パーセプションチェンジとは?戦略的な広報・PRに必要な要素

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

現在、企業が抱える課題は様々ですが、この先必要となる対策としては、会社のイメージを高め、多くの雇用を創出するだけでなくビジョンを掲げ、人々が必要とするミッションを実現する企業になる必要があります。

会社の宣伝に欠かせない理念や技術のことを「パブリック・リレーションズ」と言います。現在、「パーセプションチェンジ」をベースにした「広報PR」活動が必要になっています。

そこで、今回、パーセプションチェンジとは何か、戦略的な広報・PRに必要な要素について解説します。

■パーセプションチェンジとは?
パーセプションチェンジとは、『新しい情報』により、人々の味方や常識が変わっていくことです。英語では、「perception change」と表現されます。

パーセプションチェンジは、日本語で「意識や認識を変える」という意味があり、広告業界などでも使用されています。マーケティングやPR業界では、顧客の意識の変化や態度変容という意味で使われます。

メディアリレーションとして、プレスリリース配信などを通じたメディア掲載を狙う際には、情報の発信と到達によって、顧客の「意識」や「認識」が変化するステップがあります。

つまり、自社や自社商品、あるいは商品カテゴリそのものについての「意識」や、メディアの「認識」を変え、顧客の購買行動を促進させることがパーセプションチェンジになります。

ブランドや商品が認知されただけでは購買に繋がりにくい現代では、パーセプションチェンジにより、リーチや購買といった消費者の「行動」の変容を促すだけでなく、頭の中にある「パーセプション」(認識)の変化を捉えてマーケティング戦略を設計することが求められています。

■パブリック・リレーションズとは?
パブリック・リレーションズの定義として、国際パブリック・リレーションズ協会(IPRA)では、「情報の自由な流れを促進し、すべての関係者の利益に資するものである」と定義しています。

ほかにも、米国パブリック・リレーションズ協会(PRSA)では、「組織とその公衆との間に相互に有益な関係を構築するための戦略的なコミュニケーション・プロセスである」とされています。

また、日本パブリック・リレーションズ協会では、「組織体とその存在を左右する公衆との間に、相互に利益をもたらす関係を構築し、維持するマネジメント機能である」としています。

このように、パブリック・リレーションズ(=広報)の定義は各国のPR団体や専門家、学者によって解釈が微妙に異なり、時代の変化とともに見直しが行われています。

はっきりしていることは、広報は、企業・団体のビジョンや商品、サービス、社会貢献など様々な情報を広く社会に知らせ、人々の理解を深めるとともに組織のイメージを高め、社会と健全で良好な関係を作り出す重要な役割を担っているということです。

■広報と広告・宣伝の違い
パブリック・リレーションズの頭文字をとったPRは、広告や宣伝と混同して使用されることも多いです。

パブリック・リレーションズと広告や宣伝は同じものだと思っている人も少なくありませんが、この両者は、その目的も、手法も、効果も大きく異なります。

広告や宣伝は、新聞や雑誌での広告スペース、テレビ・ラジオではCM、Webサイドではバナー広告やテキスト広告などを購入し、主に製品やサービスの販売告知やメッセージを自社の責任で消費者にアピールすることをいいます。

これに対して広報は、経営方針や人事異動、機構改革、業務、催事、会社貢献活動などの多様な企業情報を素材として提供し、報道してもらうパブリシティ(活動)が中心となります。

費用さえ負担すれば、社会通念を逸脱しない内容であれば掲載されるのが広告ですが、広報では、情報に価値が必要になります。

ただし、ひとたびメディアに記事として報道されると媒体を通過した客観的な情報であるため、消費者に対する信頼性は高く、会社への影響や波及効果も大きな価値となります。

基本的に広報は、広告とは異なり低コストである上に、多様な情報を発信することができる、他媒体でも取り上げられることがあるなど、広告掲載とは大きな違いがあります。

■パブリック・リレーションズとは?
パブリック・リレーションズ「PR活動」とは、企業や組織体が、メディアや一般大衆、関係諸機関などの利害関係集団と、良好な関係を築くために行う活動のことをいいます。

この活動を担うPR部門は、企業の良いイメージを作るために情報を流したりコミュニケーションを行ったりするだけでなく、自社にとってマイナスになるような出来事が公表されれば火消し役の役割も果たします。

英・米などの欧米諸国では、企業だけでなく政府や地方自治体、教育機関、国連や世界銀行等の国際機関などでも、パブリック・リレーションズが実践されています。

■会社の周知には、パブリック・リレーションズが必要
パブリック・リレーションズには、「会社の周知」が欠かせません。

会社を周知するためには、会社がどのような考え方で活動し、どのような商品やサービスを提供しているのか、そして社会に役立っているのかということを多くの人々に知らせ、理解と信頼を得ることはとても重要です。

