優秀な社員が獲得出来なかったり、エース社員が辞めてしまった時は、徹底したプロ意識を持ち成果にコミットする「外部人材シェアリング」を活用することで、人的なボトルネックを解消することができます。
ですが、外部人材シェアリングを活用し、人手不足を解消する方法が分からない会社も多いです。
そこで今回、外部人材シェアリングとは何か、即戦力のプロである外部人材の効果について解説します。
「世に材なきことを憂いず、その材を用いざるを患う。大識見、材気の人を待ちて、群材始めてこれが用をなす。」
<吉田松陰>長州藩士、思想家、教育者
■外部人材シェアリングとは?
外部人材シェアリングとは、関連のない複数の事業会社が、他での雇用の有無に関係なく、それぞれの裁量で特定の知識やスキルを有するフリーランスに業務委託で難易度の高い仕事を依頼することです。
その対象としては、フリーランスの個人事業主だけでなく、兼業で仕事をするパラレルワーカー、本業のある副業人材も含まれており、エージェントが契約元になり個人と個別に業務委託契約を締結し、専門スキルや能力、人脈、ノウハウを活用できる仕組みのことです。
多くの大手企業でも副業が解禁された今、兼業のパラレルワーカーを活用する動きも、「外部人材シェアリング」の手法の一つに位置付けられています。
基本的に一人の人材を2つの事業会社以上が共有する形になるため、雇用形態や就労形態は、正社員、週1日の契約社員、業務委託など、それぞれの事業体での業務内容に応じて異なります。
即戦力となる優秀な高度人材の誰を選び、どのような課題解決に活用するかは、それぞれの事業会社の裁量となります。
■高度技能人材の不足について
中小企業庁によれば、2025年までに、後継者不在を理由に、黒字、高収益企業であっても、中小・小規模企業全体の3分の1に相当する127万社が休廃業のリスクに晒されると試算しています。
すなわち、中小企業では、少なくとも127万人の経営管理に携わる人材が不足しているのです。
また、IT人材については、IT産業のみならず、業務の高度化や効率化、ITを活用した生産性向上など、幅広い分野で必要とされることから、今後、人材不足が加速する見込みです。
経済産業省の人材活用の新潮流・人材シェアリングレビューによれば、IT人材は、2020年時点で、既に30万人不足しているとみられる。
年間の供給力は1万人程度と考えられるが、需要は2.3万人ずつ増えることが予想され、2030年には158万人の総需要人数に対して、約45万人の不足となることが見込まれています。
スキル別にみると、デジタル技術の進展に伴い、IoTや人工知能(AI)などのデジタル技術を担う「先端IT人材」の不足数は年々増加し、2030年には、2018年の14倍に当たる27万人に達します。
「従来型IT人材」についても、需要が大幅に減少するとはいえ、2030年時点で18万人の不足が予想されているのです。
■人材活用の新たな潮流
多く企業でデジタルトランスフォーメーション人材やAI人材など、高度人材の需要が大きく伸びる一方で供給力が限られる中にあります。
地域経済、日本経済の持続的な成長を実現するためには、正社員人材を雇用したり、高度人材を囲い込む形では、採用が難しい時代になりました。
ニーズに合わせて企業や様々な組織で人材を共有すること「外部人材シェアリング」の導入が不可欠であると考えられています。
「ワークシェアリング」とは、組織、業種、地域といった既存の枠組みを越えて複数の事業体が、人材、なかでもIT技術者、企業経営者、マネジメント経験者といった高度人材を共有(シェアリング)することです。
これまでも、ワークシェアリングと類似した企業間の人材共有は皆無であった訳ではありません。
従来は、取引関係や連携関係など特定の枠組み内で、事業体同士の契約のもと、一方の事業体が自らの従業員を他方の事業体へ派遣や出向させる、あるいは共同事業に参画させるという形態が一般的でした。
この場合、雇用主である事業体と出向先、派遣先、あるいは共同事業体の二つの組織間で、人材を共有するに過ぎません。
■外部人材シェアリングの期待される効果
「外部人材シェアリング」に期待される効果としては、人材不足の緩和に加えて、以下の4点になります。
1、効率的な人材活用
優秀な外部人材を受け入れる事業会社は、半年、あるいは週1日や月3日など、ニーズに応じて期間限定や日数、時間単位で高度人材を確保し、その知識やノウハウを特定事業や業務に集中的に投入できます。
これにより、専門事業者に委託する場合や既従業員が知識、技術、ノウハウを習得し対応する場合に比べて、効率的な業務遂行が期待できます。
副業人材を複数人活用している福山市(広島県)によれば、同様の事業を業者に委託した場合に比べ、費用対効果が2.5倍になったそうです。
2、従業員の成長
