IRとは?未上場企業でも会社の成長戦略にIR活動が必要な理由

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

日本の企業数のうち9割以上を占める非上場企業は、財務諸表を投資家に向けて一般公開することは、ほとんどありません。

なぜなら、未上場会社の場合には、HP上でパブリックに財務諸表を公開する法的な義務は無いからです。

ですが、株式公開を目指し、投資家から第三者割当増資を行うスタートアップの場合には、ファイナンスの後に、投資家向けのIR活動が定期的に必要になります。

そこで今回、IRとは、未上場企業でも会社の成長戦略にIR活動が必要な理由について解説します。

■IRとは?
IRとは、英語の「Investor Relations」「インベスター・リレーションズ」の略になります。日本語でIRは、企業が株主や投資家に対し、財務状況など投資の判断に必要な情報を提供していく活動全般を意味します。

1990年代からの企業経営に占める株価(時価総額)の重要性の高まりから、企業が投資家が求める情報を的確かつ迅速に提供する必要性が生じました。そのような流れを受け近年、IRへの取り組みが盛んになっています。

IRでは、経営状態や財務状況、業績動向など投資判断に必要な企業情報を発信し、企業の証券が公正な価値評価を受けることを目指します。

最近は、株主や投資家に対するだけでなく、顧客や地域社会等に対して、経営方針や活動成果を伝えることもIRの狙いの一つになってきています。

IRの最大の目的は、企業が株主や投資家に向けて企業情報を広報し、自社に投資や協賛をしてくれるように促すことです。

企業はIR活動を通じて株主、投資家、顧客などと意見交換することでお互いの理解を深め、信頼関係を構築し、資本市場での正当な評価を得ることができます。

重要なステークホルダーである投資家の意見が、IRを通じて、時には経営陣に対して直接伝えられることで、経営へのモニタリングが効き、最適な意思決定が促されます。

企業情報を適切かつ効果的に開示することによって、株主や投資家が企業の経営方針などを深く理解し、その将来性を含めた適正な企業評価を得ることで、さまざまなかたちでサポートしてくれることを期待します。それらは結果的に、企業価値を向上させることに繋がります。

■株式公開企業には欠かせないIR
株式公開企業のIR活動として代表的な取り組みとして、決算発表後の説明会やアニュアルレポート発行があります。決算は過去の財務結果を報告するのに対して、IRでは将来の投資判断の材料に必要な要素が全て求めらます。

例えば、決算結果に対して業績が目標値から乖離したならその理由や要因の説明、また中期計画、経営ビジョンなど今後の経営戦略についての説明が必要になります。

具体的なIR内容としては、決算発表説明会やアナリスト説明会、月次データ開示、HPでの説明などがあります。特徴は、投資家へのPRを目的とした、任意の取り組みである点です。

ディスクロージャーにより、企業は投資家の信頼を得ることができ、投資対象としての魅力を表することができます。

例えば、個人投資家も参加可能な企業説明会の開催、さらに説明会に直接参加できない個人投資家向けにWeb上で説明会資料の公開や説明会のビデオ中継や画像配信を行うなど、ITをIR活動に活用している企業も増えてきています。

また、現在、IRサイトを持つ企業はすでに千社を超え、その1/4ほどは決算説明会を動画で配信しています。

インターネットによるIR活動は、持ち株比率が大幅に増加している個人投資家や海外投資家に向けて情報の伝達がタイムリーかつ双方向に行えることも評価され、需要が高まっています。

■未公開企業でもIRは必要なのか?
IR活動の対象は、これまで株式公開企業に限定され、機関投資家や企業の投資担当者、アナリスト、報道関係者などいわゆるプロが対象でした。

ですが、未公開企業へのエンジェル投資を行う個人投資家の存在が大きくなってきている昨今、第三者割当増資を行うスタートアップが増えています。

上場を目指すベンチャー企業の経営者であれば、既に、銀行やベンチャーキャピタル等からの資金調達の際、IRに類似した資料を作成されているのではないでしょうか。

未公開企業であっても高い企業価値を保った状態で公募増資や新株予約権発行といった資金調達ができれば、将来的な成長投資に充当できるキャッシュポジションも潤沢に有することができます。

そのため、現在、エンジェル投資家やVC「ベンチャーキャピタル」やCVC「コーポレートベンチャーキャピタル」向けの財務情報開示も必要になっており、他人資本を募ったベンチャー企業にも投資家向けのIR活動が求められています。

特に「経営トップが、継続して積極的にIRに関わり、自らの発信に努めている」ことは大切です。

例えば、未公開企業でも株主総会を開催するなど、自社のビジネス状況を定期的に開示したり、収益構造を事業セグメントやKPIに分解して示すことや、それぞれの業績要因が何によって変動するのか、どのような戦略や施策で改善しようとしているのか、ということを説明することが事業の成長にも欠かせない要件になっています。

