正社員としての就職活動、フリーランスとして顧問契約、副業の仕事をする上でも処遇に関するさまざまな条件について、企業側と求職者の間に合意形成を行う必要があります。
働き方を問わず仕事内容や条件面を企業と擦り合わせたりを行うにあたって重要な要素になるのが、企業から提示された「オファー」の内容になります。
なぜなら、スムーズに仕事を進めるには、処遇に関する条件について協議し、双方が要望を確認の上で、企業側と求職者の間で合意形成を行う必要があるからです。
そこで今回、オファーとは、オファーとスカウトの違い・オファー面談の意味について解説します。
■オファーとは?
オファーとは、就職活動、転職活動、顧問活動の分野では、企業が採用や契約にあたり条件などを提示することを指します。
人材採用におけるオファとは、企業が労働者と雇用契約を結ぶ際に、労働者に向けて労働条件や待遇を明示するために交付する書類のことです。
オファーは英語で「Offer」と表現されます。日本語では、「条件通知書」の意味を持ちます。
「offer」はビジネス分野で頻出する単語ですが、海外のみならず、日本語でもそのまま「オファー」として十分通用します。
人材採用の場合のオファの内容としては、給与、雇用形態、就業時間などになります。求職者はオファーを見て、自分が求める条件に見合っているかを判断します。
人材採用のシーン以外では、法人営業のシーンでは、商品やサービスの提案時に競合会社がいる場合に営業マンが「こちらの条件でどうでしょうか?」と、特別なディスカウントの料金や取引条件を提示し提案する場合にもオファという言葉が使われます。
売手が商品提案などで売込み交渉する場合を「売りオファー」と言います。単に「オファー」といった場合は売りオファーを指すことがあります。売りオファーに対して買手がオファーを引き受ければ売買契約が成立します。
■オファーとスカウトの違い
オファーとスカウトの意味に違いはあります。
スカウトとは、有望な人材を探したり勧誘したりすることをいいます。
一方で勧誘した人材に対し、条件を提示する段階が「オファー」になります。
・勧誘=スカウト
・条件提示=オファー
ただし、転職サイトを利用したり、エージェントが介在する場合には、企業やサービスによって「オファー」と「スカウト」のニュアンスが異なりますので、それぞれのサービスで定義されている内容をチェックする必要があります。
■オファーレターとは?
オファーレターとは、日本語でいうと「労働条件通知書」になります。
採用する企業が転職ご希望者様に対し、採用を決定する旨を伝え、その労働条件について記載した書面がオファーレターです。企業側は、このオファーレターを出すと口約束でない正式な採用を取り交わすことになります。
そのため、単なる採用通知書という意味合いに加え、労働条件通知書の意味も持ち得ています。このオファーレターがあることにより、入社後のトラブルを防ぐことにつながります。
オファーレターは、入社試験や面接を受けた求職者の中から、採用を決定した人に対して内定を伝える書面を指す言葉です。
労働条件通知書の交付は、労働基準法第15条第1項の「労働契約の締結時における条件の明示義務」に基づくものです。
労働基準法では明示すべき労働条件のいくつかに関して「書面で発行しなければならない」とされており、その義務を果たすために労働条件通知書の交付が必須となります。
なお、この明示義務は労働者の雇用形態には関係なく生じるため、正社員以外の労働者だけでなく、契約社員やパートタイム労働者などを雇用する際にも労働条件通知書の交付は必要となります。
■条件通知書=オファーの重要性
給与や休日などの労働条件を通知することは、労働者にとってただ安心をもたらすだけでなく、生活の見通しを立てる上でも非常に重要な取り組みとなります。
特に正社員としての採用される場合には、労働条件通知書の交付することは企業サイドの法的な義務になります。
ただし、形式的に行なうのではなく、きちんと労働条件を相手に理解した上で、双方が納得を得ることを意識して実施しなければなりません。
【転職や顧問契約時の主な条件】
・入社後に担当する仕事内容やポジション、顧問契約後の仕事内容
・年収もしくは、顧問報酬
・入社日、顧問活動のスタート日
・休日や残業時間、各種手当などの待遇面・顧問報酬
入社後や顧問契約を行う際には仕事内容については、「どのような仕事に」、「報酬はいくらで」ということはもちろん、「どのような立場で」ということもしっかり確認しておく必要があります。
口頭での通知とは違い、書面という形で残る労働条件通知書は、仮に雇用後に労働者との間でトラブルが発生した際にも大きな証拠として機能することになります。
よって、労働条件通知書の内容を作成する上では、オファ面談を実施し、正確かつ実態に即した条件を記載し、雇用契約や業務委託契約をしっかりと締結することが大切だと言えます。
■オファー面談とは?
