役割等級制度とは?ミッショングレード制を導入するメリット

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: プロ活用方法   パーマリンク

経済がグローバル化し、企業の国際競争力が増す中、インターネットが普及した影響で、企業間取引がボーダレス化したことに伴い、グローバル人材の育成やDX人材を育てることが急務となっています。

在宅でのリモートワークを推進する会社が増えたことで、従来の職能資格制度の運用が難しくなってきました。現在、 年功序列を廃止し、役割等級制度へ移行する日本企業が急速に増えています。

そこで今回、役割等級制度とは何か、ミッショングレード制を導入するメリットについて解説します。

■役割等級制度とは?
役割等級制度とは、役職やキャリア・年齢などにかかわらず社員に役割を設定し、その役割の大きさに応じて等級や序列を決める等級制度です。「ミッショングレード制」とも呼ばれています。

「ミッショングレード」(役割等級制度)とは、この等級制度の一つであり、「役割」単位で等級が決められています。

一つの職種のなかに、レベル差のある役割があり、その役割の遂行度や発揮度で給与が決められる仕組みになります。

役割等級制度により目標設定が明確になり、職務と能力双方にバランスのとれた合理的な評価が可能です。組織改編など柔軟性のある対応ができ、従業員の主体性を引き出せるメリットがあります。

職能資格制度の年功序列的傾向に対し、役割等級制度は年齢にかかわらず役割を与えます。

そのため、年功序列の傾向は弱く、年下上司・年上部下が生まれる傾向があります。

また、ベンチャー企業やスタートアップのような実力主義の企業が採用する傾向があります。職務等級制度に対し、役割等級制度は職務に関して比較的柔軟に定義されます。

役割等級制度は職務内容よりも役割を全うするためにとるべき具体的なアクションを定義することができます。

■役割等級制度(ミッショングレード制)が必要になった背景
役割等級制度(ミッショングレード制)は、もともと1980年代後半のアメリカで考案・導入されたのが始まりとされます。

従来、アメリカでは職務等級制度が一般的でしたが、この制度ではどうしても個々人が決められた仕事だけをするようになり、組織も縦割り的となって、企業の競争力が削がれているという指摘がありました。

そのため、それまで縦割りだった業務に、部門間の壁を取り払って横串を刺すように柔軟性を持たせたものを「役割(ミッション)」だとし、「ビジネスプロセスの改革」(リエンジニアリング)を行いました。

従って、役割等級制度(ミッショングレード制)の「役割」は、職務等級制度の職務記述書を単に簡素化したものではなく、そこに必ず「ビジネスプロセスの改革」を伴っていなくてはなりません。

近年、大手企業では「ジョブ型」(職務等級制度)の導入が進んでいます。

ただ、実態としては、職務等級と職能等級の間をとった役割等級制度を導入しているケースが多いです。

ですので、今までの意識が残っていると、いくら制度を職能等級制度から役割等級制度に変更しても、実際に行われる処遇(昇格、昇給や昇進)が年功序列になってしまう可能性があります。

■役割等級制度の3つのメリット
役割等級制度は、導入する会社にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。本パートでは3つに分けて解説していきます。

1、社員の主体性が上がる
役割等級制度では、与える役割によって社員に「会社が何を求めているか」を知らせることができるため、自らやるべき仕事を明確にすることができ、自主的な働きを促進できます。

また、自ら目標をもって業務にあたるために社員自身のモチベーションが上がりやすいというメリットもあります。

2、評価や報酬の合理性が上がる
役職等級制度ではキャリアや年齢に関係なく、与えられた役割の難易度や貢献度に応じて、給与が決定されます。

そのため、成果を出せなかった従業員は降格・降給の対象となり、総人件費の抑制にもつながります。

人事評価の合理性は制度改革だけでなく、運用面からも向上させることはできます。

3、会社の求める人材が育ちやすくなる
与える役割によって、「どのような成果を出せば昇格が可能か」が社員にとって明確になり、それにそって業務に取り組むために会社の求める人材を育成しやすいということがいえます。

