権限委譲とは?リーダーと部下が成果を上げる権限委譲のコツ

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

近年、チームの能力を最大限に引き出すことが最優先課題となる経営者やリーダーにとって、最も重要なリーダーシップのスキルの1つとして「権限委譲」が挙げられます。

経験豊富なリーダーの場合、成果を上げるためには、何が必要なのかをよく理解しているため、結果を出すことを優先し自分で仕事をこなし、部下に権限委譲をしたがらない傾向が高いと言えます。

優秀な経営者でも取締役やCXOに上手く権限委譲ができれば、役割分担が可能になり、仕事の効率化に繋がるだけでなく、社長が価値の高い仕事に専念できるようになります。

そこで今回、権限委譲とは、リーダーと部下が成果を上げる権限委譲のコツについて解説します。

■権限委譲とは?
権限委譲とは、企業の目標を達成するために経営者やマネージャーがチームや従業員に対して、自律的に行動するためのパワーを与えることを指します。

権限委譲の特徴は、従業員の自立性を促すことで、個々の状況判断や行動するマインドと責任感を高め、成果を上げることを目的にしています。

経営者であれば、会社経営に必要となる部署別のマネージメント掌握する権限を取締役に分け与えたり、マネージャーに決められた予算の範囲内であれば、自己判断を使う権限を与えることで、組織の生産性を向上と人材育成に繋げる手法を指します。

権限委譲は、英語で「empowerment」(エンパワーメント)と呼ばれ、組織のリーダーや上司の業務権限の一部を部下に与えることを意味します。

これまで、権限委譲というと「delegation」として意思決定権や責任を委譲することを指していましたが、現在の経営における「empowerment」には、個々のメンバーの自立を促すだけでなく、意思決定や行動をマネージャーがコーチング的に支援するといった意味合いが含まれています。

■権限委譲が必要になった背景
現在、日本では、労働力不足が課題とされており、特に若手人材の育成はそれを解決するために非常に重要なポイントとなっています。

VUCA時代では、会社から指示された業務を行うだけでは不十分であり、業務生産性の向上を図るのは難しくなっています。

社内の若い人材を大きく成長させるためには、若手社員に権限を与えて責任感のある業務を任せるということも重要な取り組みになります。

権限委譲は、上司が持つ業務上の権限を部分的に部下へ委ねることで、部下の自己裁量で業務を行うことを可能となるマネジメント手法の一つになります。

最初は、部分的に権限委譲し、一段階難しい意思決定まで含めて業務を遂行させることで、若手従業員を効果的に育成することが期待されています。

不果実性の高いビジネス環境においては、従業員に適切な形で権限委譲することにより、彼らが主体的かつ自律的に業務にあたり、生産性を向上させ、企業の業績向上に貢献して行くことが不可欠なっています。

権限委譲を行って上司から部下へと権限の一部を移すことで、部下の育成とスピード感のある意思決定が可能となります。

■権限委譲のメリット
経営者やリーダーが様々な仕事に「権限委譲」を取り入れることは、多くのメリットをもたらします。

1、社員のモチベーションが上昇し、成長する
「自律している組織」では、各メンバーが「組織のバリュー」=「行動指針」を理解できているため、リーダーがマイクロマネジメントをする必要がなく、本人が自分の意志で仕事をしていると感じることができます。

権限委譲によって上司の権限の一部を与えられるということは、部下の現在の職階よりもワンランク上位の仕事を行うことができるということです。

それは、該当社員の自尊心とモチベーションを高め、結果にコミットする意欲を喚起することでしょう。一段階上の仕事に取り組むことで、これまでにない困難にも立ち向かうことになります。

自立型の組織では、大きな仕事へのチャレンジの過程において、試行錯誤しながら課題を解決していくことで、本人のポテンシャルが開発され、結果的に大きな成長を遂げることに繋がります。

2、自己裁量により社員の目的意識と責任感が出る
組織における「自律している状態」とは、組織を構成するメンバーが自身の業務を自分自身で意思決定して遂行できている状態を指します。

近年では、ティール組織やホラクラシー組織など、「自律分散型」の新しい組織形態が注目を高めています。

「自律している組織」は、リーダーが期初に目標や予算を明確化してしまえば、各メンバーはその目標を実現するために、どんな施策を行うか、どこにどれくらいの予算を使うのか、といったことを自分たちで考え、実行していきます。

個々の社員の当事者意識を強化することは、仕事の精度を上昇させ、ひいては企業全体の生産性を上げることに繋がります。

3、現場のスピーディな意志決定により、市場競争力が増す
競合からの模倣難易度が高く、持続的に発展し続けるブランドを創り上げていくためには、顧客接点施策に一貫性を持ってブランドの価値を反映させられる、社内の仕組みや意識統一が重要です。

市場競争の激化に伴い、商品力やブランド力はもちろんのこと、スピーディで柔軟な顧客サービスが求められる時代です。

ビジネススピードが加速し、様々なブランドの興隆が激しくなってきている中、企業がブランド力を高めていく上では、マーケティング4P「商品・広告・チャネル・価格」と呼ばれるような顧客接点における施策は非常に重要になります。

そういった中、社内決裁のルートを短縮してスピード感のある商談や対応を実現することができれば、企業としてのアドバンテージをまた一つ獲得することになります。

4、コア業務(戦略・マネジメント)に専念できる
経営陣が営業部長に販路拡大の仕事を任せることができれば、営業の仕事のサポートにかかる取締役の工数は大幅に減少します。

