現在、全ての業務を正社員だけで行おうとしても、コスト競争に勝ち残るのが難しい状況です。
近年の採用難を受け、自前主義を脱却した「人材を持たない経営」に転換する企業が増えています。
今回は、そのための有効な手法の一つとして外部顧問やプロ人材との顧問契約が採用難を打開する理由について解説します。
■空前の人材採用が困難な時代の到来
様々な業界で人手不足が話題になっています。優秀な人材を確保するのに苦労している企業も多いのではないでしょうか。厚生労働省によると、2017年の平均有効求人倍率は1.50倍で、前年に比べて0.14ポイント上昇しました。
上昇は8年連続で、過去最高水準の1973年以来44年ぶりの高水準です。つまり、今まさに行動経済成長期に匹敵するほどの人材採用困難時代に突入していると言えるのです。一方で少子化は確実に進んでいますので、人材採用で苦戦を強いられる企業は今後ますます増えていくことが予想されます。
成長の源泉と言える優秀な人材を確保することは、企業にとって非常に重要です。人材戦略を見直すことは、経営者にとって最優先課題と言えるでしょう。
非正規社員を雇用する場合も、同一労働同一賃金への対応、社会保険への強制加入によるコスト負担増は、企業に大きな影響を与えます。
欲しい人材は転職市場にいない?
人材戦略が重要とはいえ、企業の成長フェーズに応じて必要な人材を、必要な時に確保できなければ意味がありません。
例えば、企業の成長期に必要になるIPO準備などでは、上場のあらゆる工程を管理できるプロ人材が必要です。
また、安定期の企業では新規事業の創出が課題になりますが、新規事業を成功させるためには事業開発のノウハウを持った人材が不可欠です。
しかし、いざそのような人材を採用しようとしても、求める基準を満たした人材にはなかなか出会うことができません。その大きな理由としては、即戦力として欲しいプロ人材というのは、転職マーケットに出てこない層だからです。それでは、彼らはどこにいるのでしょうか。
ここで押さえておきたいのが、最近のプロ人材のトレンドです。働き方が多様化する中、特定の企業に属さないで働くプロ人材が増えています。そのため、雇用関係がなく固定的な人件費コスト負担を伴わない外部顧問の活用は、これからの人材戦略に欠かせない要件と言えます。
■顧問料の相場について
顧問やプロ人材といっても経営課題や仕事内容、顧問によってもスキルや実績が異なるため、報酬の相場は依頼内容や人材によっても変わります。
一般的に顧問への支払いは、顧問料として月額の顧問料で支払いを行うことが多くなります。ただし、顧問へ依頼する仕事内容によって顧問料が異なりますので、相場を調べてから検討してみるのも良いでしょう。
1、経営顧問
顧問に経営コンサルティングを依頼するような場合は、稼働日数や企業の規模にもよりますが、月10~50万円程度の顧問料が相場になります。
ただし、上場企業の事業再生や有名なコンサル会社のパートナーと同様のハイレベルな顧問の場合、月額の顧問料が100万円を超えるケースもあります。
2、技術顧問
技術顧問の場合、IT領域のシステム開発やプロダクト開発など、業界によって報酬の違いが大きく異なります。
月額10万円程度で済むこともあれば、AIやDXに詳しい技術顧問によっては、月額30万円~が相場になります。
また、MOT経営に精通しており、エンジニアスキルと経営スキルの両輪で実行支援できる顧問の場には、月額50万円を超えるケースもあります。
3、営業顧問
営業顧問の場合、月額固定報酬型以外にも、アポイントの獲得や商談ができた件数に応じて報酬を支払うアポイント成果報酬型があります。
営業顧問から紹介を受け、商品やサービスを受注した場合、売り上げの一部を支払う売上成果報酬型などがあります。
具体的な報酬は、月額固定報酬型が月10~50万円程度、アポイント成果報酬型が5万円~10万円程度、売上報酬型が売上の10~50%程度です。
正社員と異なる顧問の場合でも、知識や経験、スキル、人脈が人によって違います。
また、仕事内容や月間の稼働日数によって顧問料が大きく異なります。
稼働日数を少なくしたり、依頼する内容を絞り込むことで、顧問料を抑えて依頼することも可能ですが、顧問料には相場というものがある程度あります。
顧問契約前にエージェントにどの程度の顧問料で引き受けて貰えるかを事前によく確認しておきましょう。
■外部顧問やプロに任せたほうが効果的な仕事は少なくない
「欲しい人材が採用できない」「人材不足で事業が停滞している」。当社のコンサルタントが経営者などから最近よく聞く悩みです。
有効求人倍率の上昇からもわかるように空前の「売り手市場」の今、優秀な人材を確保することはかつてないほど難しくなっています。少子化が進む中で、この傾向は今後も続いていくでしょう。
それでは、優秀な人材を確保し企業が成長し続けていくにはどうすればいいのでしょうか。実は、その答えは正社員の雇用ではなく外部顧問の活用にありました。
それでは、なぜ次世代の人材戦略のキーワードが「正社員の採用による雇用から外部顧問やフリーランスのプロ人材活用」になるのでしょうか?
