プロジェクトアリストテレスとは?Googleの成功因子とは何か

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

Google社は2012年、「プロジェクトアリストテレス」と呼ばれる取り組みで、ある事柄を調査しました。

ハーバード・ビジネス・レビューで紹介されて大きな話題となったこのプロジェクトは、どのようなことを何の目的で調べたのでしょうか。

そこで今回、プロジェクトアリストテレスとは何か、Googleの成功因子とは何かについて解説します。

■プロジェクトアリストテレスとは?
プロジェクトアリストテレスとは、米グーグル社が2012年に開始した労働改革プロジェクトの通称です。

プロジェクトアリストテレス(Project Aristotle)は、多国籍テクノロジー企業であるGoogle Inc.(以下、グーグル社)が2012年に開始した労働生産性向上計画に与えられたコードネームであり、この計画を語る上での通称として扱われています。

プロジェクトアリストテレスは、人員分析部によって行われた生産性向上計画を指します。

生産性の高いチームが持つ共通点の洗い出しと成功因子の見極めを行うことを目的として、グーグル社内に数多く存在するプロジェクトチームの活動成果と所属メンバーの言動を細部に至るまで調査分析しました。

Googleでは、何百万ドルもの資金と約4年の歳月を費やして実施したプロジェクトアリストテレスを研究して来ました。

成功因子の特定に成功したことを受け、実行メンバーの1人として大きな関わりを持ってきたジュリア・ロゾフスキ(Julia Rozovsky)氏が、2016年1月にアメリカの経営学誌であるハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review、HBR)の誌面を通じてプロジェクトアリストテレスの全貌を明かしたことにより、多くの人の注目を集めることになりました。

■プロジェクトアリストテレスのチームメンバー
プロジェクト・アリストテレスの目的は「生産性の高いチームの条件は何か」という問いに対して、答えを見つけ出すことです。

Googleには様々な業務に携わる数百のチームがあるとされていますが、生産性の高いチームもあれば、低いチームもありました。

生産性の高いチームが持つ共通点から、生産性向上の成功要因を見つけ出し、より生産性の高い働き方を見つけることを目指したのです。

Google社は業務ごとにチームがあり、それぞれのチームによって業績が異なりました。同じ会社の社員同士であるのにどうしてでしょうか。こうした疑問から、プロジェクトアリストテレスは進みました。

グーグル社内の人材をあらゆる角度から調査分析するため、プロジェクトアリストテレスの実行メンバーは、分析や検証は、社内で働く統計の専門家やエンジニアだけでなく、統計学者やエンジニア、組織心理学者、社会学者など様々な分野の専門家が、プロジェクトアリストテレスの研究チームであるGoogle People Operations(人員分析部)のチームメンバーとして召集されました。

Googleは、社員同士のコミュニケーションを中心に、社員の仕事ぶりを徹底的にモニタリング・分析・検証しました。

■生産性向上のカギとチームビルディング
Googleのチームは、業務によって組まれており固定化していません。そのため、社員によっては並行してチームに参加することもあります。

当初、生産性向上のカギは「チームワーク」ではないかと考えられました。そこで、いくつかのチームを観察および分析し、共通点や違いを見いだそうとしたのです。しかし、何らかのパターンをみつけることができませんでした。

次に、ルールなどのチームにおける「基準」ではないかと考えましたが、ここからも、パターンを見つけることはできませんでした。その後も調査を続けていくと、ある「法則性」がみつかったのです。

それは、チームごとにいつも同じ結果を出しているという点でした。つまり、成功するチームはつねに成功を、失敗するチームはつねに失敗をしていたのです。

最終的にプロジェクト・アリストテレスの人員分析部は、チームの生産性向上に重要なのは「高い能力を有したメンバーを集める」ことよりも「チームがどのように協力しているか」であることを突き止めました。

■チームを成功へと導く5つの鍵とは?
Googleは研究結果として、2015年11月に自社の情報サイト「re:Work」で「チームを成功へと導く5つの鍵」を発表しました。

