現在、コロナ渦の影響で業界全体として売上が停滞していたり、顧客が減り明るい見通しが立たず、経営不振に陥っている会社や増えています。
そこで、今回は、中小企業の社長としてのリーダーシップを発揮することで、社員に将来性という希望を与え続け、事業の輝ける明日を社員にも顧客にも明示することが大事な理由について解説します。
「一つの灯火を掲げて一隅を照らす。そうした誠心誠意の歩みを続けると、いつか必ず共鳴する人が現れてくる。
一灯は二灯となり三灯となり、いつしか万灯となって、国をほのかに照らすようになる。」
<安岡正篤>
■社長業とは?
中小企業の社長は、会社の方向性を明確に指し示し、株主、経営者、従業員、顧客、取引先など、企業を取り巻く全てのステークホルダーが共感するような魅力的でアグレッシブな「経営ビジョン」を語ることです。
なぜなら、社内や既存事業に停滞ムードが漂っていれば、新たなビジネスの可能性を常にアンテナを張り巡らせ、チャンスの芽を見つけることは社長にしかできない最も重要な仕事だからです。
社長業の中で最も大事な仕事は、事業活動の営みを通して社員や周囲の協力者、そして、クライアントに対して大きな希望を与えることです。
■ビジョンが大事な理由
暗闇の先に「一条の灯をともす」役割を演じることは、社長業の最たる役割になります。
それゆえ、唯一無二の「旗」を掲げ、ビジネスプランを練り上げ社員に発表し、自社の商品やサービスを開発するための「ロードマップ」を提示することは、メンバーの士気を鼓舞する「扇の要」となる社長が取り組むべき最大の仕事になると明言できます。
「ロードマップ」とは、掲げた目的を達成するにはどのようにすれば良いのか、目的達成のための行程やスケジュールなどを描いた「道しるべ」になるものです。
確実に成果を出せるように、ゴールに向けて、いつまでに何をすれば良いのか、どのようなステップで進んでいけば、ゴールに到達できるかを落とし込んでいくのがロードマップです。
■中小企業の経営者の課題
中小企業の社長が抱えている悩みとして、「人材の採用」「社員が定着しない」という話を聞くことが多いです。その原因としては、「ビション」という名の「旗」を打ち立て、人を引き寄せる公約を表明し社内外に「コミット」していないからです。
マイナスの愚痴や不平不満ばかりを社長や言葉で発してしまうと、コルチゾールが脳内に分泌され「ストレスホルモン」が増加します。
長期間コルチゾールが多い状態が続くと、免疫力が低下し病気にも掛かりやすくなります。コルチゾールは脳の神経細胞の生まれ代わりの「新生」をも阻害するので、疲労が蓄積されてしまい疲れを体外にデトックスする作用が弱くなります。
ノースカロライナ大学の研究では、社内でのポジティブな会話が多く、ネガティブな会話の3倍以上ある職場では、「ビジネスの成果」を上げる人の割合が大きく、メンバー同士の評価も高いことが分かっています。
ポジティブな会話が3倍を下回ると、会社への愛着が低くなり、離職率が高まることも明らかになっているのです。
そこで、必要になってくるのが社長が会社の方向性を指し示す「羅針盤」となる「崇高なビジョン」を掲げることなのです。
■ブループリントとは?
中小企業の社長が掲げるビジョンは、「社長自身が会社で成し遂げたいと思っている夢」や「会社の将来の理想像や未来の光景」「ゴールに到達した際に目にする瞬間の映像」を言語化した「将来の青写真」となるものです。
「ブループリント」とは、ビジネスを推進することで将来なりたい姿の状態や光景のことです。
誇り高きビジョンは、ビジネスの発展に必要な多くの賛同者を引き寄せ、社長自身が実現したいことや実現した時のイメージをクリアに描いた「未来のブループリント」となります。
「人や組織を前進へと導き、成長させるチカラの源になるもの」と言い換えることもできるでしょう。
社長としての夢を語り、周囲に灯りをともす魅力的なビジョンを打ち出してますか?
<本田季伸>