現在、「メタ認知」が、高い成果を出すために非常に有用なビジネススキルだと言われており、昨今大きな注目を集めています。メタ認知の「メタ」とは、ギリシャ語に由来しており、「高次な」「超」と言った意味です。
メタ認知を直訳すると、「高次な認知」「超認知」となりますが、会社経営者にもメタ認知が重要な要素になることは、未だ認識されていません。
そこで今回は、メタ認知とは何なのか、仕事で高い成果を出すためにメタ認知が重要な訳について解説します。
■メタ認知とは?
メタ認知とは「自分の認知活動を客観的にとらえる、つまり、自らの認知(考える・感じる・記憶する・判断するなど)を認知すること」です。
自分自身を超越した場所から客観的に見ることに加えて、自分自身をコントロールでき、冷静な判断や行動ができる能力までを含めて、メタ認知能力と呼ばれています。
メタ認知とは、アメリカの心理学者ジョン・H・フラベル氏が定義した心理学用語です。
1970年頃から研究が進められ、その当時の心理学の世界では広く知られるものとなりました。しかし、心理学の世界で有名ではあったものの、メタ認知をビジネスに活用するような動きはありませんでした。
実のところ、メタ認知がビジネスにおいて重要なスキルだと言われるようになったのは、ここ数年のことです。元々は教育学や脳科学の分野で使われていましたが、近年ビジネス分野でもメタ認知が注目されています。
現代では、特に人材育成で活用されることが多く、人事制度に組み入れている企業もあります。
■メタ認知のメカニズム
メタ認知の「メタ」とは「高次の」という意味です。
メタ認知は自分が得意なことと不得意なことを的確に認識し、そして「自分ができないことをするためにはどうしたらいいのか?」という問いに対して自分で答えを出すことができることだと言われています。
つまり、認知(知覚、記憶、学習、言語、思考など)することを、より高い視点から認知するということです。
メタ認知は、何かを実行している自分に頭の中で働く「もう一人の自分」と言われたり、認知についての認知といわれることがあります。メタ認知には、つぎの2つの働きがあります。
1、メタ認知的知識
認知作用の状態を判断するために蓄えられた、課題、自己、方略、についての知識
2、メタ認知的技能
メタ認知的知識に照らして認知作用を直接的に調整するモニター、自己評価、コントロールの技能
■メタ認知が高い人の5つの特徴
メタ認知が高い人はどんな特徴を持っているのでしょうか?メタ認知が高い人の特徴を理解することが、自分のメタ認知が高いか否か、そして自分の周りにメタ認知の高い人はいるどうかを見極めるヒントとなります。
メタ認知が高い人物には、仕事をする上でどのような特徴があり、それに伴う効果やメリットはどういったものがあるのかを説明します。
1、周りへ配慮ができる
メタ能力が高い人は、メタ認知の高い人には、今考えていることが主観なのか客観なのかを認知できる人が多いです。
自分と周りの人間との適切な距離が判断できます。例えば、「これは主観的な意見ですが...」というように、自身の発言が主観的か客観的かを伝えることができます。
適切な距離を保つための配慮もできるため、仕事上でも円滑な人間関係を形成しながら、業務を進められます。
また、協調性が高いため、リーダー的な立場にも適任です。集団の中でも自分の適切な立ち位置を把握しているため、周りを上手にまとめながら、ひとつの目標を達成させる能力にも長けています。
2、いつでも冷静な対応ができる
メタ認知の高い人には、自分の行動の意図、つまりメタ認知的目標を認識できる人が多い傾向にあります。自分自身を客観的に見つめ、感情をコントロールできるため、いつでも冷静に対応ができます。
もしも仕事上でトラブルが発生しても、焦らずに処理できます。そういった人は、自分がなぜその行動を取っているのかをしっかりと理解し、「私が○○を行ったのは、□□を危惧していたためです。」というような説明ができます。
一時的に多くの業務を抱えてしまった時でも、優先順位を付けて仕事をこなせるマルチタスク能力と、集中力の高さも持っています。
3、柔軟性がある
万が一仕事上でミスをしてしまっても、再発防止のためにどうすべきか考え、次に活かせるリスク回避能力も高いです。これに加え、ミスによって新しく何かを学び、仕事に活かせる柔軟性も持っています。
柔軟性の高さには、今までのやり方や担当者、取引先などが変わった時にもすぐに適応できる業務上での柔軟性と、新しい部署に配属になった時にもすぐに周りと打ち解けられる人間関係での柔軟性などがあり、多くのメリットがあります。
4、自分の長所と短所が分かる
メタ認知能力が高い人には、自分は何ができて、何ができないのかを適切に評価して、把握している人が多いようです。そのため「○○は自分よりもAさんのほうが向いている。」といったような判断を下せます。
