経営革新に熱心な企業の経営者であれば、一度は経営課題を相談したり、実際に顧問や、経営コンサルタントへの相談やコンサル依頼をした経験があると思います。
しかし、「経営コンサルタントを使ったけど、投資したコンサル報酬に比べると、期待した以上に大きな成果がなかった」と言われる場合が多いものです。
その理由としては、偶然知り合った経営コンサルタントや大手コンサル会社の経験不足なコンサルタントに依頼してしまい、本物のプロフェッショナルに会うことができる確率が非常に低いからです。
それ以外にも依頼をする社長の「真贋判定」に誤りがある場合も多々あります。
そこで、今回、経営顧問とは何か、顧問やコンサルタント選びの重要なポイントについて解説します。
■経営顧問とは?
経営顧問とは、中長期にわたり日々の経営の中で起こる経営課題、営業の課題、マーケティングの課題、財務の課題、人事の課題など、様々な問題を総合的に解決するために、様々なアドバイスやサポートを提供するプロ人材を指します。
ただし、全てのジャンルに精通したプロは少ないため、経営顧問やコンサルタントによって、得意とする業界や分野が異なります。
プロの経営顧問や優秀なコンサルタントは、顧問契約の期間で企業価値向上に繋がるアドバイスや施策を講じて、最終的に「経営コンサルタントが不要な企業作り」を目指します。
なぜなら、本当に優れた経営顧問やコンサルタントは、アドバイスやコンサルティングをしながら、最終的に経営コンサルタントがいなくてもビジネスが継続し、アドバイスの効果が持続できるような仕組みを風土として定着させていってくれるからです。
ですが、中小企業やベンチャー企業の場合、依頼する企業の社長や取締役が、経営顧問を上手く使いこなすことができていないケースが多いです。
■経営顧問と顧問契約を行うメリット
経営顧問のメリットとして、経験豊富な経営のプロフェッショナルによって、経営全般に関する問題発見や適切な問題解決ができます。
経営顧問として契約する事でスポット契約では解決しにくい問題を長期的に解決する事も可能になります。 また、経営者にとって経営全般の良き相談役としての存在は大きいでしょう。
顧問を活用することは、正社員を雇用したり、大手コンサルタント会社との利用と比較すると、費用を圧倒的に抑え、プロ人材に実行支援を依頼できることが大きなメリットです。
顧問の知識、経験、人脈、スキル、ノウハウを活用することで、業務の課題に応じた解決法の検討と実行することができるため、必要な期間に応じた報酬の支払いにとどめることができます。
自社の経営課題と期待するゴールを事前に協議した上で、依頼内容と契約期間を限定する形で、経営顧問として活用することができるので、費用を抑えつだけでなく、成果を上げることができます。
仮に、プロフェッショナル人材を正社員として雇用した場合、期間限定する形での雇用は難しいため、給与やボーナスの支払いなど人件費を含めた様々なコストが掛かります。
誰もが知る有名なコンサルティング会社のコンサルタントを起用しても、実務経験の少ない若手が担当することも多く、その割にコンサル費用が膨大になりがちです。
そのため、大手企業の経営幹部や飛躍的な成長を遂げたベンチャー企業の役員経験者など、実務で培った経験とノウハウが豊富な経営顧問を登用した方が、費用対効果が高いことが歴然です。
■顧問契約の3つの料金体系種別
顧問や経営コンサルティングには主に3つの契約形態があります。
コンサルティング会社の規模や依頼する業務範囲、コンサルタントのキャリア年数などによってバラつきがあります、そのため、一括りにすることは難しいですが、一般的な契約内容や費用相場についてご紹介します。
1、顧問契約型
顧問契約型の経営コンサルティングは、定期的なミーティングや経営会議の場で、経営に関するアドバイスや指導などを行うものです。毎月決まった報酬を受け取ります。
形式ばった会議への参加のみならず、経営者と1対1でひざを突き合わせて個別の相談に応じるケースもあります。
特定のプロジェクトの完遂を目指す同志というよりは、「中長期的に経営にコミットし、経営を改善に導いてくれるパートナー」といった表現がふさわしいでしょう。
経営について継続的に相談することができ、かつ売上改善にも貢献してくれる相棒がほしいと考えている方におすすめの契約形態です。
【費用相場】
月に2~10回程度の訪問:月額10万円~50万円程度
※経営顧問のレベルや内容、稼働日数などによって異なります。
2、時間契約型
時間契約型の経営コンサルティングは、1時間ないし1日単位の作業時間でコンサルティング報酬を算出する契約形態です。時間契約型はチャージレート型とも言われており、コンサルティング業界ではごく一般的な契約形態の一つです。
報酬は当然のことながら、新人のコンサルタントと経験豊富なシニアコンサルタントなどでは大きく差があります。
コンサルタントのクオリティがアウトプットの品質に直結しますので、どのような実績のあるコンサルタントが担当するのかチェックすることが大切です。
担当するプロジェクトに必要な素養を見極めたうえで、MBAや中小企業診断士、公認会計士などの保有資格の有無についても確認するようにしましょう。
【費用相場】
1時間あたり:3万円~5万円
※経営顧問の経験・スキル・保有資格などによって異なります。
