オフショアリングとは?外国人労働者が採用難の打開策になる訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 運営会社社長   パーマリンク

近年、テクノロジーの進化に伴い、「オフショアリング」を推進する会社が増えています。その理由としては、オンライン会議ツールの発展により、国内拠点と海外拠点のコミュニケーションが容易になったからです。

また、ビジネスを管理するためのさまざまなシステムが開発され、各拠点の稼働状況などをリアルタイムで把握することが可能になりました。

現在、日本の人手不足の業界では、外国人労働者を採用することで打開策にする会社も増えつつあります。

そこで今回は、オフショアリングのメリットと外国人労働者が採用難の打開策になり、海外展開がコスト削減の競争優位性になる訳について解説します。

■オフショアリングとは?
オフショアリング(Offshoring)とは、ある国を拠点に展開している営利事業や、それに伴う業務の一部を、他の国に移管したり委託したりすることです。

オフショアリングは、英語で「Offshoring」になります。海岸から離れた所を意味する英単語「Offshore」から派生した言葉です。

日本語では、海外の企業に依頼する「委託」、もしくは海外に現地法人を設立して「移管」する意味があります。

事業を推進するに当たり、有利になる税制や人件費、人材の確保など、営利的な観点から実施されるケースが多くみられます。企業がオフショアリングする目的として最も多いのが、コスト削減です。

近年の日本では少子高齢化社会の進行に伴い、労働人口は年々低下しています。そのような際は、オフショアリングの場合は、海外にいる外国人人材を現地で採用することで、労働力を確保することが可能になります。

現在では、単純に労働力を確保できるというだけでなく、海外にも高い技術やスキルを持った優秀な人材が多くいるため、システム開発などの専門性の高い業務をすることも可能になっています。

■オフショアリングに適した3つの業務

1、オフショア開発
オフショア開発とは海外の企業に情報・Webシステム、ソフトウェアといったIT関連の開発業務を委託することです。

こちらは複雑な業務が多いので能力が高い人材が必要となりますが、日本国内でIT技術者が不足しているという背景もあり、海外でオフショア開発を行う企業が増加しています。業務委託をすることで開発コストが削減出来るといったメリットもあります。

2、デスクワーク業務
コストの安い海外で、製造業の単純作業やコールセンター業務、バックオフィス業務等をオフショアリングすることで従来と比べて、安価にプロジェクトを推進することが可能になります。

オフショアリングに類似するビジネス用語として「アウトソーシング」が挙げられますが、これはあくまで、事業や業務の一部を国内外を問わず、社外に委託することを指します。

近年はコールセンター業務を行う企業も増加してきています。コールセンター業務の場合は現地スタッフを雇うことで、日本語以外を主言語とする海外のクライアントに対しても業務を行うことが出来ます。

3、生産系業務
こちらは工場などで行う製造業務などのことを指しています。いわゆる定型業務となっているため、生産工程や製造ラインの管理がしっかりとしていれば現地スタッフでもスムーズに作業を行うことが出来るでしょう。

人件費が低い地域に導入することで、生産コストを抑えることも可能になります。

■オフショアリングの歴史や注目される背景
オフショアリングが進む背景には、グローバル経済の発展やテクノロジーの進化などが挙げられます。アメリカから始まったオフショアリングは、その後日本企業にも広まりました。

ガートナージャパン株式会社のリサーチ部門の調査によると、推計を開始した2004年以降、毎年30%前後の勢いで日本企業のオフショアリングは伸び続けてきました。2009年に初めて減少したその市場は前年比マイナス7.6%の3590億円でした。

グローバリゼーションが進む以前、企業は国内で商品やサービスを作り、国内の消費者に向けて販売することが一般的でした。

しかし、冷戦の集結後、90年代頭頃から資本主義が世界中で拡大し、多くの国と国の間で貿易が盛んになりました。

また、人や物、情報などが国境を超えて行き交うようになり、多くの多国籍企業が登場し、国内のみならず、海外に拠点を設ける企業が爆発的に増加したのです。

このように、グローバリゼーションが進む最中、登場してきたのがオフショアリングの考えです。コスト削減を目的として、企業はより労働コストの低い国に現地法人などを設立する動きが加速しました。

