企業が売り上げを伸ばしていくためには、顧客や市場のニーズを把握することが必要です。現代社会では、消費者だけでなくBtoBのビジネスを展開する企業でも顧客ニーズの変化に対応が必要になりました。
法人営業では、様々なセールスの施策を講じるために顧客情報を分析することがより求められています。顧客分析で重要なのは、目的を明らかにして分析を行うことです。
ですが、顧客分析をしただけで満足していては、売り上げの向上には繋がらず、効果的な営業戦略の立案やマーケティングの施策は展開できません。
そこで今回は、顧客分析とは何か?顧客を分析し顧客情報の「データマイニング」を行うことで、科学的に営業するポイントについて解説します。
「最大の危険は、製品やサービスが何であり、何であるべきかであり、いかに買われ、いかに使われるかについて、顧客以上に知っていると過信することにある。
予期せぬ成功を不快とせず、機会として見なければならない。事業の目的は顧客を変えることではない。顧客を満足させることにある。設立まもないベンチャーに特有の病が市場志向の欠如である。」
<ピーター・ドラッカー>
■顧客分析とは?
顧客分析とは、自社の商品やサービスを購入したり、利用する顧客の情報を分析することを指します。
ターゲットを選定する際、一番最初に分析するべきデータは自社の既存顧客のデータです。なぜなら、自社の既存顧客のデータを分析することで、自社の強みを活かすマーケティング戦略を施策することが可能になるからです。
まずは現在取引を行っている既存顧客の共通点を探しましょう。共通点を探す項目としては、「決裁者(キーパーソン)の部門や部署」「会社の規模や業種」「その企業にとっての課題」などが挙げられます。
法人営業を強化するための顧客分析では、こういった既存顧客に関する情報を通じ、営業戦略の立案や更なる需要が期待出来る事業展開、潜在顧客に対するマーケティングを進めることができます。
顧客分析を推進する目的としては、効率の良い営業戦略を立案するため、そして、自社のプロダクトやサービスに顧客の声を取り入れて改善していくために重要なプロセスになります。
的確な顧客分析を行うことで現状を把握でき、そこからマーケティングの施策を立て、さらに施策の評価を行うことで、それまでよりずっと強固な事業基盤を築くことが実現します。
■顧客分析をする4つのメリット
顧客分析の目的は業種や業態によって異なるため、自社が抱える課題に合わせて顧客を分析し、データーマイニングを行う必要があります。
1、現状把握をする
顧客分析を行うと、提供している商品やサービスの売れる理由と売れない理由を明確にし、プロセスを深く掘り下げることができます。
これにより、自社の市場における立ち位置、顧客のニーズとのズレなどを把握することができます。同時に顧客分析で現状を把握することで、将来的に打つべき施策の方向性が分かります。
現状を把握するということは「どの商品が売れて、どの商品が売れない」という単純なことではありません。顧客分析の結果を数値化することで、現状をわかりやすく把握できます。
なぜ売れているのか、どうして売れないのかといった一歩踏み込んだ現状を把握するということです。顧客の購買活動を具体的な数値として確認することで、売れる理由と売れない理由について深掘りすることができます。
提供している商品と顧客のニーズが一致していない場合、提供する商品の改善が必要になります。自社のサービスの認知度が高くない場合は、マーケティングの施策を変えていく必要があります。
既存顧客について把握することで、アプローチ法や現在のマーケティング施策の効果を確認でき、不必要なマーケティング費用の削減、効果的な施策の立案に役立てられます。
また、商品の購入理由や購入しなかった理由を深く掘り下げることで、売り上げの増加やコスト削減に繋がり、よりよい商品開発へと発展させることも可能です。
2、商品やサービスを改善する
せっかく顧客を得ても、すぐに競合他社に流れてしまっては意味がありません。顧客のニーズを探って満足のいく商品やサービスを提供することで、他社へ流れることのないよう囲い込みを図ることは安定した売り上げ維持に繋がります。
顧客のニーズを満たせているかどうかを検証し、ニーズにあわせて自社の商品やサービスをより良いものに改善します。
顧客分析を通じて、アプローチするべき顧客のターゲットを定めることができます。どのような属性の顧客が商品を購入するのか、といった分析により、打つべきマーケティング施策を決定することができます。
顧客が自社の商品やサービスにどのような価値を感じているのか、悩みや課題の解決を求めているのかを確認することで、商品やサービスの見直しを行い、市場にマッチさせていくことができるでしょう。
3、マーケティング施策の最適化に繋がる
マーケティング施策を最適化し、効果を最大限に発揮できるように改善するためには、顧客分析は不可欠になります。
なぜなら、顧客分析を行うことで、今まで行ってきたマーケティング施策の費用対効果を整理することができるからです。
これによって、実際に成果が出ている施策や、これから成果が上がると予想できる施策を評価することができ、注力することができます。効果が出ている施策であれば継続するという判断ができますし、課題が発見されれば改善策を検討することもでき、次の顧客獲得につながるでしょう。