フィリップ・コトラーによれば、パブリック・リレーションズの機能は、以下の5つに分類されます。

【PR部門が果たす5つの機能】
1、報道対策
企業を良く見せる形でニュースや情報を公表すること。

2、製品パブリシティ
特定製品のパブリシティを支援すること。

3、コーポレート・コミュニケーション―
社内外のコミュニケーションを通じて、企業への理解を促進すること。

4、ロビー活動
法規制の推進あるいは廃止を狙って議員や官僚と交渉すること。

5、コンサルティング
平常時および逆境時のパブリックの問題や企業のポジションとイメージに関して、経営陣にアドバイスすること。

例えば、マイクロソフト社はウィンドウズ95発売キャンペーンの際、有料広告を一切出さなかったにも関わらず、注目を浴びるようなパブリシティを展開した結果、新聞・雑誌等で多くの記事が同製品を取り上げ、一般大衆に広く発売日を認知させることに成功しました。

■戦略的PRではターゲットを明確にする
多くの会社が発信する情報発信活動には、広報の領域と広告の領域があり、広報の領域だけでも、ターゲットは、顧客、一般消費者、地域住民、取引先、メディア、アナリスト、機関投資家、グループ従業員、就職希望者など、幅広い層に及びます。

発行目的やターゲット層をあいまいにしてしまうと、情報発信の体をなさないばかりか、余計な誤解を招いたり、会社イメージの低下にも繋がりかねませんので注意が必要です。

あらゆる業界でライバルとの競争に打ち勝っていくためには、多様な側面から、ターゲットを明確にした訴求効果の高い戦略的な広報活動を実行していくことが求められます。

■PRコミュニケーションの「双方向性」時代の到来
近年、マス広告の効果の弱まりを背景に、企業の多くがPR活動をマーケティング活動と連動させるようになってきました。

企業や製品のプロモーション等を支援するPR活動を、マーケティング・パブリック・リレーションズ「MPR」と呼びます。

MPRはかつてはパブリシティと呼ばれており、広告より低コストで効果をあげられる場合が多く、広告よりも信頼性が高いのが利点です。
インターネットが普及した今、これまでのPR活動は、企業や組織から一般社会への「一方向的」なコミュニケーションでは無くなりました。

企業が情報を発信することによって、一般社会の理解や合意を得たり、協力関係を築いたりといった「双方向」のコミュニケーションが目的にシフトしたというという見方もあります。

そのためには、発信した情報へのフィードバックを通じて世論の動向を理解し、より公共の利益に資する企業活動へ還元させていくことが企業や組織には求められています。

■企業規模に応じた広報体制と課題の選出
広報体制は、数十名規模で広報活動を行っている企業から1人で全てを仕切っている企業まで、企業の規模や業種、上場であるか否かなどによって異なります。

広報体制を見直していくには、現状を認識するための課題の選出から始めます。

課題の選出には、信用失墜やイメージダウンになる要素、会社に対する認識不足やイメージギャップの有無、競合他社とのイメージの格差や訴求力の不足・露出不足はないかなどを調べる必要があります。

課題の解決には、内容や状況に応じてさまざまな解決策を実行します。例えば、広報体制の見直し・整備、メディアリレーションズの強化などを実行します。

また、企業イメージの浸透不足では、経営トップに対する広報活動への理解促進とトップ広報の強化、広告と連動したコミュニケーション活動の実施、ニュースレターなど情報発信ツールの開発・配布などが必要となります。

■戦略的PRの視点の重要性
「売上UP」、「採用力の強化」、「商品認知度の向上」、「ブランドイメージ向上」など、PRの目的を達成できない原因の多くは、顧客にどのようになってほしいのかを明確にすることです。

それを達成するためにどんな情報発信を行うべきなのかを立案する、「戦略PR」の視点が抜けていることにあります。

PRの最終的な目的は「売上UP」などの成果を達成することですが、それを実現するために、PRが情報発信によって成し得るべきことは、顧客の「行動変容」を起こすことです。

行動変容とは、「習慣」や「無意識」に紐付いた、簡単には変えることができないヒトの行動を変えることです。顧客に到達する情報をコントロールし、自社が目的とする「パーセプション・チェンジ」を促す──それが、『戦略PR』の考え方の骨子です。

