新しくサービスを立ち上げる上でお金を使わずに成長する全体の設計図を構築するプロ人材がいます。それが、起業家資質を持った「グロースハッカー」と呼ばれる人です。
その際、「ローコスト」=「広告費をかけない」ということは一つの要素に過ぎません。なぜなら、グロースハックにおいては長期的に見た「費用対効果」の視点を持つことが重要視されるからです。
このグロースハック、そしてそれを行うグロースハッカーってどんな仕事なのでしょうか?そこで今回は、グロースハックの価値とは?起業家視点でAARRRを改善するコツについて解説します。
「人やアイデア、モノでも、最終的には全てに繋がりがあります。そして、どのように結びついているかによって、その価値が決まります。」
<チャールズ・イームズ>
■グロースハックとは?
グロースハックとは、マーケティング部門や、プロダクト部門などと部門横断的に連携し、製品価値や市場ニーズを正しく把握するデータ分析や、様々な実験的アプローチを高速で検証、改善する事で急成長に結びつけるマーケティング手法を指します。
グロースハックでは、A/Bテスト、KPI(Key Performance Indicator)の設定、コピーライティング、ユーザーインターフェース、ウェブサイトのユーザビリティなどあらゆるものを精査します。
アクセス数や売り上げを増やすとともに、時には商品やサービスの開発にも関与して、企業の在り方そのものを進化させることを言います。
グロースハックを推進する上では、サービスやプロダクトを成長させるために様々な改善施策を同時的に行い、その効果を継続的に測って行きます。
時にはビジネスモデルのピポットを含め、サービス価値や市場ニーズをあらゆる面から精査し、アクセス数や売り上げなど様々な実験的アプローチを高速で検証、改善することで急成長に結びつけます。
■グロースハッカーとは?
グロースハックを用いるスケールの大きなWebマーケターのことをグロースハッカーと呼びます。グロースハッカーは、マーケティングを行うだけでなくサービスの機能や設計にまで踏み込みます。
ビジネスモデル自体や改善の施策に対してユーザーが使用・拡散する「仕組み」を入れることで、広告費など予算をかけずにサービスが成長させていくようにすることを役目としています。
IT・Web業界はサービスのライフサイクルが早く、コストを抑えたサービス改善が望まれます。
そのため、短期間で仮説検証を行い、コストをかけずにサービスを改善させていくグロースハック、そしてグロースハッカーに需要が集まっているのです。
グロースハックには有名な「AARRR(アー)」というフレームワークがあります。
別名「スタートアップ・メトリクスモデル」と呼ばれ、その名の通りスタートアップ企業を成長させるために考え出されたグロースハックにおけるフレームワークです。
■AARRRとは?
AARRRはビジネスのグロースハックのためのフレームワークのことです。
AARRRは、顧客行動を、「Acquisition(獲得)」「Activation(活性化)」「Retention(継続利用)」「Referral(紹介)」「Revenue(収益)」の5つに分け、各段階の頭文字をつなげたことから由来しています。
また、「アー」という音が、海賊の掛け声に似ているため「海賊指標」とも呼ばれています。
サイトを運営していると、多くの場合PVやアクティブユーザー数、獲得ユーザー数を重要視する傾向があります。
「ユーザー数が少ないのは、そもそもPVが少ない」という点を気にし、「そのために著名なメディアに掲載を頼む」「広告を出稿する」などと小手先の施策に終始しがちです。
しかし、グロースハックにおいてサービスを成長させるのに重要なのは、AARRRにおけるどのプロセスに問題があるかを把握することです。
PVとコンバージョンだけ見ていては絶対にわからない、本質的な問題を、どのプロセスに課題があるかを考えることで明らかにし、優先順位をつけて適切な施策を取ることができます。
■グロースハックとAARRRモデルの考え方
AARRRの基本的な考え方は、新規の顧客を獲得→実際にサービスを利用開始→継続的に利用→紹介制度でサービスを拡散→最終的に収益の最大化を目指すというものです。
各段階での理想を定め、サービスを修正・改善を行うことで、結果としてサービス全体の改善に繋がります。
主にオンラインで提供するプロダクトの成長を、「ユーザーとのかかわりにおける一連の体験」から体系化したもになります。
それぞれの意味は、次のようになります。
・Acquisition=ユーザー獲得
・Activation=利用開始
・Retention=継続
・Referral=紹介
・Revenue=収益の発生
1、Acquisition(獲得)
Acquisition(アクイジション)は新規顧客の獲得が目的です。Acquisitionにおいては、サイトの訪問者数や広告のクリック数などを確認し、現状での課題に対する施策を検討します。
マーケティングを実施する際、ターゲットを顧客化につなげるための方法論として「セールスファネル」という考え方があります。
例えば、新しいWebサービスを立ち上げたばかりのとき、多くの人はその存在を知りません。自分たちのWebサービスを広く知らしめ、実際に訪問してもらうことがAcquisitionのフェーズです。