さらに、不必要な施策についても把握することができるため、無駄な予算を削減することができます。
顧客分析で得た情報をもとに、マーケティング手法の改善を進めていくと、今まで発生していた無駄な費用を省くことができるだけでなく、新規の顧客をより多く獲得することができます。
4、業績を上げる
顧客分析を行う最終的な目的は、業績を上げることです。顧客分析の結果をもとに、自社の強みを客観的に確認することができれば、効果的なマーケティング施策と効率的な営業活動を行え、事業基盤を強固にできます。
顧客のニーズを的確にとらえることで、既存顧客の維持を可能にし、購買頻度や利用頻度のアップにもつながるでしょう。
データマイニングの大きな目的としては、事業の将来性を知るための分析活動であり、顧客ニーズや潜在顧客の有無を把握することで、購買率や顧客満足度の向上、営業活動の効率化、商品開発などさまざまな面で役立てられます。
また、商品やサービスの改善により、既存顧客の流出を防ぐことにつながり、売り上げを強固なものにすることができます。
こういった要素から、顧客分析は事業の業績を上げることに必要な施策だと言えます。
■顧客分析の基本項目
実際に顧客分析をおこなう際には、具体的にどのような項目を分析していけば良いのでしょうか?どのような企業でも顧客分析の際に最低限必要となる、4つの項目を紹介していきます。
1、顧客の定義・ペルソナの明確化
顧客の中でも、特にLTV(生涯顧客価値)が高い、優良顧客に共通する属性を明らかにし、理想の顧客像であるペルソナを明確化します。ペルソナが明確になることで、営業担当者は優先的に営業すべき見込み顧客を判別できるようになり、営業効率が向上します。
営業成績を上げるためには、LTVが高く、なおかつ成約率の高い理想的な顧客に集中することが重要です。顧客分析から自社にとって理想的な顧客像であるペルソナを作成しましょう。
2、市場規模
市場規模とは、ある市場における年間商取引総額のことです。市場規模を知ることで、販売価格や販売数量、市場環境や競合他社の参入状況、市場の特徴・傾向などを把握しやすくなります。
また、見込み利益を判断する際にも役立ち、事業計画の立案や新規参入の参考にできます。
設定したペルソナに対して、その集団を対象にしたときの市場規模や将来性を分析します。理想のペルソナの市場規模が小さすぎたり、将来性が悪かったりする場合には、別のペルソナを作るなどの対策が必要な場合があります。
当たり前ではありますが、「顧客分析だけでは売上向上には繋がらない」という点です。
どのような分析結果だったらどういった施策をすべきなのか、仮説と目的意識を持って取り組むことが大切です。仮説を立てることで、顧客分析の項目や切り口を絞ることができ、効率的に分析を進めることが出来るでしょう。
3、顧客のニーズ
特に売上に伸び悩んでいる企業ではLTVが低かったり、成約しづらい顧客を深追いして時間を浪費してしまったりしている場合が少なくありません。
営業担当者は、毎日のように顧客の課題やニーズについてヒアリングをしていることでしょう。それらのデータを収集し、顧客が抱えている課題やニーズにはどんなものがあったのか分析しましょう。
受注に至った後も「きちんとその課題を解決できたのか」まで分析することで、顧客のロイヤリティ向上のための施策に繋げることができます。
4、購買プロセス
顧客とのファーストコンタクトから、実際に受注もしくは失注に至るまでのプロセスを分析していきます。顧客が実際にどのような購買プロセスを経ていたのか、意思決定の障害はなんだったのかを把握していきます。
この際、顧客の心情がどう変化していったのかについても明らかにするといいでしょう。
やみくもにデータだけ見ていても時間を浪費してしまう可能性が高いので、すでに設定してある自社のペルソナやカスタマージャーニーが適切なのかどうかという視点で分析していくのが良いでしょう。
■顧客分析に使えるRFM分析の手法
新たな集客に結びつけるには、顧客分析から得たデータをもとに付加価値の高い情報提供をしていくことが求められます。
顧客の属性情報や購買履歴、利用行動といった分析結果からは、顧客がさらに求めている商品やサービスを洗い出すことも可能です。
RFM分析とは、Recency (直近いつ)、Frequency (頻度)、Monetary (購入金額)の3つの指標で顧客を並べ替え段階的に分け、顧客をグループ化した上で、それぞれのグループの性質を知り、マーケティング施策を講じる手法です。
顧客の購買行動を最新購買日と購買頻度、さらに累計購買金額の3つの軸から分析を行っていくことで、自社が接点を持つべき顧客について判断をしていきます。
「直近いつ」という概念が入っているので、デシル分析のように過去に一度だけ高額商品を購入した顧客と、最近少額だがたくさん購入してくれている顧客が同一グループに入るようなことはなく、明確に分けて分析することができます。
1、Recency(リセンシー):最新購買日
顧客状態は、以下の3段階に分けられます。
・一般客
・流行客
・優良客
一般客は購入頻度の低いユーザーを指します。新規顧客も一般客に含まれます。最近購入した顧客のほうが何年も前に購入した顧客よりよい顧客と考えます。
購入データのなかから「購入日時」を見て、 その顧客が最後に買ったのがいつかを算出しグループ化します。
