国際競争が増す中で、新たな価値を生み出すためにはイノベーションの創出が欠かせません。
そんなイノベーションを起こす上で注目されているのが、組織や個人の課題に本質的な解決をもたらすといわれる「U理論」です。
そこで今回は、U理論とは何か?U理論の意味や注目される背景、U理論のプロセスから実践方法、U理論がイノベーションと課題解決に繋がる理由について解説します。
■U理論とは?
U理論は、「過去」を分析しその延長線上に変革の「答え」があると考えるのではなく、個人やチームの「意識」が生み出す「出現する未来」という直感的・感性的な「結論」を手掛かりに変革を導くためのものです。
個人、組織、コミュニティー、社会における変容・変革を導く7段階のプロセスを理論になります。
U理論は、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン校の経営学部上級講師、オットー・シャーマー博士によって提唱された、新たな現実を生み出すための理論です。
オットー博士は世界中のリーダーへのインタビューや、イノベーションの仕事を通じた経験を調査し、組織や集団がイノベーションを起こすために、どのように リーダーシップ能力を開発するべきかを目的とした理論でもあります。
結論に至るまでのプロセスがUの字に似ていることから、U理論と名付けられたと言われています。
また、U理論はイノベーションの創出だけでなく、個人や組織、社会など幅広い枠組みで、共通した変容と創造のプロセスを生み出すことも可能です。
日本では、組織進化プロセスコンサルタントの中土井僚氏が翻訳を手掛け、U理論を基にした同氏のコンサルティングにより、業績低迷や風土悪化に苦しむ数々の企業がV字回復を果たしています。
このU理論は単なるフレームワークの提示に終わることなく、個人・集団が実行できる実践的なプロセスを紹介しており、すぐに実践が可能です。様々な要因が絡み合った課題に対して、必要不可欠といわれるリーダーシップと新たな集合意識を向上させる効果が期待できます。
U理論は7つのプロセスで実践し、感覚的な「何か」を得て、行動することが前提となります。
この感覚的な「何か」はそれまで持っていた知識や経験などを一切手放すことから生まれるため、商品開発や斬新なアイディア、考え方の創出につながります。
■PDCAとの違いは?
ビジネスマンであれば、一度は聞いたことがあるPDCAサイクルは計画・実行・評価・対策を柱とした業務改善のための手法で、さまざまなビジネスシーンで取り入れられてきました。
このPDCAサイクルは仕事を行なう上でとても重要な作業であり、業務改善だけでなく、売上向上や問題解決などにも貢献しています。PDCAサイクルは過去の計画と実行を評価し、対策を行なうプロセスを辿るため、「過去からの学習」と定義づけることができます。
一方で、U理論は過去から理由や正当性を学ぶのではなく、瞬間的・感覚的に生まれる「何か」を即興的に実現していく「出現する未来からの学習」と定義付けています。
PDCAサイクルのように過去を分析し、アイディアをひねり出すことで解決可能な問題や課題は本来の努力で解決できるものといえます。
しかし、 イノベーションは、過去の延長線上にない現象であるからこそイノベーションと呼ばれるものであり、そもそも「過去からの学習」であるPDCAサイクルでは起こすことができないと考えられます。
■U理論が注目される背景とは?
私たちは世界規模で、環境問題の悪化、終わりなき飢餓と貧困、テロと戦争、コミュニティーの崩壊など誰も望んでなどいない現実が生み出されていることが明白なのにもかかわらず、なかなか軌道修正がかけられないという社会システムの機能不全の時代に生きています。
社会、経済、環境、精神性など至るところで人間が健全に生活を営む上での基本的な基盤が揺らいでいます。新たな実践的なアプローチであるU理論が注目されている理由は、主に2つあると考えられます。
■イノベーションを生み出すための画期的な理論
経済がグローバル化する中で、国際競争が激化しており、企業は消費者に新たな価値を提供するイノベーションを生み出す必要があります。しかし、イノベーションは今までの考えややり方では到底生み出すことができません。
そこで、従来の考え方や判断基準を一切捨て去る視点が必要となり、フレームワークのような概念ではなく、実践的な手法が求められるようになりました。
U理論は、今まで主流であった過去からの学習や経験則に基づいたアプローチではなく、感覚的・瞬間的に感じ取った「何か」を即興的に行動に移すという全く新しいアプローチとして注目されています。
■リーダーシップの根源に迫る必要性
経済活動範囲が国内だけに留まらず、海外までに及ぶ日本企業が増えています。そのため、グローバル基準で物事を考え、行動に移せる新たなリーダーシップを持った人材の育成・獲得が必要とされています。
前述で触れたように、これからの時代は新たな価値を提供するイノベーションを生み出さなければなりません。
そして、このイノベーションを生み出すためにも、今までにない優れたリーダーシップを発揮するリーダー像が求められます。
U理論において、適切なリーダーシップを発揮するためには、リーダーシップの根源(盲点)を見極める必要があります。さらにこの盲点は社会的相互関係の中にも存在しているといわれており、社会を取り巻く課題や問題解決に有効とされています。
つまり、企業や社会が抱える課題を今までにない方法で解決するためには、過去の判断に囚われない新たなリーダーシップの根源を知ることが欠かせないと考えられます。
■U理論によるメリットとは?
