近年は、市場や顧客のニーズが日々目まぐるしく変わっているため、PDCAを高速で回転させることが勝ちパターンを作る鍵になっています。
営業活動においてもライバル企業の動向を含め、ビジネスの変化の波をいかにキャッチアップし、臨機応変に対応できるかが業績に大きく影響するようになりました。
特にスタートアップの場合、営業のPDCAを回すことで、状況の変化に柔軟に対応できるようになり、PMF「プロダクトマーケットフィット」の仮説検証にも繋がります。
継続的に売れる仕組みを作り上げるには、ビジネス環境によって柔軟に営業プロセスや顧客へのアプローチの方法を改善する必要があります。
そこで、今回、営業におけるPDCAとは何か、売上アップに繋がるサイクルを高速で回す方法について解説します。
■営業のPDCAとは?
PDCAとは、事業の運営において「Plan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(評価)⇒Act(改善)⇒再びPlan(計画)」のサイクルを繰り返すことで業務ピロセスを改善することを指します。
PDCAは、もともとは製造業における品質管理のために提唱された概念です。このサイクルは汎用性が高く、事業のどんな領域でも適用できます。
また、個人でも日頃の仕事のパフォーマンスを向上させるために非常に有効な手法です。
プロセスではなく、最後のA(改善)を生かしたP(計画)につなげて、同じサイクルを螺旋のように繰り返すことで「継続改善」を図ることを目的とします。
現在では、ビジネスシーンで誰でも耳にしたことがある「PDCAサイクル」ですが、営業の現場で効果的に実践できている企業は意外と少ないのも事実です。
PDCAは、企業の営業活動にも適用できるため、近年は営業成績が伸び悩んでいる営業部隊や、市場ニーズの変化などの外部要因によって売上が伸び悩んでいる企業も積極的に取り入れています。
なぜなら、PDCAは企業の営業プロセスの改善をする上で非常に有用なフレームワークだからです。
営業のPDCAを導入する際には、組織全体の現状分析を行い、達成するべき目標を明確にすることが大切になります。
営業での目標といえば、成約数やリード獲得数、営業戦略などが挙げられます。現状が目標値に届いていなければ、改善してその結果をさらに評価する、つまりPDCAサイクルを高速で回転させてい行く必要があります。
ここで重要なのは、PDCAはできるだけ短いスパンで回し、改善点を洗い出す「評価」と「改善」の行程が特に重要になります。
達成目標に対して、1週間あたり、さらに1日あたりに細分化して行動目標を設定し、日々PDCAを回して行くと効果的です。
■PMF(プロダクトマーケットフィット)検証にも繋がるPDCA
スタートアップを成功させる上では、「カスタマーの課題を満足させる製品」であることを基本に「適切な市場の選択」を行い、「顧客に受け入れられていること」が揃っていること極めて重要になります。
なぜなら、いずれかの要素が欠けていると、プロダクトが継続的に売れないため、スタートアップは成功しにくいと考えれられているからです。
例えば、スターアップの起業家が「このプロダクトを作る」と決めたとしても、具体的な営業目標が無ければ、システムの企画開発の当初は、プロジェクトが順調に進んでいるように見えることがあります。
ですが、実際に顧客に売る段階になって次第にやるべきことが見えなくなったり、販売するために何をして良いか分からなくなる社長も多いです。
PDCAサイクルの継続的な実行には、
・「ビジネスへの競争優位性の構築」
・「売れる仕組みを作ること」
・「売るための努力を行らないこと」
・「継続した改善に取り組む習慣性」
が必要になります。PDCAサイクルは年間予算達成のために1年で1サイクル、というものではなく、なるべく達成しやすい小さなサイクルの繰り返しを続ける方が効果的です。
そのため、まずは小さな目標に向かって、チームメンバーが同じ方向に向かってその目標を達成するために取り組むことが第一歩になります。
■営業プロセスにおけるPDCAの構成要素とは?
