ソーシャル・マーケティングとは?企業に社会貢献活動が必要な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

近年、環境問題や企業の社会的責任への関心が高まっていることもあり、ソーシャルマーケティングは企業イメージアップのポイントになっています。

ソーシャルマーケテイングは、単なる売上アップのためのマーケティング活動ではなく、企業による社会貢献や非営利的運動の認知を広めていくための手法になります。

最終的にブランドの価値向上を実現することで顧客の創造に繋げることが鍵になります。

そこで今回、ソーシャル・マーケティングとは、企業に社会貢献活動の取り組みが必要な訳について解説します。

「成功には二つの要素が含まれるべきで、その一つは、自分の個性をできる限り発展させることであり、もう一つは、世間に対して何らかの貢献をすることです。」

<エレノア・ルーズベルト>

■ソーシャル・マーケティングとは?
ソーシャル・マーケティングとは、製品計画、価格設定、伝達、分配、および市場調査を考慮し、社会通念の受容性に影響を与えるためのプログラムのデザイン、実行、コントロールを行うことになります。

企業が社会貢献や社会的存在価値を示す広報的活動や、行政機関やNGOなどが活動する上で、従来のマーケティング手法を導入するときに用いられます。

そのため、従来のマーケティングが顧客志向なのに対して、ソーシャル・マーケティングは社会志向になります。

英国ソーシャル・マーケティング・センターによれば、ソーシャル・マーケティングの基準として「顧客志向」、「行動」、「理論」、「洞察」、「交換」、「競争」、「セグメンテーション」、および「メソッド・ミックス」の8つの要素を満たすことが求められています。

■ソーシャル・マーケティングに求められる4つの事柄
1、考え方の変化だけではなく具体的な行動の変容を狙うこと。
2、究極的には社会福祉やソーシャル・グッドの向上を目的に据えること。
3、商業分野のマーケティングの概念や技法を適用すること。
4、強制ではなく自発的な行動の変容を促すこと。

などがその特徴としてあげられます。

つまり、顧客のニーズに合った製品やサービスを買ってもらうためのマーケティングでなく、社会が求めている考え方、理念、行動指針への認知と理解を上げ、社会に浸透させるためのマーケティングだと言えます。

■ソーシャル・マーケティングの歴史
ソーシャル・マーケティングは、これまでに幾つかの段階を経て発展して来ています。欧米におけるソーシャル・マーケティングの沿革について年代を追って概観すると以下になります。

1970年代にコトラーが「ソーシャル・マーケティング」という用語を考案。
1980年代に入ると世界保健機構(World Health Organization)がソーシャル・マーケティングを使い始める。
米国疾病予防管理センター(Center for Disease control and Prevention)もこの用語を使用し始める。

1999年には、ワシントンDCにソーシャル・マーケティング研究所(Social Marketing Institute)が設立される。
2005年にロンドンに英国ソーシャル・マーケティング・センター(National Social Marketing Center) が設立される。
2008年には、英国において第一回世界ソーシャル・マーケティング会議が開催される。

【ソーシャル・マーケティング成長の変遷】
第一段階
営利を目的とした企業が営利活動の枠を超えて環境問題や消費者問題に社会、文化、環境への責任、社会貢献として行った取り組みになります。

第二段階
大学や病院などの各種の非営利組織(NPO)が、目標達成のための効率的なアプローチ方法を求めて、学生、患者、あるいは市民を顧客に見立て、企業が行う顧客サービスの原理を利用するようになりました。

第三段階
それらの段階を経て物理的製品だけではなく、生活習慣や行動パターンなどのソーシャル・プロダクトを扱い、これらの行動をいかにして変容させればよいかについて商業分野のマーケティングを応用するようになりました。

フリップコトラーは、これを「社会変革のマーケティング」と呼びました。

第四段階
現在では、立場の異なるもの同士が相互にどのように関わるかという、共同的な「関係作り」に焦点を当てた「社会理論としてのマーケティング」が提唱されています。

日本では、JTの喫煙マナー広告や、AC公共広告機構の広告キャンペーンなどが、ソーシャル・マーケティングの好例になります。

■ソーシャル・マーケティングの8つの基準
英国ソーシャル・マーケティング・センター)では、ソーシャル・マーケティングに取り組む際に「理論(theory)」と「洞察(in- sight)」の二つを加え8つの基準として示しています。

基準1:顧客志向
ソーシャル・マーケティングでは、専門家だけで問題行動の変容を促すメッセージを作成するのではなく、対象者を中心に据え、フォーカス・グループなどを用いて対象者を深く理解する必要があります。

対象者のニーズを探ることにより行動変容につながる効果的なメッセージの発信を心掛けます。プログラム作成にあたっては、専門家の視点からではなく、対象者の視点から行う試みが、ソーシャル・マーケティング・アプローチの最大の特徴だと言えます。

基準2:行動
ソーシャル・マーケティングでは、行動の変容を目的とし測定可能で特異的な行動目標を設定します。ソーシャル・マーケティングのプロセスは、情報を受けてから行動が生起するまでの間に、

「情報を受ける→理解する→関心を持つ→価値づける→関与の意思を持つ→自分の能力を勘案する→サポートを受ける→行動する」という複数の媒介変数を想定します。

人は知識(知っていること〉や信念(信じていること〉のみに基づいて常に行動しているわけではなく、環境、状況、個人の資源などからも影響を受けることを理解することが欠かせません。

基準3:理論
理論はプログラムの開発過程の一部に用いられ、主に、生物―物理的、心理的、社会的、環境的の4領域に跨る統合的な理論を使用します。

その際、一つの理論に拘る必要はなく、さまざまな理論を統合して用いることが有効です。ソーシャル・マーケティングでは、主に変容ステージ・モデル、計画的行動理論およびイノベーション普及理論などが用いられます。