セールスファネルは、初めて企業のビジネスに触れる人が潜在顧客・見込み顧客から認知・購入、継続的な顧客化に至るまでの過程を分解して段階を踏む形にしたものです。
2、Activation(活性化)
Activation(アクティベーション)では新規に獲得した顧客の活性化を表しており、新規顧客に実際にサービスを利用してもらうことや、早期での離脱を防ぐことが目的です。
顧客のログイン回数といった情報を数値化することで、実際にどれくらいのアクティブユーザーがいるのかを把握しましょう。
サイトのアクセス数は多いのに登録者数が少なかったり、登録者数は多いのにログイン数が少ないなどの問題がある場合、会員登録までの手続きが煩雑であったり、UIが見づらいといった課題が見つかる可能性があります。
もし、顧客がすでにGoogleやFacebookアカウントを作成しているのであれば、それらのアカウントを使用して会員登録できるようにするなど、サービス利用開始までの手続きを簡略化するといった例が挙げられるほか、UIやUXの改善なども考えられます。
3、Retention(継続利用)
Retention(リテンション)では、獲得した顧客の継続的なサービスの利用が目的です。サイトのリピート(再訪問)率や、メルマガの開封率などが指標になります。
Activateしてもらったユーザーに継続して、できるだけ頻繁に、長く利用してもらうことを目指します。
マーケティングにおけるリテンションとは、新規顧客の獲得に対し、既存顧客との関係を維持していくことで、CRMの上でも重要な考え方となっています。リテンションマーケティング、リテンション分析などというように使われています。
4、Referral(紹介)
リファラル(referral)は、「推薦」や「紹介」という意味があります。Referral(リファラル)では、顧客が家族や知人にサービスを紹介してもらい、サービスをさらに多くの人に広めることが目的です。
ここでは、会員登録から一定の期間内に招待機能を利用し、エバンジェリスト的に新たなユーザーを招待した顧客の割合が一つの指標になります。
エバンジェリスト(Evangelist)はIT業界における職種であり、高度で複雑な自社プロダクトやトレンドを分かりやすくユーザーに伝えていくことを役割としています。
5、Revenue(収益)
Revenue(レベニュー)では、サービスの収益化を目指します。サービスでの収益率をより高めるには、これまで取り組んだ施策を振り返り、効果の高かった施策により多くのリソースを割くレバレッジなどの方法があります。
レバレッジとはてこの原理のことです。小さな施策を実施すると、大きな変化がある場合、”レバレッジが効いた”と言います。
グロースハックに成功している企業は、このレバレッジをうまく活用しています。
上記のステップを踏む段階で、「この部分を改善すると、全体の数値も向上するぞ」というレバレッジを早期に発見し、そこに力をいれて実施していけるようにしましょう
■グロースハッカーと従来のマーケッターの違い
従来のWebマーケターが広告の出稿、コピーライティング、アクセス分析などをそれぞれ単独に改善して行きます。
古い体質のWebマーケティングの現場では、GoogleやYahoo!などの検索サイトやポータルサイトに広告を出稿したり、SEOやアクセス分析などでアクセスを集めます。
それに対してグロースハックはあらゆるものを総合的に精査し、アクセスや売上を伸ばすだけではなく、時には商品やサービスの開発にも関与して、企業のあり方そのものを成長させることを言います。
グロースハックでは、従来のマーケティング手法だけではなく、ユーザーが使用することで存在や売上が広がっていく仕組みを採用しています。
例えば、ユーザーのリファラル(紹介やレビュー)によって、サービスが拡散するような「仕組み」を取り入れています。
また、自分たちが手掛けるプロダクトには、どの「グロースのエンジン」が必要なのかを的確に見極め、エンジンを効果的に駆動させるためにユーザーの声を分析・検証するスキルが必要になります。
グロースハックは、シリコンバレーのスタートアップが良いプロダクト、良い企業を育てるために試行錯誤してきた手法の流れをしっかり汲んでいます。
そのため、グロースハックを行う上では、製品のプロトタイプ段階からユーザーに使ってもらい、そのフィードバックを反映することで、需要のある“売れる”製品を作り出すことが不可欠です。
つまり、最初に「MVP」最小で実行可能なプロダクトを開発してからローンチを実施し、顧客の反応を計測する「Product-Market-Fit」を行うことが前提条件としてあると言えます。
■グロースハックチーム作りの必要性
現在、データサイエンティストと並んで、シリコンバレーで最も魅力的な仕事をする言われているがグロースハッカーです。
製品やサービスの成長をハック(=新たなやり方で加速する)する人たちです。『ユーザー獲得担当エンジニア』などとも呼ばれています。
グロースハックのメンバーは事業の目標や戦略を理解しているリーダーを軸に、データ分析の専門家となるアナリストや、システムとデザインの変更を担うエンジニアが中心となります。
優秀なグロースハッカー達は豊富な広告費や予算がなくても、サービスのユーザー数やリテンション率を飛躍的に伸ばすことができる人たちです。