「外部人材シェアリング」を積極的に導入している事業会社においては、正社員とは異なる社外の高度人材を受け入れることにより、彼らが有する知識やスキルが伝授され、既存の従業員のレベルアップを図ることができます。
さらに、異なる事業体の人員が共同で作業に当たることにより、従業員間のコミュニケーションが活発化したり、多様な人員を受け入れる企業風土が招来されたりすることが期待できます。
一方、「外部人材シェアリング」の人材を送り出す事業会社でも、高度人材の知識・スキルの向上やマネジメント力、コミュニケーション力などの強化に加え、高度人材が得た新たな能力が他の従業員に還元され、従業員全体のレベルアップにつなげることも期待できます。
パーソル総合研究所が、副業・兼業を解禁している企業を対象に実施した調査によれば、50%の企業が「モチベーションの向上」、「スキル向上」、「生産性の向上」といった従業員の成長を実感していたそうです。
3、イノベーションの促進
「外部人材シェアリング」による高度人材を通して、社外の知識やスキル・ノウハウを取り込むとともに、他の従業員のモチベーションやスキルを向上させることで、技術開発や新規事業の創出の促進が期待できます。
すでに副業・兼業を解禁している事業会社、中でもIT関連企業やメーカーでは、「副業解禁は人財版のオープン・イノベーション」と位置付けるコニカミノルタのように、イノベーションの創出を重要視する企業が多いです。
パーソル総合研究所の調査では、「新規事業の創発(イノベーションの拡大)」を実感する企業が45%となっています。
4、ネットワークの拡大
既存の取引関係や提携関係に捉われずに人材を共有するため、「外部人材シェアリング」を通して、取引先や提携先のネットワークを拡大させることが可能になります。
また、ネットワークの拡大によって、異業種間で新たな連携関係が生じ、そこから新技術やビジネスが誕生することも期待できます。
福山市では、副業人材を通じて、大学や域外企業および海外の人材とのネットワークが構築され、新規事業の創出や海外への情報発信など、具体的な成果がでてきたとしています。さらに、「外部人材シェアリング」は、日本国経済の持続的な成長に貢献することも期待できます。
まず、「外部人材シェアリング」により個々の事業体において事業の継続や生産の効率化などが図られることで、地域の産業基盤の維持、強化がもたらされ、地域経済の再生、活発化、ひいては日本経済の成長へとつながる可能性があります。
また、オープン・イノベーションにおいて、企業や業種の枠組みを越えて様々な高度人材が集結することで、イノベーションの加速や、想定外の新技術、新産業分野の創出が期待できる。
このほか、介護や貧困などの社会問題についても、社会福祉関連の事業体以外の人材が関与することで、新たな視点が加わり、課題解決に向けた手法(社会的イノベーション)が創出される可能性もあるのです。
■まとめ
高度人材不足が地域経済に深刻なダメージを及ぼすことが懸念されるなか、「外部人材シェアリング」は人口減少に向かう様々な業界の事業会社にとって有効な人材活用法になることが期待されています。
「外部人材シェアリング」という概念は、従来の人材紹介取引や社内の人材移動や連携などに基づいて実施される出向や派遣とは大きく異なります。
組織、業種、地域といった既存の枠組みを越えて複数の事業会社が、IT技術者、企業経営者、マネジメント経験者といった高度人材をフリーランスや副業、パラレルワーカーとして共有することです。
「外部人材シェアリング」を通して、導入する事業会社は、効率的な人材活用、従業員の成長、イノベーションの創出、ネットワークの拡大といったメリットが期待できます。
実際に、こうしたメリットを実感する事業体が出て来ています。
さらに、「外部人材シェアリング」は、事業体にとどまらず、地域の産業基盤の強化や地域経済の再生・活性化、技術開発や新産業創出の促進など、社会貢献に繋がる要素も高く「日本経済全体を元気にする!」大きなメリットも期待できるのです。
■最後に
経営者なら「有能な人材がいない」「任せられる人材がいない」と現状の人手不足の課題を嘆くのではなく、自らの登用や人材活用の方法に問題がないか見直すべきです。
なぜなら、達観した経営者は、成果を挙げさせる仕組みを作り上げ、給与は与えられるものでなく、自ら稼ぎ出すものだという意識を植えつけ、成果を挙げた人材には、正当な報酬を用意するからです。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」が提唱する「外部人材シェアリング」は、組織、業種、地域といった既存の枠組みを越えて、複数の事業体で、一定の知識、技術、ノウハウを持つプロ顧問や副業顧問人材をニーズに応じて活用する手法になります。
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