人が行動を起こす際には、いろいろな心理効果が働きます。その心理効果を理解しておけば、営業やマーケティングで活かすことができます。
誰しも「絶対に見るなよ!」と言われたら、反対に気になって仕方なくなりませんか?
人は自由を制限されると、反射的にそれを取り戻そうとする心理が働きます。
人が何らの行動を起こす際に影響を与える心理効果の一つとして、「カリギュラ効果」や「心理的リアクタンス」があります。
そこで、今回は、カリギュラ効果とは何か、営業活動に心理的リアクタンスを知ることが大事な訳について解説します。
「人生いくら扉を叩いても開かない時もある。その時は、神様の与えてくれた時間だと思って、自分の中身を膨らませることね。」
<美輪明宏>
■カリギュラ効果とは?
カリギュラ効果とは、物事を禁止されると逆にそのことをやりたくなってしまう現象を表す「行動心理学」における法則になります。
「絶対に〇〇してはならない」など行動が禁止される、一部分の情報・文字を隠されるなど制限かかかることで、むしろ逆に駄目だと言われたことをしてみたくなる、隠されているものが気になり見てしまうといった「心理現象」のことを指します。
「絶対に見るな」と言われると見たくなったり、「危険なので入ってはいけない」と言われると、反対に入りたくなってしまう心理は、カリギュラ効果によるものです。
カリギュラ効果は、心理学用語で別名「心理的リアクタンス』」とも呼ばれます。
■心理的リアクタンスとは?
心理的リアクタンスとは、選択の自由を奪われると命令に反発しようとする性質のことです。心理的リアクタンスは、アメリカの心理学者である、ジャック・ブルームが提唱しました。
これは、入手不可能だと教えられた物体を入手したときの、子供たちの反応を観察した実験に基づいて提唱されました。
入手不可能だと言われると、「心理的リアクタンス」により入手したいという気持ちが芽生えます。
実際に入手したときの反応に、嬉しい気持ちが表れていたら「心理的リアクタンス」が大きいと判断できます。
「心理的リアクタンス」が起こりうる状況を、以下に列挙します。
・上司に、「早くこの仕事を片付けろ!」とせかされる。
・友達に、「あなたは短気な人だね」と決めつけられる。
・医者に「ラーメンは絶対に食べないでくださいね。」と指示される。
・営業マンに、「こちらの契約の方がお得なので、契約を切り替えましょう」と提案される。
「心理的リアクタンス」の特徴は、たとえそれが自分にとってプラスになる内容でも無意識下で反発してしまうことです。
■カリギュラ効果のメカニズム
人が何かを禁止されると、言動や思考などに制限をかけられた状態に陥り、自由を奪われたことに伴うストレスを感じてしまいます。
そのストレスへの反発が反射的に起こることで、カリギュラ効果が表れます。
「見たい」「知りたい」といった人間の好奇心、「自分で選びたい」「自分で決めたい」といった人間が本能的に持つ欲求にあえて制御をかけストレスを感じさせることで、そのストレスを克服し、自由に好奇心や欲求を満たしたいという思いが沸いてきます。
経済学には、スノッブ効果という購買心理を高める理論があります。
スノッブ効果とは、人が持っていないものを欲しがる心理が働くことで、限定性や希少性が価値を持つ現象を表しています。
つまり、人は「限定」と聞くと、簡単には入手できない希少価値の高い商品と感じ、需要が増すということです。
その結果、ついつい禁じられたことに抗うような行動に出てしまうというのが人間の心理であり、マーケティングの手法としても多く用いられています。
■カリギュラ効果の由来
カリギュラとは、第3代ローマ帝国皇帝です。彼は非常にイケメンだったそうですが、異常な性欲と残忍性で悪名を轟かせていました。
カリギュラ効果は、1980年に公開された映画「カリギュラ」が由来と言われています。映画「カリギュラ」は第3代ローマ帝国皇帝であるカリギュラを主人公にした映画です。
映画「カリギュラ」は内容や描写が非常に過激で、一部の地域では上映が禁止されるほどでした。
しかし、上映が禁止されたことによって、その一部の地域に住む人たちが上映されている地域にまでわざわざ足を運んでまで映画を観るという現象が起きました。