基準4:洞察
対象者の動機づけについての深い理解を得ることに重点を置きます。

特定の行動に好ましい影響を与える重要な要因を探るためには、大人数を対象とした質問紙調査により幅広くデータや情報を集めるだけではなく、フォーカス・グループなどにより対象者をより深く理解する必要があります。

基準5:交換
対象者が行動を起こすためには、行動を起こすことの「ベネフィット」の知覚が「コスト」の知覚を上回る必要があります。そのためには、対象者が自発的に介入に従事するように対象者に何らかのインセンティブを与えます。

その際、対象者の価値観に配慮し対象者に応じたインセンティブを用意することが重要であり、インセンティブは有形なもの(介入への参加や行動変容に対する報酬など)から、 無形なものや個人の満足感など様々です。

また、問題行動だけに焦点を当てず、 望ましい行動を強化するための方策も講しる必要があります。

基準6:競争
対象者の時間や関心を得ようとする際に、対象者の中で競合する内外の要因について考慮します。

内的要因:願望、リスクテイキングおよび中毒などの心理的要因
外的要因:対象者の関心を引き多くの時間を奪うライバル行動

例えば、子どもの身体活動に対するテレビゲームなどがあるため、これらの要因を除去・抑制するための方策を講ずる必要があります。

基準7:セグメンテーション
対象者を特定の基準に基づいて細分化します。

セグメンテーションの基準としては、人口統計的変数(性別や年齢など)も使用するしますが、それに加え心理的データなどを活用することにより「なにが対象者を動かし、動機づけるのか」について焦点を当てた深いセグメンテーションが可能になります。

対象者の細分化は、全対象者向けの包括的なアプローチではなく、セグメントに応じた個別介入を可能にします。

セグメンテーションには「正しい方法」というものがあるわけではなく、それぞれのケースに応じてセグメンテーションに役立つと思われるデータを模索すれば良いです。

基準8:メソッド・ミックス
一つだけの介入やアプローチに頼り過ぎず、いろいろなメソッドを適切に混合することが有効である.全体的な効果を高め,相乗効果を上げるために他の介入も考慮しながら、マーケティング・ミックスを活用したアプローチを講ずる。

■ソーシャル・マーケティングの進化
ソーシャル・マーケティングが成功し考え方が普及しても、必ずしも実施した企業の存在価値につながらず、企業自身への貢献が不明確になりがちです。

そこで企業の営利活動と直接結びつきながら社会貢献することで、社会的価値と企業の収益を両立する手法として、コーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM:cause-related marketing)が登場しました。

コーズ・リレーテッド・マーケティングとは、企業が自社に関わる社会問題や関心の高い社会問題に関連したNGOと組んで、自社の商品の売り上げの一部をNGOに寄付するキャンペーンやプロジェクトを立ち上げ手法になります。

コーズ・マーケティングでは、結果的に自社の製品、サービスのプロモーションにも繋がることが期待できます。

代表例として、エイボン社の乳ガン研究や患者支援を目的としたピンクリボングッズ販売や、アメリカンエキスプレス社の自由の女神像修復キャンペーンなどがあります。

このコーズ・リレーテッド・マーケティングを、ソーシャル・マーケティングの範疇とする考え方もあります。

■まとめ
ソーシャルマーケティングとは、ビジネスにおけるマーケティングの考え方を社会全体の利益を追求するために適用し、問題の解決を図ることをいいます。

商品やサービスの購入、利用を促すためのマーケティングではなく、社会を良くするための考え方や行動指針などへの認知と理解を広め、世の中に浸透させるためのマーケティングです。

ソーシャルマーケティングには以下の2つの側面があります。

・行政機関の運営や社会変革といった公益のために、従来のマーケティングの発想を活用するという側面
・企業が、社会を良くすることを目指して行う活動という側面

ソーシャルマーケティングが注目されている理由には、災害や環境問題、経済格差、性差別といった社会課題に、多くの人が問題意識を持つようになったことが挙げられます。

情報化時代になり、多くの人が「社会を構成する一員」として企業の行動をチェックし、その社会的責任に目を向けています。

例えば、メーカーの研究開発では、3R「reuse、reduce、recycle」に考慮した製品設計、調達・購買ではグリーン購入に代表される環境に配慮した調達物資を調達する必要も出来ています。

製造部門では社内で取り扱われる化学物質の把握や、CO2排出量削減などへの配慮による環境保全を考慮する取り組みも求められています。

管理部門では環境会計の導入、環境関連情報の発信や社内、企業グループ内での情報共有、社外社会活動といった広範囲が対象になります。

現在、CSR重視の風潮から、「ソーシャル・マーケティング」と言える活動や考え方を取り入れようとする企業が増えています。

「持続可能な開発目標」となる「SDGs」「Sustainable Development Goals」の観点から、今後のCSRの範囲は、経営全体に広がって行くと考えられています。

■最後に
これまで企業がソーシャル・マーケティングに基づく取り組みをスタートするためには、公的機関や大手の民間企業との提携、マス・メディアの利用、流通チャネルの確保など莫大な費用が必要でした。

しかし、インターネットなどの情報技術の急速な発達により、ソーシャル・メディアのtwitterやオンライン・ビデオのYoutubeを誰もが無料で活用できる時代に変化しました。

これにより、ウェブサイト上での事前調査、情報発信、対象者募集およびキャンペーン評価など新しい形でのプログラム展開が可能となっています。インターネットを最大限に活用することにより、 現在では必ずしも大規模な予算は必要なくなってきていると言えます。

そのため、中小企業やベンチャー企業においてもソーシャル・マーケティングを応用する機会が増加することが予想されており、企業の成長にSDGsの取り組みも必要に不可欠になっています。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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