7Sとは?中小企業の社長が組織を改革する鍵となる7つの視点

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

組織の変革が求められる際、組織の構造や戦略を変えるだけでは組織は変わりません。

そのような際に「組織の7S」を理解して活用することで、それぞれの企業が現在抱える問題点や、将来的に予想される問題点を発見し、改善していくことが可能になります。

7つの経営要素を全体的に考慮しながら改革を進めることで、ビジネスの改善効果が期待できます。

そこで今回は、7Sとは何か、中小企業の社長が組織を改革する鍵となる7つの視点について解説します。

■7Sとは?
7Sとは、企業戦略における、幾つかの要素の相互関係を表したフレームワークです。

企業には、3つのハードな経営資源と4つのソフトな経営資源があると捉え、それら7つの資源を元に個々の企業に最適な事業戦略を考えることができます。

7Sは、構造、戦略、システム、スタイル、スキル、スタッフ、上位目標(現在は共通の価値観)という7つの要素の相互関係を見てマネジメントすることを意味します。

優れた企業では、各要素がお互いを補い、強め合いながら7つの資源から戦略の実行に向かっているとされています。

7Sにより組織の現状と組織の戦略と組織が望む状態とのギャップを診断することができます。

世界有数の戦略コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーウォーターマン氏とピーターズ氏が30年以上も前に提唱しました。

「組織の7S」は、3つの「ハード」施設や設備などカタチに見えるものSと、4つの「ソフト」人材や技術、意識や文化など無形のものSに分けて考えられます。

■ソフトの4Sとは?
ソフトのSは人に関わる要素が多く、目に見えにくく、価値観の変化やスキルの向上など時間がかかるものが多いので、長期的な計画で取り組む必要があります。

1、Shared value (共通の価値観・理念)
共通の価値観とは、企業が掲げる理念やビジョン、行動指針など、企業活動の基盤となるものを指します。組織がその構成員に植え付ける理念あるいは指標となるような概念が必要になります。

具体的には、企業に共通した価値観や基本理念、ミッション、ビジョン、企業目標を指します。

ミッション、ビジョンなどの組織が大事にしている企業の価値観を共有することで、事業活動を円滑に進めていくことができるようになります。その際、社員と経営陣の考え方や理解度に差がないかどうかも分析します。

2、Style(経営スタイル・社風)
スタイルとは、経営方針や組織文化のことです。企業の社風や文化、組織の職場の雰囲気や経営陣のリーダーシップがどのように取られているか、暗黙の行動規範はあるかなども、企業風土を作り上げる要素です。

また、その企業独自の経営スタイルなど企業によって意思決定の方法が異なり、トップダウンかボトムアップかも分析します。

経営幹部が組織の目標をどのように達成するかという特徴、およびその組織の文化的特質、企業が求める人物像も、企業のカラーに影響を与えると言えるでしょう。

3、Staff(人材)
人材とは、企業に属する人材そのもので、効率的な採用や教育が実施されているかの分析を行います。人材の採用、評価、育成もも該当します。

また、各個人のモラルや勤務態度、モチベーションなど企業内の人員を重要な職種、特質別に分類し配分することも重要です。

例えば、エンジニア、企業家型、管理のプロなど個々の人材の能力や業務に対するモチベーション、またそれらを改善するために企業が行っている取り組みなども含まれます。そして、人材のタイプを分析した後に、重要な職種や特質別に分類、配置します。

4、Skill(スキル・能力)
スキルとは、組織として優れているポイント、他社と比較して抜きんでているポイントのことです。特に経営の中心人物ないし企業全体の持つ顕著な能力が肝になります。

これには、販売力、技術力、マーケティング力などが含まれ、戦略を決定しても、これらのスキルが不足していれば、目標の達成はできません。

一方、優れた組織を持つ組織は、独自のビジネスを展開して、マーケットをリードすることが可能になります。

また、各個人また企業全体のスキルや能力、技術と企業の性格を特徴づけ、他社にない強みがあれば、競争に勝ち残ることができるようになります。

■ハードの3Sとは?
ハードのSは経営者側だけの意向で実施することができ、目に見えやすく短期間で変化可能なので、企業の変革を図るときにはこちらから着手されることが多いと考えられます。

