セールスエンパワーメントとは?営業マンに権限移譲が必要な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: プロ活用方法   パーマリンク

技術革新やグローバル化などによってビジネスの速度が増し、意思決定にスピードが求められるようになりました。

なぜなら、エンパワーメントが行われていない会社や組織では、意思決定をするために、現場で決まったものを経営者や管理職が判断するので、決裁スピードが遅くなる恐れがあるからです。

意思決定のスピードを上げるために、現場ですばやく判断する「エンパワーメント」が注目され、営業の組織にも導入することが必要な時代になっています。

そこで今回は、セールスエンパワーメントとは?営業マンに権限移譲が必要な訳について解説します。

「自己啓発に最大の責任を持つのは、本人であって上司ではない。自らの成長のために最も優先すべきは、卓越性の追求である 能力は、仕事の質を変えるだけでなく、人間そのものを変えるがゆえに、重大な意味を持つ。」

「仕事が心を躍らせるのは、仕事を通じて自己刷新が図られる時である。その自己刷新の王道が、予期せぬ成功の追求である。」

<ピーター・ドラッカー>

■エンパワーメントとは?
エンパワーメントとは、上司から部下へ権限移譲を行う概念・取り組みのことです。権限を部下に付与することによって、自ら思考・判断したり、個性や能力を発揮したりすることを期待できます。

エンパワーメントという言葉は、単語としての本質的な意味は「力を与えること」ですが、「権限を与えること」「自律性促進」を指します。

個人の仕事においては、人間が本来持っている潜在能力を表に出す意味合いで「能力開花」と訳されることが多いです。

ビジネスの分野では、エンパワーメントは「権限移譲」を意味します。権限移譲とは、上層部などの経営層や管理層から、現場やチームなどに業務や意思決定の権限を付与することを言います。

多くの企業は程度の差こそあれ、ピラミッド型の組織になっているため、現場の情報が経営トップに伝わるまで、どうしてもタイムラグが生じたり、情報が変化してしまったり、対応するタイミングが遅れると問題に発展してしまうことがあります。

組織としてのパフォーマンスを維持し、更なる向上を目指して行くためには、現場に権限を与え、従業員の自主的、自律的な行動に任せることが重要になります。

意思決定の権限を与えることが、結果的に個人の自律性を促進したり、能力を開花させたりすることに繋がるからです。

■セールスエンパワーメントとは?
一般的に人材育成というと、知識を教え込むというイメージを持たれるケースが多いと思いますが、スタートアップの経営陣や営業の分野でのエンパワーメントの意味は、このようなイメージとは真逆です。

セールスエンパワーメントとは、営業マンの活動を通じて「営業マン自身で考える力を養い、個々が持つが持つ潜在能力を最大限に引き出してあげる」ことを指します。

営業マンに1から10まですべて教えてしまっては、営業マンの成長に繋がりません。

なぜなら、営業のイロハをすべてを教えてしまうことは、営業マンが自ら思考をする機会も、問題を解決する機会も、自ら学びをする主体的な行動の機会を奪ってしまうことになるからです。

昔は、「ホウレンソウ」=「報告・連絡・相談」が重視され、上司がすべてのセールス業務において指示を出し、部下はそれに従って動くということが一般的でした。

しかし、これでは営業マンが自主的に考え、営業の提案業務をこなす機会を奪ってしまうことになり兼ねません。

ビジネスの不確実性が増した今こそ、セールスパーソン一人一人が自分の意思決定で、様々な業務をこなすことが出来る状態にするための「セールスエンパワーメント」が必要になったと言えるのです。

■セールスエンパワーメントのメリット
営業マンに権限移譲を行い、限定的な範囲でも裁量を持たせ、セールスの現場に判断を委ねることは、時代の流れに則った営業活動を実現など、様々なメリットがもたらされます。

1、営業パーソンを早期に育成できる
セールスエンパワーメントを行うことによって、営業マンそれぞれが自ら判断する機会が増えます。与えられた仕事について最善の方法を考えたり、より良くなるように試行錯誤を繰り返したりするなど、自分で考えながら仕事に取り組むことが可能です。

営業マンが自分で考えて動く力やビジネスにおける判断力などが養われるだけではなく、様々な仕事に携わることで経験値も積みあがっていきます。

セールスパーソンが自身の成長を実感することは、企業への愛着にも繋がっていくでしょう。その点で、定着率アップなどを期待でき、企業としてのメリットにもなります。

2、営業マンの能力や個性を発揮できる環境を構築できる
セールスエンパワーメントが行われていない段階では、営業マンの能力や個性を発揮する機会がない社員が隠れている場合があります。

権限移譲が行われると、業務の進め方や企画などに裁量を与えられるので、本来の力を発揮しやすくなるのがメリットです。

独創的なアイディアを持っていたり、人を巻き込む推進力があったりするなど、人材それぞれの長所を発見できるでしょう。営業マン自身も気づいていない潜在能力が見つかることもあります。

