現在、優秀なITエンジニアやCXOを採用するために、企業から応募者に対して直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」の手法を推進する企業が増えました。
ダイレクトリクルーティングでは、従来の「応募を待つ」採用方法とは異なり、企業自らが応募者にアプローチするため、興味を持って貰えるような企業努力が必要になります。
企業側が即戦力となるハイパフォーマンスな人材を獲得すべく、自社をアピールし採用に繋げる狙いから、「カジュアル面談」を行う会社が増えています。
そこで今回は、カジュアル面談とは、人材のスカウトにカジュアル面談が有効な訳について解説します。
■カジュアル面談とは?
カジュアル面談とは、採用選考の前段階として、企業の担当者と転職希望者が情報を交換する面談のことを意味します。カジュアル面談は正式な応募のハードルを下げ、より多くのターゲット人材との出会いが可能になります。
カジュアル面談を行う目的としては、従来の面接とは異なり、会社側が形式的な質問を行うものではありません。会社の事業説明や仕事の価値観など互いに知りたいことをフランクに話し合うことで、相互理解を深める狙いがあります。
企業側:積極的に「攻める」採用へと舵を切る必要性
人材側:選考とは異なるため、心理的なハードルが低い
通常、求職者が求人サイトや企業サイトで事業内容や業務について記載したとしても、応募者にとって「リアルな情報」を読み取ることは難しと言えます。
そのような際にカジュアル面談を行うことで、自社への応募を検討している段階の求職者にも興味付けを行うことができ、即戦力となるハイスキルな人材の採用につなげる手段として広がりを見せています。
面接のような合否判定が無いうえに、企業が求職者に対してアピールするケースも多く、企業が評価される場でもあるのがカジュアル面談の特徴です。
求職者にとっても、気軽に様々な企業の普段の雰囲気を知ることができるメリットがあり、採用後のミスマッチを防ぐ可能性も高まります。
■カジュアル面談が増えている背景
カジュアル面談では、応募者と企業の双方で情報交換を行うことで、ミスマッチを防ぐことができます。カジュアル面談が増加したことには、次のような背景があります。
1、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用の増加
一般的な「待ち」の採用方法では、企業主体で優秀な人材と接点を持つことができません。
そのため、近年は、就職希望者が人材募集に応募してくれるのを待つのではなく、企業側から就職・転職希望者にアプローチし、自社を選んでもらうという能動的な採用活動が注目されています。
具体的には、ヘッドハンティング、スカウトといった「ダイレクトリクルーティング」や、在籍する社員から友人知人を紹介してもらう「リファラル採用」などになります。
これらの採用手法では、求職者の企業への理解度や志望度は低い場合も多いため、まずは入り口として「カジュアル面談」を実施し、自社について知ってもらうとともに魅力をアピールするケースが増えています。
カジュアル面談では、企業が求職者に対して一方的に質問する面接とは異なり、お互いに質問することで双方向の興味づけを行います。
2、現場の実態をありのままに伝えられる
双方向のコミュニケーションが取れるカジュアル面談は、ミスマッチを防ぐための有効な手段でもあります。
近年では多くの企業がカジュアル面談を取り入れており、スーツではないカジュアルな服装で食事をしながら面談をしたり、在籍社員と意見を交わしたりしています。
カジュアル面談では、人事担当者だけではなく、求職者の職種と同じ現場の社員をアサインすることで、よりリアルな状況を伝えながら求職者に興味付けすることができます。
人事担当者のみで面談を行うことや、「自社に入社してほしい」と思うあまり良いところだけを伝えることは避けます。これにより、適切に企業への理解を深めてもらうことが「カジュアル面談」の意義になります。
入社後の定着につながるよう、企業と求職者が互いの相性を正しく評価できる場にすることができます。
3、CXOやIT人材の採用難
カジュアル面談の特徴は、選考段階の面接とは異なり、応募者の志望度が低いことにあります。そのため、企業側がリアルな情報を提供し、選考に進んでもらうためのアピールの場になります。
現在、CXOやITエンジニアの需要が急増しており、求人への応募が集まらずに採用が進まないという問題を抱える企業が多いです。
そのため、ダイレクトリクルーティングの仕組みを持つ転職サイトなどに登録している、ITエンジニアに対して、企業側からアプローチし、採用につなげる接点として「カジュアル面談」を実施する手法が広がっています。
はじめは面接を受ける気がなかった求職者が、カジュアル面談を通して会社の良さを知り、エントリーを決めることもあります。
この場合、採用担当者だけでなく、ITエンジニア職の社員が「カジュアル面談」に参加し、求職者に現場の実情を伝え、自社への応募意欲を高めることに繋げる形になります。
