新たに新規事業を始める際には、資金調達が必要になります。企業の事業支援に役立つのが、国や自治体から支給される補助金や助成金になります。
補助金や助成金にはさまざまな種類がありますが、新規事業立上げを行う際に該当する助成金や補助金があるのかどうかを把握し、必要なステップをクリアすることで受けられる可能性があります。
助成金や補助金を受けることができれば、新規事業にとっては大きな力となります。ただ、申請すれば誰でも助成金や補助金を受け取ることができる訳ではありません。
そこで、今回、新規事業助成金とは何か、新規事業立上げに使える助成金申請のコツについて解説します。
「事業はすべて、資金の配分と人材の配置によって具体化される。この二つの資源が、優れた業績をあげるか、貧弱な業績しかあげられないかを左右する。資金と人材は慎重に投入しなければならない。」
<ピーター・ドラッカー>
■新規事業助成金とは?
新規事業の資金をすべて中小企業やベンチ企業が自社でまかなうのは難しいです。そこで、資金を調達する方法として挙げられるのが、銀行などの金融機関からの融資や国や自治体などの助成金になります。
その中でも、まず検討したいのが新規事業の補助金や助成金になります。新規事業の補助金や助成金とは、新規事業の立ち上げをサポートするために給付される現金になります。
助成金や補助金と金融機関からの融資の大きな違いは、返済が必要かどうかになります。融資は返済が必要であるのに対して、助成金や補助金は返済が不要です。
デットファイナンスとは大きく異なり、返済義務はもちろん利息なども支払う必要がないため、事業者にとっては圧倒的なメリットがあると言えます。
助成金や補助金を利用する際に考慮すべきポイントは、以下の3点になります。
1、助成金や補助金の種類によって目的や仕組みが違う。
2、助成金や補助金の種類によって金額が異なる。
3、助成金や補助の可否やその額について審査がある。
助成金や補助金にはいくつかの種類があり、金額に上限があるものがほとんどです。また、助成金や補助金の種類によって申し込みに必要な書類なども異なります。
上記のポイントを踏まえた上で積極的に情報を集め、自社に合ったものを有効活用できるようにすることが返済不要の資金調達に不可欠な要素になります。
■補助金と助成金の違いは何か?
補助金と似ているものに、助成金があります。新規事業の補助金について調べていると、助成金という言葉も目にすることが多いです。両者には、どのような違いがあるのでしょうか?
補助金・助成金のどちらも「国や地方公共団体などから給付され、返済の義務がない」という点は同じになります。両者の違いは、以下の2点になります。
1、助成金
助成金とは、厚生労働省が中心となり公募している雇用に関する支援金もしくは経済産業省から受給される研究開発系の2つに分類されます。
雇用系の公的助成金は、企業の経営を助け、雇用の維持や促進を目的に、主に厚生労働省が中心となって、ハローワーク等が公募を行っています。
【助成金の特徴】
・採択件数が決まっていないため、原則、資格要件を満たせば受けられる
・所定の様式に従って申請を行えばOK
・原則通年を通して申請可能です。
業種や社員数など条件に合致していれば、ほぼ支給されるまでの難易度は低いです。ただし、注意点としては、人気の助成金は、発表から2カ月程度で受付終了になることもあり、早めの申請が重要です。
また、各自治体により異なるが通常は3月末の年度いっぱいまで受け付けているところも多いです。
2、補助金
補助金は、企業が成長する取り組みに対して支援する為に用意されている制度です。
補助金の種類は、1万種類以上と言われています。製造業だけ、との縛りはなく、業種や業態に関わらず多くの企業が対象であり、かつサービスやビジネスモデルに対する補助金など、多岐に渡り公募がされています。
【補助金の特徴】
・ほとんどの場合、補助金は返済が不要
・採択件数や予算上限が決まっているため、書類などによる審査がある
・申請書類におけるアピールが必要
・補助金は基本「後払い」である
・原則、補助金は課税対象である補
・補助金の種類は、1万種類以上ある
・予算が限られている為、審査も厳しく、採択率は1割
製造業だけ、との縛りはなく、業種や業態に関わらず多くの企業が対象であり、かつサービスやビジネスモデルに対する補助金など、多岐に渡り公募がされています。
補助金については採択件数が決まっており、一カ月程度の公募期間をもうけることが一般的です。基本的に、採択件数を応募件数が上回るものなので、提出書類でその妥当性や必要性をアピールできなければ採択に至らないと考えましょう。
補助金は、募集期間も短いため、公示されてから準備しても、内容の薄いものになってしまい、せっかく準備しても審査に通らないことも少なくありません。
そのため、普段から事業計画書をしっかり作っておき、その事業計画書にあった補助金が発表されたら申請する必要があります。昨年度や概算要求がでた時点で予測して計画を準備しておくことも大切です。
