コンサルティング業界の市場規模とは?コンサル市場の今後の動向

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: プロ活用方法   パーマリンク

コンサルティングとは、ひと言で表すと「企業に対して解決策を提示し、発展をサポートする業務」のことです。

コンサルティングファームは、様々な業界の大手や中小企業、まれに公共機関などに対して、経営課題を解決するために解決策を提案し、顧客の課題解決や事業の発展をサポートします。

コンサルタントの中には、戦略の立案だけ留まらず、戦略の実行や具体的な業務の代行まで行うこともあります。そこで今回は、コンサルティング業界の市場規模と、経営顧問やコンサル市場に関する今後の動向について解説します。

■コンサルティング会社の市場規模
コンサルティング業界の全世界の推定市場規模は、およそ10兆円から20兆円と言われており、そのうち米国の市場規模は6兆円から10兆円、ドイツが1兆円から2兆円となって、その大半を占めています。

日本でもコンサルティング分野の推定市場規模は、7,600億円で堅調に推移しています。特にデジタル分野の成長が著しいです。

2018年にはIDC Japanの調査によると前年比7.8%増で4000億円を超え、特に「デジタル関連」のコンサルティング領域では2018年度で前年比40.5%の成長を遂げており、2023年には2568億円に達すると予測されております。そのため、2023年には1兆円規模に達するとも言われております。

コンサルティング市場のうち、ビジネスコンサルティングサービスは主要市場であり、成長率も高いです。ビジネスコンサルティング市場の支出額は4,227億円と、全体のコンサルティング市場のうち、55%を占めており、中核市場と言えます。

また、前年比+7.8%もの成長を遂げており、堅調な推移を維持しています。

ちなみに、ビジネスコンサルティングサービスは戦略立案、財務や経理、業務改善、組織、ガバナンスの5つのセグメントで構成されています。

■デジタル領域のコンサル市場が成長
現在、特に成長が著しい市場が、デジタル分野でのコンサルティングサービスです。2018年、デジタル分野のコンサルティング市場の支出額は前年比+40.5%の709億円を記録しました。

DX「デジタルトランスフォーメーション」」やデジタル技術を活用したビジネスプロセスの構築による経営革新や業務改善のニーズは近年急速に高まっています。中でもクラウドやアナリティクスなどの導入、IoTやAIシステムの活用が進んでいます。

日本のGDP(国内総生産)がアメリカのGDPの約三分の一であることと照らし合わせると、現状の日本のコンサルティング業界の市場規模はそれほど大きくありません。

ただし、DXのニーズが高まっていることなどから、まだまだコンサルティング業界には拡大の余地を存分に残していると言えます。

■2022年、5,612億円規模が見込まれるコンサルティング市場
サービスの多様化でますます高度化していくコンサルティング業界の市場規模を見ていきたいと思います。

IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社によると、国内コンサルティング市場は、企業のDX「デジタルトランスフォーメーション」に関わるコンサルティング需要が牽引し、2017年の同市場規模は前年比8.2%増の3,921億円になりました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し新たな価値を生み出していくこと。

現状、このような最新技術を担う人材不足が深刻化していることや、DX「デジタルトランスフォーメーション」による生産性向上が大きな課題となっていることなどが、コンサルティング利用の需要を喚起していると見られています。

このような状況になることを察知したのでしょう、2016年にはコンサルティング会社のアクセンチュアがデジタルマーケティングの会社であるアイ・エム・ジェイ「IMJ」を買収しています。

このニュースはコンサルティング業界の注目を集め、相互の強みを生かしたシナジー創出の行方に熱い視線が注がれています。

アクセンチュアのケースように、コンサルティング会社とデジタルエージェンシーの協業は世界各地で進行しています。グローバル戦略の一環としてデジタルが経営課題の1つとして存在感を示す中で、この流れは必然と言えるかもしれません。

企業や組織のデジタルシフトは米国に遅れをとった日本ですが、急速に追い上げ、今やほぼ同じレベルにあります。

その一方で、経営層のデジタルの浸透はまだその域に達しておらず、この重要性を十分に認識してもらうべく提案していくことが、アクセンチュアとアイ・エム・ジェイ(IMJ)のような協業によって強化できるチャンスとなることが期待されます。

さらにIDCは、主要コンサルティングファームの採用が活発なこと、外資系コンサルティングファームによる国内市場への積極的な投資、DX「デジタルトランスフォーメーション」が一般企業の経営層に浸透しています。

実践に悩む顧客からの需要が継続的に発生することなどを背景に、ビジネスコンサルティング市場は2018年以降も高成長を継続すると予測されています。

2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)7.4%で拡大し、2022年には5,612億円規模の市場に成長すると見ています。

