KPIとは何か?営業プロセスを細分化した目標設定が大事な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 企業インタビュー   パーマリンク

企業が成長する上で、営業目標は非常に重要です。企業や営業組織が特定の期間内に営業活動における売上目標や様々な数値目標を設定するのが、営業目標になります。

営業目標を立てる際には、売上げ金額や販売数量などに関する定量的な目標だけでなく、営業プロセスを細分化し行動内容という定性的な目標となるKPIも含めて設定することが欠かせません。

なぜなら、的確な目標が定められていれば、やるべきことが明確になり、余計な時間やコスト、労力を最小限に抑えることができ、最短ルートで目的を達成できるからです。

設定された営業のKPIは、営業担当者のモチベーションや行動に大きな影響を与えます。

そこで今回は、KPIとは何か、営業プロセスを細分化し目標設定することが、顧客の創造と売上拡大を実現するために大事な訳について解説します。

「ノーベル賞受賞者とそうでない人の一番の違いは、IQや労働倫理ではなく、彼らが自己の成長に大きな期待をしたかによる。自己により多くを問うた者が、偉大な成果を得る。」

<ピーター・ドラッカー>

■KPIとは何か?
KPIとはKey Performance Indicatorの略で、「重要業績評価指標」と訳されます。目標達成までに必要なプロセスを進捗や結果が分かりやすいように数値化したものがKPIです。

営業組織などは売上として数値で結果が出るため、KPI設定のイメージしやすいかと思います。間接部門やシステム開発、製造業などでも業務を細分化、数値化することでKPIの設定ができます。

KPIは最終目標に向けて各部門や業務別に細分化して設定されます。

例えば、月間の売上目標が2,000万円という場合に、毎週の売上は250万円と設定できます。そのためには、50万円の商品を5件受注する必要があります。

この時、商談から受注までの歩留率が25%なので商談は20件必要ということが分ります。このように、「歩留率」がわかることで、プロセスごとにKPIが設定できるということになります。

歩留率とは、営業プロセスの例で言うと、[集客]→[見込み客フォロー]→[販売・見極め]→[ファン化]の順で、見込み客数は減少してしまいます。

全社的な営業目標は、1年、半期、四半期といったスパンで目標が設定され、それらを達成するために、毎月の目標値や部署、課ごとの営業のKPI目標が決まります。

■営業にKPIを設定する目的
企業や組織は多くの部門や業務によってなり立っているため、企業の中のひとりの従業員の視点で見ると、企業や組織として設定している最終目標は自分ごととして捉えることが難しく、日々の業務がぼんやりとしてしまいます。

営業目標が設定されれば、営業担当者は戦略的に考え行動できるようになります。

そこで、最終目標達成に向けた具体的な行動指標を示すものとしてKPIを設定するのです。

もし高すぎる目標を設定してしまうと、こんな大きな数字を達成することができない、とモチベーションの低下に繋がる可能性があります。

一方で、容易に達成できる目標を設定すると、チームや担当者の成長を阻害してしまいます

そのような際に、効果的な「KPI」を設定すると効果的です。

KPIとして各業務の目標設定、進捗や達成率を管理することで、やるべき業務が具体的になり業務の生産性が上がるという効果があります。

KPIを設定する目的としては、各業務において「何をするべきか」を明確に数値化するためであり、明確化した結果、効率的に目標達成ができることにKPIを設定する意味があります。

■営業のKPIを設定するメリット
営業活動のモチベーションにおいては、「達成すること」「承認されること」「責任を持つこと」などの動機付け要因が大きく関係しています。生産性の向上につながる具体的な理由は以下のような理由からです。

1、チーム全体の進捗状況が分かる
KPIを設定することで、実現可能な目標を設定し、評価を行い「何かを達成し」「他人から承認され」「プロジェクトに責任を持つ」機会を与えることができます。

チーム全体の進捗状況が分かるので、状況に応じて補完ができたり、全体の状況を俯瞰して捉えることでチームワークの向上にも繋がる効果があります。

2、個人目標が明確になる
営業活動におけるモチベーションを維持・向上させるには、これらの目標の設定することと目標達成の機会を与えることが重要です。

個人目標とは、仕事において自身の達成すべき目的に取り組むために、具体的な達成基準と行動計画を決めたものです。設定する目標は人それぞれですが、仕事を進めていく上では何かしらの個人目標を立てる場合がほとんどです。

個人の目標と進捗状況が明確になることで、ひとりひとりのモチベーションの向上に繋がります。

また、目標達成が難しい状況においても課題発がしやすくなるので、効果的なサポートが可能になります。

3、業務の的確な改善ができる
KPIは最終目標に対しての、中間目標となります。中間目標を明確にしておくことで失敗している点や改善すべきポイントが明確になります。

反対に、うまくいっている施策も明確になるため、最終目標達成を効率的に進めることができます。

目標達成を通じて自分がどうなっていきたいかが最も重要なポイントだと言えます。目標を立てる前と立てた後、そして目標を達成した後で着実に成長していることが実感することがKPIによる目標を立てる大きな意義になるでしょう。