■まとめ
パーセプションチェンジ「認識変容」とは、その対象に対しての既存のパーセプション「認識」が、何らかの状況変化や仕掛けによって「変わる」ことを意味します。

パーセプションチェンジを起こすためには、”継続的”に”一貫性”のあるメッセージを、正しいターゲット顧客に届けていくことが大切です。

こうしたPRの取り組みを実現するためには、PR担当者の「勘」や「想い」(このネタを流行らせたい!など)に頼った、行き当たりばったりの”思い付き”による情報発信をやめて、中長期的な戦略を基にした計画性ある活動へとシフトする必要があります。

複数のチャネルから、同じメッセージ(コンテンツやクリエイティブは同一でなくても良い。)を受け取ると、顧客は同じ情報に”偶然”なんども巡り合った、と感じます。

すると、顧客はその情報に対して親近感や好感を持つようになったり、情報に対する印象が強く残るのか「単純接触効果」です。

こうして、情報接触が何度かに渡って行われると、顧客の「意識」や「認識」にメッセージの印象がしっかり残り、パーセプション・チェンジを引き起こせるようになります。

■最後に
マーケティングは、複雑なチームプレーを要する企業活動であり、個人の能力によって成り立つものではありません。成功のためにはチームの全員が戦略と実行計画を正しく理解し、それぞれの担当領域の効果を改善し続ける必要があります。

日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、人々が商品やブランドの価値を理解し、「買いたい」と思ってくれるようなパーセプションチェンジ(認識転換)のプロセスを、ストーリーとして描いていく戦略的なPR活動の支援を行っています。

KENJINSなら、PRのプロフェッショナル人材やCBOと様々な業界の知識・経験・人脈ネットワークを保有する5000人を超えるフリーランスの顧問や副業のプロ人材が揃っています。

そのため、顧問契約をベースにマーケティング・リサーチ、露出メディアの選定、人的コネクションを活かしたメディアコンタクト、プレスリリースの作成・配信なども、ご要望・ご予算に応じて一括して請け負うことが可能です。

PRの戦略立案・実行、広報部門の立ち上げなどでお困りの企業様がいましたら、是非、KENJINSにお気軽にご相談ください。

【人数無制限】戦略的な広報・PRに帆走するCMO・CBOなら、KENJINS
https://kenjins.jp/lp/subscription/

本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

経営者・採用担当者の皆様へ 日本最大級の顧問契約マッチングサイトのKENJINSでは、年収700万年収1500万クラスのハイクラス人材を、正社員採用よりも低価格で活用可能です。顧問のチカラで圧倒的な成果をコミットします。

この記事にコメントする


この記事の関連記事

ワークフローとは?業務効率化にワークフローの構築が鍵になる訳

組織内で発生する多くの課題を解決する手段として、「業務プロセスの見える化」を推進することは、これからの時代に必須の管理モデルとなっています。 業務の流れを分かり易くし俗人化を防ぐために活用されているのが、「ワークフロー」による仕組み化なります。 ワークフローを構築することでや...[続きを読む]

営業リストとは?新規開拓を行う際の営業リストを作るポイント

中小企業やベンチャー企業を問わず、企業が売上を上げ、持続的な成長を実現するためには、既存顧客をフォローしながら、定期的に新規顧客を開拓し続ける必要があります。 ですが、新規開拓が大事だとは言え、あらゆる企業に対してに無差別にアプローチしても良い成果は出ません。 そこで役に立つ...[続きを読む]

ABMの優位性とは?ABMに顧問からのリファラル紹介が必要な訳

近年、大手企業を対象にした法人営業を展開している会社では、見込み顧客をリストアップしABMに取り組む会社が増えています。 アカウントベースドマーケティング自体は新しい概念ではありません。 日本でも会社四季報などを見ながら営業マンが取り組んでいるアプローチ方法になります。最近に...[続きを読む]

BIの重要性とは?膨大なデータを経営上の意思決定に利用する訳

現在、ビジネスの世界では、データに基づいて経営や各種施策の決定を行う「データドリブン」が注目され、ビッグデータ、AI、IoTといった新技術でデータを事業活動に活かそうという機運が盛り上がっています。 その背景には企業間競争が激しくなったこと、その状況に対応するため迅速かつ的確な...[続きを読む]

ダイレクトレスポンスマーケティングとは?DRMの本当の価値

ダイレクトレスポンス マーケティングは中小企業に新しい可能性を開きます。「マーケティング=広告」というイメージが強いせいか、中小企業、特にBtoBの方にとって、「マーケティングなんて、そんな格好つけて物が売れるわけない」と思われるかもしれません。 なぜなら、広告、宣伝、市場調査...[続きを読む]