大規模なプロジェクトを成功させるには、プロジェクトマネージャーを任命しプロジェクト管理を行うことが必須要件になります。
プロジェクト管理はどのような仕事を行いどんな目的で必要なのでしょうか?
システムの開発を問わず、プロ人材のパフォーマンスを最大化するプロジェクト管理には、手法や分野が異なっても成功するための共通のポイントがあります。
そこで今回、プロジェクト管理とは何か、プロジェクト管理の目的と成功のポイントについて解説します。
「新しいプロジェクトを一度やると決めたら、とことん信じ込むんだ。上手くやる能力があると信じるんだ。そして、これ以上はできないという最高の仕事をするんだ。」
<ウォルト・ディズニー>
■プロジェクト管理とは?
プロジェクト管理とは、プロジェクトを計画通り遂行するため、人・物・お金・情報・時間を適切にコントロールすることです。
ビジネスにおける様々なプロジェクトでは、社内の人材を問わず外部からも人材が登用され、多くの人材が複数のチームに分かれ、目的を達成するために業務が細分化されたタスクに取り組みます。
それぞれのタスクは相互に関連していることが多く、ひとつのタスクが遅れると、そのタスクだけでなく他のタスク、ひいては全体の進捗計画に大きく影響するため、プロジェクト管理を行いタスクの進捗管理を行うことは極めて重要です。
通常、プロジェクトには、期限や予算といった要件が決まっています。
社運を賭けた大事なプロジェクトを成功させ、計画をコントロールするためには、知見を豊富に持つ「プロジェクトマネージャー」を任命し、プロジェクト管理を行うことが必要になります。
■プロジェクト管理を行うプロマネとは?
システム開発では、プロジェクトマネージャーが計画の目標とその達成方法を設定し、各プロセスでそれを成し遂げられるようプロジェクトを管理します。
プロジェクトマネージャーとは、プロジェクト全体の進行を管理し、予算や品質、納期、成果物のクオリティに対して全責任を持つ役職です。
プロジェクトマネージャーの役割は、プロジェクト全体を見通した上で意思決定を行い、「定められた期限と予算内でプロジェクトの目的を達成するために必要な管理を行うこと」です。
一般的には、プロジェクトに要求される以下の3つの頭文字を取った「QCD」を守ることがプロジェクト管理として求められます。
・「Quality(品質・仕様)」
・「Cost(コスト・予算)」
・「Delivery(納期)」
人・物・お金・時間といったリソースには限りがあるため、プロジェクトマネージャーが適切な方法で管理しなければなりません。
そのためには、人員の配置や、スケジュールの管理、経費の予実管理、品質管理など、プロジェクトに関わることを幅広く、かつ細分化して把握しておく必要があります。
プロジェクトの各フェーズにおいて、計画達成できるよう働きかけることもプロジェクトマネージャーの仕事のひとつです。
■プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの違い
プロジェクトマネージャーは、顧客を含む社外の人間との交渉やプロジェクト全体の管理、予算などの決定、開発チームのサポートなど幅広い業務をこなすため、様々なスキルが求められます。
具体的には、それぞれ次のようなスキルが必須になります。
1、プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーとは、スケジュールや予算を管理し、プロジェクトを円滑に進行させるための「マネジメント」が主な仕事です。
プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトの運営、品質、納期等に責任を持ち、プロジェクトを円滑に推進させる役割を果たすプロジェクト管理者のことです。
具体的な業務内容には、プロジェクトメンバーの選定、顧客折衝、案件受注、要件定義、品質管理、納期・進捗管理、コスト管理等があります。
2、プロジェクトリーダー
プロジェクトリーダーとは、その名のとおり、現場のリーダーとして指示を出すのが仕事です。
プロジェクトチームのメンバーをまとめる、メンバーに適切な指示を出す、チームの意見をまとめて関係者に説明や提案を行うなど、成果を上げるために尽力するのが、プロジェクトリーダーの役割となります。
プロジェクトリーダーには、当然ながら、ITに関する深い知識やプログラミングスキル、設計スキルが求められます。
その他、提案力やコミュニケーションスキル、リーダーシップも必要になることから、現場経験の豊富なプログラマーやシステムエジニアなど、専門技術を備えた人が就くことの多いポジションです。