■コンサルティング業界の歴史
コンサルティング業界について解説する前に、まず、コンサルティングという仕事が、どのように誕生し発展してきたのか、ということについて歴史をひも解いていきたいと思います。

初めてコンサルタントという仕事に就いた人物は、アメリカのフレデリック・テイラー氏と言われています。

同氏は、1874年に機械の見習い工をしていた経験から、工場での作業に関して、「科学的管理法」と呼ばれる効率化理論を考案。これを様々な工場に導入する支援を行ったことがコンサルティングの始まりになりました。

20世紀に入ると多くのファームが誕生します。さらに汎用コンピュータの登場により、会計や事務効率化に関わるコンサルタント会社が設立されました。

現存しませんが、会計事務所のアーサーアンダーセンは、1947年に汎用コンピューターを企業会計に利用した世界初のファームとして歴史にその名を残しています。

コンサルティングの初期は「効率化」が主流でしたが、1920~50年ごろにかけては「戦略」という視点による手法が使われるように。

その筆頭であるボストンコンサルティンググループは1966年に、マッキンゼー&カンパニーは1971年に日本に進出し、日本におけるコンサルティングファームの基礎を築きます。

1960~70年代になるとコンピュータの性能が大幅に向上し、業務・ITコンサルティングの始まりを告げます。

なかでも、企業の会計業務とコンピュータシステムの両方のノウハウを蓄積していた会計事務所は、経営とITの橋渡しができる存在として業界の主導的な役割を担いました。ITコンサルティングの需要はこの頃から大きく伸び始めます。

そんな時、企業のITシステムを一つの基盤に統合するERP(Enterprise Resorce Planning、企業資源計画)が経営革新の手法として注目を集め、大企業が続々と導入し始めます。

1度の導入で何十億規模の案件になることもあるERPの導入。この市場の成長とともにコンサルティング会社の規模や数もさらに増えていきます。

2000年代になると、特徴ある特化型コンサルティングファームが誕生し始めます。

特定の業界やマーケティング、新規事業立案といった特定のテーマに強みを持ったファームや、再生支援や財務系に特化したファーム、大手のファームから独立したスピンアウトファームなど次々と誕生。サービスの多様性と裾野が広がり続けています。

最近では、高度なITを利用したコンサルティングサービスが経営の意思決定に欠かせない存在に。ITが企業変革やグローバル展開に大きな影響を与えています。

■コンサルティング業界の分類
1、戦略コンサルティングファーム
経営戦略から新規事業の戦略、M&A戦略など、顧客の全社的な経営課題を解決するために、社長や経営陣に対して戦略立案を行います。グローバルに展開している外資系企業が多く、近年では戦略を示すだけではなく、企業に入り込んで実行まで担う企業が増加しています。

主に企業の経営戦略や事業戦略に関わります。大企業の海外戦略や中長期戦略など抽象度の高い課題が多いため、高度な論理的思考力が求められます。

このような戦略ファームで働く魅力として、若手でも自分の提案次第で大手企業の全体的な戦略立案に関わることができることや、高度なロジカルシンキングが身につくこと、業界全体を俯瞰して見れるようになることなどが挙げられます。

2、総合コンサルティングファーム
戦略コンサルティングファームと同様に戦略立案などを行うと同時に、戦略の実行や業務の改善、ITシステムの導入、業務の代行など、幅広く顧客の課題解決をサポートします。

コンサルティングファームのおもな仕事は、クライアントの経営課題における原因を究明し、その解決方法を提案すること。

しかしながら近年は提案だけにとどまらず、その実行まで行うことがほとんどです。提案した解決案を実行し、その結果が提案通りとなること。ここまで行うことで、クライアントの課題が解決したと見なされます。

3、シンクタンク系コンサルティングファーム
企業や官公庁などに対して、経済情勢や社会情勢、政策などのリサーチを行い、顧客の課題解決や将来予測の提言などを行います。また、リサーチだけでなく、経営コンサルティングやマネジメントなども行う企業が増えています。

シンクタンク系の強みは独自のリサーチ力による情報量の多さです。リサーチに多くの人員を割くことで質の高い情報を提供しています。

また、その情報力を活かしたコンサルティングから、国家戦略のプロジェクトに関わることもあります。シンクタンク系で働く魅力として、市場の動向について多くの情報が入ってくるため、今後の世界情勢などの見通しをつける力が身につくことが挙げられます。

4、会計系コンサルティングファーム
会計系コンサルティングファーム財務アドバイザリーとして、クライアントに対して財務関連のアドバイザリー・コンサルティングサービスを提供する職業です。