オファー面談とは、企業と内定者との間で、労働条件や業務内容を確認した上で入社の合意を図ることを目的とした面談を指します。
内定後もしくは、契約前に行われる、入社後の具体的な処遇を決める面談を、「オファー面談」や「処遇面談」と言います。
これは、企業側が内定者に入社の決意を固めてもらえるよう、最終的な条件面の提示をするために設定される面談です。多くの企業がオファーレターを渡した人に対し、最終的な確認をする面談を行います。
転職希望者は、企業側からオファーレターを受け取ったあと、書面の内容をしっかり確認し、これまでの面接などで話した内容に相違がないことを確認する必要があります。
採用の条件や職務内容をすり合わせするため、あらためてオファー面談を設定して貰うことも多くあります。
ただし、オファー面談は、法的に義務付けられているものではないため、必ず実施されるわけではありません。
オファー面談は法的に必須ではないため、自分で企業側に依頼するか、転職エージェントを活用している場合にはコンサルタントを経由して依頼することになります。
■オファー面談を行う目的
労働条件に対して気になる点があれば、オファ面談を企業側にお願いしたり、もしくはエージェントがいる場合には、エージェントに問い合わせことも必要になります。
1、労働条件をすり合わせる
企業が労働者を採用する際、少なくともその労働者に対して「労働条件通知書」という書類を交付するよう法的に義務づけられています。
フリーランスの場合には、業務委託契約書を締結する形になります。
そこに労働条件に関する詳しい内容が明示されているので、オファー面談がない場合は、企業もしくはエージェントから受け取った書面を自身でしっかり確認しておく必要があります。
オファー面談では、はじめに人事担当者から契約期間、賃金、就業場所、就業時間、休日・休暇等の労働条件や、会社における各種制度などの詳しい説明が行われます。
説明の中で疑問や不安な点があれば、遠慮せずに質問して解決するようにしましょう。
例えば、賃金に関して年収額しか説明されなかった場合、賞与や残業手当、交通費などに関しても確認しておくと安心です。
内容によっては、より希望に沿った条件での雇用を検討してくれるかもしれません。入社前と入社後のイメージに齟齬が生じることがないよう、オファ面談でしっかりと条件を確認し、擦り合わせることが大切になります。
2、配属部署と業務内容を確認する
オファー面談を実施する場合には、企業側がそうしても採用したい転職者に多く、選考の結果、すでに決まったポジションや役職をオファーする場合もあります。
求職者に適した、もしくはチャレンジングだと思えるポジションを提示できると、求職者の入社意識を高めることを目的にしています。
大まかな業務内容については選考時点ですり合わせているはずですが、実際に自分が扱う商材やサービス、担当する領域などの詳細な内容についてはオファー面談で説明される場合も多いです。
企業によっては人事担当者からの説明の後、配属予定の部署の社員が同席し、業務内容に関する具体的な説明や、アドバイスなどをしてくれる場合があります。
現場の雰囲気が知りたいときは、オフィスの見学や、現場メンバーとの会食をセッティングして貰えるケースもあります。
入社後のお互いにミスマッチを防ぐことがオファー面談の目的なので、要望を聞き受けてくれる場合が多いです。
3、入社の合意を図る
労働条件や業務内容の説明を受けた上で双方が納得できる状態となれば、入社に向けた具体的な話し合いを進める場合もあります。
また、もし他社の選考も受けている場合は、自社の内定を辞退することも考えられます。そのため、企業サイドは、魅力的な内容のオファーレターを発行し、「この会社で働きたい!」と思って貰える働きかけも必要になります。
一方で、求職者サイドには、実際に内定を承諾する気持ちがあるかという意思確認や、他社の選考状況について問われることもあるでしょう。
入社する意思があれば、入社希望日なども擦り合わせることなるため、事前に自分の希望を整理しておいてください。
どうしても譲れない条件がある際は、この場が交渉する最後のチャンスとなります。
入社の意思決定の直前に労働条件や業務内容を細かくすり合わせることで、企業は入社前と後のギャップをできるだけ埋めようとします。だからこそ、応募者側も積極的に情報を収集する姿勢が大切です。
オファー面談が有意義なものになるかどうかは、応募者がどれだけ情報を引き出せるかにかかっているといっても過言ではないでしょう。