個人の力が最大限発揮されることは、組織の底上げにもつながり、企業やチームの成果にも大きく貢献するでしょう。

3、営業現場での意思決定がスムーズになる
セールスエンパワーメントによって社員一人ひとりが判断できる組織では、意思決定のスピードが早くなります。

上司への確認などのステップを踏まずに判断できるようになれば、スムーズかつスピーディーな意思決定が可能です。

意思決定がスムーズになると、決裁までに時間がかかって起きた機会損失や顧客からのクレームなどを未然に防ぐことができます。機会損失の低減や顧客満足度の向上などによって成果が上がり、企業としての競争力アップにもつながるはずです。

4、営業マン一人ひとりに責任感が芽生える
営業活動において上司が権限を持っている場合は、「最終的に上司が何とかしてくれる」「どうせ仕上げは上司がするから」といった思いを営業マンに抱かせる可能性が高くなります。

責任感が薄くなりがちで、仕事の質も低くなる傾向があります。

例えば、顧客からクレームがあった場合、その問題解決に時間を要していては、顧客から持たれるイメージは悪くなってしまう一方ですが、その場で柔軟にすぐさま対応することができれば、結果的に顧客満足度を高めることができます。

セールスエンパワーメントによって権限を付与されるということは、仕事に責任を持つということです。自分の判断には責任が伴うため、仕事への取り組み方が変化するでしょう。

5、営業マンのモチベーションが上がる
上司に指示を出されたままの業務を行うのと、自らが責任をもって仕事に取り組むのとでは、モチベーションに大きな差が生まれることは簡単に推測できるでしょう。

セールスエンパワーメントに取り組むことで、営業マンが自発的に思考・行動する機会が増えます。与えられた仕事をこなす状態よりも、自ら取り組む方がやりがいを感じやすく、社員のモチベーションアップを期待できます。

自分のアイディアが採用されたり、課題を解決できたり、自分の判断で仕事をやり遂げたりする経験は、さらにやりがいや充実度を感じさせてくれるでしょう。

モチベーションが高まれば、問題解決にも積極的に取り組めるようになりますし、目標の達成に対しても必死になれることでしょう。プラスの循環が生まれ、いきいきと働ける職場への転換を期待できます。

■セールスエンパワーメントのデメリット
セールスエンパワーメントにはメリットだけではなく、デメリットもあります。3つのデメリットを参考にして、エンパワーメントを導入するか検討しましょう。

1、営業マンの管理が難しくなる
セールスエンパワーメントによって営業マンに権限を移譲すると、思い思いに動き、管理するのが難しくなるケースがあります。それぞれの動きや考え方が組織の目標からズレるおそれもあり、目標達成に影響が出るかもしれません。

これは、大幅なエンパワーメントを一度に行おうとする起きやすいデメリットです。段階的に権限を移譲したり、仕組みや管理体制をまず構築したりすることで防げます。

2、ミスが起こるリスクが高まる
営業マンが新入社員である際など経験不足なとき、力量に合わない課題を抱えたときなどに、ミスが起こるリスクがあります。営業の現場では、エンパワーメントをしたからといって任せきりになると、誤った判断で大きな損失が発生する可能性もゼロではありません。

放任するのではなく、報連相の徹底や適度なフォローなどを行い、ミスが起きない体制づくりが必要です。

3、人材によっては相性が悪いこともある
セールスエンパワーメントは、すべての人材にメリットがあるわけではありません。人によっては、与えられた仕事を丁寧にこなすことが得意な人もいます。

また、権限を得ることでプレッシャーを感じてしまったり、自分で考えて動くにはスキルが伴っていなかったりする場合もあるでしょう。

かえって、働きにくくしてしまうので、生産性が落ち、企業の成果にも影響が出る可能性があります。導入を決める前に、自社の人材の性格や傾向などをリサーチして、効果を予測することが重要です。

■セールスエンパワーメントを高める方法
セールスエンパワーメントを推進するためには、企業の最高責任者や営業のトップが、営業マン全員に対して、エンパワーメントリーダーシップに取り組むことを宣言することから始まります。

リーダーの演説で終わるのではなく、「コミットメント」として固い決意と熱意が伝わるように宣言するのです。

そして、セールスエンパワーメントの必要性や導入までの流れを説明します。こうして、営業マン全員からの理解を得るのです。

その後は、対象となる営業マンに対して裁量権を認める業務の範囲を決めて、実際に任せます。後は、つい口を出してしまいたくなることがあっても、その気持ちは抑えるようにし、営業マンが自己成長を遂げることを見守ります。

■セールスエンパワーメントの7つのステップ
企業がセールスエンパワーメントを実践する際には、セールスマネージャーがお互いの信頼と原則に基づいたコーチングのスキルが必要になります。