■カジュアル面談のメリット
採用選考の前段階として、効率的に相互理解を深められる「カジュアル面談」。さらに詳しく、目的とメリットを見ていこう。
1、採用ミスマッチを減らせる
カジュアル面談は、正式な選考前のため、一般的に履歴書・職務経歴書の受け渡しは行いません。一般的な採用面接では、応募者の本音を聞きにくく、自社に合う人物なのかを見抜くのが難しくなる恐れがあります。
応募者側から見ても、面接だけではどのような社員・上司と共に働くのかがイメージしづらいこともあるでしょう。
面接の前に「カジュアル面談」の機会を作ることで、会社側は求職者の人物像をよりフランクに知ることができ、求職者側も、面談した社員の雰囲気から社風を感じ取りやすくなります。
カジュアル面談は、入社後の採用ミスマッチを減らす効果が期待できるため、近年拡大しているリファラル採用やダイレクトリクルーティングの入り口としてよく取り入れられています。
2、優秀な人材に数多くアプローチできる
企業は、求人への応募を待っているだけでは、計画通りに採用を進めるのが難しいという状況があります。
リファラル採用やスカウト経由の場合、従来の採用手法と違って企業側からアプローチしているため、求職者の企業理解は浅く、志望度も低い状態です。
そのため、いきなり面接へ案内するのではなく、まずはカジュアル面談にて自社の魅力を伝えて志望度を上げることが、採用を成功させるために必要不可欠な工程となっています。
「カジュアル面談」では採用選考を行わないため、会社側から就職・転職希望者への気軽なアプローチが可能になります。
特にエンジニアなど専門性の高い職種の場合は「仕事の進め方」「学びの機会」「働く環境」の詳しい情報をカジュアル面談で得たいと思っています。
優秀な人物と多く面談し、自社への入社意欲を高めてもらうよう働きかけることができます。
3、気軽に相互理解を深められる
面接では、会社側から応募者に一方的に質問する形になりやすいため、応募者の本音や疑問点を聞き出せない可能性があります。
正式な応募の前に「カジュアル面談」の機会を作り、ざっくばらんに話すことで、求職者は入社後の懸念などについて疑問を解消しやすくなります。
カジュアル面談で時間が取られてしまうのは、会社側として一見マイナスなように感じられます。しかし、選考におけるカジュアル面談はまさに今の時代を象徴する最も大事なフェーズと言っても過言ではありません。
なぜなら、応募者に会社に好印象を抱いてもらい、カジュアル面談から選考のステップに進んでもらうための場であることをインプットできるからです。
会社側も求職者の本心により近い情報を得やすく、相互理解を深めることができるはずです。
■カジュアル面談の流れ
カジュアル面談をスムーズに進めるためには、以下のようにある程度流れを決めておいた方が良いでしょう。これらは、「カジュアル面談」に参加する社員全員と共有しておくと良い結果に結び付きます。
1、自己紹介
開始の際に話しやすい雰囲気を作れるかどうかで、カジュアル面談の質が決まります。双方向のコミュニケーションであることを意識し、雑談を交えて緊張をほぐしましょう。
まずは面談に参加する担当から自己紹介から始めます。スタート時に話しやすい雰囲気を作ることで、「カジュアル面談」の内容がより充実してきます。
2、面談の趣旨を説明しておく
応募者がカジュアル面談に慣れていない場合、「この面談はすでに選考の一部なのではないか?」と不安に思うこともあるでしょう。
担当者が一方的に質問することにならないよう、「カジュアル面談」は正式な選考ではないこと、疑問点があれば何でも気軽に質問して欲しいことなど、趣旨を伝えておくと良いでしょう。
3、会社説明
「応募者の現在の状況」、また「自社について聞きたいこと」などをヒアリングしましょう。要望に合わせて、自社の魅力をアピールする必要があります。
カジュアル面談でどのようなことが聞けると期待して来たのか」を事前に確認することで、応募者とのギャップを埋めることができます。
その上で、自社について、「事業内容」、「MVV」、「各部署の機能」など、どのような組織なのかを説明します。
4、求職者へヒアリング
互いのミスマッチを防ぐためにも、応募者の質問に答え、自社のリアルな魅力をアピールしましょう。
「就職活動の状況」、「自社に興味を持ったポイント」、「転職を考えている理由」など、選考前に聞いておきたい本音を尋ねるとともに、求職者から「自社について聞きたいこと」をヒアリングします。
5、質問への回答と、自社の強みのアピール
求職者の疑問に対する回答では、採用選考につなげるためには、自社の強みをアピールしつつ説明することが必要になります。
現在、「どのような人材が活躍しているか」「自社が大切にしている価値観」についても伝えましょう。
同席してもらった現場の社員からも、実際に働いている様子がわかるエピソード、職場環境などを積極的に話してもらいましょう。現場の状況がわかるエピソードなど、より具体的にイメージしやすい情報を伝えていくと良いでしょう。
6、今後のステップへの案内
