ビジネスモデルとは?新規事業開発にビジネスモデルが必要な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

あらゆる企業にとって、優れたビジネスモデルを構築することは持続的成長を実現するために必要不可欠になります。

グローバル時代を迎え、競争環境が激化する現在の市場環境では、企業特有の強みとなる「コア・コンピタンス」を活かすユニークな事業を構築することが特に必要となります。

そこで、商品やサービスなどの付加価値の提供と、それによって得られる収益を獲得する仕組みとなる「ビジネスモデル」を構築することが飛躍の鍵になると言えます。

そこで今回、ビジネスモデルとは何か、新規事業開発にビジネスモデルが必要な訳について解説します。

「まずは始めてみる必要がある。最初の小さな丘に登れば、その頂上から次の丘が見えるわけだ。」

<ジェフ・ベゾス>アマゾン・ドット・コム創業者

■ビジネスモデルとは?
ビジネスモデルとは、企業が事業を通じて、誰に(Who)、何を(What)、どうやって(How)、付加価値を提供し、どのように収益を得るのかが盛り込まれたビジネスの仕組みを指します。

ビジネスモデルは、どんな事業で収益を上げるか、事業のターゲット層をどこに設定するか、どのような製品やサービスを市場に提供するかなどについて論理的に体系化したスキームになります。

ビジネスモデルを構築する上では、自社の経営資源を踏まえた実現可能性、競合他社の動向を見据えた上での競争優位性、市場規模・成長性予測に基づく収益構造を明確にすることが必要になります。

優れたビジネスジネスモデルとは、企業、ユーザー、利害関係者の3社にとって利益がある状態が出来上がり、ビジネスに継続性がある状態になっています。

近江商人の経営哲学の一つとして「三方よし」が広く知られています。「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方になります。

ライバルとの競争環境の中で、顧客視点に立ちユニークな競争優位性を作り上げ、特定の分野で「ナンバーワン」もしくは「オンリーワン」を目指し、ニッチな領域でも一番になれるポジションを獲得することが勝ち残っていく要件になると言えます。

■ビジネスモデルのコアとなるCVPとは?
ビジネスモデル構成要素の中でも最も重要なものが、「CVP」(Customer Value Proposition)「カスタマー・バリュー・プロポジション」を作り上げることになります。

カスタマー・バリュー・プロポジションとは、以下の4つのポイントを会社、商品、サービスとしての顧客視点での基本戦略を明文化したものです。

(1)どの顧客セグメントに対して提供するのか?
(2)競合には真似できない要素は何か?
(3)どのような方法/経営資源を用いるのか?
(4)どのような価値を提供するのか?

ビジネスモデルを構築する上で「カスタマー・バリュー・プロポジション」が重要視される理由は、「顧客が、数ある選択肢の中で”なぜ”そのサービスを利用したり、購入する必要があるのか?」という、本質的な問いに対して、明確な回答を求められるからです。

■カスタマー・バリュー・プロポジションが大事な訳
優れたビジネスモデルを構築するためには、顧客の目線に立ち誰もが分かりやすい言葉で「カスタマー・バリュー・プロポジション」を語ることが必要不可欠になると言えます。

なぜなら、顧客視点での分かりやすい言葉でCVPを語ることが出来なければ、その商品・サービスの戦略が明確になっていない、もしくは、競争優位性に欠けるということになるからです。

顧客価値の提供を定義するには、「顧客層(WHO)」「機能(WHAT)」「技術(HOW)」を決定します。

機能は製品やサービスが満たすべき顧客ニーズのことです。

つまり、どのような顧客層をターゲットにし、顧客層にはどのようなニーズがあり、ニーズに応えるにはどのような技術が必要であるかを具体的に考えることが、「コア・コンピタンス」の源泉になるのです。

革新的なビジネスモデルを構築するためには、全体を見渡して課題を発見したらビジネスを再定義する必要があります。自社にとって真の顧客は誰か、根幹となる商品や付帯するサービスは何か、といったことを考え、スキームを組み直します。

イノベーションを起こすためには、市場を再定義したビジネスモデルに基づいて新たな商品やサービスを開発し、そのために必要な仕組みをITをテクノロジーを駆使して作り上げて行くことが欠かせない要素になると言えます。

■ビジネスモデルのコア・コンピタンスを見極める方法
コア・コンピタンスとは、企業の中核となる強みのことを指します。「自社の強み」を意味する言葉としては、ケイパビリティという言葉も多用されています。

