スタートアップの起業家は、成長ステージごとに、それぞれの時期を成功裏に乗り切るための能力や人材の要件を知り、全てのフェイズに関与し、自分が直接コントロールしなければ済まないという考えを捨てることです。
なぜなら、起業家がスタートアップから急成長期に入り、それが成功するか否かは、起業家の「成長ステージ対応力」で決まると言っても過言でないからです。
企業が成長を遂げていく過程には、大きく分けると4つのステージがあり、どの成長ステージにあるかによって、当然ながら課題や組織状態が異なります。
企業の成長にはライフサイクルという成長段階があって、ライフサイクルのタイミング毎に適した施策を打たないといけません。
それは、「創業期(起業期」「成長期(拡大期)」「成熟期(安定期)」「衰退期(再成長期)」です。
創業期のベンチャー企業と何十年と事業を続けている大企業では行うべき経営施策はことなります。
しかし、どんな大企業も創業期の段階を経て大企業にまで成長しているため、創業期は現在とはまったく別の経営の仕方をしていたはずなのです。
「大きな山を登った後にだけ、人は更に登るべき沢山の山があることを見出す。」
<ネルソン・マンデラ>南アフリカ共和国の政治家
■スタートアップの成長ステージ
成長ステージとは、ビジネスにおいてベンチャー企業が創業し、事業を開始してから成長、拡大して軌道に乗るまでの段階を意味します。
スタートアップの場合、大きく4つのステージに分けて呼ばれ「シード」、「アーリー」、「ミドル」、「レーター」があります。
1、創業期(起業期)
会社の設立・稼働から間もない時期。シードの段階では、市場調査等に基づきビジネスプランを作ると同時に、試作品(β版)を作るなどしてサービス開始の準備をします。
起業家1人で進める場合もありますが、数人の初期チームが形成されることもあります。
ビジネスモデルや技術力はあるものの、実行する人が足りていない状態。「事業開発」「戦略企画」などの経験者を求めます。
このタイミングでポイントになるのが、いかに会社を成長フェーズに乗せるのかということです。
事業活動の核は「事業計画」と「経営チームビルディング」であり、説得力ある事業計画を立てるための研究開発や市場調査、そして最適な経営チーム作りが重要になります。
社長や経営陣の「経営理念」に共感し、彼らと同じく情熱を持って推進できる人がフィットします。仕組みやルールを一から自分で作り上げたい人にも向いています。
2、成長期(拡大期)
組織の基礎と事業の方向性が固まり、成長を図る時期。サービス開始後、しばらくはアーリーステージと呼ばれます。
これが何年続くかは千差万別ですが、IPOを目指すならば1~2年以内には留めたいところでしょう。売上げはビジネスモデルにもよるので一概には言えませんが、従業員数は10人内外が1つのめどになります。
事業が軌道に乗り始め、さらに本格的に進めていく時期になります。
サービスの充実や売上を拡大させるために、設備投資の追加や人材のさらなる確保が必要になる。売上が急拡大し、固定費を上回っていくため、利益が出始めます。
マーケット拡大を担う「マーケティング」「営業・販売マネジャー」を求めます。競合が増える前に一気にシェアを獲得するため、スピード感を持って推進できる人が求められます。
成長期の段階で特に注意しなければならないのが組織の在り方です。
幼年期は少ない社員のマネジメントで済むため社長のマンパワーでも組織を管理できますが、成長期になり会社の規模が大きくなっていくにつれ、社内に管理職層が必要になります。情報をどのように管理するのかにも気を使わなければなりません。
組織や仕組みを整える時期でもあるため、「経理・財務」「法務」「人事」「広報・宣伝」「購買/調達」「物流」などのスペシャリストも必要になります。
IPOを目指す企業では「CFO」「IR」などのニーズもあります。ストックオプションなど、大きな収入を狙う人にはチャンスが多いといえます。
3、成熟期(安定期)
成長が踊り場にさしかかった時期。順調に成長した場合、次に来るのがミドルのステージです。順調に成長し、ベンチャーキャピタルなどに高く評価されるビジネスであれば、この段階でさらに資金の提供を受けます。
従来の機能や業務フローを大幅に見直す必要が生じます。この段階では明確にIPOを目指すことが増え、業容はさらに拡大していきます。
また、IPO以外にも売却などでエグジットすることもあります。
課題視されている部門・分野についてはマネジメント人材の入れ替えを図るケースが見られます。
ビジネスモデルや組織が確立し、経営が安定する時期になります。
フリーキャッシュフローも黒字化し、累積の損失も一掃出来ている状態であり、成熟期におけるメインテーマは業務改善と生産性向上です。成長期は売上や利益が伸びる半面、組織に無駄が多かったりコンプライアンスに問題が発生したりするケースがあります。
「売上増は七難隠す」と言いますが、成熟期になると成長によって七難を隠すことが困難になります。
新たな収益源を確保するため新規事業に乗り出す場合、社内にいない専門知識を持つ人材、異業界出身者を迎えます。これまで築いたブランドや資金を活用しながら、新しいビジネスの立ち上げにチャレンジできる可能性があります。
4、衰退期(再成長期)
IPOをどのタイミングで行うかは、戦略や資金需要次第ですので、必ずしも拙速で行う必要はありません。
ただ、競争戦略上、早期の市場地位確立が必要な場合などは、IPOの要件さえ満たせるならば、IPOで資金を調達し、市場拡大や競争力強化のための投資を行うことが少なくありません。
また、主力事業の業績が悪化している場合には、撤退や事業売却なども視野に入れつつ、抜本的な事業再編・組織再編に取り組む時期。思い切った改革を担う「ターンアラウンドマネジャー」を求めます。
会社の立て直しに貢献するやりがいを感じられるほか、再建を成功させることで注目を集め、人材価値を高められるチャンスがあるといえるでしょう。
衰退市場での残存者利益を狙ったり、事業から収益をあげつつ撤退したりするのは非常に難しいので、利益が発生しているうちに次の収益の柱を立ち上げた方が良いでしょう。
■まとめ
以上が大まかな傾向ですが、もちろん当てはまらない場合もあります。
成長ステージと似た概念として成長指標を示す「シリーズ」があります。シリーズは成長ステージと同じく企業の成長段階を意味しますが、主に投資側から見た資金の段階分けとして使われます。
成長シリーズのそれぞれの段階に対応したシリーズがあり、シードステージでの資金が「シードマネー」、アーリーステージについては「シリーズA」、ミドルステージについては「シリーズB」、レーターステージでは「シリーズC」となります。
それぞれのシリーズは、ベンチャー企業が成長、拡大するにつれて、株式の時価総額や資金調達の金額も段階的に増えることを意味しています。
スピードが速く、創業してすぐ成長期に入る企業、1歩2歩先のステージを見越して採用を行っている企業など、イレギュラーな進み方をする企業もあります。
成長路線の先において、取引先や金融機関に第三者割当増資を行ってIPOを目指すか、非公開のままビジネスの活性化につなげるか、投資を諦めて売却するかなど、何が自社の戦略において最も重要なのか総合的な判断が必要になります。
経営者が使える時間は限られています。限られた時間の中で会社の経営状態を正確に把握し、適切な経営判断を行うためには、幼年期から仕組みを作り、管理システムをどのように使いこなすのかが重要なテーマになるのです。
ベンチャー企業の成長ステージにおける必要なポイントを理解し、出口戦略を考慮しつつ実施することが重要です。
■最後に
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