■プロジェクト管理の3つの目的
プロジェクトの企画から予算や工数の割り出し、人材確保など、プロジェクト遂行に必要なすべての準備及び調達を行うのがプロジェクトマネージャーの仕事です。
プロジェクトマネージャーのメインとなる業務はマネジメントですが、案件によっては管理業務だけでなく開発業務にも参加するケースもあります。
1、プロジェクトの見える化すること。
プロジェクトの見える化がプロジェクト管理には必要です。作業内容などのタスクの見える化を行うことで、プロジェクト作業の平準化を図れます。
見える化を実行すると情報共有が可能となり、プロジェクト全体の進捗状況を把握できるようになります。これにより、問題が発生した場合も迅速な対応が実現します。
メンバーへの指導も的確に行えるため、チーム力の向上も期待できます。
そして、必要に応じた柔軟な軌道修正も実現できるでしょう。見える化はプロジェクト管理の効率化を図り、目的達成の効果を最大限に引き上げます。
2、予算・納期・品質(QCD)を守る。
予算・納期・品質(QCD)を守ることはプロジェクト管理を行う上での必須条件です。
プロジェクト管理には、ヒト・モノ・コトを管理するスキルも問われます。QCDを守るにはプロジェクト全体の進捗状況を把握し、顧客やチームメンバーとの調整が大切です。
もし計画より遅れそうであれば、メンバー間のタスクを見直して再振り分けするなど、挽回策を練る必要があります。そのためにも、常にプロジェクトの状況を把握しておくことが大切です。
適切な人員配置やタスクの割り振り、必要に応じてメンバーを叱咤激励することもプロジェクト管理には必要です。
プロジェクトのさまざまな場面でヒト・モノ・コトを適切に管理できる能力がなければ、成功は難しいと言えるでしょう。
3、プロジェクト目標達成による利益の最大化。
利益を最大化するには、経費だけでなく、人員のムダや工程のムダも削減することがポイントです。
要件を満たした上で何を削減できるか考えるためには、プロジェクトをリアルタイムに管理しておく必要があります。
プロジェクト管理では目標達成による利益の最大化も目的として挙げられます。
そして利益の最大化を図ることが求められます。そのためにも各プロセスの総合的な管理が必要であり、利益の最大化を目指すには各プロセスの洗い直しが必要です。
プロジェクトの開始から終了までのプロセスには数多くの「ムダ」が存在します。したがって、その「ムダ」を見つけ解決することでコスト削減が可能となります。
■プロジェクト管理をしないとどうなる?
進捗管理だけでなく、プロジェクトの失敗は、プロジェクトのスタート段階での目的や目標の定義と実行計画(品質、納期、予算、人員など)の不適切さ、管理の甘さが原因でも起こります。
この場合、いくら進捗管理をしっかり行ってもプロジェクトは失敗します。
プロジェクトを成功に導くには、以下のの2つが必要です。
・プロジェクトを事前にしっかりと定義すること。
・計画性を持って確実に実行すること。
つまり、プロジェクトの成功にはプロジェクト管理が欠かせません。プロジェクト管理を行わないと、プロジェクトを計画通りに遂行できなくなる恐れがあります。
具体的に考えられるリスクは、以下の通りです。
・納期に間に合わない
・求められる品質を満たせない
・予算をオーバーしてしまう
その結果、クライアントからの信頼を失い、取引がなくなってしまう可能性もあります。コストをかけすぎることで、自社の赤字要因にもなりえます。
また、管理が行われないことでプロジェクトに関わるメンバー間のコミュニケーションも上手くいかなくなり、トラブルを引き起こしかねません。
プロジェクト管理は企業に課せられた義務ではないものの、プロジェクトの炎上や赤字といった致命的な失敗を未然に防ぐために重要な業務です。
■プロジェクト管理を行うプロジェクトマネージャーに求められる能力
プロジェクトマネージャーに求められる能力は多岐にわたるため、プログラマーやシステムエンジニアのうちから少しずつ知識・経験を深めることが欠かせません。
プロジェクトリーダーを経てプロジェクトマネージャーへキャリアアップを図るケースが一般的です。
プロジェクトマネージャーにはオールラウンドな能力が要求され、確かな情報技術と豊富な開発経験はもちろんのこと、交渉力や社内調整力、リーダーシップなども備えている必要があります。
プロジェクト完了と同時にプロジェクトマネージャーの仕事がすべて終わる訳ではありません。プロジェクトの課題やリスク、今後のための提言を文書にまとめる事務処理能力も大切です。