一般にコア・コンピタンスはバリューチェーンの特定の機能の強み、ケイパビリティはバリューチェーンにまたがる組織的な強みを指す場合が多いと言えます。

ビジネスモデルを構築し、事業の集中や拡大を図る際には、自社のコア・コンピタンス、あるいはケイパビリティを明確に意識し、それが活かせる展開を行うのが常道となります。

ビジネスモデルの「コア・コンピタンス」を見極める場合には、

・模倣可能性(Imitability)
・移動可能性(Transferability)
・代替可能性(Substitutability)
・希少性(Scarcity)
・耐久性(Durability)

の5つの点について考える必要があります。どの要素が有効かどうかは、市場環境や競争環境によっても大きく異なります。

また、一度、築いた競争優位も、市場環境の変化とともに陳腐化する恐れがあるため、ビジネスモデルを作るためには、継続的な投資やコア・コンピタンスの再定義、新たな能力の育成などの努力も欠かせません。

■ビジネスモデルを作る3つのメリット
自社のビジネスモデルがあると、どのようなメリットとなるでしょうか。

1、投資の意思決定範囲の絞り込み
ビジネスモデルを作るメリットは、事業への理解が深まることです。事業の全体像を把握するのはもちろん、競合のリサーチも必要となるため、自然と事業への理解が深まります。

ビジネスモデルを作る過程で、顧客価値の提供(CVP)を明確化することで、「やるべきこと」「やらないこと」が明確になります。

企業価値を高めるには、何に投資し、何に投資すべきではないか、の範囲の絞り込みが重要です。ビジネスモデルの構築は、投資の意思決定範囲の絞り込みに繋がります。

ビジネスにおける投資とは、利益を見込んで事業に資本を出すことです。事業に資本を出すケースに限らず、将来の利益のためにお金を払うこと全般が「投資」と呼ばれます。

2、ビジネスモデルの変更が容易
ビジネスモデルは収益を獲得する仕組みなので、構築する段階で問題点が明確になるメリットもあります。あらかじめ問題点を把握し、適切な対策を練ることができるため、安全にビジネスへ取り組めるでしょう。

ビジネスモデルを構成する4つの要素を1つ変えることで、ビジネスモデルの変更ができます。

例えば、来客に飲食を提供していた飲食店が、「提供のプロセス」を変更することでデリバリー型、テイクアウト型などにビジネスモデルを変更し、飲食提供が可能になるのです。

このように、既存の顧客に対する、価値の提供方法の変更検討が容易になります。

3、業界を超えた転用ができる
業界分析では、主に競合のビジネスモデルをリサーチします。業界で採用率の高いビジネスモデルがあれば、なぜ多くの競合が用いているのかを分析しましょう。

分析により、競合が採用している理由やメリットなどが見えてきます。他企業で成功しているビジネスモデルに自社の商品やサービスを当てはめてみると、思わぬ発見があります。

同業種のビジネスモデルは、似たものになりがちですが、あえて別業種のビジネスモデルを参照することで、新しい顧客の開拓に繋がる可能性があります。

■ビジネスモデルを構成する4つの要素
ビジネスモデルは新規事業を立案する際や、既存ビジネスを再考する際に活用されます。ビジネスモデルに基本は、Who(誰に)、What(何を)、How(どうやって)提供するのかを考えることです。

1、Who(顧客は誰なのか)
Whoとは、「顧客は誰なのか」ということで、自社が価値を提供したいと考えている顧客をセグメントすることを意味します。

顧客セグメントは、具体的な人物像を想定して作成する場合と、大まかに広く設定しておく場合とがあるでしょう。顧客には、既存顧客、潜在的な顧客、既存や潜在的を問わず、顧客が属している母集団が含まれます。

既存のビジネスを振り返りたいのなら一番売れているセグメントを、新たな客層への拡販目的であれば少数派のセグメントへ向けて組み立てるとよいでしょう。

ビジネスモデルの構築にあたっては、企業や事業のターゲットである顧客像を具体的に分析し、明確に設定することが不可欠です。

2、What(顧客にとってどのような価値を提供するのか)
顧客は価値に惹かれてサービス・商品を購入します。

Whatとは、「顧客にとってどのような価値を提供するのか」ということ。構築したいビジネスモデルのターゲットである顧客の設定後、そのターゲットに対して自社の持つどのような企業価値・事業価値を提供していくのかを考えていきます。

ターゲットとする市場の商品にはない価値や、チャネルにはこれまでになかった価値を提供するなど、他競合企業との差別化を起点として考えると価値の高いアイデアを生み出しやすいでしょう。