3、成果報酬型
成果報酬型の経営コンサルティングは、特定のプロジェクトの完遂を前提に、成功度や達成度などにより報酬が上下する契約形態です。
実行したプロジェクトによって得られた売上金額や利益に対して数%を乗じることで、報酬を算出するのが一般的です。
成功報酬型はクライアントにとってメリットが大きい契約形態であるように感じられますが、必ずしもそうとは言い切れません。
利益を優先しすぎるがために、中長期的にはクライアントのためにならない強引な戦略を用いたり、根本的な解決にはつながらない提案を行ったりするコンサルタントが少なからず存在します。
成果報酬型のコンサルティングを行いたい場合は信頼できるコンサルタントを見つけることが何よりも重要です。
例えば、営業顧問による人脈を活用し大手企業の役員クラスとの商談機会をサポートする場合、月額顧問料を支払う形でなく、アポイント成果報酬型というスキームもあります。
ただし、完全成果報酬型は、仕事の内容によっては成果の判断基準を明確に出しずらくトラブルになるなどのケースも多いため、売上やコスト削減高に応じた「完全成果報酬型」で引き受けてくれる顧問は少ないのが現状です。
【費用相場】
・レベニューシェアの金額は、内容により異なるため、一概には言えません。
※プロジェクトで得られた売上金額の何%などで契約します。
■経営顧問や経営コンサルタントを選ぶポイント
経営顧問やコンサルタントを選ぶには、これらのポイントが重要になってきます。
1、ビジネスの経験
経営顧問には、実務経験もしくはコンサルタント経験があることも非常に重要です。
これまでそのコンサルタントがどんな会社や業界を担当してきたかという事やどのような成功事例があるかということは、経営顧問やコンサルタントを選ぶ際に参考になります。
顧問の報酬を左右するファクターの1つが、経営顧問としてのコンサルタントの経験です。経営戦略にコミットするコンサルタントには、的確なアドバイスや一歩先いく鋭い助言が求められています。
クライアントが抱える経営課題を解決できるコンサルタントの報酬は高いですし、そうでないコンサルタントの報酬は安く設定されているということです。
経営経験が、ダイレクトに報酬金額を左右するため、新人のコンサルタントと、実績豊富なシニアコンサルタントでは、報酬に大きな開きがあります。
2、経営顧問として実績があるかどうか
当然ながら、その分野での実戦経験が豊富にあることが重要です。実戦感覚がないと、もしくは実戦から長く離れていると、「現場」をイメージすることができません。
効果があるコンサルティングは、現場でスムーズに実行できます。成果が出るのは、会議室ではなく現場だからです。
ここでいう「分野」とは、マーケティングならマーケティング分野、財務なら財務分野、という意味です。業種業態については、そんなに気にされる必要は無いとは思います。
むしろ、様々な業種業態の経験がある「経営顧問」を選んだ方がよいでしょう。自分と同じ業界以外の経験が豊富な経営顧問を選ぶことをお薦めします。
自社と同じ業界が長いコンサルタントですと、安心感はありますが、わざわざお金を払って頼む意味がありません。自社の優秀な社員に思う存分力を振るわせた方が良いと思います。
なぜなら、同じ業界にいるコンサルタントは、その業界に染まっており、新しい考え方・見方ができないことが多いからです。
3、理論と実践が融合できているか
机上の理論をビジネスにそのまま展開できることはありません。また、実践だけでは物事を俯瞰的に見ることが出来ず一辺倒に陥る危険があります。
現場で人を巻き込みながら実行できる人間力こそが、経営顧問には求められます。理論と実践力をバランス良く持ち、臨機応変に対応できる経営顧問を選ぶことをお薦めします。
豊富で時代にキャッチアップした理論を体系的に理解しており、他社の成功事例を理論化し、普遍化できてこそビジネス成功に貢献できるコンサルタントになり得るのです。
4、話がシンプルであるか
相手に合わせて分かりやすく説明してくれる、分かりやすい言葉を選び取る能力は優れた経営顧問の条件の一つです。
自分と相手の前提知識を配慮したうえでなるべく噛み砕いて説明することが、自分のためにも相手のためにも良いと言えるのです。
専門用語やカタカナビジネス用語を多用することは、スムーズなコミュニケーションを妨げることがあるうえ、仕事の進行にも悪影響を及ぼしかねません。
あなたの理解を超えた専門用語を必要以上に使いたがるコンサルタントは要注意です。難しいことを知っているということだけに惑わされずに、あなた自身が感じる「分かりやすさ」で選びましょう。
5、人脈があるかどうか
社会での価値創造活動(仕事)においては、いくら個の知的能力が高くても「人脈」を持っていないと創造的価値を社会に実装してゆくことはできません。
言い方を変えると、人脈形成力を持っている人の仕事力は、持たざる人と歴然とした差があります。
「人脈力」とは、業務を推進する上で必須なスキルです。
業務には付加価値の高い仕事や、突発的な対応に迫られることがあり、そんなとき「人脈」は欠かせない力となります。「人脈」は属人的な社交性によるものではなく、業務スキルのひとつである「仕事術」だとも言えます。
6、信頼できる人間か