1、Strategy(戦略)
戦略とは、自社が掲げる企業理念を達成するための目標への取り組みを具体化させたものです。他企業より優位に立つためには、計画が必要になります。

ある一定の目標を達成するために立てられる企業の限られた財的・人的資源の配分を目的とした一定期間の計画ないし行動方針を打ち出し、他社と比較した自社の強みや、優先して取り組むべき課題を分析します。

また、目標達成のために事業の方向性を定め、人材などの経営資源をどのように配分するかを戦略的に分析します。顧客や競合他社の動きを視野に入れつつ、独自のサービスや商品を提供することで、ほかから抜きん出ようと試みます。

2、Structure(組織構造)
組織構造とは、組織のしくみの特徴として機能的である、分権化しているなどを指します。

例えば、機能的である、分権化しているなど、自社の組織の在り方を分析し企業がどのように組織されているのかという事業の構造があります。

部署の構成(職能別、製品別、市場別など)、上下関係や命令系統のあり方も関係します。また、部門間の地位、役職ごとの職務権限や、指揮命令系統の構造なども分析します。

これには、上司と部下の関係や、コミュニケーションがどのように取られているのかも含まれます。

3、System(システム・制度)
システムとは、社内の情報システムのようなハード系システムに加えて、業績考課制度、予算管理制度、目標管理制度などの仕組みのことです。

企業がどのように管理・運営されているか、一定の報告パターンおよび会議形式のようなルーティンな方法を指します。

また、経営管理、情報管理のためのシステムや制度、人事評価システムや給与体系、人材採用や育成の仕組みなども含まれます。

企業が組織として業務を遂行するのに必要は仕組みは、業務マニュアルのような作業手順、ルールが明文化されたものも含め、さまざまなものがありますが、これらの仕組みを分析します。

■7Sの導入フロー
ここからは、7Sの導入フローを見ていきましょう。

1、現状分析をする
まず、7Sのフレームワークを用いて自分の企業の分析をしてみましょう。戦略、システム、スキルなど7つの経営要素を1つずつ分析していきます。

そうすることで、「新製品の販売戦略は盤石だが、他社との競争優位性を保つほどのスキルには欠ける」のように、現状が見える化できます。

目標数値に達成しなかった場合に、では具体的にあるべき姿と現状のどこに差があったのか、これを探し出す行動が「問題点の抽出」です。

「問題点」とは目標を達成しうる「ありたい姿」に対する「現状の姿」との間のギャップ(差)を意味します。

2、重要な問題点を明確化する
次に、1つずつ挙げた現状の中から問題点をピックアップします。それらの問題から、組織を改革していくうえで放置できない重大な問題点を絞り込んでいきます。

問題点は一つであるとは限りません。むしろ複合的に複数の問題点が絡み合って結果として目標に届いていない場合の方が多いことでしょう。

それらの問題点をどのように解決してゆくのか、その方法を考えることが「課題の設定」です。

3、改革案を作る
問題点を絞り込めたら、7Sの視点で改革案を作っていきます。

改革を進めるうえで中核となる価値観=ビジョンが確立していないと、「ソフトの4S」は機能しなくなってしまい、ひいては比較的改革が容易な「ハードの3S」も機能不全に陥る可能性が高くなります。

次に考えるのは、それらの「課題」をどのような順番、タイミングで実行してゆくか、その「変革のシナリオ作り」です。

「アクションプラン」と言い換えても良いでしょう。この目標設定から変革のシナリオ作りまでの一連のプロセスが「戦略」です

改革案では、現状の問題点を克服するために7Sの視点でどのようにその経営要素を改善するか、または他の経営要素と補完して解決できるかなどを考える必要があります。

4、Before/Afterを比較する
最後に、改革案が完成したら改革案を作る前の現状と比較してみましょう。現状と対比して問題点が解決していない場合は、再度改革案をブラッシュアップする必要があります。

