「自社の技術を生かしたモノづくりがしたい」「自社にしかできない価値を提供したい」という視点はとても大事であり、革新的な商品やサービスを生み出す土台となります。しかしながら、そこに顧客のウォンツやニーズがなけれモノは売れません。
新商品開発や新規事業の立ち上げに携わると必ず耳にする「ウォンツ」と「ニーズ」ですが、マーケティング活動を行っていくためには、必要に応じてこの「ウォンツ」と「ニーズ」に関して改めて考える必要があります。
そこで今回は、ウォンツとは、新規事業開発のベースとなるウォンツの重要性について開発します。
「シンプルであることは、複雑であることよりも難しい時がある。物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、山をも動かせるからだ。」
<スティーブ・ジョブズ>
■ウォンツとは?
ウォンツとは、消費者が持つ課題や目的などのニーズに応えるための具体的な手段への欲求を指します。簡単にいうと、「欲しい」と感じる欲求のことです。あるニーズを満たすことができる特定の製品、サービスのことを言います。あるいはそれを欲する心理状態になります。
ウォンツは英語の「want(~したい)」が元となっており、「wants」は「欲しいもの、買いたいもの」という意味です。つまり、ウォンツ(欲求)とは、人間が日常生活を営む上で感じる「満ち足りない状態」(=ニーズ)を満たすために求める人間の感情がフックになっています。
■ニーズ商品とウォンツ商品の2つの違い
世の中には2種類の商品があります。それは、ニーズ(NEEDS)商品とウォンツ(WANTS)商品の2種類です。
1、ニーズ商品とは?
ニーズ商品とは、その商品がないと生活に支障が出る商品のことです。
・消費者が持っている
・無自覚または抽象的
・消費者が持つ課題や目的
・ウォンツに変化する
例えば、米や味噌などの食料品や衣服などがニーズ商品に当たります。ニーズ商品は、商品そのものを訴求したほうが売れます。商品の性能や価格などです。特に、食料品は安ければ安いほど売れる傾向にあります。
ニーズはマーケティング活動でウォンツに変化させることができ、ウォンツはマーケティング活動によってデマンドに変化します。
2、ウォンツ商品とは?
ウォンツ商品とは、それがなくても生活には困らないけれど、欲しい商品のことです。
・欲求
・マーケターが作り出す
・解決するための手段
・デマンドに変化する
代表的なものとしては、宝石や趣味に関連する商品などがこれに当たります。なかには、高級車などニーズ商品とウォンツ商品の中間に位置する商品もあります。
ウォンツ商品は物語を訴求したほうが売れます。そもそもウォンツ商品は生活必需品ではないので、「安いですよ!」と連呼してもなかなか売れません。
■ウォンツの先にあるデマンドとは?
デマンドとは、ウォンツの先にある特定の商品やサービスに対する需要のことを指します。デマンドとは直訳すると需要や要求のことです。マーケティングの概念では購買力を伴う人間の欲求ということになります。
需要(デマンド)の状態は、「バランス需要」「過剰需要」「変動需要」「減少需要」「逆需要」「ゼロ需要」「潜在需要」「不健全需要」の8つに分類することができます。
重要なのが「特定の商品やサービス」に対する需要であるということです。「ウォンツ」では、消費者が求めるものがある程度具体的になっているものの、商品やサービスを特定するまでには至りません。
そのため、マーケティング活動によって、自分たちが提供したい商品やサービスまで消費者を誘導することが必要になります。つまり、デマンドは「支払能力の壁」を超えた先にあり、消費者の予算に見合えば商品やサービスが実際に売り上げ「需要」に変わります。
従来のマーケティングでは製品やサービスを供給する立場に立った理論が展開されてきましたが、近年の動向として需要者側に立った理論が展開されるようになり、デマンドの概念が注目を浴びるようになったのです。
■買い手の視点で考える大切さ
マーケティングの考え方を知るうえで最も有名な格言のひとつ「レビットのドリルの穴理論」があります。
「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である。」