そこで生産体制を築き、各国に輸出する方法が注目され始めたのです。

また、労働コストの低い国で生産した商品を海外で販売するだけではなく、それらを「逆輸入」し自国内で販売するビジネスモデルにも視線が注がれるようになったのです。

■オフショアリングの2つのスキーム
オフショアリングの種類は大きく分けて二つあります。

1、「海外にある自社以外の企業に、業務を委託すること」
この方法は、業務を自社で管理するのではなく、海外の他の企業に全てを任せます。アウトソーシングと同じ仕組みであると言えるでしょう。

元々その業務を行っている企業に委託するため、人材を新たに集めたり、そのため設備を作ったりする必要はありません。

人材を新たに確保したり設備を作ったりする必要はないので、初期投資などのコストを期待することが可能です。しかし、生産や人材の管理体制の改善などにあまりコミットすることができないといったデメリットも存在します。

2、「自社の現地法人を設立すること」
このケースは、子会社またはグループ会社としての位置づけで会社を運営することになるので、企業が業務に対して責任を持ち、運営を進めなければなりません。

どの国で行うか、どのように人材を集めるかなど、あらかじめ決めておかなければならないことが沢山あります。

もちろん、場所や人材の確保、運営体制など全てに対してコミットする必要があるためコストが掛かります。しかし、生産や人材の管理体制に対して、企業がある程度コントロールすることが可能になります。

■オフショアリングの3つのメリット
ここから、オフショリングが企業にもたらすメリットについてそれぞれ解説していきます。

1、人件費のコスト削減
企業がオフショアリングを行う最大のメリットが、人件費のコスト削減です。一つの商品を生産するに当たって掛かる人件費は、先進国と発展途上国では大きな差があります。

したがって、労働コストが低い国に生産体制を移管することで、企業は多くの人権費を削減することが可能です。

2、企業運営に有利な税制
ビジネスに関連する税制度は国により異なるため、自国よりも他国で生産した方が企業にとって大きなメリットになるケースがあります。

その代表例が法人税。国によっては、税率が極めて低く、また0%で設定されているケースがあり、企業はビジネスに掛かる税金の支払いを抑制することが可能です。

3、人材の確保
オフショアリングのメリットは、なにもコストの削減に限りません。例えば、人口や労働生産人口が現象傾向にある日本では、大量に人材を確保することが難しくなっています。

人口爆発が続く発展途上国に拠点を設けることによって、大量の人材確保が容易に。また、自国では確保できない高度なスキルや専門的な知識を持った人材を、獲得することも可能なるでしょう。

■オフショアリングの3つのデメリット
オフショアリングにもさまざまなデメリットが存在します。

1、技術やノウハウの流出
事業やそれに伴う業務の一部を、他の国に移管したり委託したりするため、自社の技術やノウハウが海外に流出する恐れがあります。

また、海外に業務を移管することで、指示や管理を遠隔で行うことによる誤解や品質低下などの課題はあります。

物理的な距離により、コミュニケーションだけでなく進捗や品質管理の難易度も高くなります。報告通りに進捗管理を行い問題がないようでも、実際には品質に問題があるケースも多いです。

2、文化の違いによる齟齬
人種や言語、価値観などが異なるため、ビジネスを進める上でさまざま齟齬が生じる可能性を孕んでいます。納期などに対する考えが著しく異なり、期限内に生産や納品を完了できないケースがしばしばみられます。

また、言語が異なることで、コミュニケーションに対して今まで以上に注意を払わなければなりません。

海外という、言語や文化が異なる拠点に対して遠隔で指示を出しプロジェクトを進める上で、あらゆる場面での「理解の相違」は大きな課題となり、都度的確に対処していくことが必要になります。