4、平等な評価基準ができる
目標を細分化して管理している場合は、月ごとに目標に対しての評価を行うと良いでしょう。

その理由としては、評価される機会を増やすことで、承認欲求が満たされ、モチベーションの向上に繋がるからです。

KPIとして数値化した目標設定と行動指針の明確化が、そのまま評価の基準となります。「達成率」「行動量」など評価が数値化されることもチームワークやモチベーションにつながり、組織全体の生産性を上がることができます。

■KPI指標とは?KGIとの違い
KPIと同時によく使われる言葉に「KGI」があります。「KPIの達成」「KPIの進捗」など達成すべき目標という意味で使われるため、混同しやすくなっています。

KGI(Key Goal Indicator)は、企業が一定期間のうちに達成すべき最終目標を表す言葉です。KGIを達成するために、段階的に設定する中間目標のことをKPI(Key Performance Indicator)と呼びます。

企業にとってKGIは最終目標、KPIはKGIを実現するための中間目標の役割を果たします。

【KPIとKGIの違い】
KGI:最終目標として設定されるもの。
KPI:最終目標達成に必要なプロセスを具体化・数値化したもの。

たとえば、コールセンターやコンタクトセンターの場合、KGIやKPIとしては次のような目標を設定するのが一般的です。

1、コールセンターのKGIの設定例
・売上高を前年比●●%上昇させる
・コールセンターの運営コストを前年比●●%削減する
・顧客満足度を前年比●●%改善する
・顧客ロイヤルティを前年比●●%改善する

2、コールセンターのKPIの設定例
・コールセンター経由の商品販売個数を前年比●●%増加させる
・CPC(1コールあたりのコスト)を前年比●●%削減する
・顧客満足度の改善のため、JCSI(日本版顧客満足度指数)を●●%上昇させる
・顧客ロイヤルティの改善のため、NPS(ネットプロモータースコア)を●●%上昇させる

KPIは必ずKGIと関連のある目標を設定しましょう。そもそも、KPIはKGIを達成するための「中間目標」としての役割があります。KPIがKGIと関連付けられていなければ、なんのためのKPIなのかを見失ってしまいます。

KPIを設定するときは、KGIから逆算し、KPIを達成していくことで自ずとKGIも達成できるような数値目標を選びましょう。

■KPIを設定をする際に注意すべきポイント
営業目標を継続的に達成できれば売上が上がり、利益が増えていきます。当然のことですが、これが難しいからこそ、多くの企業は営業課題を抱えています。

1、最終目標(KGI)に即したKPIを設定する
適切な営業目標を設定できても、それをマネージャーが適切に管理できないと、営業担当者のパフォーマンス最大化は見込めません。KPIを設定する目的は最終目標、KGIを達成するためです。

計画なく目標達成を目指すのではなく、営業目標から達成するべき数値を逆算して行動目標を立てることが大切です。営業担当の経験や能力をもとに達成可能な目標を設定し、チームの戦略を策定しましょう。

その際、KPIにばかり注目してしまうと、現在の個々の業務ベースの目標になってしまい本来達成すべき目標からずれてしまうことがあります。KGIから逆算してKPIを設定すれば、大きくずれることはありません。

2、KPIの数は最低限に設定
KPIは業務を細分化するため設定しようと思えば、いくらでもできてしまいます。

しかし、組織・個人に設定するKPIの数は3~5個が適当だと言われています。最大でも10個程度で、それ以上になるとたいていの人は理解できなくなってしまうからです。

経営目標→部門目標→チーム目標→個人目標と目標を落としていくことで、効果的に営業目標を管理できるようになります。

全部必要なプロセスであったとしても、KPIが多すぎると業務に集中できなくなったり管理ができなくなってしまうと意味がありません。重要な目標に対するプロセスを選び、無理のないKPI設計を行いましょう。

特にチーム目標→個人目標の落とし込みが重要で、チーム全体での目標を各個人の能力に合わせて振り分けていくと良いでしょう。

3、責任の所在を明確にしておく
営業担当のスキルや経験が足りず、目標達成に向けた行動を設定できないケースがあります。

まず、誰がどのKPIを追うのかを明確にしましょう。

チームで1つのKPIを設定する場合でも記録や管理をするリーダーを立てるといいでしょう。チームの成功事例を積極的に共有することで、経験の少ない営業担当もその情報を元に行動目標を設定できるようになります。

計画だけになってしまわないように、どのKPIを誰が担当しているのかを明確にすることでKPIの運用がより効果的なものになります。

4、KPIには期限を設ける
営業担当の行動の把握には、営業目標管理シートが活用できます。管理シートには行動目標(何をするか)、期限(いつまでにやるか)、成果(どうなるか)の3つの要素が最低限含む必要があります。

