本日の「賢人たちに学ぶ 道をひらく言葉」を贈ります。
「チーム内の一流選手、最高の技術を持つ経験豊かな選手でも土壇場になると挫けてしまうことがある。
しかし、時には技術も練習も一流とは言えない労働者階級出身の選手がチームに加わっている場合もある。コーチが土壇場で起用するのはこういう選手なのだ。勝つことに執念を燃やすハングリーな選手は、いざという時に一流選手を凌ぐ力を発揮する。」
<ハワード・シュルツ>スターバックス創業者
「経営コンサルタント」を名乗ったり、一流の「プロ顧問」を目指すならば、経営者に対する「エグゼクティブ・コーチング」のスキルを身に付けることです。
なぜなら、経営能力を高めるためには、様々な意思決定や挑戦を経てビジネスのトライアンドエラーを重ねることが大切になり、何らかの欠点のある事実に気づくことが重要ですが、経営者として威厳を保ち理想のリーダーになるためには、組織内の人間に対して会社の方向性に悩むような情けない姿は見せられないからです。
アメリカやイギリスなど、経営トップのリーダーシップの影響が強い国では、多くの経営者にプロの「エグゼクティブ・コーチング」が付けるのが当たり前になっています。
世界のビジネスリーダーの多くは、会社で保険に入るような感覚で、日常的にエグゼクティブ・コーチングを活用しており、意思決定や自己研鑽のサポートを受けています。
アメリカでは、「フォーチュン500企業」と呼ばれるいわゆる大企業の経営層がエグゼクティブ・コーチングを利用することは、企業の成功を支える上では必要不可欠とされており、CEO、COO、CFOなど、通称「Cクラス」の経営幹部クラスの「30%」以上がコーチを付けています。
海外では、シニアエグゼクティブの「50%」以上が、外部の優秀なコーチによるエグゼクティブ・コーチングを受けているという回答結果もあります。
インテル社の報告によると、「エグゼクティブ・コーチング」への投資収益率「ROI」は、非常に驚くことに「600%」もの費用対効果があったそうです。
■エグゼクティブ・コーチングとは?
「エグゼクティブ・コーチング」は、企業研修とは異なり、「1対1」で企業リーダーを長いサイクルで育てることです。コーチは経営者が持っている内発的な想いが引き出されるよう、様々な角度から質問をしていきます。
コーチングのセッションでは、経営者が課題であると考えているテーマについて、コーチとの双方向の対話を通し、深く考えを巡らせていきます。なぜなら、コーチングの考え方は、「答えは本人の中にある」ということが前提になっているからです。
相手への質問を重ねることで、本人が本来持つ能力を引き出し、自らの意思で決断し行動させるというのがコーチングの本来の目的です。仮に実際の行動に繋がらなくても、コーチングのプロセスで対話相手に自分の能力やスキルに気づいて貰えるという効果が期待できます。
それゆえ、エグゼクティブ・コーチングの役割としては、経営コンサルタントとは大きく異なり、アドバイザーとして経営の助言をするのではなく、最終的に社長自らが決断し、リーダーシップを発揮できるように導き、心と頭の状態を作り出すサポートをすることにあると言えます。
このような関わりの中で、経営者は自らの置かれている現状を客観的に認識したり、自らが大事にしている価値観や目指したい方向性を改めて見つめ直したりすることで、経営課題や事業テーマに関して自ら答えを導き出すことが出来るようになります。
子供の頃から素晴らしいトレーニングを受け、並はずれた才能を持った世界的なトップアスリートでさえも最高のパフォーマンスを引き出すために、プロコーチに頼り、自己実現の方法を教えて貰っています。
ですので、スポーツ界のスーパースターがコーチを必要としているのなら、企業リーダーとなる経営者にもプロコーチが近くにいると自分自身の中で、ベストな選択をすることが可能になります。
エグゼクティブ・コーチングも経営コンサルティングも、相手が抱えている何らかの問題事項を解決するというゴールは同じですが、両者は考え方のプロセスが違います。
コンサルティングでは、コンサルタント自身の知識や経験やノウハウを使って戦略的なアドバイス中心に問題解決に繋げています。経営コンサルティングでは、短期間で解決策を見つけることが求められます。そのためにコンサルタントの持つ知見やノウハウをフル稼働します。
一方、エグゼクティブ・コーチングでは、経営者に様々な質問をすることでクライアント自身が問題に気づき、解決策を「社長自ら考える」という流れになります。
エグゼクティブ・コーチングは、特にクライアントとる経営者がコーチの問いかけにより、自分自身の内面を見つめていく作業が必要になるため、自己成長に辿り付くまで寄り添うため、セッションを実施する期間が自然と長くなる傾向が高いです。
■エグゼクティブ・コーチングを提供する方法
エグゼクティブ・コーチングを担うコーチになるには、経営者の潜在能力を引き出しや考え方、行動を良い方向に導く必要があるあります。
そのため、コーチ自身が過去に経営者だったり、経営幹部として活躍した実務経験を持っていることが前提条件になります。
コーチングスキルを取得するには、日本でも専門スクールが幾つが存在し、独自の資格を付与している団体もあり、コーチングの理論やテクニックが体系化されています。
ただし、企業経営者を対象にしたエグゼティブ・コーチングにより社長に対して、大きな結果を上げさせることがコーチのミッションとして求められる場合には、経営者や取締役、特定の組織運営や事業立ち上げの経験者の方が適任です。
その理由としては、コーチ自身が事業会社の幹部として働いた経験が少ないと、顧客となる経営者の本当の悩みが理解できず、経営層から指名されるには、経験や実績、権威性、信頼感も必要になるからです。
ですので、コーチングのテクニックを持ち理論さえあれば、経営者としての実務経験が全く無くても誰にでも名コーチになれるという人もおりますが、経営者を高見へと導くためには、コーチ自身も相当な努力が必要です。
そのため、実際はエグゼクティブ・コーチングのプロ人材だと名乗ることは出来ても、経営者からコーチの仕事獲得が簡単にできるとは、限らないと言えます。
ですが、大手上場企業など事業会社での経営やマネジメントの経験のあるビジネスマンが一流の「プロ顧問」になるために、エグゼクティブ・コーチングのスキルを体系的に学ぶことは、長年培った知見に拍車が掛かるため、大きな武器になり得ると思います。
■まとめ
現在のようなグローバル・コンペティション時代に企業が確実に生き残るには日夜、企業のトップは孤軍奮闘をせざるを得ない過酷な状況に置かれています。
しかしながら、経営者には社内に適切な相談相手や壁打ち相手がいないため、本当に苦しんでいます。
そんな時こそ、「プロ顧問」を目指す人がエグゼクティブ・コーチングの手法を取り入れ企業幹部に対してコーチングの価値提供をする潜在的なニーズは高いと思われます。
コーチングを定期的に受けることで、経営者は自分の考え方や方向性を整理し、前向きな経営判断の能力を高め、エネルギー全開で大きな目標達成に向けて突き進むことが可能となるのです。
エグゼクティブ・コーチングで社長の課題を解決に導いてますか?
<本田季伸>