日本の中小企業の経営者の場合、シリコンバレーのITベンチャーのように第三者割当増資による直接金融を行う会社は、非常に少なく、そのほとんどが間接金融で銀行からの融資を受けます。
アメリカのベンチャーキャピタルの業界では、会社設立時の段階でファウンダーが1名ではなく、共同創業者が2名以上いた方がビジネスの成功確率が圧倒的に上がると言われています。
そこで今回、ファウンダーとは何か、複数のファウンダーが成功確率を高める訳について解説します。
■ファウンダーとは?
ファウンダーとは、日本語では、「創業者」や「設立者」を意味します。英語での表記は、「Founder」になります。
アメリカの企業では、創業者だけでなく、資金を出す投資家や経営を担う経営者が分かれているケースが多く、ファウンダーは、会社の創業者あるいは、ビジネスモデルを考案した発案者を指します。
ファウンダーは、創業者という意味を持ちますが、CEOや代表取締役、株主とはその意味合いが異なります。
日本の会社法には、ファウンダーという役職は存在しておらず、メジャーな名称ではありません。「資本と経営の分離」が一般的な欧米企業で主に使用され、現在は日本でも浸透している用語です。
企業やビジネスをスタートするにあたって、アイデアを企画して実行した発明者や発起人、個人経営ではなく会社を創業した人物がファウンダーとなります。
アメリカの企業の場合、会社の設立する時点から、役割分担が明確にする傾向が高く、会社を起こすファウンダー、資金を出す投資家、組織をマネジメントする経営者に分かれています。
ただし、ファウンダーが最高経営責任者「CEO」として、経営の全ての実務を担う場合もあれば、ファウンダーがCEOを別に雇用し、プロ経営者がマネジメントを担う場合もあります。
■ファウンダーとコファウンダーの違い
ファウンダーに関連する用語として、英語でコファウンダー「Co-Founder」があります。日本で「共同創業者」や「共同設立者」を意味します。
日本の企業の場合、ファウンダーもコファウンダーも株主だと思われがちですが、厳密には株主を指すものではなく、ビジネスを立ち上げる際に、最初にジョインした創業メンバーにあたります。
コファウンダーとは、企業をスタートするにあたって、会社を立ち上げる際に二人以上のメンバーがいる場合、コファウンダーと呼ばれる立ち位置になるものです。
ボードメンバーとして、それぞれの異なる得意分野を持ち寄る際やリスク分散のために広く使われます。
シリコンバレーのスタートアップの場合、ビジネスの成功確率を高めるためには、ファウンダーが1名だけでなく、会社の設立段階で共同創業者の存在は欠かせないと言われています。
海外の大手ベンチャーキャピタルでは、創業者が単独で事業を興すことは失敗に繋がる可能性が高いとされており、コファウンダー「Co-Founder」がいない単独創業の企業に対する出資を奨励しないインキュベーターさえあります。
ちなみに、スティーブ・ジョブズは、Appleの創業者として非常に有名ですが、単独のファウンダーではありません。
ジョブズ・ジョブスは、友人のスティーブ・ウォズニアックが自作したマイクロコンピュータ「Apple I」を販売するために起業することを決意しました。
その後、1976年の4月にウォズニアックとの共同で「Apple Computer Company」「アップルコンピュータ・カンパニー」をコファウンダーとして創業した共同創業者にあたります。
■マクドナルドのファウンダーは誰か?
マクドナルドの創業者は、「レイ・クロック」ではありません。マクドナルドの真のファウンダーとなる創業者は、マクドナルド兄弟になります。
マクドナルド兄弟が、1940年にカリフォルニア州サンバーナーディーノにマクドナルドの1号店をオープンさせました。
その際、ハンバーガーを速やかに提供するための「スピーディー・サービス・システム」という方式を開発しました。
1954年にマクドナルド兄弟がセールスレップであったレイ・クロックをフランチャイズ展開の代理人として雇用しました。
その後、様々な紆余曲折を経て、1961年に会社の経営権をレイ・クロックに売却したという経緯があります。
現在のマクドナルドは、レイ・クロックが世界最大のファーストフードの会社に大きくしたのは間違いありませんが、事業コンセプトや「オペレーショナル・エクセレンス」な、仕組みを作り上げたファウンダーは、マクドナルド兄弟になります。
■ファウンダーがCEOになるメリット
日本の企業の場合には、創業者が代表取締役になるケースが殆どになります。それは、ファンダーがCEOになると様々なメリットがあるからです。
1、決断がしやすくなる。
ファウンダーがCEOになり、「最高経営責任者」として経営の実務の舵取りを行う場合、短期的な利益と長期的な利益の両者を見据えて経営決断を下す必要があります。
CEOとしてのスキルやマインドが大きいほど、長期的なビジョンを掲げて自分が正しいと思うことを考えて実行し、短期的な利益を優先しようとする人々のことを無視しやすくなります。
ファウンダーがCEOになった場合、厳しい決断を下さなければならない際にもステークホルダーが寛容に捉えて貰えます。
2、周囲からの信頼が得やすい。
アメリカの場合には、企業のファウンダーであることと、会社を創業しただけでなく自らCEOになった場合、会社のビジネスモデルや中核プロダクトを作り上げたという実績からある程度の評価をされます。
自らリスクを取って創業者と最高経営責任者としてのポジションを担えば、ステークホルダーからの周囲からの信頼が得らます。
ビジョンに共感し事業を応援したと思うボードメンバーも集まり易く、辛抱強く仕事をするCEOを他のCXOが支えてくれます。
3、解雇されにくい。
海外のスタートアップの場合、ベンチャーキャピタルや事業会社、個人投資家からファイナンスを行い、創業者が経営の実務を行わず、CEOを雇用した場合には、最高経営責任者と言えども業績が伴なわないと、解雇される対象になります。
一方でファウンダーがCEOになり、経営者として経営の実務を担う場合、責任の所在はファンダー兼CEOである人物に全て降りかかって来る形になりますが、頑張ってビジネスを推進していれば、投資家によって解雇され難くなります。
CEOは、業績が上がらなければ、ステークホルダーから厳しい評価を受けます。
しかし、アマゾンの創業者のジェフ・ベゾスのように、莫大な資金を投資家から集め、業績が上がらない期間が暫く続いたり、先行投資を先行を優先し、短期的に見れば賛否両論のある決断をした時でも、ファウンダーであれば、ビジネスを長期的に応援しようと言う投資家も多くなります。
■まとめ
ファウンダーは、欧米企業で新興企業の立ち上げを行った創業者、ビジネスモデルの発案者、サービスを構想した発明者を意味します。
日本とアメリカでは会社法が異なるため、日本企業と欧米企業ではファンダーの意味合いの違いがあります。
日本の場合には、会社の創業時に株主として参画した人がファウンダーというポジションになり、初期の株主が二人以上いる場合には、コファウンダーという扱いになります。
シリコンバレーのスタートアップの場合、ファウンダーが投資して会社を作り、自身が経営者になる場合もありますが、創業者が第三者を「CEO」として任命し、「最高経営責任者」が経営者として実務を担う場合もあります。
「傲慢な人間は他人の意見に耳を傾けない。自信のある人間は異論を歓迎し、素直に耳を傾ける勇気を持っている。」
<ジャック・ウェルチ>GE会長
■最後に
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