中小企業の経営者の中に「自社の従業員が自発的に動いてくれない」という不満を耳にします。PDCAサイクルを組織文化に根付かせることができれば、そうした不満が解消できます。
営業におけるPDCAの具体な方法について解説します。
1、Plan(営業戦略の策定)
自社の製品やサービスについて、競合製品との違いや差別化要素などを元に、市場におけるポジショニングを検討します。
その際、自社が狙うべき市場や顧客特性を、できるだけ具体的にセグメンテーションします。
Planでは達成すべき目標を掲げます。一つのサイクルにおける行動のベースとなるので、PDCAを有効に回すためは営業戦略を策定することが重要です。
計画立案時に抑えておくべきポイントは2点あります。
・最終目標指標(KGI)と経過指標(KPI)を設定すること。
・最終目標指標(KGI)と経過指標(KPI)に関連性(ストーリー)を持たせること。
営業におけるPlanでは、以下のような項目を含めることが多いでしょう。
【営業におけるPlanの項目例】
・売上高
・粗利益
・成約件数
・有効商談件数
・新規顧客への初回訪問件数
・既存顧客への定期訪問件数
・TELアポ件数
・メールアプローチ件数
目標を立てる際、最終目標指標(KGI)を起点に数字を単純に分解して(売上単価や販売数)経過目標を設定しがちです。
しかし、現場で行われている活動から経過指標を考え、設定する事でより現実感のある指標や実現可能な指標を設定する事が可能になります。
次に、策定された営業戦略をもとに「営業計画」を作成します。
・売上目標
・具体的な営業プロセス
・営業活動のKPI
・計画実行のための体制
・計画実行のための投入リソース
営業計画では、売上目標を定めますが、この時に重要となるのが営業活動の「質」と「量」です。
なぜなら、P(計画)は、C(評価)で分析出来るように数値目標や計画をあげることは必須ですが、売上高で計画を設定すると、どうしても結果に外部要因が入ってしまうからです。
常に5件の顧客と商談を継続している状態とするなど、「どのようなアプローチ(=質)」を、「どのくらいの頻度でどの程度(=量)」行えるか、営業活動の具体的なアクションプランとして落とし込む必要があります。
2、Do(実行)
次に設定したPlanに基づいて、実際に実行していきます。Planで定めた目標を達成するために必要な行動を分解し「何を」「いつまでに」「どれだけ」するのかという点を事前に考え、実行に移していきます。
例えば、以下のように営業戦略に基づいて策定した営業計画を、実際の営業活動の中で実行していきます。
・展示会出展や広告出稿、テレアポ等によるリード(見込み客)獲得=「見込創出」
・メルマガ配信や、インサイドセールスによるリード育成=「機会醸成」
・デモの実施や、フィールドセールスを中心とした提案・成約活動=「成約獲得」
・コミュニティ形成や、SNSを有効活用した契約後の関係構築=「関係熟成」
現場目線での経過指標(意志が込められている指標)と最終目標指標(KGI)の紐づけが出来れば、目標達成(計画の達成)の可能性は高まります。全ての営業プロセスを戦略に沿って実行します。
目標を達成するための行動を一つ一つ設定していくことで、より具体的に行動することができるでしょう。計画を実行するにあたっては、次の段階で評価しやすいように、どのように実行したかの記録を残しておくことが大切です。
・商談中の客先名と、商品名。商談過程の分類(見積依頼受領、見積もり作成中、見積提出済み、条件交渉中など)
・訪問した既存顧客名と、その客に売った商品名。得られた情報の内容とその分類(競合先の価格、次の発注予定、新たなニーズなど)。
3、Check(評価)
Checkでは、実際に実行した行動を評価していくことになります。目標と照らし合わせながら、達成できたものと達成できなかったものをしっかりと振り返ることが重要です。
その際、営業マンの「能力」を評価するのではなく「やり方」を評価するという位置づけで、社内でのコミュニケーション活発化に繋がります。
重要なことは営業プロセスごとに、以下のようなデータを数字で客観的に計画と照合することです。
「見込創出」プロセス:創出リード件数
「機会醸成」プロセス:案件化率