現在の世の中は、複雑性が高く、予測の難しい課題に満ちています。こういった課題を解決し、ありたい変容を起こすためには、必要な心構えがあります。
それは、非常にあいまい且つ不確実な状況を許容し、失敗を恐れないことと、不可能だと思われることを試みる覚悟です。
そして、「何をどうやるか?」ではなく、「その行動をどこからやるのか?」ということです。「どこから」というのは、行動の基点にあたるもので、一つの答えは「源(ソース)を基点にやる」ということになります。
源(ソース)を基点に行動しているトップリーダーの共通点として、どんな場面でも「何者としてその場にいるのか?」という「あり方」が体現されているということがあげられます。
U理論を実践することは、イノベーションの創出や新たな課題解決方法を見出せるだけでなく、個人の思考や人間関係が改善するメリットがあります。
■自らの思考を変化させる
U理論はイノベーションを生み出せる画期的な理論ですが、人間関係や業績不振、メンタルヘルスにも効果的とされています。ビジネスにおいて、合理主義、論理的であることは必然といえます。
しかし、チームや組織で仕事をすることが多いビジネスでは、感情を起因とする問題や課題なども多く生じます。
社員のモチベーションや職場の人間関係、さらには業績においても合理的・論理的な方法では解決できないことが珍しくありません。これらは人間の感情に深く結びついており、感情に起因する「何か」を根本的に解決しない限り、真の解決は得られません。
U理論はPDCAサイクルのように「過去からの学習」ではなく、感覚的に得た「何か」を即興的に実現していく「出現する未来からの学習」のため、合理的・感覚的に解決できない事象の解決に役立つことができます。
これは自分の中に存在する恐怖や不安、困惑といったさまざまな感情を完全に手放し、新しい「何か」が自分の中に生れ落ちることを意味します。そのため、感情に起因するさまざまな問題や課題において、画期的な解決策が生まれる可能性が高いといえます。
■幅広い人材に適用が可能
会社にはさまざまな能力やポジション、職種を持つ社員たちが在籍しています。そのため、社員のレベルに合った教育・研修を行なうことは至極当然であり、合理的といえます。
しかし、U理論は職種やポジション、経験に関わらず、全ての人たちのパフォーマンスを最大化することが可能です。個人はもちろん、チームや組織、社会といった枠組みでも「内面のあり方」を探ります。
そのため、個人の変容はそのまま組織の変容につながり、人材育成やチーム力の向上に高い効果が得られるとされています。U理論は経営者から現場の社員まで、一人ひとりの内面の変容を生み出せる全く新しい人材育成方法といえます。
■人間関係が劇的に変化する
U理論の実践方法の中に、「感じ取る」というプロセスがあります。このプロセスは、人間関係の構築や改善に効果的です。この「感じ取る」というプロセスは、「他人の目から自分がどのように見られているか」ということを得るプロセスを指します。
さまざまな問いかけを通じて、相手の立場を知り、知り得た言動から自分がどのように変容すべきかを可能とします。
人間関係の構築や改善には「自分から変わる」ということが大事といわれていますが、U理論はその方法を「感じ取る」という具体的な実践方法を提示してくれています。
つまり、過去の延長線上から知りえた行動を実践するのではなく、現場で感じ取った「出現した未来」を即興的に行動することで、人に対する全く新しいアプローチが生まれるとされています。
その結果、最悪の人間関係も良好な関係に改善できたという事例も紹介されています。
■U理論の7つのプロセス
U理論を実践するためには、7つのプロセス(Uプロセス)を辿る必要があります。そのプロセスがUの字に似ていることからU理論と命名されたといわれています。
これら、7つのプロセス(Uプロセス)を理解し、実践することで今までにない変容を生み出すことが可能です。
第1プロセス:ダウンローディング
第1プロセスの「ダウンローディング」とは、過去の知識や経験が枠組みとなっている状態を指します。U理論では、この過去の経験を再現することから始めます。
この状態は過去の考えや意見に焦点があっている状態と考えることができます。問題・課題に対して、個人や組織が過去の経験上からどのように捉えているかを落とし込む作業がダウンローディングといえます。