3、雇用問題
その国の法律に縛られるため、オフショア開発先では一度問題が発生すると、解決することが困難になります。特に、オフショアリングを巡る雇用問題は近年大きな課題となっています。

現在オフショアリングしている地域での人件費が高騰するなどの市場変動なども今後課題になると考えられています。

また、日本の仕事スタイル・文化は海外では受け入れられないこともよくあります。例えば、日本の場合だとサービス残業を行って納期に間に合わせようとするでしょう。しかし、オフショア開発先ではその常識は通用しません。

■日本企業におけるオフショアリングの現状
企業にとって隣国である中国は格好のオフショアリング先として位置づけられ、全シェアの84%を占めます。

距離の近さだけでなく、日本語対応が可能な人材の多さに加え、単価の低さ、受託可能な業務内容の幅広さが強みです。

中国に次いで人気のオフショアリング先であるインドは、シェア15%を占めます。インドには中国にはいない欧米で業務経験を積んだグローバルな人材が揃っていることが強みです。その他のオフショアリング先としては、ベトナム、タイ、ブラジルなどがあります。

このように民間だけでなく行政にまでその活用の場を広げたオフショアリングですが、近年では雇用機会の減少や地場産業の衰退、情報の流出、人材育成への弊害などといった問題が懸念されはじめました。

また、一番の目的であったコスト削減に対しても、昨今では現地の単価の上昇により、単純に業務を切り取って海外へ移すだけではその労力やリスクに見合うだけのコストダウン効果を得ることが難しくなってきました。

一方では、生産の営みなどを縛る法律については、自国のものではなく海外のものが適用されるため、生産を行うに当たってそれらが有利に働くケースがみられます。

■まとめ
真のコストダウンと生産性の向上を図るためには、何をオフショアにし、何を日本国内に留めるのかを中長期的な戦略で考えることが重要です。

自国よりも労働基準が低い国では、その分、労働時間や生産量を上げることが可能になるかもしれません。また、福利厚生や労働環境の整備などに対して、大きな力や目を注ぐ必要がなくなるでしょう。

しかし、オフショアリングにあたっては、安価な労働力と考えるののではなく、人道や人権の観点においてさまざまな問題が生じる可能性があるので、慎重に考えなければなりません。

そのため、コスト削減だけを目的にオフショアリングするのではなく、他のメリットにまで視野を広げて考慮すべきです。

人件費についていえば、少子高齢化の進む日本での労働力不足を補うために海外で働き手となる人材を確保する動きが増える可能性があります。

システム開発では、インドのITエンジニアなど日本では手が届かないような優秀な人材を海外でなら比較的安価に雇うことが可能になることもあります。ただし、海外のオフショア開発企業と日本企業との間に立ち、橋渡しの役割を持つ「ブリッジエンジニア」が必要になります。

ブリッジエンジニアがいなければ、日本企業と海外企業の意見のすれ違いや目的のシステムソフトウェアとは違うものができてしまったり、はたまた納品が間に合わず打ち切りになってしまう恐れがあります。

そのため、「ブリッジエンジニア」はオフショア開発においては必要不可欠な存在となっています。

■最後に
IT人材は2030年には最大で79万人不足すると経済産業省が発表しています。それに対して、ITニーズは今後拡大していくと考えられています。

国内のIT人材不足を解消するためにオフショア開発が普及していくと予測されています。そういった海外企業とのやりとりを担う人材として「ブリッジエンジニア」は今後需要が高まっていくため、将来性の高い職業であると言えます。

さらに、Web系の企業の場合は、海外のマーケット進出と開発拠点の海外移転を目標にする企業が多いため、ブリッジエンジニアは必要とされます。

また、大企業やベンチャー企業であってもコスト削減を目的にオフショア開発を行います。結果としてフリーランスのブリッジエンジニアの需要は幅広く存在します。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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