スタートアップの起業家やベンチャー企業の経営者の持つ、リーダーシップが上手く機能すると、組織の成長に必要な経営課題を解消することが期待できます。
リーダーがビジョンを指し示すことで、仕事の意義やビジネスの未来のイメージを得ることができると「内発的動機」が高まり、組織のパフォーマンスが上がります。
なぜなら、メンバーから尊敬されるリーダーがいることで、組織全体が信頼関係を築きながら、意見交換を活性化することができ、組織の課題解決の能力を高めることができるからです。
そこで今回は、リーダーシップの種類とは何か、組織にリーダーシップが必要な理由について解説します。
「あなたの行動が他の人に夢を抱かせ、もっと学ぼうと思わせ、もっと行動したいと思わせれば、あなたはリーダーだ。」
<ジョン・クィンジー・アダムズ>
■リーダーシップの定義とは?
リーダーとは、先導者、指導者や統率者を意味し、先頭に立って人々を引っ張る役割の人です。
具体的には、物事の計画を立て、皆を説得し、組織化した後、その活動を実施・維持します。その活動を通して、課題達成に向けて皆を方向付ける役割を果たします。
リーダーシップとは、「指導力・統率力」などと表現され、ある一定の目標達成のために個人やチームに対して行動を促す力のことです。基本的なポイントとしては主に以下の3つがあげられます。
1、目標達成のためのビジョンを示す。
2、ビジョンが実現するように、スタッフのモチベーションを維持しながら励ます。
3、ビジョンを実現するにあたって問題となる部分を解消する。
企業の管理者としてリーダーは、企業の資源であるヒト・モノ・カネ・情報を最大限に使って、できる限り機会損失を少なくしながら、組織が目指す目標を達成する役割を持ちます。
チーム全体で成果を上げるには、リーダーの力だけでは成し得ることはできません。メンバーそれぞれが周りに好影響を与えつつ、どのように行動していったらいいか自主的に行動していけるように導く力が求められるのです。
■組織にリーダーシップが必要な理由
リーダーとは、指導者や統率者、先導者という意味を持ち、チームの目標達成や課題解決に向けてメンバーを束ねていく人を指します。
経営者を問わず、管理職やマネージャーにも「リーダーシップ」が必要な理由は、メンバーの能力を最大限に発揮できるよう、組織を整えることが求められる仕事だからです。
具体的には、何かアクションを起こすにあたり計画を立て、メンバーの能力を見極め適切な指示をし、業務や使命を遂行していく役割を果たします。
経済産業省が推奨するガイドラインによると、リーダー人材の育成のためには、下記4つの基本的なプロセスをふむ必要があります。
1.ビジョンや経営戦略を実現する上で重要なポストおよび要件の明確化
2.人材の把握・評価と経営リーダー人材育成候補者の選抜・確保
3.人材育成計画の策定・実施と育成環境の整備・支援
4.育成結果の評価と関連施策の再評価・見直し
優れた「リーダー」はリーダーシップを持ち合わせており、企業経営の舵取りをする経営陣には必要なスキルとなります。
管理職やマネージャーといっても「ただ人を管理をしていたら良い」という訳ではありません。チームが間違った方向にいかないように計画や戦略を立て、メンバーの模範となることが常に求められます。
成果を出せるチームになるためには、リーダーが行動の模範となり手本を指し示し、チームを正しい方向へ導くことが必要不可欠です。
■リーダーとマネージャーの違い
リーダーシップは、企業が掲げるビジョンや目標を達成するために影響力を発揮することです。マネジメントは単に計画や予算に着手することであるため、リーダーシップとは全く異なる概念です。
そのため、マネジメントだけを強化しても、目標達成を実現できません。
企業が目指すゴールを達成するには、リーダーシップが不可欠になります。リーダーとマネージャーでは、組織内での役割が大きく異なってきます。
・リーダー:何らかの目的、目標に向かってチームを率いて新たな価値を創出する役割
・マネージャー:チームが価値観やルールに則って業務が円滑に進むよう管理する役割
「リーダー」は複数のメンバーを統率する立場になるため、広い視野を持つことが必須要件になります。
具体的には、メンバー一人ひとりの業務進捗や、モチベーションを把握しながら、チーム全体のパフォーマンスを上げていく必要があります。
ただし、リーダーは皆、同じというわけではありません。職場やキャリアの中には様々な種類のリーダーシップが存在します。
自身の長所と短所を把握し、スタッフに最高のパフォーマンスを発揮させるためにどのような対話が必要になるかを理解するためには、リーダーシップのスタイルを知ることが重要です。
■リーダーシップの10つの種類とは?