大規模なシステム開発プロジェクトには大勢の人が関わるため、万全の準備をしても予期せぬトラブルに見舞われることがあります。
つまり、数々の困難を乗り越えてプロジェクトを成功に導く強い熱意がプロジェクトマネージャーには求められるのです。
■プロジェクト管理の流れ
プロジェクト管理の流れを解説していきます。
1、目的を確認
プロジェクトの目的を明確化しましょう。目的の明確化はプロジェクトの指針となります。またチーム全体の意思統一を図れるためモチベーションのアップも期待できるでしょう。
逆に目的が曖昧なままでは優先事項がわからず、適切な判断ができない可能性があります。さらにプロジェクト終了時、目的を達成したのかを評価できません。適切な評価を行うために、目的に具体的な数字を入れておきましょう。
2、タスクの洗い出し
タスクの洗い出しをしましょう。プロジェクト管理では目的を達成するために必要な作業をタスクとしてリストアップします。作業内容や重要度、着手する順番などを整理すると良いでしょう。
そして、タスクを整理する際は担当者や期限の設定が大切です。担当者を設定すればタスクの責任者を把握でき、期限を設定すれば進捗状況も把握しやすくなります。
タスクの割り振りの際は、メンバーの適性や希望を考慮して適切な大きさのタスクを与えることが重要です。
3、進捗の把握・修正
プロジェクトの進捗状況を把握し、必要に応じてタスクの修正をしましょう。進捗管理はプロジェクトの目標や納期を確認しながらメンバーの作業の進行状況を把握し、進捗状況のズレを修正する業務です。
QCDを守るためにも常に進捗状況を把握し、問題があれば適切に対処しなければいけません。そのためにはミーティングを開き、メンバーの作業状況を聞き出すことが大切です。問題が生じた場合はプロジェクト全体のバランスを考慮しながらタスクを修正しましょう。
事態によってはタスクを追加する場合もあるかもしれません。タスクの追加によりプロジェクト全体に影響が及ぶ場合は、スケジュールの見直しかメンバーの追加も検討すべきでしょう。
■まとめ
プロジェクトとは、特定の目的を定められた期限内に達成するために計画を策定し、その計画を実行し完了することになります。
プロジェクト管理は、プロジェクトの目的を期限内に達成できるようにさまざまな問題を管理することです。
適切なプロジェクト管理を行えるかどうかで、プロジェクトの成功が決まります。
プロジェクト管理では、納期、コスト、品質、その他の前提条件やリスクをプロジェクト開始前に洗い出しておかないと、プロジェクトが予定どおりに進まなかったときに代替案の計画を作成できません。
また、作成できても予算がない、人員の余裕がないなどで計画を実行できません。
もしプロジェクト管理がなされていなければ、計画通りに進行できず、納期に間に合わなかったり、予算をオーバーするなどのリスクが考えられます。
プロジェクト管理では、クライアントに求められている要件の達成と会社の利益最大化を目的として、人・物・お金・情報・時間を適切にコントロールする必要があると言えるのです。
■最後に
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの成否に関わる重要な役職です。そのため、新人がいきなりこの役職につくことはまずありません。
まずはプログラマーから始まり、システムエンジニア、プロジェクトリーダーを経て、十分な経験を積んだ上で、プロジェクトマネージャーになるのが一般的です。
その先の一般的なキャリアパスとしては、一度プロジェクトマネージャーを経験した上で、スペシャリストの道を選んで現場に戻る場合と、さらに上位職であるITコンサルタントを目指す場合とに分かれます。
ITコンサルタントとは、プログラムマネージャーより上流の工程を担当する役職であり、ITを活用して顧客企業の経営課題を解決する専門家です。顧客へのヒアリングから経営課題を明らかにし、どのようなシステムを導入すれば課題解決が可能か提案していきます。
そのため、高いコミュニケーション能力や交渉力が必要とされますが、この役職にステップアップすることで、収入アップも期待できます。フリーのITコンサルタントとして独立し、複数の企業に関わるプロ人材もいます。
優秀なプロジェクトマネージャーやITコンサルタントは常に不足しているため、どの企業でも歓迎されるでしょう。
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