本日の「賢人たちに学ぶ 道をひらく言葉」を贈ります。
「道徳を論じている書物と商才とは何の関係もないようだが、商才というものはもともと道徳を基盤としているものだ。
道徳から外れたり、嘘やうわべだけの軽薄な才覚は、いわゆる小才子や小利口ではあっても、決して本当の商才ではない。したがって、商才は道徳と一体であることが望ましい。」
<渋沢栄一>日本資本主義の父
起業家として出発し経営者としての「才覚」を発揮するためには、「サポーター」と呼ばれるビジネスの支援者を集めることに加えて、人として尊敬できる「モデラー」となる社長を見つけることです。
なぜなら、ゼロから会社を創業した場合、何を持って成功したと言えるのかの自己判断が難しいため、目標となる人物をイメージし、到達点となるゴールを高く設定して日々の努力を重ねて行くことは、起業家としての「視座」を高め、成長を促すことに繋がるからです。
「モデラー」とは、「モデリング」の見本となる相手を指しますが、自分が望む結果を出している人と同じ状態や結果を実現するために、その人の持つ考え方を学び、事業へ取り組む姿勢や行動パターン、信念などを真似ることで、同じような結果を得ようとするものです。
若くして起業した新米経営者がビジネスが上手く行かない原因の1つとして会社経営の経験がなく、新規事業の成功体験も少ないことを挙げることができます。
二代目社長なら先代の経営者を真似することが想像できますが、創業者として会社と事業を何も無いこと所から起こす場合には、自らの経験と新たにチャレンジした事業開発のプロセスの中から、成功体験を掴み取ることが重要となります。
ですが、心理学者のバンデューラが提唱した「自己効力感」の論文によれば、「価値ある目標に向かって、自分は目標を遂行できると自己を信じること」が大切だと述べています。
つまり、経営者として身近な「モデラー」が存在していることは、「自分でもできる!」という自信に満ちた感覚を大きく持たせ、目標達成に必要な仕事のパフォーマンスの向上にも繋がるのです。
行動の結果に対する予測することを「予期機能」と言いますが、前向きに将来のイメージを抱けるかどうかが、挑戦者の考えや行動決定に大きく影響しています。
つまり、「自己効力感」があるかないかで達成可能な未来自体が大きく変わってしまうと言えるのです。
「モデラ―」となる先人の経営者の経験や体験を本や講演などで、見聞きしたことによる疑似体験は、「代理経験」=「モデリング」で「自己効力感」を高めることに作用します。
あなたは、会社の先輩がテキパキと仕事をこなしているのを見たり、友人が勉強を頑張っている話を聞いたりして、「自分も頑張ろう」とやる気が高くなった経験はありませんか?
私自身の場合には、出光興産の創業者「出光佐三」をモデルにした「海賊と呼ばれた男」や、今話題の「渋沢栄一」の「青天を衝け」等は、大変な共感と貴重なモデリングの疑似体験を与えてくれています。
「モデラー」による代理経験をするには、身近な経営者がベストですが、過去に実在した有名な一流の経営者の自伝や大河ドラマ、映画などを通しても習得することが可能なのです。
人として尊敬できる「モデラー」となる経営者を見つけてますか?
<本田季伸>