このことから、「人は禁止されると逆の行動を取りたくなる」という心理効果があると提唱され、カリギュラ効果という言葉が生まれました。
■カリギュラ効果のマーケティングでの活用方法
カリギュラ効果は、人の行動を誘導できるので、ビジネスやマーケティングなどの場でよく活用されています。
これからカリギュラ効果をマーケティングで活用したいと考えているのであれば、どのような場で、どのような活用のされ方をしているのか把握しておきましょう。
1、クリック禁止
カリギュラ効果を狙った方法としては、「絶対にクリックしないでください」「全体にやらないでください」とバナーにあえて記載する方法があります。
その先の情報を覗いてみたいという消費者の心理に働きかけ、結果として多くのクリックを促すことに成功した広告やがあります。
この禁止項目を実施するためには、ハードルをかなり低いものにすることです。高くしすぎるとやる気が失せてしまうことがあるからです。
具体的な例としては、テレビCMで「モンスト絶対やるなよ!」というキャッチフレーズは、非常にインパクトがありました。
2、限定
「本日限定割引」「会員限定特典」「購入者限定特典」など、これらは条件を満たした特定の人だけがそのメリットを得られます。年会費システムや入場料制度を取っているビジネスには有効な手法です。
逆に条件を満たしていない人はそれらのメリットを得られず、行動が制限されることになります。
そのため、カリギュラ効果が働き、「今日のうちに買いに行かなければならない」「会員や購入者になることを検討する」などの行動を取るようになるでしょう。
大半の人は限定に、つまり希少性に価値を見出しそれを手に入れたがります。ただし、それが十分にある、あるいは意図的にコントロールされていると知った場合、急激にその熱は冷めてしまいます。
3、心理的リアクタンス
「心理的リアクタンス」とは、選択する自由が外部から脅かされた時に生じる、自由を回復しようとする反発作用のことです。
人は生まれながらに、自分のことは自分で決めたいという欲求を持っています。したがって、他人に決めつけられると嫌悪感を覚えます。これが「心理的リアクタンス」の発生メカニズムです。
人に対して禁止を与えればカリギュラ効果は働きます。ターゲットを逆に排除するようなコピーをつけることによってターゲットを的確に誘導することができます。
そのため、ダイエット商品では「痩せたい人以外は使わないでください」などの禁止の言い回しをするキャッチコピーはよく使われています。
■カリギュラ効果とバーナム効果の併用すると効果的
バーナム効果とは、誰にでも当てはまるようなことを伝えられたとしても、あたかも自分のことを言い当てられたように感じてしまう心理効果です。
このバーナム効果はカリギュラ効果との相性が非常に良いため、合わせて使われるケースが少なくありません。
商品のキャッチコピーで「必要ない方は購入しないでください」という物があるとします。
最初から商品を本当に必要としている人は限られているため、必要している人以外の大半は「商品を必要としていない人」に当てはまります。
その「商品を必要としていない人」に「購入しないでください」と禁止を与えることでカリギュラ効果が働くようになります。
■誰にでも効果を発揮するわけではない
カリギュラ効果は、誰にでも効果を発揮するわけではありません。そもそも、禁止されることに反発する心理が、カリギュラ効果を引き起こしています。
禁止されることを苦痛に感じない人や状況では、カリギュラ効果は発揮されません。
具体的にカリギュラ効果が起きにくいタイプに、
・他人から命令されても気にならない人
・「限定」や「秘密」などの煽り文句に惹かれない人
・そもそもあなたに興味がない人
などが挙げられます。
カリギュラ効果を上手に使いたければ、相手の考え方や関係性をよく理解した上で使いましょう。
■まとめ
カリギュラ効果は、禁止されるほどそれをやってみたくなる効果です。カリギュラ効果は、人間が抗いにくい心理現象ですので、ビジネスなどで用いると非常に効果的です。
人は生まれながらにして「自分の行動を自分で選択したい」という欲求を持っています。
そのため、人から何かを反対された時や強制された時に、反抗心という心理現象が起こります。