フリーランスで活躍する人は、基本は「仕事のプロ」です。ある特定の分野について量稽古を積んでいるから、独立できているのです。ということは、その分野に関しては会社のプロ以上に戦力になる可能性が高いはずです。
どのようなパフォーマンスを上げるかに関係なく毎月確実に給料の出る社員と、成果に対するアウトプットに対して顧問報酬を受け取る外部顧問やフリーランスを比較した場合、仕事に対する心構えが全く異なり成果に対する取り組む姿勢が根本的に違うと言えます。
■外部顧問やプロ人材だからこそ解決できる仕事がある
専門性や業務効率の観点からも、外部顧問やプロフェッショナルな人材を活用するケースが増えています。
現在は、市場の変化のサイクルが加速しているほか、グローバル化への対応による外国人の採用やM&Aによる異業種企業の新規参入など、経営のかじ取りを素早く取ることが求められているため、外部顧問からの業界のナレッジや経験の導入が不可欠です。
例えば、コンプライアンス(法令遵守)は重要課題ですが、必ずしも十分な体制が整っている企業ばかりではありません。助成金も、外部顧問やプロ人材に任せるか、アドバイスや実行支援を受けたほうが有用な活用が期待できます。
また、経理業務などを伝統的に社外のプロに任せている業務も少なくありません。このような状況を踏まえて次世代の人材戦略の重要なキーワードになるのが、雇用から外部顧問やプロ人材活用への移行です。
これまでのように正社員を採用するのではなく、自社の課題に合わせてプロ人材を活用する考え方に変えることです。現代のビジネスは専門性と複雑さが増し変革のスピードが早くなっています。
つまり、必要とされるスキルが高度化していて、人材育成や習得には時間とコストがかかるのに、それが通用する時期はごく限られているのです。
さらにこれだけライバルとの競争が激しくなっているのですから、スキル習得にかけられるコストや時間は限られています。ですので、自社の正社員採用にこだわり過ぎると、せっかく採用した人材に退職されるリスクもあります。
経営資源やリソースを無駄遣いしかねません。そして、時間との戦いに敗れてしまう可能性が高まってしまいます。
■外部顧問・プロ人材活用の7つのメリット
1、企業の成長フェーズのあらゆるシーンで利用できる。
2、全社的な経営戦略やIPO実現水準の組織基盤づくり、新規事業開発など貴社の課題に応じて利用できる。
3、大手上場企業の元役員や海外支社長経験者、投資会社で事業再生に携わった人材などが豊富にいる。
4、一流の企業のノウハウを持つ外部顧問やプロ人材データベースから会社のニーズに合わせて選べる。
5、多額の採用コストや人材育成コストをかけずにスピーディに即戦力となるプロ人材を活用できる。
6、直接採用や雇用契約と比較し、人事管理や労務リスク、雇用保険、退職されるリスクが発生しない。
7、月2回や週3日、スポットでの仕事依頼や1日2時間からフルタイムまで柔軟に仕事依頼が利用できる。
限られた社内人材は「コア業務」に特化し、プロに任せたほうが効率的な業務は積極的に外部顧問に任せて、スピード化と業務効率化を実現します。
今後のこのような人材活用のあり方が、これからの人材戦略のあり方の一つのモデルになっていくように思います。
これからの企業には、変化に応じて柔軟に事業を変えていけるような、フットワークの軽さがますます求められます。言い換えれば、人をむやみに囲い込むことは、成長の足かせになってしまう。
既に、リストラや早期退職に頭を悩ませている企業は少なくないでしょう。必要なタイミングで必要な人材をスポット的に登用することがうまくできることが求められているのです。
■まとめ
現在、多くの業界で戦後長らく続いてきた日本の雇用制度が、見直しを迫られています。特に争点となるのが、終身雇用の是非です。
人生100年時代の到来と労働力人口の減少が重なり、企業の生存競争は増すばかりとなっています。定年制度自体が成り立たなくなると、示唆する専門家も多数います。
こうした時代に変化したという背景もあり、一部の企業では柔軟な人材の活用に乗り出し始めてきています。これまで見てきたように、時代は雇用から外部の顧問やプロ人材の活用に変化しつつあります。
人材採用が困難な時代において、企業が成長し続けていくためには、経験豊富な外部顧問やプロフェッショナルの活用がカギになります。
スピードが求められる時代なのだから、速やかに必要な人材を集結させ、不要になったら解体する。その判断と人の調整を、柔軟に行えるようになる必要があります。雇用という枠に縛られずに、外部のプロ人材の活用を考えてみてはいかがでしょうか。
■最後に
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