3、目的
助成金や補助金を交付する制度は、その事業で新たな雇用が創出されたり税収が生まれたりすることを期待しています。助成金には、起業の一助となるものや、現在の労働環境改善につながるもの、従業員のキャリアアップを図るものなど、さまざまな種類があります。
補助金が事業そのものについての給付であるのに対し、助成金は人材雇用や研究開発をなど特定の目的に対して給付されます。そして、これらの補助金や助成金は、厚生労働省のみならず、各自治体や財団法人が管掌しています。
助成金の申請・受給を検討しているのであれば、数ある助成金から、自社の業界や商品、サービスに適したものを選ぶ必要があります。
4、審査
補助金は、給付を受けるために審査に通る必要があります。また、補助金を給付目的以外に使用した場合には罰則が科せられることになります。助成金には審査がなく、一定の条件を満たせば必ず支給されます。
補助金と助成金には上記のような違いはありますが、補助金として支出されるものの中に助成金があったり、その逆の場合もあったりして、同様に取り扱われることがあるのが実情になります。
■補助金を申請する際に気をつける5つのポイント
助成金や補助金はいずれも返済する必要がないため、事業者にとっては非常に有利な制度になります。
新規事業を開始する際には多くの資金が必要なので、条件に当てはまる補助金があれば、積極的に申請すると良いでしょう。
1、人気の補助金は倍率が高い
補助金は、基本的に国や地方自治体の予算で成り立っています。補助金の額は予算内に納めなければならないため、申請者すべてが補助金を受けられるとは限りません。
特に人気の高い補助金は、倍率も高くなります。申請する補助金を受けられなかった場合に備えて、別の補助金や金融機関の融資なども考えておくと良いでしょう。
2、申請の受付時期を正しく把握しておく
助成金や補助金の受付時期は、その要綱ではっきりと定められています。その受付時期でなければ、申請は受け付けられません。
当然、申請の受付時期が終わった後では、いくら優れた事業計画を作成したとしても、助成金や補助金は受けられないのです。申請の受付時期についてはかなり早い段階で公表されており、準備期間も十分に設けられています。
気になる助成金や補助金、あるいは地元の自治体の制度に関しては、ホームページでこまめに確認するようにしましょう。
3、先着順となるため早めに申請する
申請の受付時期をあらかじめ確認しておくことは、非常に大きな意味があります。それは、受付時期を逃さないようにするだけでなく、いつから受付が開始となるのかを把握しておくことが重要だからです。
助成金や補助金については、多くが国や自治体の収入を財源として交付されています。そのため、予算には限りがあり、受付期間が終了する前に予算が底をつくというケースも多くあるのです。
つまり、助成金や補助金は早い者勝ちなのです。確実に助成金や補助金を受けるためには、早めに準備をしておき、受付開始とともに申請を行わなければなりません。
4、自己資金がゼロでは厳しい
助成金も補助金も、「後払い」のケースがほとんどです。例えば、総額300万円の経費がかかる事業に対し、3分の1を補助・助成する場合、100万円を先にもらえるわけではないため、最初の時点で300万円を用意しておかなくては事業が進められなくなってしまいます。
補助金は、経費の全額が補助されるものは少ないです。経費の一部が補助されるものがほとんどなので、自己資金がゼロでは新規事業を始めることは難しいです。
また、原則補助金は後払いなので、先に自己資金で経費を支払ってから、後にその一部を補助金でまかなうことが必要になります。その意味でも自己資金がゼロだと厳しいと言えます。ただし、自己資金がゼロの場合は、金融機関の融資などを検討する必要があります。
5、要件に該当しない場合は支給されない
受給資格に関する要件に該当しなければ、助成金や補助金を受けることはできません。その制度の内容によっては、かなり細かく要件が定められている場合もあるため、きちんと確認しておく必要があります。
申請を行ったからといって確実に助成金や補助金が絶対に貰えるわけではありません。また、申請自体が受理されても、実際にその申請が採択されている訳ではない場合もあります。
申請を行っても安心することなく、必ず助成金や補助金が受けられる訳ではないと考えて、事業を進める必要があります。
■新規事業における助成金や補助金の5つの申請手順
助成金や補助金の申請には、様々な助成金と補助金の存在を知ることから交付を受けるまで、以下の5つのステップがあります。
1、助成金や補助金を内容を知る
まずは「どのような補助金があるか」を知るところからスタートすることになります。補助金の多くは、国や地方自治体のホームページに掲載されていますが年度ごとの中小企業施策より内容が変わります。
創業支援から、雇用、設備投資、新規事業のスタートまで、経営における様々な支援を目的とする助成金・補助金の募集が行われます。募集時期や条件などもそれぞれに違うので、まずは自分に合うものを探すことから始めましょう。