「成約獲得」プロセス:成約率・商談件数
「関係熟成」プロセス:定着率・案件化率
「営業プロセス全体」:売上
営業プロセスに投じたコストと実際の生産性を天秤にかけ、費用対効果を検証していきます。
達成した場合は、その成功要因は何だったのかという点を明確にしましょう。逆に達成できなかった場合は、なぜ達成できなかったのか、何が問題だったのか、というようにその原因を深堀していくことになります。
4、Act(改善)
最後にCheckでの評価結果を基に、改善案を検討していきます。たとえば商談件数はクリアしているものの、成約率が悪い場合、提案の仕方や訴求ポイントを改善していく必要があるでしょう。
【分析すべき情報の例】
顧客の情報:購買金額、顧客プロファイル、顧客行動、顧客の声、など
自社の情報:活動状況・結果、製品力、作業負荷配分、実行者スキル、など
競合の情報:ニュースリリース、広告出稿量、イベント、客先活動、売上の情報、など
営業活動に最適なPDCAサイクルが上手く回ることで、営業の生産性は継続的に改善され高まっていきます。
また、チーム内にPDCAの意識が定着することで、チームのメンバーが課題や解決策を自発的に考え、改善に向けてアクションをとれるようになります。
このように「なぜできなかったか」という原因を基に、「こうすればよくなるのでは」といった仮説を構築して、それを実行案にまで落とし込んでいくことがPDCAの肝なのです。
■営業活動においてPDCAの3つのポイント
営業のPDCAサイクルでは、Planで計画や目標が明確に定まったら、Do、Check、Actionと速度を上げながら回転させ、業務改善のスピードを早めていくことが求められます。
1、目的を明確にしたうえで計画を立てる
近年は、どの分野でも「PDCAを回すことが重要だ」といわれるようになってきました。
しかし、いつの間にかPDCAを回すこと自体が目的化してしまい、具体的に何を改善したいのかがわからない状態で混乱してしまっているケースもみられます。
まずはPDCAサイクルを回す目的を明確にしましょう。実際に計画を立てる際には、組織全体の現状を分析し、達成しなければならない目標を定量的に明らかにします。
さらに後の段階で目標達成の確認がとれるように、しっかりと達成期限も決めておくようにしてください。
2、本質的な原因を探る
Planでは外部環境の変化を分析しつつ実現可能な目標・計画を作成し、Doでは目標との乖離はないか確認しつつ業務を進め、Checkでは評価項目をもとに正確に評価し、Actionでは新たな課題について論理的に分析する――そのような流れが必要になります。
行動の評価段階においては、成功や失敗の表面的な原因を挙げて満足するのではなく、より本質的な原因を探り、その改善を図ることが重要です。
営業活動における多くの問題は、複雑で解決すべき事柄が多いように感じられることから起こります。しかし、深く原因を探ってみると、たった一つの本質的な問題から枝分かれしているといったケースがたくさんあります。
表面的な問題をいくら解決しても、同じような問題が次々に出てきてしまいますが、本質的・根本的な問題を解決すれば問題はありません。効果的なPDCAを回すためには、常に本質的な問題の改善に取り組むことを意識するのが重要です。
3、数値として改善案を示す
PDCAサイクルを高速で回すことによって、一人ひとりの目標であるKPI(重要業績評価指標)を確実に達成し、さらには会社全体の業績目標が達成できるようになります。
PDCAサイクルは、営業パーソンの意識を大きく転換し、組織文化を変化させるポテンシャルを秘めています。一方で、実行方法を十分に検討せず、表面的な実施にとどまるケースでは、成果に結びつかないことも少なくありません。
PDCAがうまく回っていても、目標を達成するため、さらに高い成果を出すためには計画や行動の改善が必要となるでしょう。行動の改善はもちろん、良かった行動をさらに伸ばすことも視野に入れます。
改善案はなるべく数字で示し、具体的に何を何回やればよいのかを示すことも重要です。
たとえ本質的な原因を発見できたとしても、改善するための施策が曖昧なら具体的な行動につなげられませんし、効果の測定もできないでしょう。
