に流されない普遍性があり、万人受けします。

単純な理論になりますが、ホームページの作成の分野でもシンプルさが威力を発揮し、飽き難く長持ちするデザインにすることができます。

UIはエレメントが少ない方がバグが出にくいし、文章は短い方がスペルミスが起きくく、キャッチコピーとしての訴求面でのインパクトもあります。

4、時間とお金の節約に繋がる
プロのデザイナーにとって最も重要なのは、手がけた仕事に対するビジネス的な結果にあると言えます。

何かを購入してもらう際にも選択肢は少ない方が購入率が上がることが科学的にも実証されています。それがUIやページはシンプルな方が良い理由になります。

多くの場合、売り上げや、ユーザー獲得率の向上などに目が行きますが、実はコストの削減もビジネスにとっては非常に重要なファクターとなります。

購買心理学の観点においても、シンプルなデザインは大きな威力を発揮します。

5、ヒット製品を生み出しやすい
デザイナーに求められるシンプルは、本当のシンプルではありません。シンプルが持つ効果を使いながら伝えるべきことを伝える、いわば「計算されたシンプル」になります。

シンプルとは、要素の足し算を最小限に抑え、デザインを整理整頓することで生まれます。

計算されたシンプルは、要素を削ぐだけではありません。様々な施策がなされているが、ユーザーにとってはシンプルと感じられるデザインです。

■プレグナンツの法則の活用法
プレグナンツの法則を意識すれば、企画書内の図表や、プレゼンテーションのスライドを、わかりやすく作ることができます。

シンプルとよくセットで使われる表現に「ミニマル」があります。ミニマリズムは、最小限のもの以外持たないライフスタイルを指す言葉としても一般的になりました。

ミニマリズムとは、非本質的なフォルム、特徴、概念を排して、欠くことのできない本質的なものを表現することを意味します。

積極的に引き算を行い、どんどんモノを減らし、次のことを意識してみましょう。

・近接の法則:同じ要素は近くに、異なる要素は遠くに配置する。
・類同の法則:同じ要素は、色・かたち・大きさを統一する。
・共通運命の法則:三角形や矢印などの記号を使い、視線を誘導する。

当たり前だと思うかもしれませんが、白紙の状態からデザインを考えるとなると、基本的なことを忘れがちになります。

人は全体像を見て、そこからグループや、何かしらのパターンを認識してしまいます。

そのため、デザインでは情報ごとにグルーピングしたり、異なる情報とは距離を離したり、一定のパターンを作るなど、規則性と秩序を持ってデザインすることで、ユーザーへの認識を助けることができます。

■まとめ
プレグナンツの法則とは、心理学用語で視野に与えられた図形が、全体として、 最も単純で最も規則的で安定した秩序ある形に纏まろうとする傾向を指します。

プレグナンツの法則は、ゲシュタルト心理学の中心概念とされています。

ヴェルトハイマーは、「よい形態の法則」と呼びました。具体的には、優れたデザインは、 近接・類同・共通運命・閉合・よい連続・よい形・客観的態度の 要因など群化・体制化の法則に従うと提唱しています。

様々なデザインを行う際には、プレグナンツの法則を活用し、自然に認識できる「簡潔な表現」を心掛けると良いイメージや結果に結び付きます。

その際、単に構成要素を減らすことが重要なのではなく、情報の取捨選択をしていくなかで、過剰な装飾を削ぎ落として生まれるのが本物のシンプルなデザインだと言えます。

例えば、ランディングページは、商品やサービスを説明するページが1ページしか存在しないからこそ、他のページに流れることなく、簡潔にコンテンツを配置し訴求することが出来るためコンバージョンに結び付き易いです。

記事コンテンツでも異なる要素は、ページ単位でキーワードをセグメントすることで、訴求ポイントが明確になります。

シンプルなデザインを設計する施策は、素人から見ると簡単そうに思えますが、反対にムダをそぎ落とすためには多大な時間と労力が必要です。

一方でプロダクトを生産するプロセスでは、シンプルな方が工程が少なく、生産工程がスムーズになります。プロダクトデザインにおいては、部品や製造工程が削減できることによって、収益率が高まる結果にも結び付きます。

インターネットサービスのUIのデザインにおいては、要素に規則性や秩序をもたせたり、シンプルなデザインにすることで、ユーザーへの認識を高め、利便性を向上させることにも繋がるため、より使いやすいUIにすることができます。

様々なデザインの際には、「プレグナンツの法則」を意識して、効果的なデザインすることで、シンプルでありながらも普遍的で長期的に通用するデザインを実現することが可能になります。

「商品を買っていただくお客様はみんな素人です。だから、売り手も素人の感覚を忘れてはならない。」

<鈴木敏文>

■最後に
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本田季伸のプロフィール

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