リーダーシップには、いくつかの種類があります。リーダーシップは時代の流れに合わせて変化するものになりますので、従来には無かった新たな「リーダーシップ」と言うべきものも登場しています。
1、コーチ型
コーチ型のリーダーは、チームメンバーの強み、弱み、モチベーションを素早く見極め、各自の能力向上を支援することができます。
コーチングは、教わる側がコーチとの双方向のコミュニケーションを通じて、自らの価値観や能力を再認識していく手法になります。何事にも意欲的な人に対して効果を発揮し、潜在能力や可能性を引き出すことができます。
コーチ型のリーダーは、チームメンバーがSMART目標を立てるのを支援し、成長を促すために難しいプロジェクトを与えることで定期的にフィードバックを提供します。
また、明確な期待値を設定し、前向きでモチベーションの高い環境を作るのが得意です。
コーチ型リーダーシップは、採用企業やチームメンバーにとって最も有益なスタイルの1つです。しかし、他の種類と比べて人材育成を行う際には、非常に時間がかかるので、残念ながら十分活用されていないスタイルでもあります。
2、ビジョン型
ビジョン型のリーダーは、従業員を鼓舞し新しいアイデアへの信頼を得ることで、前進を促し、変化の時代を導く優れた能力を持っています。
ビジョン型は、「リーダー」の傑出した行動力と発想で組織を引っ張っていくリーダーシップになります。目標達成に向けたリスクを「リーダー」がすべて担い、メンバーそれぞれに合った仕事を分配していくことで成果を導いて行きます。
また、組織内に強い絆を築くのが得意です。直属の部下や同僚の間にも信頼感を育むよう努めます。
この種類のリーダーシップは特に、急成長している小規模な組織や、変革や組織再編が行われている大規模な企業に効果的です。
3、奉仕型
奉仕型のリーダーは人を第一に考え、チームメンバーが個人的にも仕事でも充実していると感じられれば、より力を発揮し、定期的に素晴らしい成果をあげることができると信じています。
職場環境や人間関係、部下のモチベーションに配慮しながら、成果の創出を図っていくリーダーシップになります。チームワークの良さに重きを置く場合に効果を発揮しやすいと言えます。
従業員の満足度とコラボレーションを重視するため、より尊敬を集める傾向にあります。
奉仕型リーダーシップは企業の業界や規模にかかわらず効果的なスタイルですが、特に非営利団体に多く見られます。この種類のリーダーは従業員の士気を高め、やる気を出させるのが非常に得意です。
4、専制型
この種類のリーダーは、ほぼ結果と効率性のみを重視しており、権威型と呼ばれることもあります。
通常1人で、または信頼できる少人数のグループと決定を下し、指示したことをそのまま部下が実行するのを期待しています。軍隊の司令官をイメージすると、わかりやすいかもしれません。
このスタイルは、厳しいガイドラインがあったりコンプライアンスが重要な業界で効果的です。また、ほぼ未経験の部下がいるなど、チームをしっかり監督する必要がある場合にも役立ちます。
しかし、このリーダーシップスタイルは創造性を抑制し、自由が制限されていると従業員が感じる原因にもなります。
5、放任型
このリーダーシップスタイルは専制型の真逆で、多くのタスクをチームメンバーに任せ、ほとんど指揮しません。放任型リーダーシップは、リーダーは干渉せずにメンバーのみで物事を決定・遂行していくスタイルです。
放任型は、部下のマネジメントにかける時間が少ないため、他のプロジェクトに集中することができます。
チームメンバー全員が経験豊富で、しっかりとトレーニングを受けており、監督する必要がほとんどない場合に取り入れられるスタイルになります。
しかし、リーダーの期待値について部下が混乱していたり、チームメンバーの中に継続的な動機付けや境界線を必要とする人がいる場合、生産性を低下させる可能性があります。
6、民主型
参加型とも呼ばれる民主型リーダーシップは、専制型と放任型を組み合わせたスタイルです。民主型のリーダーは意見を求め、決定を下す前にチームからのフィードバックを考慮します。
「リーダー」が中立的な立場から、メンバーの意見を吸い上げて行くリーダーシップになります。メンバー中心でチームを動かしたい場合に有効なスタイルとされています。
チームメンバーは自分たちの声が届き、重要な貢献をしていると感じられるので、民主型リーダーシップスタイルは従業員のエンゲージメントと満足度の高い職場を育むことができます。
この種類のリーダーシップは議論と参加を促すので、テクノロジー業界などの創造性とイノベーションに焦点を当てた組織に有効です。
7、ペースセッター型
ペースセッター型リーダーシップは、短時間で結果を出すために最も効果的なスタイルの1つです。このリーダーは、主にパフォーマンスに焦点を当てます。
高い基準を設け、チームメンバーに目標達成の責任を課す傾向があります。
難しい目標を提示し、まずリーダー自身がハイ・パフォーマンスで部下の見本となり、彼らのモチベーションを上げる、というのがペースセッター型リーダーシップの作る流れとなります。結果として、チーム全体の業績向上に繋がります。
ペースセッター型のリーダーシップスタイルは、チームメンバーを激励する必要があるようなペースの速い環境でモチベーションを高めるのに役立ちますが、指導やフィードバックが必要なチームメンバーにとっては、必ずしも最良の選択肢とは限りません。
8、変革型
変革型リーダーシップスタイルは、明確なコミュニケーション、目標設定、従業員のモチベーション向上に焦点を当てているという点で、コーチ型に似ています。
しかし、エネルギーの大半を各従業員の目標に費やすコーチ型とは異なり、変革型は組織の目標達成に取り組むことを重視します。
リーダーが中立的な立場から、メンバーの意見を吸い上げて行くリーダーシップになります。メンバー中心でチームを動かしたい場合に有効なスタイルとされています。
このタイプのリーダーは全体像を見ることに時間を費やすため、常に監督していなくても、割り振られた多くのタスクを処理できるチームに最適です。
9、取引型
取引型のリーダーはペースセッター型と同じように、パフォーマンスに焦点を当てます。このスタイルのマネージャーは、成功に対する金銭的報酬や失敗に対する懲戒処分といった形で、予めインセンティブを設定します。
ペースセッター型と異なるのは、部下が目標を達成して報酬を受けられるよう、指導や指示、トレーニングにも注力するという点です。
このタイプのリーダーは、売上や収益など具体的な目標を達成しなければならない組織やチームに最適ですが、創造性を育むのは苦手です。
10、官僚型
官僚型のリーダーは、書かれた通りの規則や手順にチームメンバーが正確に従うことを期待しているという点で、専制型に似ています。
官僚型リーダーシップは各従業員に一連の職務を与え、上下関係内に定められた固定業務に焦点を当てるため、コラボレーションや創造性はほぼ必要ありません。
このスタイルは、金融や医療、または政府のような規制が厳しい業界や部署で効果を発揮します。
■リーダーシップの種類に優劣があるのか?