発表の中でGoogleは「心理的安全性は(成功するチームに含まれる単なる1要素ではなく)その他の4つの力を支える土台であり、チームの成功に最も重要な要素である」と述べています。

1、心理的安全性(Psychological safety)
2、信頼性(Dependability)
3、構造と明瞭さ(Structure & clarity)
4、仕事の意味(Meaning of work)
5、インパクト(Impact of work)

1.心理的安全性(Psychological safety)
心理的安全性(Psychological safety)とは、チームメンバーがリスクを取ることを安全だと感じ、お互いに対して弱い部分をさらけ出すことができるかという要素です。

心理的安全性が高いチームでは、自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露しても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じることができます。

メンバー全員が失敗を恐れずに発言・行動できるため、有意義な議論や積極的な協力が日常的に行われ、チームの生産性が向上します。

2、信頼性(Dependability)
信頼性(Dependability)とは、チームメンバーが互いを信頼し、他のメンバーが仕事を高いクオリティで時間内に仕上げてくれると信じられるかという要素です。

信頼性が高いチームでは、チームのメンバー同士がお互いに、クオリティの高い仕事を時間内に仕上げてくると信じることができます。

メンバー全員が自分の仕事に強い自負と責任感を持てるようになるため、半端な仕事や責任の押し付け合いがなくなり、チームの生産性が向上します。

3、構造と明瞭さ(Structure & clarity)
構造と明瞭さ(Structure & clarity)とは、チームの役割・計画・目的がハッキリしており、自身や他のメンバーがやるべきことが明確かという要素です。

構造と明瞭さが高いチームでは、チーム全体の目標や各メンバーに求められている役割、達成までのプロセスやメンバーの行動がもたらす成果が明確です。

メンバー全員が自分の役割と全体への影響を理解しているため、報告・連絡・相談などの情報共有がスムーズに行われ、チームの生産性が向上します。

4、仕事の意味(Meaning of work)
仕事の意味(Meaning of work)とは、チームメンバー全員が、今の仕事が自分にとって意味があると感じているかという要素です。

仕事の意味は、属人的な要素であり、経済的な安定を得る、家族を支える、チームの成功を助ける、自己表現するなど、人によって様々です。

仕事の意味が高いチームでは、仕事そのものや仕事の成果に対して、意味や目的を感じられます。メンバー全員が自分の仕事に意味や目的を持って取り組むため、仕事へのモチベーションが高く保たれ、チームの生産性が向上します。

5、インパクト(Impact of work)
インパクト(Impact of work)とは、チームメンバー全員が自分の仕事について意義があり、良い変化を生むものだと思っているかという要素です。

インパクトが高いチームでは、メンバー個人の仕事がチーム全体の目標達成に対して強い意味を持ち、チームに貢献していることを実感できます。メンバー全員が自分の仕事に誇りを持つことができるため、仕事へのモチベーションが高く保たれ、チームの生産性が向上します。

■プロジェクトアリストテレスのプロセス
グーグル社はプロジェクトアリストテレスにおいて数多くの取り組みを実施しましたが、それらは『仮説設定』、『モニタリング』、『分析と仮説検証』、『追加検証』の4つに大別することができます。

1、仮説設定
グーグル社のトップは長きにわたり『最高の人材を揃えることによって最高のチームを作り上げることができる』とチーム編成の重要性を信じてきましたが、それが事実であるかどうかという検証はこれまで行われてきませんでした。

この未知なる成功因子を明白なものとするため、プロジェクト・アリストテレスのリサーチチームは、チームの生産性向上の成功因子を見つけるために、成功するチームの共通点として考えられる可能性の全てをリストアップし、多くの仮説を立てていきました。

【仮説の一例】
・チームメイトは仕事以外のプライベートでも親しい関係性を持っているのではないか?
・チームメイト同士が頻回に食事を共にしているのではないか?
・内向的な従業員同士、外向的な従業員同士など、同じ人材特性を持つメンバーでチームを構成した方が効果的なのではないか?
・興味の対象が似ている人物で構成されているのではないか?
・成功するチームのチームリーダーは圧倒的なリーダーシップやカリスマ性を持っているのではないか?
・特定の報酬によってモチベーションが高まっているのではないか?
・共通の趣味を持っているのではないか?
・学歴に共通点があるのではないか?