AARRRモデルのそれぞれのフェーズでA/Bテスト、KPIの設定、ユーザーインターフェースの比較、ユーザビリティの改善をはじめ、さまざまな方法を実行し検証します。
その上で、フェーズごとの数字を常にチェックし、サービスの改善に努めるのがグロースハックの一般的な手法です。
グロースハックを行う際には、各専門分野の人材が横断的につながったチームがあるとよいでしょう。
人数は、4~5人規模から100人規模までさまざまですが、スピーティーなアクションがとれる体制を作る事が大切です。
■グロースハックを始めるポイント
グロースハッカーの目標は、製品自体を数百万人の顧客にリーチする自己永続マーケティングマシンにすることになります。
その過程で様々な施策を考え、失敗を恐れずに周りを巻き込み実行していく、まさに起業家としての資質が必要になります。
その理由は、グロースハックで行う施策の75%~90%は失敗すると言われているからです。
失敗に対して決してめげず、また新たな施策を編み出し、PDCAサイクルをどんどん回していく必要があります。
グロースハッカーは分析し、成長のエンジンになっている要因(先行指標)を突き止めて行く必要があります。グロースハックを始めるポイントとしては幾つかステップがあります。
最初のポイントとしては、グロースハックを行う、商品・サービスについて、顧客がとれだけ好意的であるか、測定を行います。そのうえで、顧客データから、最も重要な指標、活性化させるべきポイントを見つけ、その検証、改善、実験を繰り返します。
これらを高速で実施して行くためには、プロダクトの設計、顧客の反応ポイントを把握するマーケティング力、そして活性化や仕掛けを行うためのアイデア力が必要となります。そのために、それを専門的に行うチーム、グロースハックチームを置くことが多いのです。
■まとめ
グロースハックとはプロダクトの本質的な価値を理解し、その可能性を把握して実際に成長していくアクションのこと。また、グロースハッカーとは成長を自身のコンパスにしている人のことを指します。
実現可能な成長への可能性を徹底的に精査し、成功を実現させる人のことです。
2010年に始まった比較的新しい概念であるグロースハックですが、すでにWebマーケティングの世界では常識となっています。これまでにFacebook、Twitter、Airbnbといった有力新興企業が活用し、成長に寄与してきました。
実際のところ、企業広告の多様化、特に、広告メディアの中心がテレビから、Webに急速に推移している昨今においては、グロースハックの様な、市場のニーズや、ユーザーの行動をスピーディーに分析して改善するマーケティング手法が必要となってきています。
グロースハッカーの役割は、端的に言うと広告費やマーケティング予算をかけずに、ユーザーをよりエンゲージメントの高い状態に持って行くことです。
グロースハックを実践するグロースハッカーは、マーケターとエンジニアの両方の要素を兼ね備えていることが大切です。Webサイトの改善にとどまらず、商品やサービス、さらにはそれを提供する企業の進化に対しても貢献が期待されています。
■最後に
日本のWebマーケティングでもその需要は高まり、企業のグロースハッカーの求人やアサインの依頼が着実に増えています。グロースハッカーの主な仕事目的は、より多くのユーザーを獲得しサービスの‟成長と収益向上”へ導くことです。
グロースハッカーは、「売れるにはどうするか?」というポイントに目標を置いています。
つまり、継続的なビジネスの改善によってサービスや製品を成長させ、最大限に売れる方向へと導くことが「グロースハッカー」が果たすミッションだと言えます。
そのため、必ずしもインターネット限定の職種では無く、新規事業の立ち上げから目的達成のための活動範囲は多岐にわたります。
「グロースハッカー」はマネジメントで重要な「顧客開発」の初期段階から成長や増殖・増加(グロース)に携わります。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、5000人をを超える顧問やプロ人材とグロースハックによる事業成長支援を行っています。
ウェブ⇔アプリ、広告⇔サービス内改善といったソリューションの区分けはなく全領域でサービス成長をご支援します。
その目標は最大利益を導き出せる「成長」にあります。
このことからグロースハッカーは製品のマーケティング、そして戦略に関わる問題に対して全体的にクリエイティブな解決法を示せることが重要です。
実際に「グロースハッカー」として活躍している人には、起業家やセールス出身者も多数います。
KENJINSは、事業戦略策定支援、KPI選定から課題抽出、仮説構築、施策エグゼキューションまで一貫してプロ人材をアサインしプロダクトの改善と事業のグロースハックの実行を支援します。
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■法人営業のグロースハックが必要な企業様へ
AARRRには、リファラル(referral)の要素が含まれていますが、大手企業を新規開拓する際には、顧問からの「推薦」で決裁権限者であるキーマンの「紹介」を受けることは、費用対効果という観点からも非常に有効だと言えます。
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