大手企業の現場ではつい、リーダーシップよりもマネジメントを重んじてしまうこが多いのではないでしょうか。
リーダーシップとマネジメントの違いやリーダーシップの理論を学ぶことで、どのような場面でどうリーダシップを発揮すればよいのかがわかります。
どのリーダーシップも一長一短があり、どれか1つをとってその良し悪しを決めることはできません。会社の組織風土や事業内容、短期的・長期的な成果から自身の組織に合ったリーダーシップを発揮するためにも、リーダーシップ理論を深めることが大切です。
ドラッカーは、リーダーシップについて「仕事・責任・信頼」という言葉を使って定義づけています。
1、リーダーシップは生まれ持った資質ではなく「仕事」である。
目標・基準・優先順位などを定めるとともに維持・行動するのがリーダーであるということを説いています。
2、リーダーシップは地位や特権ではなく「責任」である。
リーダーとしてスタッフの行動を支援しながら、責任を持つことが必要とされています。
3、リーダーシップは「信頼」である。
リーダーとしての仕事をしてメンバーに対する責任を持つことで、最終的に信頼が得られ、スタッフがつき従うということになります。
リーダーシップが目指すのは組織目標の達成です。組織目標を明示せず、自律的にメンバーが動いてくれることはありません。
組織をけん引し、メンバーに動機付けるためにリーダーシップが必要です。組織内の結束を高め、団結することもリーダーシップの目的です。
組織にはさまざまなメンバーがいます。性別や年齢、国籍などは多様ですし、そもそも個々のメンバーは価値観や考え方、仕事の進め方などが違うでしょう。
どのようなメンバーがいたとしても、組織内の結束を高めることで組織の士気が上がり、生産性・効率の向上に繋がります。
■まとめ
リーダーシップの種類には、これ1つで完璧というものはありません。会社のステージや経営者、事業内容によって特定の要素が他より便利で効果的ということもあります。
理想のリーダーになるためには、リーダーシップの種類があることと、各リーダのスタイルを理解し、結果を出すためにアプローチを適応させることが最善の成果を挙げることに繋がります。
チームおよび組織の成功を導き、組織の成功を導き、士気を高める文化とビジョンを築き上げたいならば、職務に最も適したリーダーシップスタイルについて考えることがチームを牽引する原動力になります。
また、既に大きくなった組織の場合、ビジネスの成功の維持や、新たな競争優位の創出に邁進することが、人を高見へと導くリーダーであるためには不可欠です。
非凡なリーダーは、ビジネスの状況に応じて異なるリーダーシップのスタイルを自由に組み合わせることが出来ます。
その際、経営課題の状況や成長ステージ、チームメンバーの成長度合いに合わせた最適なアプローチの選択が重要です。
人に変化のひらめきを与え、アイデアを取り入れ、スピーディに実行させるためには、リーダーは置かれた状況に応じて異なるタイプのリーダーシップのスタイルを組み合わせ、対応を図る必要があると言えます。
■最後に
ある調査によれば、スタート企業やベンチャー企業の経営者の24.7%が「何でも相談できる外部パートナーがいればぜひ相談したい、自身の右腕的存在が欲しい、と回答しています。
また、全体の27.9%が「すぐに相談したいことはないが、何か解決できないことが出てきたら相談したい」と回答しており、経営者の52.7%が何でも相談できる外部パートナーを欲しています。
その中でも20代、30代の経営者の6割以上が何でも相談できる外部パートナーを欲していることが分ります。
ですが、現状およそ3分の1の経営者が相談相手がおらず、半数以上の経営者・自営業者が自身の右腕となるような外部パートナーの存在を必要としています。
つまり、起業後における経営サポートの機能はとても重要だということが言えるでしょう。
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