2、モニタリング
生産性の高いチームの共通点の洗い出しを行うため、人員分析部はプロジェクトチームに所属しているグーグル社員に対して公私にわたる大規模かつ徹底的なモニタリングを実施しました。

【モニタリング内容の一例】
・社員一人ひとりの行動規準(生活リズムや思考パターンの法則性)
・会社以外の場所で構築されている人間関係
・仕事に無関係な話題での社員同士のコミュニケーション
・チームメンバーが共有した時間の長さ
・プロジェクトチーム内のジェンダーバランス(男女比率)

3、分析と仮説検証
リサーチチームは、100以上のプロジェクトチームに対して実施したモニタリング結果を元に、チーム編成やチームワークに重点をおいた分析作業と仮説の検証を行いました。

しかし、データ分析を得意とするGoogleが召集した人員分析部の力を総動員しても、チーム編成やチームワークと労働生産性の相関性は、明確になりませんでした。

チーム編成と労働生産性の相関性が明確にならなかったことから、チームのメンバー編成だけではなく、チーム内の不文律や暗黙の了解(ルール)といった集団規範に着目しました。同時に、集団心理学に関連する学術論文の読解といった、学問的視点からのアプローチも試みました。

4、トライ&エラーによる追加検証
そこで、人員分析部はプロジェクトチームのメンバー編成だけではなく、チーム内で扱われている不文律や暗黙の了解(ルール)といった集団規範にも着目することにしました。また同時に、集団心理学に関連する学術論文の読解など、学問的視点からのアプローチも試みました。

プロジェクト・アリストテレスのリサーチチームが調査を進めるうちに、集団心理学関連の文献の中には、多くの有用な情報が詰まっていることがわかりました。

特に、カーネギーメロン大学とマサチューセッツ工科大学、ユニオン・カレッジの心理学者や研究者たちで結成された研究チームの研究記録は、チームの生産性を高める成功因子の発見に大きく貢献しました。

プロジェクト・アリストテレスの人員分析部のメンバーは、3大学の共同研究チームの学術論文とプロジェクトアリストテレスの実施データを見比べることにより、生産性の高いチームの活動内容から共通点を見つけ出すことができたのです。

■プロジェクトアリストテレスの研究結果から判明したこと
グーグル社と人員分析部のメンバーは、プロジェクトアリストテレスを通じて多くの研究成果を得ることができました。

1、チーム効果に対して影響力の低い要素
プロジェクトアリストテレスは、チームの生産性を高めるために必要な成功因子を探し出すプロジェクトです。

その過程で明らかとなったチーム効果に対して影響力の低い要素を、自社が実施したプロジェクトの調査分析結果や人事に関する企業事例記事をまとめた情報サイト『re:Work』において次のようにまとめています。

・チームメンバーの働き場所(同じオフィスで近くに座り働くこと)
・合意にもとづく意思決定
・チームメンバーが外交的であること
・チームメンバー個人のパフォーマンス
・仕事量
・先任順位
・チームの規模
・在職期間

先任順位や在職期間は、日本でも年功序列制度が見直され始めているため、身近で分かりやすい例でしょう。

しかし「チームメンバー個人のパフォーマンス」がチームの生産性に対して大きな影響力を持っていないという研究結果は、世界中に衝撃を与え、集団的知性の重要性を認識させる大きなきっかけになりました。

チームメンバー個人のパフォーマンスはチームへの影響が低いという結果は、個人の力の合計とチームの力はイコールではなく、チームの生産性向上のためには集団的知性(Collective Intelligence)へのアプローチの方が効果的であると示しています。

2、集団的知性の重要性
グーグル社内では同時進行で複数のプロジェクトが動くことは日常茶飯事であり、1人の社員が複数のプロジェクトに参加することも珍しくありません。