ただ、自身の短所を人にさらけ出すか否か、また自分でどうにかしようとするか否かについては、個人の性格によっても左右されます。
5、仕事への意欲が高い
仕事に対しての明確なビジョンや自分の将来性も見据えているため、意欲を持って仕事に取り組みます。メタ認知が高い人は自分の行動だけでなく、他者の行動に対しても同じようにその行動を意図を考えることができます。
つまり、相手の行動や質問の意図を考えることができ、その意図を汲み取った対応や返答ができます。そのため、生産性も高くイノベーションを生み出す可能性も持っています。
さらに、仕事から自分の欠点を把握し、より効率よく正確に仕事が進められるように工夫を行うこともできます。
■メタ認知が低いビジネスマンの特徴
メタ認知に基づいて考えると、ビジネスマンの学習の不振には2つの種類があります。例えば、算数・数学でいうと以下ような例になります。
1、認知的原因
図がかけない、式が書けない、計算ができないといったように問題の解決が直接的にうまく行かない場合には、認知的支援が大切になります
2、メタ認知的原因
いつ、どこで図をかいたり、式をかいたり、計算をするか、といったことで、図がかけたり、式がかけたり、計算ができても問題の解決ができないといった、間接的な頭の中の働きが影響していることもあります。
■メタ認知の高い人材への対応方法
メタ認知を鍛えれば、仕事を進めるうえでも多くの効果が得られます。その一方で、メタ認知が高いことで起きてしまうデメリットがあることも覚えておきましょう。
メタ認知が高い人は自分を客観視できる一方で、異常に人の目が気になってしまったり、自意識過剰になってしまったりする面も持っています。人の目が気になってしまうと、精神的なプレッシャーがかかりやすくなり、本来の自分の能力を発揮できなくなったり、思わぬミスが出てしまったりする場合もあります。
社員全体のメタ認知を鍛えて業務を円滑に進めるのはもちろん、すでにメタ認知の高い人材へのフォローも必要です。
上司や管理職は、メタ認知の高い部下に対してのフォローを怠らず、社員個々の能力を発揮できる環境づくりを常に意識すれば、人材だけでなく組織全体の成長にもつながります。
■メタ認知を高めるメリット
メタ認知を高めるとどんなメリットがあるのでしょうか?メタ認知がビジネスにおいて非常に重要な要素になりますが、メタ認知を高めることで得られるメリットのうち、ビジネスでも重要だとされるものは以下になります。
1、課題を抽出ができる。
2、協調性を高めることができる。
3、感情がコントロールしやすくなる。
4、話の説得力が増す。
5、問題解決力が高まる。
■まとめ
客観的に自分を認知できる能力が高い人は、ものごとを冷静に判断でき、仕事の意欲や生産性が高いことで業務効率が上がるだけでなく、人間関係もうまくやっていけます。
セルフモニタリングとコントロールを繰り返せばメタ認知を鍛えられますが、メタ認知が高いことで自意識過剰になってしまうデメリットもあります。
社員のメタ認知を鍛えることだけに注力するのではなく、上司や管理職による適切なフォローも重要なポイントであることを理解しておきましょう。
例えば、特定の部下が問題解決で行き詰まった時(分からなくなった、どうしていいかわからない 、解けない時)あなたはどのような言葉をかけますか?
もう一人の自分(メタ認知)の働きを考えるときに、そのメタ認知が問題解決や学習に、より有効に働きます。肯定的なメタ認知がうまく働くことが大切であり、効率的な学習の鍵となります。
また、メタ認知は、外部からの言葉の内面化で形成されるため、外部のアドバイザー適切なアドバイスが蓄積し、メタ認知が内面化することもあるのです。
■エグゼグティブコーチングの有用性
経営者やマネージャーが少しでもメタ認知のメカニズムを理解し、メタ認知を高める方法をマスターし実践することができたならば、感情のコントロールや他者理解を通して部下やプロジェクトのマネジメントを改善することができます。
そのような際は、コーチングを受けるを受けることで、メタ認知を高めることが可能だと言えます。
なぜなら、コーチングや認知療法の最大の特徴として、第三者から自分の持つ思考のバイアスやパラダイムに気付くきっかけを貰えるからです。
自分の思考の癖や習慣は、自分ではなかなか気づかないものです。第三者に観察してもらい、気付くきっかけをもらうことで自身を見つめる機会を作ることができます。
ただ、コーチングや認知療法では専門の知識とスキルを必要とするため、トレーニングしてもらう場合にはプロの方に付き合って貰うことをお勧めします。
■最後に
ビジネスの課題解決に繋がる原因特定の方法や問題解決を効率よく行う方法について学びたい。リーダーとして経営戦略を学び、組織内に取り入れ、社内で実行ができるようにしたい。
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