<セオドア・レビット>
ニーズ、ウォンツ、デマンドの概念は以下となります。私たちはついつい売り手の都合で考えがちです。あくまでお客様の欲求は「ドリルを買うこと」ではなく、「穴を開けること」ということです。
1、ニーズ:棚を作るために木材に穴を開ける必要性
2、ウォンツ:電動ドリルで穴を開けたい、穴の空いた木材が欲しい
3、デマンド:〇〇社の小型電動ドリル、〇〇社の組み立て棚セット
そのため、ドリルを買いに来たお客様には、回転数などの性能を説明してしまいますが、買い手視点で考えた場合、実はそういった説明よりも、課題解決の方法を求めているのです。
「昼食」について考えると、以下が考えられます。
1、ニーズ:お昼時に空腹を満たす必要性
2、ウォンツ:ファストフード、定食屋、コンビニ食
3、デマンド:マクドナルド、大戸屋、セブンイレブンのおにぎり
顧客によってモノ買ったり、サービスを利用する目的や背景は異なります。ですが、最終的に顧客にとって必要なことは、「製品・サービス」そのものだけではなく、それらが与えてくれる『ベネフィット』だと言えます。
「レビットのドリルの穴理論」は、「顧客志向」の重要性を認識させる考え方です。お客様が『本当に欲しいものは何か』を想像することから始めましょう。
■価格設定が「デマンド」=需要と供給にも影響を与える
需要とは、ある商品を買おうとすることであり、供給とは、ある商品を売ろうとすることです。「需用」と「供給」は、自由主義経済では切っても切れない関係にあります。
この場合「自由市場」というのがキーワードで、ここに提供(供給)される商品やサービスを、購買力を持った個人・企業などの経済主体が買い求めたいとする欲望、またはその総量を指す言葉です。
買いたいと思う人・企業などが、どれだけの購買力を持っているのか、商品やサービスの価格が高いのか安いのかなどの要因により、「需要」は大きく変化します。
一般に、ある商品の需要量は価格が上昇すると減少します。逆に供給量は価格が上昇すると増加します。そして、ある商品の需要量が供給量よりも大きい場合には価格は上昇し、供給量が需要量より大きい場合には価格は下落する傾向が見られます。
■新商品開発や新規事業立上げでウォンツを考える重要性
顧客のニーズに応えていて、ウォンツに応えていない商品やサービスは、消費者が最低限必要としているものしか提供できず、競合との差異がないので価格競争に参入せざるを得なくなります。
ウォンツは、以下の3つに分けることができます。
基本ウォンツ:具体的な解決の方向性に対する欲求
条件ウォンツ:解決の方向性を選別するための条件
期待ウォンツ:当然満たされるべきと思っている暗黙の事柄
顧客のウォンツを考えることで、顧客が「欲しい」と思うものを把握し、それに応える付加価値を提供することができるため、競合との差別化を図ることが可能になります。また、ウォンツを追求することで、商品やサービスのブランディングを工夫することもできます。
■ウォンツからニーズを把握する方法
市場は常に変化していきます。その中で、戦略決定をしていくためには、鮮度の高い情報の入手が欠かせません。
ところが、情報収集を怠ってしまい、鮮度の低い情報を基に販売戦略や開発戦略などを決定してしまうと、事業の方向性を見誤る可能性が高くなってしまいます。
そのため、新商品の開発ではプロダクトを開発する前段階で、マーケティングリサーチを行い、こうしたリスクを防ぐことができるのかが非常に重要です。
その際、最小限の機能でまず市場に参入し、ウォンツから顧客の「課題や目的を解決する手段が必要な理由」(ニーズ)を把握することで、本当に顧客が求めている手段を提供することも可能です。
そのためには、潜在的な顧客層が持っているウォンツを把握し、「なぜこの手段が必要なのか」「この手段があることで顧客にどのような良い影響があるのか」を聞き出していく必要があります。質問するときは何回も質問を掘り下げていくことで、顧客が持つ真のニーズを聞き出すことができます。
マーケティングリサーチや市場テストを行うことで顧客に関する情報を絶えず収集し、顧客のニーズや志向を把握しておくことができれば、市場の変化に対応した適切な販売戦略や開発戦略を立てやすくなり、事業拡大に向けた大きな力となるでしょう。