ダウンロードとは、ネット(クラウド)やディスク媒体などの「大元」に格納されているデータを手元のPCなどに「移転」することです。それは「すでにある過去のデータ」を移すだけの行為ですが、大元のデータを更新しない限り、データは新しくなりません。
人間で例えれば、人の脳や意識が「大元」の部分です。「大元」が変わらなければ、人も同じことを繰り返しがちです。
ダウンローディングの段階では、自分たちが過去のパターンにはまり込んで同じことを繰り返していることに、気づけていません。変革とは、現状を変えて、新しいことを生み出していくことです。
「現状維持でOK」「過去のパターンのままでいい」と考えていたら、そもそも変革は起きようがありません。
第2プロセス:観る
第2プロセスの「観る」では、ダウンローディングで明らかになった過去の経験や枠組みが基となった判断を保留し、新たな視点で対象を観ることを指します。
先入観、不安、困惑、プライド、恐怖などは過去の経験や枠組みから生み出されるものです。これら全てを保留しなければ、第3以降のプロセスを辿っても理想とする答えを得ることができません。
ダウンローディングで明らかにした枠組みから離れ、問題や課題などの対象をつぶさに観察する作業を指します。
過去の慣習で繰り返されている不正は、組織内では「常識」となって「見てみぬふり」をされています。それが内部告発によってマスコミにリークされると、組織は蜂の巣をつついた騒ぎとなります。
この段階になって「センシング・モード」になります。
「観る」とは当事者の立場をとり、その状況を正確に把握するために意識をしっかり問題に向けることです。
第3プロセス:感じ取る
第3プロセスの「感じ取る」は第2プロセスで行なった「観る」とともに、「何か」を得る作業を指します。このプロセスでは、問題や課題が生じている現場から直接肌で感じ取らなければいけません。
人間関係に問題や課題を抱えている場合は当事者との直接対話を通して、「何か」を得ます。組織やチームであれば、集団の中に入り込んで、盲点となっていた「何か」を感じ取ることが大切です。
シャーマー博士は、 「感じ取る(Sensing)」段階で、「視座の転換」の重要性を説いています。「視座の転換」とは、「自分」ではなく「相手の立場」から観ることです。または、「今のいる場」からではなく「今いる場の外」から「今いる場」を観ることです。
第4プロセス:プレゼンシング
第4プロセスの「プレゼンシング」とは、個人の枠組みを超えて、共振する「何か」が生まれる源に辿り着く段階を指します。
ここで生まれる「何か」こそが、画期的なアイディアや個人のビジョン、新たなリーダーシップのあり方、活力溢れる行動意欲、自己受容感の高まり、チーム・組織の一体感、共感的な合意形成、共創ビジョンなどにあたります。
「プレゼンシング」は、「U理論」の真骨頂のステージです。「真正の自己」を前提条件として「大いなる源」(ソース)につながることで、人は過去を超越する「大いなる答え」を導き出すことができます。
変革について話し合いが行われます。会議は何度も行われます。不毛だと感じる会議が重なり、ある人は投げやりになり、ある人は他人にくってかかり、ある人はそれをなだめ、混沌とした状態になります。
そんな時、あるひとり人の発言で、場の雰囲気が一気に変わり、エネルギーが高まり、突如として、あるひとつの方向へと話しがまとまっていくことがあります。
こうした普段とは違う意識状態になり、自分たちが予想していなかった質の高い「よりよい場」が生み出されるのが「プレゼンシング」の段階です。
第5プロセス:結晶化
第5プロセスの「結晶化」とは、第4プロセスの「プレゼンシング」で生まれた「何か」を言語化させる作業を指します。主にビジョンや意図を言語化する作業が中心となります。個人や集団に共有できるレベルまで言語化する段階でもあります。
結晶化の段階は、プレゼンシングの状態から、より具体的な「何か」に落とし込もうとする作業段階です。「プレゼンシング」で底打ちをしたら、今度は、「実践」に向けて図の右側のベクトルをかけあがっていきます。
製品・生産チームであれば、商品のラフ・スケッチを書いたり、経営陣のチームであれば「ビジョン」を言語化しようとするでしょう。