具体的には、法務担当、企業の経営陣、財務担当、監査担当、金融機関など、企業の財務に従事する方々に対して、以下のようなアドバイザリーサービスを提供します。主に企業の財務戦略に関わります。

クライアントの財務諸表から、どこに集中して投資すればよいか、どの費用を削減すればよいかなどを分析し改善案を提案します。会計ファームで働く魅力は、会計の知識が身につくことや、会計の視点から見た企業戦略を描く力が身につくことが挙げられます。

5、HR系コンサルティングファーム
HR系コンサルティングファームでは、主に企業の人事戦略に関わります。採用から育成、組織編成など組織に注目し、組織力の最大化によって経営力の強化を目指します。

人事ファームで働く魅力として、組織の面からみた企業戦略が身につくことや、優秀な人材を見る目が養えること、教育力が身につくことなどが挙げられます。

人事系コンサルティングの対象領域としては、大きく3つに分けられます。

1、組織・人事領域です。人事における各種制度や福利厚生の設計を行います。
2、教育・研修領域です。新人に対する教育や経営層に対する研修などを実施します。
3、人事システム領域です。企業の海外進出や、M&Aにともなう組織の再整備にともなって、人事システムを刷新して行きます。

6、IT系コンサルティングファーム
IT系コンサルティングファームとは、ITの活用を主軸に企業の経営課題を解決していくコンサルティングを主な事業とするコンサルティングファームです。

ERPパッケージソフトを用いたソリューションやSCM、CRMなどが代表的なサービス内容です。景気の悪化と共にコスト削減のために経営のスリム化を行う企業が多くなり、アウトソーシングの設計・請負業務なども多く発生しています。

IT領域では、サイバーセキュリティの支援はもちろん、社外との接続を前提としたシステムの標準化や、社内を横断したデジタル組織の立ち上げなどを支援しています。

具体的にはERP(Enterprise Resources Planning), CRM(Customer Relationship Management)パッケージのシステム導入からPMI(Post Merger Integlation)の際のシステム統合など、様々なIT戦略に関わっています。

■コンサルタントの業務内容
現在、プロジェクトによって仕事内容は多様化しています。コンサルタントの業務は、抱える案件・プロジェクトによって非常に多様化していると言えます。

中長期的な戦略の立案から、多様なプロジェクト(商品の価格戦略、ITシステム導入、組織改革、サプライチェーンの仕組み構築など)によって具体的な仕事内容は異なります。

大まかに仕事内容を表すと、以下のような業務が一般的です。

1、資料作成:プレゼンに先立ち、調査やプレゼン用の資料の作成
2、プレゼン:案件獲得のため、経営陣へ問題提起から課題解決策の提案
3、ミーティング:案件の受注後チームで集まり、役割分担やスケジュール設定
4、データ収集:課題解決の仮説設定のため、顧客や専門家に対してヒアリングなど
5、課題解決の方法策定:データを元にチームで最終的な課題解決の方法を策定
6、最終立案・実行:固めた結論を顧客に提示。実行まで一貫して行うことも

■コンサルティング業界があつかうテーマ
それぞれのコンサルティングファームが独自の強みを武器に事業展開を行っていることがわかりましたね。続いて、一般的にコンサルティングファームがどのようなテーマを扱っているのか、そのサービス内容について見ていきます。

まずはじめに挙げられるのは「経営戦略」で、企業や企業グループの拡大に向けた経営ビジョンや戦略を策定します。

企業の変革を行う戦略立案から実行まで支援する「経営改革」、企業の経理・財務の業務や体制を見直し、会計情報による迅速な意思決定を支援する提案を行う「会計財務」「経営管理」も重要なコンサルティングのテーマです。

更なる事業成長を目指すため、人材の価値向上を促す手段としてタレントマネジメントに対する需要が高まる中、人事や組織のあり方を提案し変革を推進するHCM「ヒューマンキャピタルマネジメント」にも注目が集まっています。

また、近年は、経営とビジネスに貢献するIT部門へ変革する仕組みづくりを行うITマネジメントや、ビックデータの分析により、企業の収益性の維持や拡大と永続的な成長の実現に貢献するビジネスインテリジェンスも注目されています。

そして、企業が本来の役割に専念できるIT組織を実現する、協業型のアウトソーシングなどの提案もあります。

さらに、企業と顧客の接点を見直し、収益につながるCS戦略を実現するCRM「カスタマーリレーションシップマネジメント」、企業の先進的サプライチェーンを構築し、企業価値を最大化するSCM「サプライチェーンマネジメント」の需要も高いです。

ヒト、モノ、環境などの全てをThingsとして捉え、デジタル改革の実現を支援する「IoT」など、コンサルティングファームが携わるサービスは年々、多様化し拡大する傾向にあります。

■最後に
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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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