例えば、営業の定義を「顧客の現状と理想のギャップを一緒に考え、サービスを通して解決策を提示すること」とするならば、営業にとってのコア業務は商談・提案業務が該当するでしょう。

言葉を換えると、それ以外の業務は必ずしも経営陣が担当する必要がないノンコア業務になります。

取締役がより専念すべきである企画戦略や、全体を通してのマネジメント業務に時間を充てることができるようになり、組織としての生産性が向上します。

5、タレントマネジメントによる人材の適正配置に役立つ
タレントマネジメントを導入することによって得られるメリットとして先ず挙げられるのが、人材の適正配置です。

人材の持つタレントを把握しておくことで、役職に見合った人材を社内から迅速に配置することが可能となります。

権限委譲は、タレントマネジメントの概念と親和性が高く、権限委譲によって開発された社員の能力・才能をデータベースへ蓄積していくことによって、全社的な人材ポートフォリオを創り上げていくことが可能になります。

自分の適性に合った職務に遂行することで個人のタレントや意欲を伸ばすことが可能となります。これは、個人のキャリアアップに沿って育成計画を立てる上でも大変重要です。

権限委譲にコストをかけることが、ひいては社内リソースを最大限に有効活用することに繋がるのです。

■権限委譲のポイント
多くの場合、スタートアップの起業家になったり、大手企業の中でリーダー職に昇進するのは、高い成果を上げた優秀なビジネスマンです。

リーダーが最も陥りがちな失敗として、部下に対して権限委譲した業務に、必要以上に関与し続けることが挙げられます。

リーダーは、一度メンバーに任せた仕事に深く関与し過ぎないようにしないと、せっかくの成長の機会を与えたにも関わらず、マイクロマネジメントをしてしまい、やる気を削いてしまう恐れがあります。

優れたリーダーは、メンバーが必要とするサポートと管理の割合をうまく調整し、バランスを取っています。

つまり、進め方を細かく説明するのではなく、結果に対する責任を委ね、部下が自らの努力により成果を上げる支援をすることに注力する必要があると言えます。

仕事を委任したら、コーチングを行い以下のように進め方や課題などをメンバーから共有してもらいましょう。

・どのような計画や段取りで仕事を始めるのか?
・新しい仕事に対してどのように感じているのか?
・フォローアップと進捗確認のミーティングをいつ行うのか?

これらの質問に対する答えに問題がある場合は、リーダーが関与する必要があるでしょう。メンバーが納得し、適切なアプローチを取っているのであれば、権限委譲を行うことで自律的に仕事をさせることが有効です。

このようにアプローチすれば、メンバーの賛同を得ることができ、能力向上にもつながります。

■まとめ
権限委譲とは、上司が持つ業務上の権限を部分的に部下へ委譲することによって、部下がいちいち上司へお伺いを立てるなどの稟議や裁定が減り、従業員自身の裁量で業務を行うことを可能となる、マネジメント手法の一つになります。

ビジネスシーンでは、上司から部下へ権限委譲することで、部下が自律的に業務にあたることで、企業の生産性向上に貢献するものとしてとらえられている。

権限委譲といっても、業務の立案からクロージングまで一人で行うというのは現実的ではありません。

なぜなら、上司の適度なアドバイスやサポートがあることによって、部下も安心して業務を遂行できるからです。

権限委譲を行う際に重要なのは、部下から助言を求められた時のみ、適切なアドバイスをすることにあります。

社員の現在の能力よりも少し上の仕事をさせること、そしてそれを繰り返すことで、本人のモチベーションを担保しながら、効果的に成長させることができます。

「私たちが目標を達成するには二つしか方法はない。時間を投入して自分で実行するか、他の人に仕事を任せるかのどちらかである。

自分で時間を投入する場合は能率を考え、人に任せる場合は効果を考えるべきである。」

<スティーブン・R・コヴィー>

■最後に
スタートアップの場合、新たに立ち上げた新規事業の立ち上げに必要なシステムの開発や、大手企業の新規開拓など、難易度の高い仕事を任せることができる優秀な経営幹部や正社員を採用することが難しいことが良くあります。

経営資源の限られたベンチャー企業の起業家が得意分野に専念するために、不得手とする領域の仕事をエキスパート人材に「権限委譲」をしたくても、特定分野に精通したプロ人材が社内にいないことが原因になります。

社内に対応できる人材が不足しているケースでは、フリーランスの顧問や特定分野の専門家と顧問契約を締結することで、即戦力となるプロ人材を補うことが可能です。

日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、大手企業で培った知見とスキル、ノウハウを持つ5000人を超える顧問やプロ人材を集結させており、様々なビジネスの課題に対して、高品質かつスピーディーに解決に導くことが可能です。

フリーランスの顧問に委託する仕事の範囲としては、新規事業立ち上げ、新商品開発、マーケティング、営業支援、ファイナンス、海外進出支援、システム開発などITの領域を含めて、様々な経営課題に対応することが可能です。

KENJINSは、課題解決に欠かせない専門分野の知見提供やアドバイスだけでなく、卓越したスキルや人脈を持つ顧問やプロ人材に、期間限定で難易度の高い業務を委託することができる点が最大の特徴になります。

経営戦略の立案・ビジネスの課題でお困り企業様は、複数人の顧問チームでタスクフォース体制を作り上げ、費用対効果の高い実行サポートが可能なKENJINSにお気軽にご相談ください。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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