また、役割によって各社員のやるべきことが明確になるため、組織の活動が円滑になるというメリットもあります。

■役割等級制度の5つの特徴
役割等級制度(ミッショングレード制)の特徴をまとめると以下のようになります。

1、「役割(ミッション)」基準の等級制度。
「役割等級制度(ミッショングレード制)」は、「役職×職務=役割」と考え、その「役割」に応じて等級を設定する制度です。

「役割」とは職責を果たすために、期待される行動を、簡素化し、大くくりにしたものになります。

日本の雇用慣行である年功序列を排除しており、勤続年数や年齢、キャリアの有無に関係なく、役割の難易度や企業の期待度に対して、成果を出すことが求められます。

2、「仕事」を基軸とした等級制度。
役割等級制度(ミッショングレード制)は、職務等級制度と同様に「仕事」を基軸とした等級制度です。

成果主義を前提にしているため、若手社員の登用が実現しやすく、従業員のモチベーション向上につながる公平・公正な人事評価が可能となります。

「果たすべき役割」の記述は比較的簡潔であり、職務等級制度における全職務の職務記述書作成ほど煩雑な作業は必要がありません。

3、職務内容を細分化できる。
従業員一人ひとりが会社の経営目標達成のために「何をすべきなのか」をダイレクトに設定することができ、その役割に応じて給与テーブルが決まるわかりやすさも備えています。

定型化・細分化された職務内容だけでなく、管理職などのポジションに応じて期待される非定型な業務も含むことができます。

4、役割評価が比較的容易になる。
役割が外から見ても明確であれば、従業員が役割を果たしているかの判断がつきやすく、処遇も適切に行うことが可能です。

高い成果を出せば、若手社員でも昇格・昇給を得らますが、「役割を果たしていない」と企業側に判断されれば、降格・降給もあり得えます。

役割は経営状況に応じて柔軟に変更することができますが、たとえ能力があってもその役割を果たしていなければ、その等級の評価は受けられない形になります。

5、役割(ミッション)ペースの等級制度である。
役割等級制度に統一的な仕組みはなく、導入される制度の形は企業によってさまざまとなっています。

役割等級制度の主なメリットは、従業員の業務における役割が明確になることで、主体性を持って動きやすくなることです。自らのミッションがクリアになると、自分で判断できる領域が広がるため、組織の活動が円滑になる効果が生まれます。

■役割等級制度を上手く活用するには?
役割等級制度では、客観的にも明確な役割を設定できるため、目標管理がしやすく、従業員も自らのミッションを把握し、職務遂行しやすくなります。

企業により「役割等級制度」はさまざまな形で導入されており、定型的なフォーマットは存在しません。各企業が役割の定義を含め、模索しているのが現状です。役割定義は、等級を決める上で重要なベースとなるものです。

決めたら終わりではなく、上司も部下も「自分がどんな役割を求められているか」を認識し、期間中もこまめに面談などでコミュニケーションを取って「今の役割ができているかどうか」を確認していくことが大切です。

そのため、役割等級制度は導入に際しては、役割の定義と運用が重要になります。

人(能力)基準の制度から、仕事(役割)基準の制度への転換と併せて、運用する側のマインドも変化させなければなりません。それには、大きな価値観の変化を伴います。

人事制度の変更点だけでなく、経営ビジョン、経営戦略から展開された人事戦略に基づいて、新しい人事制度が設計されているということをしっかりと社員に説明する必要があります。

その上で、設計コンセプトに基づいた運用することが役割等級制度を上手く機能させる肝になるのです。

■まとめ
役割等級制度は目標が明確に設定されるため、社員が主体性・自発性を発揮しながら、業務に取り組むことができます。

年齢やキャリアに関係なく、公正・公平な評価がされるため、若手社員の登用にもつながります。社員のモチベーションの向上にもつながるため、社内競争力や生産性レベルを高める効果が期待できます。

「職能資格制度」「職務等級制度」が持つメリットを享受した等級制度が「役割等級制度」であり、比較的簡潔で導入しやすいため、現代の日本企業で急速に導入が進んでいます。

役割等級制度は経営環境に応じて、求められる役割や職務能力も変わるため、成果主義を前提にした組織改編にも柔軟に対応することができます。

ミッショングレードの導入には、昇格・昇格だけでなく、降格・降給も発生するため、人事が主導して、どのような役割を設定すべきかを経営層と従業員双方とのすり合わせが不可欠です。

その際、役割等級制度の評価基準となる役割は、導入する企業の事業内容はもちろん、組織風土や文化も考慮しなければなりません。

「真面目で、主君思いで、協調性もあり、勤勉な上に仕事もできる。そんな心と能力を持った人間はトップクラスの良臣だ。しかし、心ばえはそこまで良くなくても、何か優れた能力を持った者ならば採用すべきだ。」