知識やアイデアだけではなく会社の経営や指針など、企業機密やプライベートにも関わることを共有するパートナーとして信頼に足る人間かどうかということは最も重要な要素です。
自分との相性や社員に実行計画を浸透させてくれる表現力を持っているかどうか、実際に会ってチェックしてみましょう。
どんなに正しい批判であっても、それが信頼関係のできていない相手からの批判であれば、相手は素直に受け取ってくれません。
私たちは「何を言われたか」よりも、「誰に言われたか」ということのほうが重要だからです。「耳の痛いこと」は、信頼できる相手から投げられるものであれば、真摯に受け止めようと思うものなのです。
7、経営顧問と社長との相性
経営顧問は、コンサルタントである以前に、信頼できる優秀なビジネスパーソンであることは最低条件です。人柄が良いこと、信頼できることは最低条件です。
また、優秀であっても「社長」の考えや経営方針と合わなければ、その経営経営顧問との契約はやめた方が良いです。
「この人となら信頼できる」「人として尊敬できる」「長い関係になれそうだ」という相性は重要です。
これは良い悪いではなく、合うか合わないです。
顧問契約をする前に、経営顧問を担当する本人と会って、合わなければ変えてもらう、頼まない、などをするべきでしょう。
また、「人相」などは軽視されがちですが重要な条件です。但し、もちろん顔の善し悪しではありません。
その人の経験が物語る「人相」です。おかしな人は、必ず「顔に出る」ものです。「なんかおかしいな」と思ったら、辞めておいたほうが無難です。
■顧問先のクライアント企業からの評判はどうか
例えば、以下のような評価のある経営顧問はオススメです。
1、サービス業
当初は、経営顧問にコンサルタントを依頼してもどんな事をしてくれるのか、それなりの顧問料を払ってまで成果が上がるのかというイメージを抱いておりました。
今回ご縁があり、まずは短期契約でお付き合いする事になりました。 経営顧問の先生には、経営戦略に対して最適なアドバイスを毎回いただき、今となっては弊社の経営に欠かせない存在となっております。
2、情報通信業
創業以来、経営の悩みや不安は一人で考え解決してまいりましたが、 今後の事業展開もふまえ、経営のプロのアドバイスが欲しいと思い相談してみました。 経営顧問の持つこれまでの豊富な経験やご実績、お人柄に惹かれ契約しました。
私の理念を理解していただいたうえで、最適なサポートを毎回していただき、お陰様で売上は順調に増加しております。
■まとめ
業界では、大手のコンサル会社を活用したり、沢山の本を出版しており、名の通った有名なコンサルタントなのに、大枚を投資して依頼してみたら、全然得られるものがなかったというのはよく聞く話です。
過去の実績も十分で、現在も多くのクライアントを抱えているコンサルタントなのになぜ?と思われるでしょう。この場合、依頼側となるクライアント企業とコンサルタントの間にミスマッチがあったと考えられます。
プロジェクトの難易度が高く、企業の期待値が大きくなればなるほど、専門分野は細分化してしまい、だからこそ少しでも期待値が正しくないと、経営全般をアドバイスするコンサルタントではまったく結果が出せなかったなんてことも起きてしまうのです。
このように経営顧問やコンサルタント自身に力がない訳ではなく、期待値や依頼内容とコンサルタントの専門性のミスマッチからくる失敗は非常に多いのです。
有名なコンサルタントなのに結果が出ないという場合、ミスチョイスは見かけだけで課題解決に必要な実力が伴わず、実行支援のモチベーションが低いコンサルタントに依頼してしまったケースもあります。
実際に会ってみたり、他クライアントからの評価を参考にするのは重要です。また、依頼者側も選定の「軸」を持つことも大切になります。
顧問やコンサルタントという職業は基本的に誰でも名乗ることができるため、ちょっと口が上手い方ならクライアントを丸め込んで、仕事依頼を獲得するのは、それほど難しいことではありません。
そしてこういったコンサルタントが非常に多いのも残念ながら事実です。ミスチョイスはミスマッチ以上に得るものが何もないため、十分注意する必要があります。
■最後に
特定の分野で専門的なスキル・経験をもち、確かな知見を持っている人と、自社の課題解決のために顧問を求める企業をマッチングさせるサービスを行っているのが「顧問紹介会社」です。
顧問紹介会社のコンサルタントは様々な顧問と接しています。そのため、クライアントとなる企業が必要としているプロ人材、結果を出すプロフェッショナルの特徴などを熟知しています。
特に中小企業や創業間もない社長は、経営に関する知識や、特定の分野に関する専門知識が不足していることがあります。
大手企業でも新規事業の立ち上げなど、即戦力のあるプロフェッショナルをプロジェクト単位でサポートしてほしいという需要があります。
近年は、アドバイスを超えた実行を支援する「プロ顧問」と呼ばれる新しいタイプの顧問が増えています。
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業務内容に合わせたご依頼にも対応可能なため、顧問料の相場を鑑み、クライアント企業の予算に合わせて柔軟に対応可能です。
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