コンピテンシーとは?人材評価や育成にコンピテンシーを使うコツ

投稿日: 作成者: KENJINS運営元代表 カテゴリー: プロ活用方法   パーマリンク

ハイパフォーマーの思考や行動を分析することにより、「普段どのようなことを意識しているのか」「どういう理由で、どのような行動をしているのか」など、優秀な人材の特性を明らかにすることで、自社に適した人材の採用や人材育成に繋がります。

ハイパフォーマーに共通して見られる行動特性のことを「コンピテンシー」と呼びます。

コンピテンシーの取り組みは、元々、日本で生まれた人材育成や目標管理の考え方でしたが、欧米で仕様を変えられて、逆輸入された概念ということになります。

コンテンシーの特徴としては、

(1)高業績者の行動を科学的に分析
(2)成果を創出する行動にフォーカス
(3)より具体的な行動レベルで言語化

などが挙げられますが、その使い方やメリット、デメリットはあまり知られていません。

そこで、今回はコンピテンシーとは何か、人材の評価や育成にコンピテンシーが使える訳について解説します。

「企業経営のエッセンスは、何かに『卓越』することと、『決断』することである。」

<ピーター・ドラッカー>

■コンピテンシーとは?
コンピテンシー「competency」とは、仕事で高い成果を出しているハイパフォーマーに共通する行動特性や思考性を指す用語です。人事評価や組織マネジメント、採用活動、人材教育などコンピテンシーを活用できるシーンは数多くあります。

コンピテンシーは、「ハイパフォーマー」に共通して見られる行動特性のことを指します。高い成果につながる行動特性とも言えます。

コンピテンシーでは、具体的な行動そのものではなく、行動に繋がる「性格」「動機」「価値観」といった要素を重視します。

そのため、可視化しやすい「知識」「行動」「技能」とは異なり、コンピテンシーには可視化しにくいという特徴があります。

■コンピテンシー・ディクショナリーとは?
「成果を出すための行動特性や思考」は正確に表現することが難しいものです。

そこで、コンピテンシーとして可視化、モデル化するために高い成果を上げている人に特異に見られる行動指標を体系化した「コンピテンシー・ディクショナリー」というものが開発されました。

コンピテンシー・ディクショナリーは、1993年にライルM.スペンサーとシグネM.スペンサーが開発したもので、コンピテンシーをモデル化する上での6つの基本的な考え方、ベースとなります。

1、達成・行動
・達成思考
・秩序、品質、正確性への関心
・イニシアチブ
・情報収集

2、援助・対人支援
・対人理解
・顧客支援志向

3、インパクト・対人影響力
・インパクト、影響力
・組織感覚
・関係構築

4、管理領域
・他者育成
・指導
・チームワークと協力
・チームリーダーシップ

5、知的領域
・分析的志向
・概念的志向
・技術的、専門職的、管理的専門性

6、個人の効果性
・自己管理
・自信
・柔軟性
・組織コミットメント

出典:Spencer & Spencer(1993)

■コンピテンシーが注目される背景
コンピテンシーが注目され始めたのは、1990年代のバブル崩壊後、日本の人事評価制度がそれまでの年功序列から成果主義へシフトし始めたことがきっかけです。

近年の日本では、少子高齢化による労働人口の不足が問題となっています。

また、グローバル化やコロナショックの影響で、多くの企業が市況の急激な変化に晒されています。

各企業がこれらの問題から脱却するには、従業員の行動の質を高め、課題を解決し、生産性を向上する必要があるでしょう。

しかし、多くの企業が取り入れている職能資格制度では、評価が年功序列になりやすく、上司や人事担当者のバイアスが入りやすいという問題が生じています。

そこで、厳しい時代を乗り切る客観的な指標としてコンピテンシーが注目されるようになったのです。

■コンピテンシーが企業により異なる理由
コンピテンシーは、「専門的な技能や能力を発揮するための内面的な能力」と定義できます。

そのため、以下の二つの観点から自社で高い成果を出す従業員たちの思考・行動を分析します。

・どのようなことを意識して作業に取り組んでいるのか?
・高い成果につながる行動や習慣は、どういう理由で行っているのか?

コンピテンシーは、保有するスキルを発揮するために意識すべき行動や思考です。高いスキルがあっても、それを行動に活用できなければ、成果にはつながりません。

逆に「スキルはあるのに成果を上げられない」と悩む従業員も、コンピテンシーを磨くことでその人本来のスキルを発揮できます。

しかし、コンピテンシーにはスキルのような汎用性はありません。

なぜなら、どのようなコンピテンシーが仕事の成果に結びつきやすいかは、業界や職種、社風などによって大きく異なるからです。

■コンピテンシーの活用方法

1、人事評価項目に活用
コンピテンシーは、人事評価項目として活用するのが一般的です。

人事評価制度には、コンピテンシーに基づく評価である「コンピテンシー評価」の他、個人目標の達成度によって評価を行う「MBO(目標管理制度)」や、上司や部下、同僚といった複数の立場から従業員を多面的に評価する「360度評価」など、さまざまな種類があります。

中でも、「評価のブレ」を少なくする目的で使われることが多いのが、コンピテンシー評価です。

コンピテンシー評価を行う際には、部門ごとにハイパフォーマーへヒアリングを行い、評価項目を設定します。

それに基づき、「目標としていた思考ができるようになったか」「どの程度まで、ハイパフォーマーの行動特性に近づけたのか」といった観点で、評価を行いましょう。

2、採用、面接などに活用
自社に合った人材を獲得するためには、「採用基準を明確にする」「面接で応募者の本質を確認する」といったことが重要です。

コンピテンシーは、採用基準を設ける際の指標の一つとして使われています。

自社で活躍している従業員のコンピテンシーをもとに採用基準を設定することで、入社後の活躍が期待できる人材を見極めやすくなる効果が期待できるでしょう。

面接時にコンピテンシーを活用する際には、まず「直近1年以内に、最も成果を上げたエピソードについてお聞かせください」「どのような成果を上げることができましたか」といった質問をします。