人は自分の行動や選択の自由を欲求として持っているため、その欲求が侵されると無意識に“抵抗”する心理にスイッチが入るのです。
つまり、自由を制限されると抵抗したくなる『心理的リアクタンス』と、禁止されるとやりたくなる『カリギュラ効果』は関連があるということです。
『カリギュラ効果』の衝動欲求は、『心理的リアクタンス』になるということです。
日常生活でも実際に、「本気で痩せたい人以外は見ないでください」「本当に稼ぎたい人以外はクリックしないでください」など、ちょっと意識して街中を見渡しただけでも「カリギュラ効果」を狙ったコピーライティングが沢山見つかるはずです。
カリギュラ効果はうまく活用すれば人の行動を誘導できます。特に営業マーケティングで意識的に活かすことができれば、大きな結果を得られるでしょう
■最後に
不動産会社がマンションを探している人が家を探しにきた時、条件に一致した一つの物件だけを勧めるより、複数の選択肢を与えて選ばせる方がスムーズに契約に繋がるという現象は、「心理的リアクタンス」の軽減によるものになります。
心理的リアクタンスを営業やマーケティングに取り組むことは、顧客のニーズを読み解く必要があります。
セールス活動をしていて「押し売り」とお客様に思われてしまうと、成約はなかなか難しくなります。お客様に「押し売り」でなく、「欲しい」と思って貰った上で営業をする必要があると言えます。
営業活動において「心理リアクタンス」を活用するためには、買う買わないの意思決定を顧客に任せて、決して強要しないことです。
また、それほど親しくもない営業マンが代表電話に一方的なセールスをした場合、大概は「この会社からは買いたくない」という心理になります。
まったく新規のお客様に対して、飛び込み営業やテレアポをかけた場合も、押し売りだと思われたら断られて終わりです。
恐らくテレアポで営業をされ、一度、断った企業や営業マンとは、二度と会おうとは思わなくなるということです。
これを営業の『ブーメラン効果』と言います。
営業マンの押しの強い売り込みの態度が、自分の意図に反した意思決定をさせてしまうという現象です。
しかし、顧客との間に既に信頼関係が構築されいる知り合いからの紹介であれば、問題は起きないと言えます。
人間関係が最初からできおり、アポイントを設定する前段階で事前の「セットアップ」ができていれば、成約率が高まるという反対の現象が起きます。
ということは、新規開拓の場合、共通の知人を通じて提案する会社の事前のニーズの確認をすることと、顧問の人脈を駆使した「トップダウン営業」を活用するなど、事前のセットアップが大切だと言えます。
営業のセットアップとは、興味が無いという会社とのアポイントを減らし、相手にちゃんとプレゼンテーションを聞いて貰える合意形成をして頂くための事前の準備です。
法人営業の場合、「今回がどういう場であるか」という、事前に場についての説明を行うことはとても大事なことです。
中小企業やベンチャー企業の場合、この興味喚起のセクションを見誤っている経営者が多く、そもそも大手企業のキーマンとアポイントを獲得に必要なアプローチの難易度が極めて高いと言えます。
このような際には、大手企業の経営トップとの関係性が深く、キーマンとの太い繋がりある「顧問のチカラ」を借りることです。
大手企業の新規開拓には、決裁権限を持った役員クラスとのリードジェネレーションの取得から、アポイントの取得、商談設定を推進することが可能な営業顧問の人的な繋がりとコネクションを活かすことが、限界を突破に導く大きな武器になります。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、5000人を超える顧問をネットワークしており、人脈と知見を豊富に持つ顧問が多いため、営業活動の強化に欠かせない要素となる「トップダウン営業」ができます。
また、様々な営業プロセスの改善することを目的に、顧問やプロ人材のチームビルディングを行い、新規開拓や販路拡大に必要な実行サポートを行っています。
【無料お試し】が可能ですので、まずは会社アカウントを登録し、是非、どのような営業顧問がいるか選定をしてみてください。
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