■IRとPRの違い
IRが通常のPRと異なるのは、PRがその企業にとってポジティブな情報のみを基本的に流すことに対して、IRはポジティブな情報だけでなくネガティブな情報も積極的に開示することが必要な点になります。

その理由としては、投資家が投資するための判断材料としてネガティブ要因は重要な意味合いがあるからです。

一方で、求められるものは全て開示すれば良いというものではなく、ポジティブな内容にしろ、ネガティブな内容にしろ、何を開示し何を開示しないかという点もディスクロージャー戦略として考える必要があります。

■ディスクロージャーとは?
ディスクロージャーとは、企業の情報開示の総称です。資本市場でのディスクロージャーは、制度上のディスクロージャーと、任意のディスクロージャーの二つに大別されます。

企業がディスクロジャーをする目的は、投資家の判断のための自社の経営実態についての情報を提供することにあります。

制度上のディスクロージャーは、株式公開企業に証券取引法に定められた情報開示など、法律・規則による規制があり、ディスクロージャー内容と時期が強制されています。

具体的な内容としては、毎年の有価証券報告書の開示、決算短信の発表、影響の大きい出来事の適時プレスリリースなどがあります。主な関連法規としては、証券取引法、証券取引所規則、商法などになります。

特徴としては、投資家保護を目的とした、強制される制度である点になります。

任意のディスクロージャーは、IR「Investors Relations」を指します。IRには、企業が投資家に対して前向きにPRをするような情報開示も含みます。公正な情報提供であれば基本的に規制はなく、企業が方法・内容を決定することができます。

通常、IRでは、以下のようなポイントが重視されています。

・経営トップが積極的にIRに関わり、自らの発信に努めている。
・IR活動の維持・向上へ熱心に取り組んでいる。
・IR活動で得られた情報や意見が、経営に的確に反映されている。
・説明責任を着実に果たし、資料も詳細かつ明快で充実している。
・企業説明会や決算説明会などが積極的に開催され、緻密なコミュニケーションが実現している。
・個人投資家に向けた自社サイトのIR情報などの充実。

なお、ディスクロージャーによるコスト・デメリットも発生します。

単純なコストである情報管理や人員の費用に加え、開示した情報による競争上の不利益、開示内容についての報道や訴訟などのリスクがデメリットとして挙げられます。

これらのデメリットを鑑みつつも、企業は一層のディスクロージャーを推進することが求められています。

■まとめ
IRとは、「Investor Relations」の略であり、企業が株主や投資家などに対して、投資判断に必要な情報を提供する活動を指します。

上場企業は四半期に1回の決算発表が義務付けられており、投資家も四半期ごとの結果を求める傾向にあります。

長期的な成長を志向する企業があえて非上場を選ぶということもあります。

非上場企業でも、これから上場しようと頑張っている企業もありますし、そのような会社の株式を社員として持っていたら、ストックオプションなども含めて、上場したときに株式の値上がり益を得ることができます。

株式上場(IPO)を目指すベンチャー企業の経営者であっても、未上場の段階からIR活動を意識して取り組む必要があります。

なぜなら、第三者割当増資を行う際や未上場段階で既存と新規の投資家に対して上場会社並みの情報提供ができる準備があれば、高い信頼と新たなファイナンスの可能性が高まるからです。

最近では、株式投資型クラウドファンディングも登場しており、非上場株式の発行することでインターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集める仕組みもあります。

株式投資型クラウドファンディングでは、スタートアップ・創業年数の浅いベンチャー企業などが非上場株式を発行して、資金調達を行う狙いがあります。今後も成長余力のある非上場企業の資金ニーズは今後も堅調に推移すると予想されています。

■最後に
日本では近年、プライベート市場を通じたリスクマネーの調達ニーズが増加しており、未公開企業に投資するベンチャーキャピタル(VC)ファンドやプライベートエクイティ(PE)ファンドの活動が積極化しています。

成長企業のベンチャー企業には、管理部門の人数が少ないため、経営陣自らが対応する必要性があるかと思います。そのような際に社外CFOがいれば、事業計画作成や資金調達支援、IR情報の最適化の業務をサポートすることが可能になります。

これにより、CEOが経営に集中できる環境を作り、クライアント企業の財務基盤を強化し資金の最大化を実現します。

社外CFOに求められている役割としては、以下の3点があります。

・企業内の財務についてのマネジメント全般
・資金調達に関する渉外、調整、株式発行などに関する全般
・上場準備に必要な財務コンプライアンス強化と管理

これは社内のCFOとほとんど変わりませんが、社外CFOを雇うことにより、社内で常勤のCFOを雇うよりもコストの削減が可能です。社外CFOは社外の人間ですが、社外の人間だからこそできることがあります。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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