労働人口の減少により、企業では働き手不足が深刻化しています。
短時間勤務や自宅勤務、また65歳以上の勤務などの働き方をさらに柔軟にし、フルタイムの勤務が難しく、現在働いていない、といった方に対し、「職場に復帰・進出して貰いたい」という意見を数多く耳にするようになってきました。
海外展開を考えている企業は、外国人を積極的に採用していく必要性がでてきます。
正社員の採用が難しければ、フリーランスや副業の時短労働者やリモートワーカーを積極的に採用して行く「ダイバーシティインクルージョン」が、ビジネスの課題解決や人手不足の打開策になります。
そこで、今回、ダイバーシティインクルージョンとは何か、企業の発展に多様性が成長の鍵になる訳について解説します。
「バラモンの思想家たちは、多様性の背後に統一を探し、次のような結論に達した。すなわち、二つの対立するものが知覚されるのは、物が対立しているからではなく、知覚する心が二つに対立しているからだ、と。」
<エーリッヒ・フロム>
■ダイバーシティインクルージョンとは?
ダイバーシティインクルージョンとは、性別、年齢、障がい、国籍などの外面の属性や、ライフスタイル、職歴、価値観などの内面の属性にかかわらず、それぞれの個を尊重し、認め合い、良いところを活かすことになります。
ダイバーシティは「多様性」、インクルージョンは「受容」を意味します。
ビジネスの世界では、企業内の誰にでも仕事に参画・貢献するチャンスがあり、平等に機会が与えられた状態を指します。
ダイバーシティインクルージョンを推進する目的は、人材の多様化、外部人材の活用による、自社の優位性保持や競争力強化の実現です。個人が持つ特有のスキルや経験、価値観などが認められ、活用される社会・組織を目指すものです。
この点で、個人の力を最大限に活かす「インクルージョン」の実現が、ダイバーシティ経営の一つのゴールになります。そのため、ダイバーシティとインクルージョンは、切っても切り離せない関係にあると言えます。
■インクルージョンとダイバーシティとの関係性
「インクルージョン(inclusion)」は、日本語では「包括」「含有」「一体性」などと訳されます。
ビジネスシーンにおいては、多様な人々の個々の特性が十分に活かされて企業活動が行われている状態のことをいいます。
「ダイバーシティ(diversity)」は、「多様性」「相違」「種々」などと訳されます。ダイバーシティは、個人または集団の間の「さまざまな違い」を示す意味合いが強い言葉です。
ダイバーシティとは「多様性」と訳される言葉であり、年齢や性別、人種などにかかわらず、さまざまな人々が社会や組織に参加する機会を得ることを目指そうという考え方です。
ダイバーシティの推進というと、多様な人々を受容できる体制づくりが取り組みのメインになります。
「多様な人材が社会・企業で活躍する」ことを実現するためには、ダイバーシティとインクルージョンの考え方双方が必要不可欠なのです。
ダイバーシティインクルージョンは、あらゆる多様性を受容し、どのような人であっても活躍する機会がある社会・組織を作っていこうとする理念となります。
■ダイバーシティ・マネジメントとは?