ここでポイントになるのが、「結晶化」(クリスタライジング)の作業になっても「源」(ソース)とのつながりを断ってはならない点です。「出現する未来」を基盤として「結晶化」は行われます。
第6プロセス:プロトタイピング
第6プロセスの「プロトタイピング」では、個人または集団が迎え入れたビジョンや意図を具体化し、第4プロセスの「プレゼンシング」で生まれたインスピレーションやアイディアを具現化する作業の段階です。
この段階では、完全に形にする必要はなく、迅速な実行と実験を繰り返す作業を重視します。
そのため、数々の失敗も予想されますが、失敗を怖れずにどんどんプロトタイプを作り出すことが大切です。
U理論の7段階のプロセスは、その都度、その都度何度も行われる「点」でもあり、その「点」が結びついていくことで、より大きな7段階プロセスの線を描くことになります。
Fail Fast(早く失敗せよ)。この言葉を信じて、トライし続けることで、ビジョンは形になっていきます。
第7プロセス:実践
第7プロセスの「実践」は、これまで行なってきた全体のプロセスで生み出した新たな方法や取り組み方、仕組み、習慣を実現する段階となります。
第6プロセスの「プロトタイピング」で形成したものよりもさらに完成度が高まり、世の中に提供していくこととなります。
製品開発であれば、商品を市場に投入し、販売を開始することです。生活者に自社の製品を届けることです。シンポジウムの開催であれば、本番を迎え、終わらせることです。
そして「打ち上げ花火」に終わらないように、次につながる仕掛けをしておき、何らかの「連鎖」が起きるようにしておくことです。
「U理論」における「実践」は、宇宙の壮大な計画の一部であるという認識を持つこと。自分たちの実践が、宇宙とまでいかないまでも、地球に対して常に持続的に影響を与えるのだと自覚すること。
★組織変革を起こすU理論の実践方法とは?
U理論を大きな3つのプロセスに分けると1.センシング、2.プレゼンシング、3.クリエイティングになります。
センシングは、「ただ、ひたすら観察する」、プレゼンシングは、「一歩下がって、内省する。内なる知(ノウイング)が現れるに任せる」、クリエイティングは、「素早く、即興的に行動に移す」となります。
U理論はイノベーションの創出以外にも組織変革などの企業経営に役立てることができます。ここでは組織変革を目的としたU理論の実践方法をご紹介いたします。
1、外的な状況に対する本質的な変化をもたらすためレバレッジポイントを内面の変容に置く
通常、問題の解決や状況の改善を図る上で、行動を変えようとしたり、仕組みや制度の変更によって解決を図ろうとしたりします。
しかしながら、そうした施策は問題の先送りに留まることになったり、表面上の行動は変わったように見えても、主体性は生まれず、より責任の所在が不明確になったりして、本質的な解決に至らない事態に終わることは少なくありません。
U理論においては外的な状況に影響を与える施策や行動は、個々人の内面から生じているものであるという観点に立脚し、内面の変容に基づくイノベーションの実現を重視しています。
2、内面の変容を外的な変化へと繋げていくための道筋とその実践手法が体系化
カウンセリング、コーチング、チームビルディング等、個人や集団における内面の変容を促進する手法は数多く存在しています。
しかし、その変容を外的な状況を変えていくための施策や構造の創出につなげていくための具体的な指針は乏しいままになっていました。
また、内的な変容のための各種手法を状況に合わせて組み合わせたり、応用を利かせたりするための指針や共通言語となる理論は少なく、一般化されているとは言い難い状況が続いていました。
U理論は目に見えづらい内面の変容はどのように促進され、それをどのように外的な施策へと繋げていけばよいのかの原理・原則が描かれています。
3、内面の状態に対するメタ認知を図りやすくなり、その都度、自ら変化を働きかける
内面の状態は刻一刻と変化し、人はその都度、自覚を伴っているか、いないかに関わらず、何かしらの働きかけを外的な状況に対して行っています。
その瞬間、瞬間の内面の状態の質を高めていくことで、外的な状況に対するインパクトを肯定的なものに変えていくことができます。その内面の質の向上をあらゆる場面において可能にするために、U理論ではその内面の状態を4つのレベルに区分しています。
