近年、開発や製造、物流といった各分野で「バリューエンジニアリング」が導入されています。その理由としては、機能を向上させても同じ程度にコストが上昇してしまっては価値は向上していないと考えられているからです。
製造メーカーだけでなくスタートアップでも多くの顧客が求める「機能」をできるだけ安い「コスト」で実現することが必要になっています。
そこで今回、バリューエンジニアリングとはどういったものなのか、導入する目的や効果について解説します。
■バリューエンジニアリングが導入される背景
企業経営を続けるには、コスト管理の徹底が必要とされます。しかし、時にはコスト削減に重きを置き過ぎるあまり、品質向上の実現や顧客の要求への対応が後手に回ってしまうことが起こります。
事業企業や業界を問わず企業経営を続け、ライバル企業に競り勝つためにはコスト削減だけではなく、新しくクリエイティブな思考を生み出すことも必要です。
このような背景もあり、最近、システム開発会社や製造メーカー、物流会社などの各分野で「バリューエンジニアリング」が導入されています。
■バリューエンジニアリングとは?
バリューエンジニアリング(Value Engineering)とは、製品やサービスの価値を最大化しようとする体系的な手法のことです。製品やサービスの「価値」を「機能」と「コスト」との関係で捉え、価値を高める取り組みを指します。
英語の頭文字を取って、VE(価値工学)と表現されることが多く、バリューアナリシス(Value Analysis、VA:価値分析)とも呼ばれています。VE(バリューエンジニアリング)は、米国GE社のL.D.マイルズによって1947年に開発されました。
製造業においては、設計段階でのデザインや製品改良、金型設計や製造方法を考える場面などで用いられています。バリューエンジニアリングにおける価値、機能、コストの関係は、以下の式によって表されます。
価値(Value)= 機能(Function) / コスト(Cost)
つまり、価値を高めるための手法は主に以下の3つと考えらています。
1、同コストで機能を向上させる。
2、同機能でコストを削減する。
3、低コストで機能を向上させる。
日本VE協会では「最低のライフサイクルコストで、必要な機能を確実に達成するために、製品やサービスの機能的研究に注ぐ組織的努力である」と定義されています。
すなわち、単にコストダウンを図るのではなく、あくまで機能とコストの両面から価値の向上を図ることがバリューエンジニアリングの目的となるのです。
■バリューエンジニアリングの5つの基本原則
コストがそのままでも機能が上がれば価値は高くなり、機能が変わらなくてもコストが下がれば価値は上がります。
調達・製造・使用・廃棄といったライフサイクルコストを最小にして、必要な機能を達成することがVE最大の目的になります。
最近では高付加価値製品の開発や業務改善など、企業の体制強化や収益増強の効果が期待されています。VEでは成果を収めるため、押さえておきたい基本原則があります。VE基本原則はVEの行動指針といっていいでしょう。
バリューエンジニアリングを効果的に進めるために、押さえておきたい以下の基本原則になります。
1、使用者優先の原則
顧客はどのような機能を求め、何に価値を置いているのか、顧客の立場で何を必要としているか追及する。
2、機能本位の原則
果たすべき機能を明確にして改善する。
3、創造による変更の原則
自由な発想や工夫により固定概念にとらわれず、根本的・抜本的な改善・価値の創造を図る。
4、チームデザインの原則
各専門分野から知識や経験を集めて、チームで改善を図る。
5、価値向上の原則
機能とコストの相関を分析し、価値が最も高まるアプローチを探る。
■バリューエンジニアリングの進め方
バリューエンジニアリングを実現するためには、まず、その製品が、「誰のためのものなのか」、「何のためのものなのか」といった原則に立ち返ることが重要となります。
バリューエンジニアリングが効果を発揮するのは、購入資材費の削減や製品全体のコスト削減、製品開発などの分野になります。
最近では、製品だけでなく、組立作業や機械加工、梱包、運搬などといった製造工程や物流などの分野でも活用されるなど、コストが発生するすべての分野がVEの対象となっています。
その上でバリューエンジニアリングの実施手順は、3つの基本ステップで改善を図ります。
■バリューエンジニアリングの基本3つのステップ
1、機能定義(分解)
顧客の求める価値に関する情報の収集、必要となる機能の定義等を整理する。
2、機能評価(分析)
機能別のコスト分析と評価を行い、バリューエンジニアリング対象分野を選定する。
3、代替案作成(創造)
アイデア発想とその評価を行い具体化する。
即効性のあるVE実践のために重要なのは、自社が提供している商品やサービスについて、それが「誰のためのものなのか」、「何のためのものなのか」という機能を再確認する必要があります。
また、それを生み出すためのコストを明確化すること。そのようにして自社の製品の価値を知ることで、はじめて価値向上のための活動に取り組むことができるのです。
■バリューエンジニアリングを実践するステップ
バリューエンジニアリングでは、製造・提供コストあたりの製品・サービスの機能や性能、価値を最大化に取り組みます。
具体的には、製品のコンセプト段階からデザインや生産管理、製造プロセス、調達、品質・薬事申請などの担当者が集まり、製造する工程や方法が正しいか検証するバリデーションを実施します。
その後、製品開発プロセスを構成する複数の工程を同時並行で進め、各部門間での情報共有や共同作業を行うコンカレントエンジニアリングに繋げます。
【バリューエンジニアリングに関する質問】
1、情報収集:「それは何か?」
2、機能定義:「その働きは何か?」
3、機能の整理:「何のため(目的)?」「どのようにして(手段)?」
4、機能別コスト分析:「そのコストはいくらか?」
5、機能評価:「その価値は?」
6、対象の選定:「その価値は?」
7、アイデア発想:「他に同じ働きをするものはないか?」
8、概略評価:「コストはいくらか?」「必要な機能を確実に果たすか?」
9、具体化:「コストはいくらか?」「必要な機能を確実に果たすか?」
10、詳細評価:「コストはいくらか?」「必要な機能を確実に果たすか?」
■まとめ
企業経営を続けていくには利益を生み出し続けなければいけません。そういった環境の中で品質の価値を高く維持したまま、コストを抑えて顧客の要求に応えることは容易なことではありません。
そのため、製造メーカーでは、開発初期の製品コンセプトの段階から様々なエンジニアが製造する工程や方法が正しいか検証するバリデーションを実施する必要があると言えます。
その理由としては、無駄な開発費が生じる後戻りが発生しないように対策をすることで、開発費用の削減や製品化スピードの向上に繋げることが可能になるからです。
特に昨今の厳しい社会情勢の中で企業が生き残るためには、現状に満足せず、新しい風を取り込むことが重要です。
中でも競争するマーケットが日本だけでなくグローバル市場になる場合に、日本の製造メーカーが生き残るには、コスト意識の高い欧米や、中国などの海外治療機器メーカーに対抗できる体制を整えることが必須要件になると言えます。
また、目的を果たすために何をするべきかに焦点を当て、価値を高める努力を続けなければいけません。そこで確立された管理手法であるVEを導入し、価値、機能、コストを可視化することになります。
バリューエンジニアリングは、メーカーを問わず価値ある企業であり続けるための、重要な管理技術手法だと言えるでしょう。
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