■商品開発に必要なニーズ志向
消費者の求めている必要性を「ニーズ」、メーカーのもっている特別な技術や材料を「シーズ」(Seeds)と言います。シーズとは、「種」のことです。企業が持っている「種」、つまり、企業が持つ独自のノウハウや技術力、素材、企画力、アイデアなどを指します。
また、シーズ志向とは、そのシーズを生かして新しい商品やサービスを生み出そうとするアプローチ方法をいいます。自社の技術をどう生かせるかを考えて、市場にまだ存在していない新しい価値を生み出すという考え方です。
特に、消費者の求める商品の機能を追及したり、問題を解決するような新商品や新規事業を生み出すことを「ニーズ志向」、技術的に可能であるということから新しいアイデアを得て、新商品や新規事業を生み出すことを「シーズ志向」と呼ばれています。
新しいシーズにより、ウォンツが需要として顕在化し、大きな市場を生む場合があります。例えばインターネットは、消費者が目に見えるかたちで望んだのではなく、商品・サービスが提供されて初めてニーズとなったのです。
ニーズとシーズは、企業においてできる限り両立することが望ましく、同時にウォンツを絶えず意識したマーケティングを展開していくことが求められます。シーズ志向に基づいた事例として有名なのが、Apple社の創設者であるスティーブ・ジョブズが行った商品開発です。
ジョブズは「消費者はニーズを理解していない。こちらから消費者にニーズを教えるのだ」という考えを持っていました。
つまり、ニーズに合わせて後追いで商品を開発するのではなく、今までは世の中に無かった画期的な商品を消費者に知ってもらい、「それが欲しかった!」と思わせるモノづくりの姿勢でiPodやiPhone などの大ヒット商品を次々と生み出しました。
シーズ志向のマーケティングは難しさが伴うため、ほとんどの企業ではニーズ志向のマーケティングが行われています。
ニーズを起点にすればある程度の売上は見込めるため、ニーズの把握はとても重要です。しかし、ニーズ志向だけでは市場を独占するには至りにくいと言えます。
■まとめ
現代のようにモノや情報が溢れている時代においては、ウォンツが顕在化した時点で商品・サービスを出しても、他社との激しい価格競争に巻き込まれやすく、顧客から選ばれ続けることは難しくなりました。
市場が成熟している段階では、消費者が自分自身の欲求に気づいていない場合も多くなっています。こうした潜在的な欲求を「ウォンツ」と言いますが、ウォンツを商品化するためには、シーズの掘り下げが不可欠になります。
現在、デジタル技術の急速な進化や新型コロナウイルスによるパンデミックなど、近年はこれまで経験したことがないような変化が起きています。こうした出来事が次々と起こる現代はVUCA(ブーカ)時代と呼ばれています。
「VUCA」の時代では、このような変化は既存の延長線上にない場合も多く、人々の生活様式や価値観を一変させてしまうことがあります。
個人が変化すれば自ずと企業活動にも影響が及び、従来続いてきた事業やサービスの価値を瞬く間に陳腐化させてしまう変化が起こることもあります。
ですので企業には、顧客と競合が気付いていないニーズをいち早く発見し、そのニーズを満たすウォンツを、競合が真似できない方法で実現することが求められているのです。
■最後に
消費者の志向がさらに細分化されることが予測されるこれからの時代において、さまざまなチャネルでどれだけ顧客と対話し、彼らを理解することができるかが大きな課題となります。
顧客とのつながりを深めることこそが、今後のマーケティングを成功させるカギになったと言えます。
マーケティングにおいては、マルチチャネルでの施策を検討し、オンライン、オフラインのあらゆる場面で、いかに顧客との繋がっていくのかが重要視されています。
顧客と企業との繋がりを深めることは、ただの顧客からファンへ、そしてファンを超えた「応援団体、アンバサダー」へと育て上げる機会を増やし、売上向上につなげる効果的な施策となるのです。
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