営業マンの潜在能力を引き出せるがが、今後の新しいリーダーシップの主流になるでしょう。

1、意図の発生
「問題を解決したい」「なにかを実現したい」という意図やひらめきが発生します。

問題意識をもちながら、解決の実現をイメージしたりもします。

この段階で重要なことは、自分自身の動機や価値について考えること、チームの目的や使命について考えることです。

2、熟慮する
目標を実現するためのいろいろな方法や、実現の可能性などを頭の中であれこれ考える段階です。

この段階では、衝動的に言動にうつすことは避け、熟考することがとても重要です。

3、選択をして決定する
この段階では、いくつかある選択肢の中から決めることが重要になります。

優先順位に従って、ベストといえるものを選びます。

4、確言する
この段階では、選んだ選択を実行するという決意をもち、実行に移すこととなります。

優柔不断さや、決定することの葛藤の対応が重要です。実行が容易な場合はいいのですが、リスクが伴うような場合は、確言が必要になります。

5、営業計画を練り上げる
決定した方法を具体的に描いていく段階です。どのような状況になっても対応ができるように、いくつかシナリオを考えておくことが重要です。

決定事項に時間がかかるような場合や複雑な場合には、計画表を作り、具体的なプロセスをはっきりとさせていくといいでしょう。

6、営業戦術の実行
この段階では、セールスシナリオを実行に移していきます。そして具体的な行動をいつから始めるのか決定します。

そして、自分でスタートを切って、問題を解決しながら計画を実行します。時にはセールスのシナリオを見直されることもあるでしょう。

7、営業活動の評価する
営業活動で実行したことを振り返ります。選択した目標や課題が、目的にとってベストなものであったかどうか評価するのです。

そして、セールス計画や実行についての反省も行います。何が良かったのか、何が良くなかったのか、見極めておくことは重要です。

■セールスエンパワーメントする際のポイント
上司から部下は、管理層から現場へ権限が移譲されることによって、メンバーや集団のスキルやアイデアなどを引き出すのがエンパワーメントの狙いです。

ただし、闇雲に裁量権を与えるだけでは現場は混乱し、顧客のクレーム増加につながります。従業員の大量離職や顧客離れにも発展しかねません。

セールスエンパワーメントとして権限を委譲する前に、教育プログラムの実施や支援体制の構築が必要です。また、企業理念や行動規範など、現場の判断の基準となるものを従業員一人ひとりに浸透させることも、欠かせないステップであるといえるでしょう。

■まとめ
セールスエンパワーメントとは、営業マンがやる気を高めて主体的に業務に取り組むことができるように、権限委譲を営業組織に組み入れることをいいます。

現在、少子高齢化の進展や働き方の多様化などによって、企業の人材不足は年々深刻になっています。

そのため、これまでのように営業マン一から人材を育てるだけでは間に合わず、より早く戦力となる人材を育成しなければならないのが現状です。

営業のエンパワーメントを高めるには、以下の4つのことが重要になります。

・営業パーソンとして「自分ならば、やればできる」という自信を持つこと。
・自身の行動が目的達成に影響を与えることができるのだという確信を持つこと。
・個人や集団においての理想や基準から判断された目的や目標の価値を知ること。
・セールスの行動に対してどの程度自己決定をしたと認識できる状態を作ること。

セールスエンパワーメントの推進によって営業マンやる気が向上すれば、営業という仕事で高いパフォーマンスが期待できます。

セールスエンパワーメントは、若手にも業務の裁量や責任が発生するきっかけになります。早い段階から様々な業務を経験し、自らの能力や考え方を発揮することによって、即戦力が生まれやすくなるでしょう。

■最後に
BtoBの法人営業では、決裁権を持たない実務担当者と商談を行うことがあります。その場合、決裁権のある人物が他にいます。

スムーズに商談を運ぶためには、決裁権を持つ相手とアポイントを獲得し、購買のキーマンに対して直接プレゼンテーションを行うことがベストな方法になります。

ですが、キーマンとの商談が有効だと頭では分かっていても、大手企業の最終決裁者に若手の営業マンが代表電話からアプローチしを行い役員クラスとアポイントを取得し、有効商談を行うのはなかなか難しい場合も多いでしょう。

そのような際には、大手企業の経営トップとのアポイントやキーマンとの商談設定を推進することが可能な「営業顧問」の人脈を借りることが、限界を突破に導く大きな武器になります。

国土のアメリカでは、営業の仕事の権限移譲が日本よりも進んでおり、営業パーソンは正社員で雇用するものではないという概念が浸透している程です。

そのため、メーカーの場合、競争優位性の高いプロダクト開発に専念し、営業はフリーランスで営業活動を担う「セールスレップ」を活用しアウトソーシングすることが一般的です。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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