BIの重要性とは?膨大なデータを経営上の意思決定に利用する訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

現在、ビジネスの世界では、データに基づいて経営や各種施策の決定を行う「データドリブン」が注目され、ビッグデータ、AI、IoTといった新技術でデータを事業活動に活かそうという機運が盛り上がっています。

その背景には企業間競争が激しくなったこと、その状況に対応するため迅速かつ的確な意思決定が必要になったことがあります。

こうした背景の元でBIは、企業内にある大量のデータを経営戦略などに活用するデータドリブンを力強くサポートするものであると言えます。

そこで今回、BIの重要性とは?膨大なデータを経営上の意思決定に利用する訳について解説します。

■BIとは何か?
「BI」は「Business Intelligence(ビジネス・インテリジェンス)」の頭文字を取った略語です。ビジネスインテリジェンス (BI) とは、「情報へのアクセスや情報の分析を可能とするアプリケーション、インフラストラクチャ、ツール、およびベストプラクティス」を総称する用語です。

BI は特定のものを指すのではなく、パフォーマンスを最適化するために、ビジネスの運営や活動から得られるデータを収集、保存、分析するプロセスや方法の総称となっています。

これらのすべてが一緒になることで、ユーザーはビジネスの包括的なビューを得て、より優れた実用的な意思決定を行えるようになります。

実は、ビジネスにデータを活かす取り組み自体は以前から行われています。顧客アンケートや市場調査は多くの企業でおなじみのものでしょう。

ただ、以前はデータを蓄積してもあくまで記録を残しているだけで、管理もアナログ。せっかくのデータを有効活用できなかったり、そもそもデータをうまく管理できずに“宝の持ち腐れ”となっているケースも多く見られました。

営業やマーケティングにデータを役立てようと考えても、データ量が膨大で、必要な情報を効率的に引き出せないことも多かったのです。

また、せっかくデータを引っ張り出しても、そのデータの集計・分析はExcelの手作業に頼らざるを得ず、さらには誰が見てもわかりやすい形で可視化することができずに、思うように活用できないという不満も聞こえていました。

そこにBIツールが普及したことで、意思決定においてデータを効率的に、かつダイレクトに役立てられるようになったのです。

■BI が重要である理由
簡単に言うと、BI は、現在と過去のデータをビジネス上のコンテキストで表示することで、ユーザーがより優れた意思決定を行えるようにします。BI によって、パフォーマンスのベンチマークが提供されるため、ビジネスをより円滑かつ効率的に運営できるようになります。

また、ユーザーは市場の傾向を発見し、売上や収益を向上させることができるようになります。効果的に BI を利用すれば、コンプライアンスや採用の業務に役立つ可能性もあります。つまり、BI によって、ビジネスのあらゆる面での向上が可能となります。

デジタル変革によって情報量が急増しており、その勢いは衰える様子がありません。データはあらゆるところに常に存在しており、今やあらゆる規模の組織のビジネスプロセスに深く定着しています。

そして現在、誰もが新しい情報にアクセスして、日々の意思決定に役立てるとともに、追求すべき新たな道に対するビジネス上の好奇心を満たせるようになることを期待しています。

■BIはデータの収集から可視化までを担う
ビジネスにおいては、生産・販売・在庫管理や人事、会計といったいわゆる基幹系システムに入っているデータをはじめ、顧客管理システム(CRM)、営業支援システム(SFA)、マーケティングオートメーション(MA)に代表される戦略系システムが活用されています。

更にはメールやグループウェア、データウェアハウスといった情報系システムなど、無数のデータを日常的に利用しています。BIはこのうち、CRMやSFAなどと同じく戦略系システムに分類されます。

BIの基本的な機能は、大きく分けると「データ収集・蓄積」「データ集計・分析」「データ可視化(ビジュアル化)」の3つです。

企業内にある各システムから必要なデータを収集・蓄積し、そのデータを集計したうえで、さまざまな分析処理を行い、結果から見えてきた傾向やパターンをグラフなどわかりやすいレポートの形でアウトプットします。

BIではこれらの機能をベースに、「レポーティング」「OLAP分析」「データマイニング」「プランニング」の4つを主に実現します。

1、「レポーティング」
経営戦略を練り、施策を立案するうえで、過去の売上や業績に関するデータは欠かせません。

BIでは、たとえば前年度業績との比較や、KPIの達成状況などを集計・分析し、わかりやすいビジュアルで、しかもダッシュボードと呼ばれる一つの画面上にレポートとして表示します。これがいわゆるデータの可視化です。

生データの状態ではなく、適切な集計・分析処理を経たデータを見ることで、ビジネスの実態を俯瞰的につかむことが可能となり、さまざまな意思決定や異常の検知などに役立てられます。

ダッシュボードのほか、月次などの定型レポートや、特定の商品・地域といった条件を設定して分析結果を表示するアドホックレポートでの出力に対応するツールもあります。

2、「OLAP分析」
「OLAP分析」は、BIが実現する分析機能の一つで、OLAPは「On Line Analytical Processing=オンライン分析処理」の略です。この場合のオンラインはリアルタイムであることを意味します。

データベースに蓄積した大量のデータの関連性をさまざまな角度から多次元的に分析・比較し、まさにリアルタイムで分析結果を返すのがOLAP分析の特徴です。この分析結果をもとに、仮説の検証や確認が可能になります。