例え、真因を掴むことができたとしても、その問題に対応する課題を設定してクリアしなければ、結局のところ数値を見ただけで終わってしまいます。

デメリットを克服するには、比較的時間を要さない「ハードの3S」ばかりに注力するのではなく、改革に時間を要することが予想される「ソフトの4S」にも同様に注力し、1つずつ課題を解消していく必要があると言えます。

■7Sの考え方の根底にあるもの
7sの中核となるのは「共通の価値観」です。共通の価値観から経営スタイルが生まれ、そこに人材が集まってきて必要なスキルやシステムが決まっていきます。

そして、自社が強みとするスキルやシステムに基づいた戦略や組織構造が決まる流れになります。

7Sを導入するにあたっては、「なぜ?」の視点を持つことが最も重要です。データ分析を行う上で必要な心構えは「着眼大局、着手小局」です。

これは、まず全体を捉え、改善すべき点を絞り込んでゆく、ということです。7s全体の中心にある共通の価値観から分析することで、7sを効果的に実施できると考えられるでしょう。

例えば、とある水産加工メーカーが「今後はインターネットを駆使して消費者向けのECで直接販売を拡大する」という戦略を採用したとして、何でその戦略を採用するに至ったのかをとことん突き詰めることで、戦略と密接に関係する人材やスキルなどの利点や課題などが洗い出せるようになります。

■着手しやすいハードの3sのみに注力しない
7Sは1つの経営要素が独立しているのではなく、組織全体における様々な経営要素との関係の中で成り立っています。

細かい部分に囚われて片っ端から問題を片付けようとしても、それが全体に対するインパクトがどのくらいなのかがわかっていないと、骨折り損のくたびれ儲けとなりかねません。

例えば、商品品質を向上させて収益アップを狙う戦略は、一見効果的に思えるかもしれませんが、それだけで改革が上手くいくほど単純ではありません。

そのためには、商品の製造に携わる現場スタッフのスキルアップが必要になるからです。

そのため、改革を行う1つの経営要素だけでなく、それに関わる全ての経営要素を考慮しながら組織マネジメントを行う必要があります。

特に、「ソフトのS」は「ハードのS」と比べて容易に変更ができないからこそ、最初に定めておき、共通の価値観やスタイルを決定するようにしましょう。

組織改革や課題解決のためには、一つの要素だけでなく、企業を取り巻く様々な要素を考慮する必要があります。

7Sは、どれかが重要というわけではなく、バランスよく影響し合っていることが最も大切なのです。

■まとめ
7Sのフレームワークを組織マネジメントに用いれば、経営要素の相互関係や課題が把握できるようになり、どこの経営要素に注力すればいいのかが明確になります。

このうち、ソフトの4つは、価値観が絡む要素であるだけに慣性が働き、強制的にまたは短時間に変更することは難しいとされる部分になります。 一方、ハードの3つは、変えようとする意思やプランがあれば、変更することが可能です。

手をつけやすいという理由から、結果として、ハードをしっかり設計し、運用すればうまくいくと考えがちですが、企業変革を行う場合にもハードのみに手が入れられる場合が多くなります。

組織を改革する際は、「ハードの3S」と「ソフトの4S」のどちらの視点からもバランス良く取り組むことが大切です。

例えば、戦略を変更しても、従業員を全て入れかえることはできません。

または、その戦略に必要なスキルがすぐに身につくわけでないといいったことを全て考慮した上で戦略を実行していくことが重要になります。

バランス良く改革することができれば、経営要素がお互いに補完・補強し合い、組織全体のマネジメント力を高めることができるでしょう。

■最後に
7Sにおける組織マネジメントとは、組織構造の最適化することを指します。

組織構造は大きく分けて、仕事の種類・目的ごとに組織を構成する「機能別組織」、独立した各事業部が意思決定権を持ち業務を実行する「事業部制組織」などがあります。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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