4つのレベルに照らして、今の自分の内面の状態をメタ認知(自分の認知状態自体を認知する)できるようになることで、自分に今、求められている意識変容が何かを理解しやすくなります。
また、U理論の中では次のレベルに移行するためのポイントも明示されているため、訓練次第によっては、実際の変容を自ら起こせるようにもなります。
4、自分が当事者となっている問題の解決の糸口となる
問題が生じていることは明白で、その解決が図られなければ、致命傷に至るとわかっていても、有効な打ち手が打てていない、状況の悪化が止められないといった状況が継続していることがあります。
そのような場合、その問題意識を抱いている当人自体がその問題の当事者になっている、すなわち、問題の原因の一部を担っているケースが多々あります。
人は誰しも自分のことを他人が見ているようには見ることができないために、自分自身がどのように問題の一因となっているのかに気づけないまま、問題解決に挑もうとしてさらに問題を加速させるということが起こりえます。
U理論はそうした自分自身が当事者となっている問題というものが存在していることを示唆し、その解決のための糸口を示しています。
5、個人、1対1、チーム、組織、社会のあらゆるレベルに対する実践が可能
U理論は問題症状が個人、1対1、チーム、組織、社会のどのレベルによるものであったとしても、応用が可能なものになっています。
レベルに応じて、具体的な実践手法は変わってくるものの、原理原則は普遍的なものであるため、解決に向けたヒントを得ることができます。
■プロトタイプ化で実践
組織変革や社内風土、社員の意識改革に短期で最大の効果を発揮するような夢の施策はありません。そのため、U理論で感じ取った「何か」(アイディアやインスピレーションなどソースの源)を即興的にプロトタイプ化し、実装することが大切です。
組織変革や社員の意識改革において、前例のない施策を断行したことにより、劇的に改善したという事例は数多くあります。
これらの事例は完璧に作り上げた施策を実装したことで功を奏したというよりも不完全な段階で実装し、それを完成系へと実体化させていった結果といえます。
U理論で生み出された解決策は、過去の延長線上にない特徴を持っています。そのため、完成度にこだわるのではなく、新たな方法や習慣のプロトタイプ化を迅速に行い、実践していくことが大切です。
■まとめ
u理論を読み解く上で出てくるワードのひとつが「出現する未来」。これは、理論を知る前であれば自分とは関係なく突然目の前に現れる(開かれる)未来と、受動的に受け取られがちです。
U理論では、画期的なイノベーションや劇的なパフォーマンスの向上を生み出す上での肝は、「何をどうやるのか?」という「やり方」にあるのではなく、「その行動をどこからやるのか?」という「行動の源(ソース)」にあると説いています。
この「どうやるのか?」ではなく、「どこからやるのか?」という着眼の転換そのものが、U理論の最大の独自性であり革新的な考え方になります。
新たな価値の創出が求められているといっても、企業にとって、イノベーションの創出や新たなリーダー像の構築することは決して容易なものではありません。
また、組織変革や社員の意識改革においても時間的・金銭的に多大なコストがかかります。それらを無駄にしないためにも、個人や集団、コミュニティー、さらには社会に変容を生み出すU理論の実践は、まさに理想の方法論であると言えます。
■最後に
終身雇用が崩壊し、「人生100年時代」が到来した今、サラリーマンとして1つの会社だけに所属することを希望するビジネスマンが少なくなりました。
フリーランスの顧問やプロ人材になり、自営業として複数のクライアント企業と顧問契約を結んで、働くことも新たな働き方の選択肢の一つになりました。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、正社員として会社に縛られることなく、顧問料をベースに自由に働くことが可能なフリーランスやパラレルワーカーとして働く、顧問やプロ人材の仕事獲得のサポートを行っています。
複数の会社のプロジェクトに自らの意志で参画することができますので、U理論の原点である個人やチームの「意識」が生み出す自分の生き方に合った働き方やワークスタイルを選ぶことが可能です。
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