そんな中、大半が同じメンバーで構成されているチームAとチームBという2つのチームの活動成果から非常に興味深いデータが検出されました。

共通するメンバーの中には高いパフォーマンス力を持つ優秀な社員が数多く含まれており、個々の能力の総和に大きな違いはありませんでした。それにも関わらず、チームAとチームBの生産性には大きな差が発生したのです。

このことから、個人力の合計とチーム力(組織力)がイコールではないこと、そしてチームの生産性向上のためには、個々へのアプローチよりも集団的知性(Collective Intelligence、CI)へのアプローチの方が効果的であることが明らかになりました。

グーグル社の長年の取り組みによって、数々の『チーム効果に対して影響力の低い要素』が明らかとなりました。

その中でも『チームメンバー一人ひとりのパフォーマンス』がチームの生産性に対して大きな影響力を持っていないという研究結果は、世界中に衝撃を与えるだけではなく、集団的知性の重要性を認識させる大きなきっかけにもなったのです。

ただし、チームの生産性への影響が低いとされた項目については「Google以外のどの組織でも同じであるとは限らない」と補足されています。

Googleの分析ではチームの規模の影響は低いとされましたが、人数の少ない(10人未満の)チームの方が人数の多いチームよりも成功しやすいという研究成果もあります。

3、優れた集団規範が集団的知性に与える好影響
人員分析部が成功因子を探るために読み漁った集団心理学関連の文献の中には多くの有用な情報が詰まっていました。

その中でも、アメリカ屈指の名門私立研究大学であるカーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University、CMU)とノーベル賞受賞者を多数排出しているマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology、MIT)、ユニオン・カレッジ(Union College)の心理学者や研究者たちで結成された研究チームの研究記録は、チームの生産性を高める成功因子の発見に大きく貢献しました。

グーグル社内で実施した大規模なグループワークを通じて、集団規範の中から成功因子の洗い出しを試みた人員分析部でしたが、その高度な情報分析力をもってしても成功チームにおける明確な規則性を見つけ出すことはできませんでした。

しかし、先述の研究記録と同様の『1つの課題で成果を出したチームは別の課題においても成果を出すことができるが、失敗するチームはどの課題を与えても失敗してしまう』という現象を確認できました。

ここから優れた集団規範がチームの集団的知性を大幅に高め、誤った集団規範がチームの集団的知性を低下させてしまうことを確認することができたのです。

■生産性の高いチームから見つけた2つの共通点
人員分析部のメンバーは、3大学の共同研究チームが残した学術論文とプロジェクトアリストテレスの実施データを見比べることにより、生産性の高いチームの活動内容から2つの共通点を見つけ出すことができました。

1、均等な発言機会
1つめの共通点は『均等な発言機会(equality in distribution of conversational turn-taking)』です。

個人個人に対して予め均等に配分された持ち時間を使用して発言を行うチームや、チームリーダーがメンバー全員に対してバランス良く話題を振るチーム、対等な立場でのディスカッション型チームなど、高い生産性を誇るチームであっても発言形式には大きな違いがありました。

しかし、いずれのチームにおいてもメンバー内の発言機会は均等であり、チームメイト全員がほぼ同じ割合で発言を行うことができていたのです。

生産性の高いチームが均等な発言機会を設けている一方、生産性の低いチームの多くは一部の人間が発言機会を独占し、多くの時間を費やして一方的な発言を行っていました。

この対照的な結果を受け、人員分析部はチームメンバー全員が均等に発言できる環境の構築が生産性の高いチーム作りに繋がるという強い確信を持ちました。

2、社会的感受性の平均値の高さ
2つめの共通点は『社会的感受性の平均値(average social sensitivity)の高さ』です。

社会的感受性とは自分の発言が相手にどのような影響を及ぼすのかを理解し、相手の表情や言動から本当に伝えたい想いを読み取ることができる能力であり、チームが足並みを揃えて活動するために必要不可欠な要素です。

他者理解力や共感力ともいえる社会的感受性ですが、測定を行う際には写真の目の部分だけを見て相手の感情を読み取るReading the Mind in the Eyes Test(RMET)が多く用いられます。