その上で、「なぜ、そうしようと思ったのですか」「成果につなげるため、どのような工夫をしましたか」など、掘り下げた質問を行います。

それにより、応募者のコンピテンシーを把握することができ、自社に合った人材かどうかを判断しやすくなるでしょう。

3、能力開発、キャリア開発に活用
コンピテンシーは、能力開発やキャリア開発に活用することもできます。

「どういった思考のもと、どのような行動をすれば高い成果につながるのか」をテーマにした「コンピテンシー研修」では、まず、ハイパフォーマーの行動特性を従業員に示します。

その上で、「どのような思考を身に付けたいか」「どういった行動ができるようになりたいか」といった目標を従業員一人一人に設定してもらいます。

自ら目標を設定することにより、積極的・自発的な行動が促され、成長につながるでしょう。

4、組織マネジメント
コンピテンシーは、組織運営やチームビルディングといった組織マネジメントに活用できます。

例えば、現チームで意思決定に参加できていない人材には、配属チームを変えるなどの方法もあります。

また、現在の部門で期待した成果をあげられていない人材についても、本人のスキル不足なのか、部門と本人の特性が合っていないのかを客観的に判断できます。

従業員のコンピテンシーを把握することで、適材適所の配置や最適な仕事の割り振りが可能となるのです。加えて、リーダーを任せたい人材が本当にそのポジションに適しているかも見極めやすくなるでしょう。

■コンピテンシーのメリット

1、効率的な人材育成が可能
コンピテンシー評価では、実際に高い成果を上げている社員の「行動」を評価基準として設定するため、現場に即した具体的で実践的な評価基準をもとに評価が可能です。

「何を努力すれば評価されるのか」が明確になれば、社員のモチベーションも高まりますし、能力開発や業績向上も期待できるでしょう。

本来高い能力や知識、技術を持つにもかかわらず業績が低迷している社員の場合、飛躍的に業績がアップするといわれています。

2、評価者が評価しやすい
評価者にとってもメリットがあります。評価基準が明確であるため、評価内容に評価者の主観が入り込む余地が小さく、より本質的で公平な評価を行うことができるのです。

評価者が、上下の人間関係、自身の出世、保身などを気にして、評価を歪めることも減るでしょう。

3、従業員の納得度が高まる
従業員は「どんな行動が足りないのか/足りているのか」を具体的な形で知ることができるため、評価内容の理解及び納得がしやすくなります。

能力やプロセスに基づく評価では、基準が曖昧になりがちです。しかし、コンピテンシー評価では、何を努力すればプラスの評価につながるか具体的に示されます。

従業員は、何をすれば高い評価を得られるか明確に理解できるのです。

評価への不満も減るため、周囲との信頼関係も強固になりますし、若手の離職率も低下するでしょう。

4、戦略的人材マネジメントが行いやすい
誰がどんな行動を取ることができるのか明確になるため、社員の配置など人材マネジメントが実施しやすくなるのです。

さらに行動の管理もできますから、適材適所の人材配置も可能になります。

採用時にコンピテンシー評価を用いれば、

・人材の適性を知る
・採用後のミスマッチを防ぐ
・事前にふさわしい人材配置を考える

ことも可能です。

■コンピテンシーのデメリット
コンピテンシーを社内に導入する際には、ハイパフォーマーへのヒアリングを部門ごとに行い、職種・役割別のコンピテンシー項目を定める必要があります。

「1人にだけ聞けば済む」というものではないため、コンピテンシー項目の設定に時間がかかるというのが、一番のデメリットです。

また、ハイパフォーマー自身が「なぜ自分が高い成果を上げられているのか」「何が他のメンバーとは違うのか」ということを認識できていないと、ヒアリングを行っても、コンピテンシーを明確にできないこともあるでしょう。

この他、いったん設定したコンピテンシー項目を長期間、変更せずに運用し続けていると、時代の変化に対応できなくなるという課題もあります。

コンピテンシーを導入する前には、「どのように活用していきたいか」「どのような方法であれば、無理なく導入することができるか」などを慎重に検討しましょう。

■まとめ
コンピテンシーを企業に導入する際は、ハイパフォーマーへのヒアリングを元に、コンピテンシー項目を明確に定めます。

明確なコンピテンシーの項目があることで、「企業が従業員に何を期待しているのかが明確になる」「従業員一人一人が、コンピテンシーを意識した行動がとれるようになる」といった効果が期待できます。

ハイパフォーマーに共通する行動特性を意味するコンピテンシーには、「従業員一人一人の成長」や「生産性の向上」につながるといった効果が期待できます。

人事評価や採用、能力開発などに活用することで、社内によい影響がもたらされるでしょう。

ただし、「コンピテンシー項目の設定に時間がかかる」「長期間、変更せずに運用し続けると時代の変化に対応できなくなる」といった課題もあります。

無理なく運用できる独自のコンピテンシーの活用方法を模索した上で、コンピテンシーを社内に導入してみてはいかがでしょうか。

■最後に
戦略的人事の導入には、その分野に詳しいコンサルティング会社や専門家など、外部の「顧問のチカラ」を活用することも必要です。

なぜなら、人事担当者が戦略的人事を導入することにあまりに集中すると近視眼的となり、導入すること自体が目的となってしまい、本来の目的を見失うことになりかねないからです。

客観的な第三者としての外部のコンサルタントや専門家の力を借りることによって、目指すゴールを見失うことが少なくなります。

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本田季伸のプロフィール

KENJINS運営元代表 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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