「データマイニング」は、蓄積されたデータに対してクロス分析、相関分析、回帰分析といった複雑な統計分析を行い、そこから未知の法則・関連性などを見つけ出すことです。

マイニング(Mining)は鉱山の採掘を意味する言葉で、ビジネスに有効な新しい知見を掘り出してくるのがこの機能の役割です。

3、「プランニング」
「プランニング」は、これまでに蓄積したデータをもとに異なる条件下のシミュレーションを行うことで、意思決定や予算決定などのプランニングをサポートするものです。

たとえば外国為替が1円変動した場合の売上変化を分析から予測し、対応策をあらかじめ用意することができます。

■BI の仕組み
企業にはビジネス上の質問や目標が存在します。これらの質問に答え、目標に対するパフォーマンスを追跡するために、企業は、必要なデータを収集して、分析し、ビジネスの成長に向けて実行すべきアクションを決定します。

実際の例として、金融サービス企業である Charles Schwab 社は、米国内の全支店の包括的なビューを見て、パフォーマンス指標を理解し、機会をもたらす領域を特定するために BI を使用しています。

一元化された BI プラットフォームへのアクセスにより、Schwab 社は、支店データのすべてを単一のビューに取り込めるようになりました。現在、支店マネージャーは、投資のニーズに変化がある可能性がある顧客を特定できるようになっています。

また、経営陣は、地域のパフォーマンスが平均と比べてどのような状況にあるのかを追跡し、クリックすることでその地域のパフォーマンスの要因となっている支店を特定することができます。これによって、顧客へのサービスを改善するとともに、さらなる最適化の機会がもたらされます。

技術的には、ビジネス上の活動から生データが収集されます。データは処理された後、データウェアハウスに保存されます。データが保存されると、ユーザーはそのデータにアクセスして、分析プロセスを開始し、ビジネス上の質問に対する答えを得ることができます。

■BIと他の戦略系システムとの違い
デジタルマーケティングにおいては、前出のCRM、SFA、MAも使われています。これらと同様に戦略系システムに分類されるBIですが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

CRM(Customer Relationship Management)は顧客に関する取引状況をはじめとするさまざまなデータを蓄積・管理し、営業支援に役立てるシステム。それぞれの顧客にマッチする商品やサービスを提供し、顧客満足度の向上を実現するために使います。

SFA(Sales Force Automation)は営業行動をデータ化し、営業の成果を高めるために活用できるシステムで、既存顧客や見込み顧客に関する商談内容をはじめとした営業情報を記録・管理し、営業活動を効率化します。

また、MA(Marketing Automation)は、マーケティングに関する膨大な施策を自動化・最適化し、見込み顧客などの情報をもとにナーチャリング(顧客育成)を図るなど、マーケティングで力を発揮するシステムです。

BIが主に経営戦略上における意思決定を支援するシステムであることと比べると、CRM、SFA、MAは営業やマーケティングの具体的な施策を支援するシステムであるといえます。役割が異なるので、BIと他のシステムを連携させることでさらなる効果を生み出すこともできます。

たとえばCRMで可視化した顧客情報をもとに経営の意思決定やマーケティング施策を策定したり、MAのマーケティングデータをBIで分析してマーケティング活動の可視化や実施した施策の検証を行ったりできます。

■BI とビジネス分析の違い
ビジネス分析は BI のサブセットに値します。Gartner 社の IT 用語集によると、「ビジネス分析には、データマイニング、予測分析、応用分析、統計が含まれる」とされています。簡単に言うと、組織は、大規模な BI 戦略の一環としてビジネス分析を実行します。

ビジネス分析は直線的なプロセスとはなりません。なぜなら 1 つの質問からフォローアップの質問や繰り返しの作業へとつながる可能性が高いためです。ビジネス分析のプロセスは、データへのアクセス、発見、探索、情報共有のサイクルとして考えられるべきです。

これは分析サイクルと呼ばれています。分析サイクルとは、企業が分析を使用して変化する質問や期待に応える方法を説明する新しい用語です。

■まとめ
自社の各種データを参照して意思決定するという行為は、企業経営者はもちろんのこと、営業担当者や管理部門責任者といった、さまざまな立場の社員が毎日行っていることです。

意思決定を正しく行うためには、根拠や証拠となりうるデータを適切な形で参照することが求められます。

データドリブンの時代になり、脚光を浴びているBI。企業が蓄積している膨大なデータをビジネスに有効活用するには、従来のような手作業によるデータ収集・集計・分析・出力ではもはや間に合いません。

デジタル技術の活用による各作業の自動化が大きな効果を発揮します。

そして、このデータ収集・集計・分析・出力を自動で実現するのがBIです。BIの基本的な役割・機能と企業内システムにおける位置付けをしっかり把握したうえで、BI導入に向け検討を開始してみてはいかがでしょうか。

「自社のデータに基づいたビジネス上の意思決定」と定義できるBIに関しては、企業に属する全員が適切に実行できる環境をととのえるのが望ましいでしょう。

また、正しくBIを行う環境づくりの方法として、BI専用ツールを導入することは非常に有益なのです。

■最後に
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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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