ダイバーシティ・マネジメントは、企業が従業員の多様な個性(属性、働く条件の違い、など)を柔軟に受け入れ、多様性を活かしながら組織力を強化すること、と定義されます。
かつての日本企業は「日本人」かつ「男性の正社員」が主に運営していました。
しかし、ビジネスのグローバル化や労働人口の減少による競争力の低下、女性の社会進出、IT化などにより、企業は多様な労働者の受け入れを迫られるようになりました。
そして、多様な人たちを受け入れた結果、相乗効果が生まれることも分かってきたのです。そのような背景もあり、政府もダイバーシティ経営に取り組む企業を支援をしています。
■ダイバーシティインクルージョンが重視される背景
人材の多様性を認めて活かすダイバーシティインクルージョンが企業や社会で重視され、推進されるようになったのには、以下のような社会的背景があります。
1、労働人口の減少・人材不足
少子高齢化が進んだ結果、労働人口が減少し、企業は人材の確保が困難になってきました。
そこで、従来のような男性中心で終身雇用・定年制を基本とする雇用方針を転換し、人材の門戸を広げる必要が出てきたのです。
その結果、女性の雇用、活躍の場を拡大したり、定年の延長や再雇用によって高齢者の経験と能力を活かしたり、外国人を積極的に受け入れるなどの取り組みが広まってきました。
2、価値観の多様化と旧来の日本的な企業文化との齟齬
以前の日本では、一度就職した企業には定年まで勤続し、プライベートよりも仕事を優先するのが当然、と考えるサラリーマンが多くいました。
が、近年ではその価値観は崩壊しつつあります。
若い世代では企業に対する忠誠心が希薄になり、転職に対する抵抗がなくなった結果、早期離職をする人が増えました。
また、仕事と同様にプライベートも大切にし、ワークライフバランスを重視する傾向も高まっています。
これらの価値観の変化によって、企業側も旧来型の日本企業の文化を見直さざるを得なくなり、多様な人材を多様な働き方で許容するようになったのです。
3、ビジネスのグローバル化
日本が不況に突入した1990年代以降、企業はグローバル化を推し進めてきました。
新しい市場や低コストな労働力を求めて海外に進出したり、海外資本と提携するなど、その形はさまざまですが、情報通信技術の進歩によって、この傾向はますます加速しています。
その結果、国籍や経歴に関わらず多様な人材、多様な価値観を取り込む必要が生じてきました。
これらの社会的背景があいまって、ダイバーシティインクルージョンは今後の日本企業の成長にとって重要な経営戦略とみなされるようになったわけです。
■ダイバーシティインクルージョンを導入するポイント
多様な人たちが共感できる「企業の価値観」を持ち、従業員にそれを浸透させるといった取り組みを進めていくとよいと言われています。
人は自分と考え方や価値観などが異なる人とのコミュニケーションが苦手です。ダイバーシティが進んだ企業には様々な人達がたくさん集まっているので、意識的にコミュニケーションをしなければ意思疎通が図れず、仕事に支障をきたしかねません。
企業にはこれまで以上に「社員同士がコミュニケーションできる場」を提供し、意思疎通を図っていく必要があるでしょう。
グローバル企業が社内ランチを豪華にしたり、ミーティング用の部屋を多く用意するのは、「コミュニケーション濃度」を密にする狙いもあるようです。
フルタイムの勤務が厳しいといった理由で現在働いていない人を採用するには、多様な働き方が出来るようなルール作りなど職場環境の整備が必要となります。
短時間労働者を受け入れる場合、仕事の割り振りを工夫しなければなりませんし、在宅勤務を認める場合、会社と自宅を結ぶインターネット環境を整備する必要があります。
外国人を採用する企業の人事部や総務部は、その国の文化や風習を事前に把握しておくと、トラブルを防ぐことに繋がります。
■まとめ
市場のグローバル化、顧客ニーズの多様化、少子高齢化を乗り切っていくには、個人の信念や価値観、ライフスタイルなど、目に見えづらい多様性を許容、受容する「ダイバーシティインクルージョン」が求められます。
ダイバーシティインクルージョンを導入すると決めることは、企業が「社員の考えやライフスタイルをこれまで以上に尊重する」と宣言するのと同じです。
その思いが社員に伝わると、やる気や活気が生まれます。これがダイバーシティ企業の強みになります。
多様な人たちが共感できる「企業の価値観」とその浸透が欠かせません。
なぜなら、企業の中に様々な価値観を持つ人がいることは良いことですが、各人が自分の価値観だけに従ってばらばらに行動していては、成果を出せないからです。
企業の中が多様になればなる程、「企業理念」や「コーポレートバリュー」が重要となります。
そのためには企業が明確な「我が社の価値観」を提示して、多様な人たちの共感を得て会社への忠誠心を養ったり、行動指針となるような価値観を浸透させたりすることが大切です。
■最後に
海外ではダイバーシティとインクルージョンが、それぞれの頭文字を取って「D&I」とセットで語られることが少なくありません。
ビジネスで成功を掴み取るためには、正社員採用にこだわらず、外部人材を含めて、一人ひとりの違いを認め合い、個々の能力を100%活かし切る「ダイバーシティインクルージョン」の実現が必要とされているのです。
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