<徳川家康>

■最後に
ミッショングレード(役割等級制度)は、現時点での役割において貢献度が高い人を評価しやすいため、役割を果たしている従業員には年齢に関わらず高い評価を与えることができます。

ただし、各従業員に果たすべき職務や成果を具体的に提示するため、導入時に自社に合った「役割定義」の作成が必要です。

役割定義の作り方によっては、適正な評価がしづらく、評価基準が曖昧になってしまうリスクもあります。

役割等級制度を導入する際は人事部が中心となり、経営陣と現場の社員と十分なコミュニケーションを取った上で、双方が納得のいく制度の確立が必要です。

初めて「ミッショングレード」(役割等級制度)を導入する場合、完全にゼロの状態から自社の役割定義を作るのは難しいため、同業他社の事例を参考にしたり、専門家に意見を聞くなどして作成したりするケースが多いようです。

そのため、十分なノウハウや運用実績がない場合は人事コンサルタントを招いての導入を検討する必要があります。

日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」には、5000人を超えるフリーランスの顧問や副業のプロ人材が集結しており、顧問契約に基づき課題解決を推進する様々な分野の外部のCXO人材が揃っています。

業界トップクラスの知識・経験・人脈・スキル・ノウハウを持つ社長の懐刀として、経営課題を抱えている経営者へのアドバイスだけでなく、実行支援を行うことを最大のミッションに掲げています。

優秀なCXOやプロの登用なら「顧問報酬100%」で「中間マージン無し」でダントツの費用対効果を保証するKENJINSに、是非、一度ご相談ください。

「顧問のサブスク」モデルを提供するKENJINSなら、企業の課題に適切な解決策を提案できる沢山の顧問と繋がることができます。

【無料お試し】が可能ですので、まずは会社アカウントを登録し、是非、どのような顧問がいるか選定をしてみてください。

【人数無制限】顧問のサブスクと言えば、業界最安値のKENJINS
https://kenjins.jp/lp/subscription/

本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

経営者・採用担当者の皆様へ 日本最大級の顧問契約マッチングサイトのKENJINSでは、年収700万年収1500万クラスのハイクラス人材を、正社員採用よりも低価格で活用可能です。顧問のチカラで圧倒的な成果をコミットします。

この記事にコメントする


この記事の関連記事

顧問報酬のピンハネ問題とは?中間マージン無しの顧問紹介とは?

日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を運営する、プライドワークス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:本田 季伸)は、顧問紹介業界で初めて紹介手数料を明確化するとともに、中間マージン無しで顧問・プロ人材紹介サービスを展開する運びとなりました。 今回、顧問報...[続きを読む]

顧客価値とは?企業には顧客価値を高める企業努力が必要な訳

現在、市場においてライバルが存在しないケースは少なく、商品スペックや機能で差別化を図るのが難しい時代になっています。 その理由としては、自社特有の機能を持った製品やサービスを市場に投入したとしても、自社が頑張れば競合企業も同様に商品開発に注力するため、競合他社がすぐに同じ機能を...[続きを読む]

営業代行と営業顧問の大きな違いとは?フリーランス営業との違い

中小企業にとって商品やサービスの売り上げを伸ばすためには営業活動が欠かせません。 しかし、近年の人材不足の影響で、「営業スキルがなく、商品・サービスの売上が伸び悩んでいる」「営業の人手が足りないが、人材採用・育成のコストをかけられない」といった問題を抱える企業は増えています。 ...[続きを読む]

BANTとは?BtoB営業のBANTの意味・売れる営業になるコツ

法人営業では、高額な商材単価、複数人に及ぶ決裁者、企業単位の課題解決、リードタイムの長期化することは一般的ですが、これらはBtoB営業ならではの難しさになります。 BtoB営業では、個人営業とは異なり、例外なく画題の把握と予算の確保が必要になり、企業規模を問わず最終的な決裁者と...[続きを読む]

HRBPとは?HRビジネスパートナーのHRBPが果たす役割と機能

AI、IoT、ビッグデータ解析など、もはやどの事業分野にもデジタル人材は欠かせないものとなっています。ニューノーマルにも敏感に反応し、自社の事業にとって必要なDX人材をいち早く獲得する必要性が増しました。 従来の人事部では、デジタルシフトの波に対応しきれなくなっています。課題を...[続きを読む]