価値について定義する際は、「サービスや製品に支払う対価に見合う価値」「顧客の立場から見た価値」を明確にすることが重要です。

3、How(どのようにしてその価値を提供するのか)
インターネット・対面と直接販売・間接販売を組み合わせなど、サービス・商品をどうやって届けるのか販売経路を検討します。

Howとは、「どのようにしてその価値を提供するのか」ということで、ビジネスモデルの構築で設定した、ターゲットや提供する価値を用いて、特定の顧客に対し価値を提供する際の手段や仕組みを考えていきます。

集客方法や顧客に価値が提供される仕組みなど、企業価値や事業価値をどのようにターゲットである顧客に届けるかを明確化したものと解釈してください。

どういった広告戦略を立てて顧客との接点を増やす施策の検討も必要です。

4、Why(なぜそれが利益に結び付くのか)
どのような手段でどのくらいの金額を顧客から得られるのかを考えましょう。

Whyとは、「なぜそれが利益に結び付くのか」ということ。ターゲットである特定の顧客に企業価値や事業価値を提供するだけでは、ビジネスモデルとしては不完全です。

顧客に価値を提供する流れにて、「どう収益につなげるか」「どう収益をアップさせていくか」というプロセスを考えて初めてビジネスモデルは完結します。

なぜなら、自社の強みや収益アップとの繋がりが明確化され、ビジネスモデルの4要素が機能するからです。

■ビジネスモデルを構築するポイント
競争優位性の高いビジネスモデルを構築するためには、代表的なビジネスモデルを把握した上で、新たな収益化の仕組みを構築できないか、アイデアを列挙することが効果的です。

その際、最初から一つに絞らず、アイデアを出せるだけ出して、その後に絞り込むのがポイントです。もしかすると、これまでになかった斬新なビジネスモデルを創出できるかもしれません。

アイデアの抽出には、3C分析法が役立ちます。3C分析は、顧客と競合、自社それぞれの視点で分析を行う手法です。また、SCAMPER法も、アイデアを沢山出したいときに役立つフレームワークです。

次に捻り出したアイデアを絞り込むステップが必要になります。とりあえず自由にアイデアを出して絞り込み、最後に実現性をチェックする方法がおすすめです。

ここで大切なのは、顧客にとって高い価値を提供できるかどうかです。

なぜなら、革新的なアイデアであっても顧客に高い価値を提供できない場合には、失敗に終わる恐れがあるからです。

顧客視点で考え、付加価値の高いビジネスモデルが見つかるまで絞り込みましょう。その上で、アイデアをさらに練り込み、もっと高い価値を提供できないかどうかを考えることが大切です。

■まとめ
ビジネスモデルとは、企業が事業で利益を生み出す仕組みです。また、顧客から選ばれるべく企業としての価値を高め、末永く事業に取り組むための基本的な枠組みでもあります。

ビジネスモデルは、企業が活動し存続していくための利益を生み出すために、「誰に」「何を」「どのように提供し」「どのように収益を上げるのか」をまとめたビジネスの設計思想になります。

・「誰に」「何を」「どのように提供」するかが明確になっている。
・「どのように収益を上げるのか」が分かり易く整理されている。
・従来の戦略が基準としていたシェアではなく、利益を基準とした概念。
・企業がどのような形で収益を上げているかを示すのに使われる。

ビジネスモデルを考えることで、事業への理解が深まるほか、問題点を事前に把握できるというメリットがあります。

顧客にとって、魅力ある商品・サービスを実現して提供することができたとしても、自社が赤字であれば、継続して提供することはできません。

そのため、「事業が利益を生み出すための仕組み」の根幹とも言える独自のビジネスモデルを構築し、事業を通じて顧客に価値を提供し、持続可能な利益を出すことができるかどうかが最も重要だと言えます。

■最後に
最新のビジネスモデルには、「DX」と呼ばれるデジタルトランスフォーメーションの視点を持ったものが増えています。DXとは「ITを活用して変革を起こし、競争優位性があり利益が伸びる仕組みを作ること」という意味です。

具体的にはクラウド、スマホ、AI、SNSなどを活用して、今まで手間・コストがかかっていた作業を効率化したり、消費者の行動を予測することで確度の高い商品開発やマーケティングを実現したりします。

DXの考え方を含めてビジネスモデルを立案することで、より潮流に乗った収益性のあるビジネスを考案できるでしょう。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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