このReading the Mind in the Eyes Testのチーム内平均値が生産性の高いチーム全てで高い値を示していたことから、チーム全体の社会的感受性の高さが生産性に大きな影響を与えるという確信を持ちました。

■「心理的安全性」がチームの生産性を高める成功因子
心理的安全性は、チームの生産性を高める重要な要素として、Googleが2015年に発表したことで注目を集めた言葉です。

心理的安全性とは、心理学の専門用語で、チームメイトなど周りの評価に怯えることなく自分の意見や想いを発信するために必要となる要素のことです。

チーム内の心理的安全性が確保されているほどメンバー一人ひとりが肩の力を抜いた自分らしい姿でプロジェクトに向き合い、多少のリスクが存在する言動であってもチーム目標達成のためにチャレンジすることができるようになります。

プロジェクトアリストテレスの研究過程で見つかった『均等な発言機会』や『社会的感受性の平均値の高さ』がチーム内の心理的安全性を高める要素であることから、心理的安全性こそがチームの生産性を高める成功因子であると結論づけることができました。

■高いパフォーマンスのチームを作るには?

1、「チーム」を定義する
「高いパフォーマンスのチームを作るには?」という問いに答える第一歩は、「チームとは何か?」と尋ねることです。

共に働く全ての人の個々のメンバーシップ、関係性、責任感を実際に明らかにすることは、思考訓練よりも難しいことですが、チームのパフォーマンスを解明するためには必要不可欠です。

チームという用語は、幅広い意味を持つことができます。タスクの相互依存性、組織の状態、そして任期に応じて 多くの定義とフレームワーク が存在します。最も基本的なレベルで、Googleの研究者は “ワークグループ”と”チーム”を区別しようとしました。

2、パフォーマンス」を定義する
Googleにおけるチームとは何かを理解したら、次に研究者達は、どのようにしてパフォーマンスを定量的に測定するかを決定しなければなりませんでした。

彼らは、書かれたコード行数、修正されたバグ、顧客満足度などを調べました。しかし、元々客観的なパフォーマンス測定を推進していたGoogleのリーダー達は、提案されたすべての測定方法に本質的に欠陥がある可能性があることに気付きました。

良いものを作るのにより多くのコード行数が必要とは限りませんし、また沢山のバグ修正を行ったということは、沢山のバグが初期に生み出されたことを意味するからです。

よって研究者達は代わりに、定性的評価と定量的測定の組み合わせを使用することにしました。定性的評価のために、研究者は経営幹部、チームリーダー、チームメンバーという3つの異なる立場の人に評価をしてもらいました。

彼らは皆、同じ尺度でチームを評価するように求められましたが、自分が下した評価を説明するように頼まれた際に、それぞれが異なる側面に焦点を当ててチームのパフォーマンスを評価していました。

経営幹部は結果(例:販売数や製品の出荷)に最も関心がありましたが、チームメンバーはチームのパフォーマンスに対する最も重要な指標はチームの文化であると言いました。

チームリーダーは、オーナーシップ・ビジョン・ゴールが最も重要な指標であると言い、大きな視点と個人の懸念の両方に考えが及んでいました。

これらから、研究者はチームのパフォーマンスを4つの異なる方法で測定しました。

経営幹部の評価
チームリーダーの評価
チームメンバーの評価
四半期割当に対する売上高

定性的な評価は、結果と文化についての微妙な見解を捉えるのに役立ちましたが、固有の主観が入ってきます。

一方で、定量的な測定基準は具体的なチームの尺度を提供してくれますが、各チームの状況に対する考慮が欠けています。しかし、これらの4つの尺度を組み合わせることで、研究者達はチームのパフォーマンスを包括的に定義することができました。

3、データを収集し、パフォーマンスを測定する
研究者達は、全世界の経営幹部からのインプットを基に、研究対象の180チーム(エンジニアのプロジェクトチーム115チームと販売の65チーム)を選定しました。

この180チームには高いパフォーマンスと低いパフォーマンスのチームが混ざっています。この研究で、チームの構成(例えば、性格特性、セールススキル、チームの人口統計)とチームのダイナミクス(例えば、チームメイトとの関係性)がチームのパフォーマンスにどのような影響を与えるかをテストしました。