■まとめ
オファーとは、企業間の取引において、購買条件を提案する行為や条件提示することを指します。
就職活動や顧問活動では、会社に入社したり顧問契約を進める際の条件や、ビジネスを支援する見返りとして何かが得られる報酬や、優遇される内容など、取引「ディール」の内容を意味します。
転職活動の給与アップや顧問活動で報酬アップを実現させる方法の一つとして、オファを前提とした「条件交渉」があります。
厚生労働省の令和2年雇用動向調査(転職入職者の賃金変動状況)によると、転職後に給与が増えた人の割合は34.9%という調査結果が出ています。
逆に減少した人は35.9%で、増加した人と同じくらいの割合になります。
転職後も変わらない年収を希望する場合や、給与アップを望んで転職する場合、オファ面談時に応募先の企業と希望額を交渉することも可能です。
条件交渉により応募先が提示している最初のオファよりも高い条件で契約できる場合があるため、報酬を重視する方には有効な手段です。
ただし、採用に影響が出るケースもあるためタイミングや交渉の仕方には注意が必要です。
特に自分の希望を無理やり通そうとすることはNGです。
根拠なく報酬アップを求めるのではなく「なぜその条件を希望するのか」を答えられるようにしておくと良いでしょう。
報酬アップしてでも自分は採用するに値する人間であると論理的に説明できない場合は、提示している条件に無理があるかもしれません。
また、条件交渉によりオファ内容を考慮してもらえる会社も多くありますが、交渉の内容によっては採用結果に影響が出てしまうため、伝え方やタイミングが非常に大切だと言えます。
求職者や顧問が良い条件を引き出すためには、「希望する条件を出し、優先順位をつけ、相手に与える印象を考えながら自分の意思を主張する」必要があります。
実現したい条件をすべて提示するのは印象を下げてしまう可能性もあるため、自分の譲れない条件のみに絞って伝えることをおすすめします。
「交渉において相手を思い通りに動かし、説得していくには、はっきり言って3通りの方法しかない。「合法的に脅す」「利益を与える」「ひたすらお願いする」の3つだ。
その中でも、もっとも有効なのが、「利益を与える」である。」
<橋下徹>
■最後に
給与や報酬などを含めたオファーは、応募者だけでなく、企業にとっても優秀な人材を採用するために大事なポイントになります。
ただし、雇用形態を問わず「お金の話ばかりする」という印象を与えてしまっては、企業から一緒に働きたいと思ってもらうことが難しくなってしまいます。
企業には、正社員の場合には役職、職務、年齢などを考慮した「給与テーブル」がある程度決まっています。フリーランスの顧問や副業のプロ人材への仕事依頼の場合でも予算が決まっているケースや「報酬テーブル」を設定しているところが多く存在します。
転職者の給与は、給与テーブルと照らし合わせ、前職のスキルや経験を考慮して最終的な金額が決定されます。
企業から提示を受けたオファに対して条件交渉を行うことは、口で言うほど簡単ではありません。自分では上手く交渉できそうにない、余計なことを言ってしまいそうで怖いというときは、エージェントを利用しましょう。
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プロ人材への仕事依頼の場合には、個人の人的資産にあたる知識、経験、人脈、スキル、ノウハウを基に顧問料の相場に基づき、顧問報酬が決まる形になります。
面倒な交渉をあなたに代わって行ってくれるだけでなく、希望条件を満たさない企業は最初から応募対象から外すことが可能ですので、そもそも条件が合わない企業と面談する手間を省けます。
いずれにせよ、お金の面での交渉を長引かせるのは得策ではありません。
無理に好条件を引き出そうとするのではなく、良い会社では実績次第で報酬は上がる可能性が高いため、いい意味で妥協しながら上手に交渉して、転職活動や顧問活動を成功させましょう。
また、顧問紹介サービスの会社からの紹介により、ハイクラス転職に繋がることも多々あります。有力なエージェントは、応募者の市場価値を判断し、条件や実績に見合う企業を紹介してくれ、予め顧問報酬の相場を超えるオファを貰っていることも多いため、顧問活動がスムーズに進みます。
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