グループ化は、どの程度の期間で分けるのがよいかは、 そのグループに所属する顧客数やどれくらいまで前のデータを分析するかの意味を勘案して決定します。
2、Frequency(フリークエンシー):購買頻度
どの程度頻繁に購入してくれたかを判断材料とするもので、頻度が高いほどよい顧客と考えます。 何度も購入してくれるリピーターが優良客となります。既存客のなかで優良客の割合は多くありません。
しかし、売り上げの大部分は優良客が占めるため、1番大切にしたい顧客層です。
パレートの法則では、顧客の2割が売り上げの8割を生み出していると言われています。つまり、何度も購入してくれる優良客は、企業やブランドの売り上げを支えてくれる存在だということです。
顧客の購買履歴から過去に何回購買したかを拾い出し、その回数が多い順番に並べれば、一番上にくる顧客が最もFの高い顧客となります。
Fが低い顧客が多い場合は、サービス業の場合サービスレベルや料金等で顧客に満足を与えていない可能性があります。
一方、Fが高い顧客が多い場合は、常連顧客が多いということですが、そのわりにFの低い顧客が少ない場合は、 新規の顧客が少ないことになりますので新規顧客獲得に向けた施策が必要になってきます。
3、Monetary(マネタリー):購買金額
自社の商品を頻繁に購入していたりサービスをこまめに利用していたりする顧客が高評価の対象になります。累計購買金額(Monetary)は、利用金額を対象に評価をします。
顧客の購入金額の合計で、この金額が大きいほど良い顧客と考えます。 このMを10段階に分けたものが前項で説明したデシル分析です。
購買履歴から顧客ごとの購入金額の合計を計算し、それを金額の大きい順番に並べれば、 最も上にくる顧客がたくさん買う確率の高い顧客となるわけです。MもFと同様に企業の営業期間によって金額は大きくなってきます 。
累積購入金額や累計利用金額が大きい顧客が高く評価されます。RFM分析では評価が高い顧客が、企業が接点を持つべき顧客ということになります。
■まとめ
顧客分析とは、商品やサービスを購入、または利用する顧客の性別や年齢層、居住地といった基本情報をはじめ、来店頻度や購入頻度などの購買行動を分析することです。
顧客分析は、自社の現状や顧客ニーズを把握するだけでなく、マーケティング、商品開発とあらゆる範囲に活用できます。目的を明確にし、分析結果をしっかりと活用することで、企業成長と売り上げの向上に役立てることが可能です。
常に新規顧客の開拓を図り、顧客を補充することも大切です。新規開拓を強化する上では、どの顧客が買ってくれそうかを予測してターゲットを決め、効率的にその顧客にアプローチすることが求められます。
顧客分析をすることで、自社が実施している取り組みにどれくらい効果が出ているのか、新たな課題はないかといったチェックができます。そのためには、顧客を何らかの基準で絞り込んで抽出する必要があります。
例えば、今後計画しているサービスの将来性を知りたい場合、潜在顧客の有無を分析する必要があります。現在の顧客の満足度を上げたい場合は、顧客満足度の分析をすることになります。
どんなに良い商品でも、しっかりと顧客のニーズを考えられていない商品は大きな利益が上げられません。
商品を売り、多くの利益を上げるために、顧客の状況をしっかりと知ることが出来る「顧客分析」はビジネスをする上で特に重要な要素であると言えるのです。
■最後に
顧客分析を行う上で、重要なポイントとなるのが、リード顧客が利用に至るまでの意思決定プロセスです。
企業が新に商品やサービスを購入する場合、同じようなプロダクトやソリューションが複数のライバル企業からリリースされ、市場に出ていることは往々にしてあります。
そのような場合、数多い企業の中から、「なぜ顧客が自社の商品の購買やサービスの利用に至ったか?」を顧客分析によって把握することができれば、その内容を考慮した適切なマーケティングが実施できるようになります。
BtoBのビジネスの場合、購買の意志決定までには複数人の意見が加わっていることも多く、他社との比較を含めた稟議などを通過してはじめて決定するのが一般的です。
個人よりも法人の方が意思決定プロセスは遥かに複雑であり、リード顧客の中で決裁権限を持つキーマンが誰であるのかを把握することは、営業活動やマーケティングを行う上で重要な意味を持ちます。
ベンチャー企業の起業家や営業マンであれば、あの会社との新規取引や高額なプロダクトの提案が「トップダウン営業」で受注が決まった、あるいはライバルに強力な紹介が付き、そののコネクションの影響力で負けて失注したという経験はあるかと思います。
法人営業において「誰と商談をするか」は、非常に重要な鍵になる要素だと言えます。
『売れる営業はキーマンとの商談率が非常に高い!』といっても過言ではありません。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、このような課題を解決するために、ハンズオン型で人脈を豊富に持つ「営業顧問」のコネクションを活かし、決裁権限のあるキーマンを対象にした「トップダウン営業」の実行支援を行っています。
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