アイデアは既存の研究からだけでなく、高いパフォーマンスのチームを作ってきたGoogleの独自の経験からも引き出されました。

彼らは、リーダー達がチームのパフォーマンスに影響すると考えるものを理解するために、リーダー達と二重盲検のインタビューを数百回実施しました。

また研究者達は、毎年の従業員エンゲージメント調査による250項目を超える既存の調査データと、仕事と人生に関するGoogleの長期的な研究 であるgDNA を参照して、どのような変数がパフォーマンスに関連するのかを調べました。

4、高いパフォーマンスの原動力を特定する
収集された多くのインプットのうち、どれが実際にチームのパフォーマンスに影響を与えたかを理解するために、 すべてのデータを使用して、研究者達は統計的にモデリングを行いました。

何百もの変数について35以上の異なる統計モデルを使って、彼らは以下の要因を特定しようとしました:

・定性的および定量的な複数の評価指標に影響を与えた
・組織を跨いで、様々な種類のチームに影響を与えた
・安定した統計的有意性を示した

研究者は、「誰がチームにいるのか」「チームメンバーがどのように協力し合っているのか」という点はそれほど重要でないことを発見しました。 重要性の順に以下になります。

1、心理的安全性
心理的安全性とは、対人関係のリスクの重要性に対する認識、または、無知、無能、否定的、破壊的であるとみなされるリスクを取っても安全だと感じることです。

高い心理的安全性を持つチームでは、チームメンバーは周りのメンバーに対してリスクを冒しても安全だと感じています。彼らは、間違いを認めたり、質問したり、新しいアイデアを提示したりしても、恥をかかされたり、処罰されたりすることはないと確信しています。

2、信頼性
信頼できるチームでは、メンバーは質の高い作業を時間通りに確実に完了します(それに対して – 責任を回避する)。

3、構造と明快さ
高いチームパフォーマンスを得るためには個々人が、仕事への期待、その期待を達成するプロセス、そして仕事の成果、を理解することが重要です。

目標は個人レベルまたはグループレベルで設定することができ、具体的、挑戦的、達成可能でなければなりません。Googleでは、目標と主な成果(OKR)を用いることで、短期的および長期的な目標を設定し、それを周囲に伝えるのに役立てています。

4、意味
仕事自体や仕事の見返りに対して目的意識を持つことは、チームのパフォーマンスにとって重要です。仕事の意味は個人的なものであり、財政の安全性、家族のサポート、チームの成功支援、各人の自己表現などさまざまです。

5、影響(インパクト)
「自分の仕事が優れていて、チームにとって重要である」と思えることは、チームにとって重要です。自分の仕事が組織の目標に貢献していることを確認することは、その認識を助けてくれます。

■まとめ
Googleや多くの組織において、仕事はチームによる共同作業で実行されてきました。チームとは、革新的アイデアが生まれ、検証され、そして実際の生産活動が行われる単位であり、従業員は仕事のほとんどをチームの一員として経験します。

しかし、チームにおける、対人関係問題、不適切なスキルセット、不明瞭なゴール等の問題は、生産性を妨げ、メンバー内の摩擦を引き起こす可能性もあります。

Googleでは、プロジェクト・アリストテレスがGoogleにおいてパフォーマンスに影響を及ぼすのか因子を解明しました。彼らは次のステップとして、高いパフォーマンスのチームを作り、育て、強化するための研究を行いました。

Googleの研究者による発見は、あなたの組織における答えとは異なっているかもしれません。あなたの努力を共有するために、以下の手順について検討してみてください。

1、共通の語彙を確立する
あなたの組織で醸成したいチームの行動・規範を定義してください。

2、チーム力学を議論するためのフォーラムを開催する
チームが安全で建設的なやり方で、繊細な問題について議論することを可能にしてください。HRビジネスパートナーまたは訓練を受けたファシリテーターが役立つかもしれません。

3、リーダーの強化・改善へのコミット
リーダーシップのモデルを作り、継続的な改善を求めることで、定義された行動・規範を実践できます。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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