2、最適な助成金や補助金を申請する
利用したい助成金や補助金が見つかったら、申請期限を確認し申請書を作成し、指定された窓口などに申請します。申請書の用紙や募集要項などは、ホームページからダウンロードできることが多いです。
ただし、申請書を郵送でも提出できるものと、窓口での提出が必須のものがあるので注意が必要になります。
3、助成金や補助金が交付が決定される
助成金や補助金の申請が受理されると、各補助金事務局の審査委員会などで申請書が審査されます。補助金の交付を受けられることが決まったら、選定結果通知や補助金交付規程、補助金交付申請書を受け取ります。
その後、補助金交付申請書と経費相見積もり(書)を作成し提出する。問題がなければ交付決定通知書が発行され、補助金交付が決定されます。
4、事業を実施する
補助金の交付が決定したら、認定された内容で事業を開始します。補助金の多くは、事業の途中で実施状況について事務局のチェックを受ける必要があります。
国のお金をもらうため、きちんとした経理上の事務処理を行うことは必須のため、事務処理も当然増加します。特に補助金の場合、見積書、納品書、請求書、領収書、通帳の控えなどは保管しておく必要があります。
また、会議報告書や出張報告書などの各種報告書が必要な場合もありますし、支出を証明する様々な書類は一定期間保管しておくことが求められます。
5、補助金や補助金が交付される
事業が終了したら実施内容や経費を報告するため、実績報告書や経費を支払ったことがわかる書類を補助金事務局に提出します。提出された書類をもとに補助金事務局が実施状況を確認し、問題がなければ補助金額確定通知が発行されます。
それを受け取ったら請求書を補助金事務局へ送付し、補助金を受け取るスキームになります。
補助事業については事業期間が定められており、期間以前の工事着工や事後清算は認められないため、事業への着手が遅れ、好機を逃してしまう可能性もあります。
また、補助金で購入したものについては、廃棄や売却などが制限されることもあるので、事業終了後に影響を与えることも加味しておきましょう。
事業期間が終了した後も、年次報告が義務付けられているケースもあるので注意が必要になります。
■補助金や助成金を申請する際の注意点
助成金や補助金を申請するためには資格要件を満たすことが前提となりますが、これに振り回されて失敗するケースも多くあります。
例えば、「正社員雇用数名につき、数百万円もらえる」という補助金に合わせ、まだ人手を増やさなくてもいい企業が新たに正社員を雇用したら? 事業計画外の人件費に四苦八苦するという可能性も少なくはありません。
一度正社員として雇い入れたなら、そう簡単に解雇することはできないので、長期的に見れば雇用にかかる人件費のほうが補助金を上回ることになってしまいます。こうした失敗をしないためにも、自分の事業計画に合ったものを選ぶことが大切です。
今回紹介した手順は、あくまで一般的なものになります。助成金や補助金の種類によっては、ステップが異なる場合もあるため、詳細については募集要項を確認する必要があります。
■まとめ
助成金や補助金の申請のために、事業計画などの書類が必須となります。これらの書類は、初めて見た場合どのように記載したらいいのかわからずに困ってしまう場合もあるようです。
事業計画書を作成する際に重要なのは、その助成金や補助金が何を狙いとして交付されるものかを良く考えることです。そして、対象とする助成金や補助金の狙いに沿った形で事業を行うことが明らかになるよう、記載することが審査を通過するポイントになります。
当然、様々な団体が応募することで競争となるため、審査を突破する必要があります。
他の応募に競り勝って審査を通過するためには、単に募集しているテーマや申請の条件に合致しているだけでなく、その計画が秀でて有益な活動であり、地域や社会に大きなメリットをもたらすものであることが求められます。
申請を行う際には嘘や実現不可能な内容を記載してはいけないので、その点も注意しなければなりません。
また、様々な要件を満たしていることがわかるような、多くの添付書類が必要とされる場合があります。この書類がなければ受給資格を得ることはできず、申請を行っても後回しになってしまう可能性があります。申請を行う際に必要となる書類は、確実に準備するようにしましょう。
あてにしていた助成金の審査が通らなかった場合、財源の確保が難しくなり、事業を縮小したり、中断せざるを得ないということもあり得る事態です。
そこで助成金の活用を考える際は、助成金を利用した後の財源の手当てや事業の発展の方向性、あるいは審査が通らなかった際の代わりの財源をどのように確保するかなどについて、予めよく検討し、将来の明確なプランを立てておくことも非常に重要なことです。
■最後に
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