目標設定も具体的であることが望ましいですが、改善して次の計画に繋げるためにも、なるべく定量的な改善案を示す必要があります。
■すぐに結果を求めすぎない
PDCAの最大のメリットは、企業がPDCAサイクルを着実に回し続ければ、営業活動などの業務、ひいては事業そのものを改善できるようになることです。PDCAは何度も繰り返し実践することで業務の改善をしていくものです。
一度実践しただけですぐに効果が出るというケースは稀なので、改善の積み重ねことが重要となります。効果が出ないと諦めずに繰り返し実践するようにしましょう。
PDCAサイクルでは、どうしても改善点ばかりに目が行ってしまいがちです。
しかし、成功した部分や成長したところにも目を向け、さらに伸ばすためにはどうすればよいかを考えるのも重要となります。場合によっては、どうしても改善できない部分を切り捨てて、より伸びしろのある部分に改善点をフォーカスする方がよいケースも少なくありません。
営業の課題を改善させていくためのポイントは、Actionのステップで「うまくいった点」「うまくいかなかった点」をそれぞれ細かく要素に分解し、定量的に分析すること。これによって、根拠を持った仮説が立てられますので、新たなPlanから始まるPDCAにスムーズに移行できつのです。
■まとめ
企業の営業活動においては、目標が明確でなければ具体的にどのような行動をすればいいかわからず、営業担当者のモチベーション維持も難しくなるでしょう。
そこで、PDCAを活用し、計画やKGIを立てれば、ブレイクダウンしてKPIや日々のタスクが明確になっていきます。
営業活動に最適なPDCAサイクルが上手く回ることで、営業の生産性は継続的に改善され高まっていきます。
また、チーム内にPDCAの意識が定着することで、チームのメンバーが課題や解決策を自発的に考え、改善に向けてアクションをとれるようになります。
営業マネージャーが達成計画(KGI・KPI)を一方的に押し付けるのではなく、目的達成に関わる関係者への説明責任を果たす事が必要です。
説明責任を果たし、達成計画とそこに向かう活動内容に納得感を持ってもらう事で、1人1人の営業活動が活性化し、目標達成に向けて能動的に動く組織が形成されます。
適切な営業指標(KPI)を策定したとしても、きちんとPDCAサイクルを回すことができなければ目標達成は難しい状況が続きます。
適切にPDCAの運用ができれば、常に目標(KPI)やタスクを更新し、営業担当者のモチベーションを維持し続けられるはずです。
結果を評価して改善するというプロセスを意識的に繰り返し続けることによって、常にパフォーマンスを向上させ続けることを目的としています。継続的に繰り返すことに大きな意味があるわけです。
継続して改善し続けることは、どんな分野の仕事であっても必要なことです。
PDCAを成功させる最大の秘訣は、管理者である経営者や事業部長などが、会社やプロジェクトの達成計画(KGI・KPI)を一方的に押し付けるのではなく、目的達成に関わる関係者への説明責任を果たすことです。
なぜなら、説明責任を果たし、達成計画とそこに向かう活動内容に納得感を持ってもらう事で、1人1人の活動が活性化し、目標達成に向けて能動的に動く組織が形成されるからです。
自社をとりまく環境にいち早く適合し、変化し続ける市場ニーズに合わせた商品やサービスを提供し続けるためには、全社的な行動を起こす「大義名分」となるビジョンを掲げ、PDCAを回し続けることが重要なのです。
「成果をあげることは一つの習慣である。実践的な能力の積み重ねである。実践的な能力は、習得することができる。それは単純である。あきれるほどに単純である。」
<ピーター・ドラッカー>
■最後に
大手企業を対象とした営業において決裁者とアポイントを獲得することは、売り上げを上げるための必須要件になると言っても過言ではありません。
なぜなら、予算を握っているキーマンを納得させることができなければ、商談をクロージングすることは難しいからです。
プロジェクトで鍵を握る予算の承認権限を持った人物にアプローチすることができなければ、商談の成約率は大きく下がります。
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