KPIだけでなく、どのような計画や目標にも言えることですが、期限の設定は必須です。特にKPIは進捗を追う必要があるので「いつまでに」を明確に設定しましょう。

「期限」は、営業目標を達成するべき日付から逆算し、いつまでに各目標数値を積み上げればいいのかを設定します。月別、週別と細かく管理するのが理想的です。

■設定したKPIの運用と管理の5つの方法
継続的な目標達成のために大切なのは、目標管理者が営業担当者の目標・行動・モチベーションを管理し、随時フィードバックを与えることです。

1、KPIはチームで共有
分業体制を敷く場合は、何が得意なのか、不得意なのかを考慮した上でメンバーの配置を行います。各メンバーが個々の専門スキルを向上させるために取り組みを行うことが必要です。個人の成長を促すことでチーム力強化に繋がります。

KPIは目標に対してのプロセスを細かく具体的にしたものです。自分のKPIだけしか把握できていない状況だと本来達成すべき目標を見失ってしまいます。

自分のKPIだけでなく、ひとりひとりが常に全体を俯瞰したうえで自分の役割が明確になるようにKPIは共有しておくことがおすすめです。

2、進捗と結果を長期的に管理
設定したKPIの進捗や結果が分かるよう管理をしておきましょう。営業目標管理シートで営業担当の状況を記録することで、全体の進捗を管理者が把握できるようになります。

成果に遅れが見られる営業担当に対しては、個別にアドバイスするなどフォローアップが行えるようになります。KPIの進捗は数値管理できるExcelやITツールなどで管理することをお勧めします。

リアルタイムや日別で進捗が可視化できるツールであれば、モチベーションの向上も期待できます。

3、柔軟なKPIの設定変更
KPIはあくまでも最終目標を達成するためのプロセス、中間目標です。プロセスを中間目標におくことで、方法が間違っていた時の軌道修正や成功パターンを掴み、最大化できるメリットがあります。

営業目標は、会社の売上目標から逆算されます。売上目標は過去の実績や成長率、市場の状況を考慮して決定します。競合他社の動向も加味すると良いでしょう。

そのため、KPIは外部要因や社内リソースなど状況に応じても柔軟に対応していくことも重要です。

4、定期的に振り返りをおこなう
KPIを運用する上で、振り返りを行うことはとても重要です。

振り返りを行うことで最終目標に対して正しくKPIが設定できていたかどうかの確認や、より効果的なKPI設定の見直しができます。個別に目標設定した後は、日次や週次で進捗状況を確認しましょう。計画通りに進まない場合は、その原因を明確にした上で一緒に改善策を考えます。

5、定期的なフィードバックを行う
目標管理では、マネージャーから担当者へのフィードバックがとても重要となります。

目標管理を適切に行えているチームでは、フィードバックをする機会が非常に多く発生します。フィードバックがあまりに少ない場合は、目標管理が正しく運用されていない状況にあるといえます。

目標管理の運用にはフィードバックが不可欠です。1on1や面談、チームMTGを活用し、適切なフィードバックを行っていきます。

■まとめ
KPIはプロセスの管理、中間目標ではありますが、組織全体で大きな目標を達成するために効果的な管理方法です。

適切な営業目標を設定できても、それをマネージャーが適切に管理できないと、営業担当者のパフォーマンス最大化は見込めません。

営業目標を設定する際には、なぜこのような売上目標が設定されたのか、なぜこれだけ売上を上げなければいけないのかも理解する必要があります。

営業マネージャーは会社の数値目標を深く理解し、目標の数値の意味をメンバーに対して十分な説明ができなければなりません。

やみくもに目標設定を行うのではなく、正しいKPI設計と数値管理を運用する営業プロセスのマネジメントがあってこそ効果を発揮します。

KPIの基本の考え方を理解した上で、計画なく目標達成を目指すのではなく、営業目標から達成するべき数値を逆算して行動目標を立てることが大切です。営業担当の経験や能力をもとに達成可能な目標を設定し、チームの戦略を策定しましょう。

■最後に
中小企業の経営者やベンチャー企業の起業家もしくは、現場の営業マンであれば、

・「紹介営業によりターゲットとする特定の大手企業との新規取引に成功した。」
・「高額なプロダクトの受注が、紹介者によるトップダウン営業のお陰で決まった。」
・「コネ無しに営業していたが、ライバルに政治的な圧力により負けて失注した。」

という経験は多かれ少なかれあるかと思います。

会社を持続させるためのエンジンとなる売上を上げるためには、既存顧客の維持だけでなく、新規開拓を行うことが欠かせません。そのためには、「見込客」=「リード顧客」を発掘し、有効商談に繋がる質の高いアポイントを獲得することが欠かせない要素になります。

その際、決裁権限者となる「キーマン」とのアポイントを獲得し、プレゼンテーションの機会を増やす施策が必要になります。

なぜなら、大手企業が新たに製品やサービスを導入する際には、担当者レベルの意思決定で導入することはほぼ無いからです。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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