双方の情報交換が終わった後、「ぜひ入社してほしい」と感じた場合、その想いを応募者に伝えましょう。
できれば当日中など、面談での熱量が薄れてしまう前にスピードを重視して連絡を行いましょう。
面談の中で「入社してほしい」と感じた場合はその場で正式な選考へ案内するなど、迅速かつ柔軟に選考フローを設けることで、「カジュアル面談」の本来の目的である優秀人材の獲得を進めることができます。
■カジュアル面談の注意点
中途採用の場合、すでに転職の気持ちが強く、業界業種を固めて転職活動しているビジネスマンもいれば、ヘッドハンティングをう受けたり、「いい会社があれば転職しよう」と考えている転職潜在層も存在しています。
新卒採用の場合も、内定獲得のために必死に就職活動している大学生もいれば、既に複数の会社から「内定をもっているが他にいい会社があれば選考を受けよう」と考えている人もいるでしょう。
そのため、カジュアル面談を初めて行う場合、企業側が一方的に品定めする「面接」にならないよう注意することが必要になります。
カジュアル面談は、あくまで双方における情報交換・コミュニケーションの場です。企業側がカジュアル面談を採用につながる有意義な場にするためのポイントとして、採用面接ではないことを理解して置く必要があります。
「カジュアル面談」は、あくまでも採用選考の前段階であり、求職者は自社への応募を決めている訳ではありません。
求職者は現場社員と仕事についてざっくばらんに話せる機会だと考えているにもかかわらず、企業側が選考を前提とした形式的な質問をしてしまうと、「参加した趣旨と違う」と感じさせ、求職者の興味をそぐことになる可能性がくなります。
選考に進んでもらう前の状態であることを意識し、企業側が応募者をジャッジする場にならないよう意識しましょう。
「カジュアル面談」では、合否の判定ではなく、求職者に自社の魅力を伝える場だと心掛けましょう。
■まとめ
カジュアル面談とは、文字通り正式な選考前に行われる「カジュアル」な面談です。
就職・転職潜在層も含めてアプローチするためには、カジュアル面談が非常に有効です。その理由としては、選考ではなく面談へ招待することで、応募のハードルをさげ、より多くの優秀な人材との出会いが可能になるからです。
カジュアル面談は、企業が直接応募者にアプローチする「攻め」の採用である「ダイレクトリクルーティング」の際に行われることが多いです。
選考前のため、応募者に転職の意志が固まっておらず「話を聞いてみよう」くらいの気持ちの場合もあります。
カジュアル面談は、面接とは違い、会社のアピールの場でもあります。会社の良さや今後の方針などを就職・転職潜在層に訴えかけることで、会社のファンをつくることができます。
企業がカジュアル面談を行う目的は、以下の2点です。
・多くの優秀な人材にアプローチできる。
・企業と求職者の双方がミスマッチを防ぐ。
カジュアル面談は、多くの人材にアプローチし、採用の幅を広げる手段として現在多数の企業で実施されています。採用選考に進む前に求職者と価値観の確かめ合いができるため、採用ミスマッチを防ぐためにも役立ちます。
その人物が会社のファンになれば、今すぐに応募がなかったとしても、将来的に転職を考えた際、真っ先に転職先候補に上がることも考えられるでしょう。
「優秀な人材をひきつけて一緒に夢を追い求めて行きたいと思わせるようなパーソナリティを持っているか? 社員を心から成功を信じる信者に改宗させる能力が起業家には必要だ。」
<ジャック・ウェルチ>
■最後に
フリーランスの顧問やプロ人材と顧問契約を行う場合でも、カジュアル面談を有効活用すると良い結果に結び付きます。
例えば、人脈を豊富に持つ営業顧問を自社の助っ人として募りたい場合でも、採用選考ではなく、自社のプロダクトやサービスに対して興味付けを行うプレゼンテーションの機会であることを念頭において、個別面談に臨むことがポイントになります。
なぜなら、どうしても支援をお願いしたい顧問やプロ人材の候補が見つかったとしても、人気のある顧問の場合、既に多数の会社と顧問契約をしていることが多く、これ以上、顧問先を増やしたくないと考えているケースもあります。
その際、通常の面接と同じフローでは、プロフィールでプロ人材の知見やスキル、人脈をある程度は理解することはできても、企業側の魅力を相手に十分に伝えることはできません。
そのため、有力な顧問の場合、カジュアル面談を通じて、面接とは違って顧問やプロ人材が話すよりも、企業側が多くの情報を開示し自社の魅力や競争優位性を発信する必要があると言えます。
自社の魅力をアピールしながら、現場の実態を共有し、自社の課題解決にマッチする即戦力人材であるかをカジュアル面談の感覚で確かめると良いです。
そのためには、人事に任せるのでなく、現場マネージャーや取締役や役員クラスが顧問との面談に同席することが必須要件になります。
企業が能動的に会社全体で顧問の採用活動を行うことで、自社に必要なプロ人材をよりスムーズに獲得することに繋がります。
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