法人成りとは?個人事業主が法人に変更する法人なりのメリット

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 働き方改革   パーマリンク

個人事業主やフリーランスとして、一定以上の売上を継続して上げられるようになると、法人成りを検討した方がいい場合があります。

節税対策を目的に法人成りするケースが多いようですが、税目の違う税の発生、想定しない費用などが発生し、個人事業の方がよかったというケースもありえます。

そこで今回、法人成りとは、個人事業主が法人に変更する法人なりのメリットについて、解説します。

「人はみな素晴らしい能力を秘めている。だから自分の強みを信じ、「やればできる」と繰り返し唱えよう。」

<アンドレ・ジッド>

■法人成りとは?
法人成りとは、個人事業主が株式会社や合同会社などの法人を設立し、事業を法人に変更することを指します。

個人事業主が法人成りを推進することで節税対策や信頼性の向上、資金調達など多くのメリットがあります。個人事業主として開業したのち、さまざまな理由から法人成りを検討する方もいることでしょう。

多くの法人成りのケースでは、個人事業主の場合には「累進税率」が適用されるため、所得税で納税するよりも、法人税で納税する方が税金面での負担が軽くなると考え、法人成りするケースが多いようです。

一般的に法人企業は、個人とは異なり社会的信用を得やすいと言われており、大手企業の場合、個人のフリーランスとは、大きな取引をしてくれないケースもあります。

法人なりには、社会的信用が高まるため、金融機関からの創業融資が受けられます。また、人材採用、マーケテリングを行い新規取引先の獲得を目指す際には、ビジネスの拡大が進めやすい観点から法人にした方が有利です。

但し、法人の設立は、設立の必要や法人税、税理士との契約も必要になるため、フリーランスの場合、顧客の数が増えたり、事業拡大をしたいタイミングで法人成りすることが多いと言われています。

■法人成りで選択できる法人形態
新しく会社を設立するという手続き自体は、通常の会社設立であっても法人成りであっても変わりません。

ただし、法人成りの場合には、新会社は、個人事業主の資産・負債を引き継いだ上で、事業を継続して行くプロセスを踏んでいきます。

・新たに会社を設立する
・個人事業主が所有していた資産・負債を新会社が引き継ぐ

法人成りの際に選択できる法人の形態は、主に以下の4つがあります。

・株式会社
・合同会社
・合資会社
・合名会社

ほとんどの個人事業主が株式発行を行って資本金を獲得する「株式会社」を選びます。ですが、近年では比較的会社設立に掛かる費用の安い「合同会社」も人気が出てきています。

個人事業主の場合は、会社の所在地といった重要事項を登記する必要がありません。一方、法人は情報がオープンであるため、社会的な信用度が高くなります。

株式会社と合同会社は、自分が出資した額の限度で責任を負う「有限責任」という社員責任を負っています。合資会社と合名会社は、会社の債務に対して全財産を投じてでも責任を負わなければいけない「無限責任」という社員責任を負っています。

出資の観点からすれば、株式会社や合同会社の設立がメリットを得られますが、株式会社は原則株式の譲渡が自由であるため、譲渡制限の条項を設けないと、自分が望まない人物が株主となって自社の経営に口を挟んでくる可能性があります。

それぞれのメリットとデメリットを把握した上で、法人形態を選択しましょう。

■法人成りをする3つのメリット

1、信用度が高くなる
一般的に、個人事業主よりも法人成りをしたほうが社会的な信用があると言われています。

法人は登記簿謄本により、会社の所在地や資本金、役員などの重要事項を確認できるからです。個人事業主は店舗の所在地などを登記する必要がないため、法人に比べると信用度が低くなります。

また、取引先によっては法人としか取引をしないというところもありますので、法人成りを実現することで販路は拡大する場合もあります。

さらに、一般的に業種や事業内容によっては人材確保、採用、雇用の面でも、法人の法が応募者がにとっても選択しやすいということもあります。

2、節税効果がある
顕著なメリットとして、節税しやすさがあります。

利益が500万円以上ある場合は法人成りによって節税効果が表れ始めるため、法人成りを検討し始める方が良いケースです。

また、消費税については、1,000万円以上の売上があると課税事業者になりますが、この際も法人成りを検討した方がいいでしょう。

法人成りした場合は、原則として開業から2年間、消費税の課税を先送りすることが可能です。

3、雇用の確保
法人成りした場合は、社会保険や労働保険が適用されます。業種や従業員数に関係なく、雇用保険や健康保険、厚生年金保険といった社会保険の対象です。

これらの対象になることで、社会的信用だけでなく、従業員の信用や安心を得られることにつながり、雇用が確保しやすくなります。

また、事業主自身も、被保険者として保険給付を受けることができます。

■法人成りをする3つのデメリット
法人化にはさまざまなメリットがある一方で、法人を設立すると、個人事業主にはないコストや税負担が発生します。

1、法人設立時に費用がかかる
法人の設立にはさまざまな費用がかかります。

設立費用は法人形態によって異なり、例えば法務局での法人登記手続きに必要な登録免許税は、株式会社の場合は「資本金額×0.7%」となり、算出される金額が15万円に満たないときは15万円です。

合同会社では「資本金額×0.7%」で、6万円に満たない場合は6万円となります。

また、資本金1円から法人設立は可能ですが、一般的には、資本金として初期費用に運転資金3か月分を足した金額程度を準備しておいた方が良いといわれています。

2、社会保険に加入する必要がある
法人化すると、健康保険や厚生年金保険といった社会保険への加入が義務付けられ、法人は社会保険料の半分を負担しなければなりません。

そのため法人化すると法定福利費(社会保険料の法人負担分)が増え、手続きなどの事務負担も増えてしまうことになります。

3、赤字でも税金がかかる
個人事業主が決算で赤字になった場合、所得税と住民税は0円となります。しかし、法人は赤字であっても法人住民税の均等割を納付しなければなりません。

法人住民税は地方自治体に納める税金で、法人税割と均等割の2つに分かれています。法人税割は法人税額をもとに算出するため、赤字であれば税額は0円です。

一方、均等割は資本金や従業員数によって金額が定められており、赤字であっても納付しなければなりません。赤字でも税金を納付しなければならないのは、法人化のデメリットといえるでしょう。

■法人成りのハードルが以前よりも低くなった
平成18年に、『1. 最低資本金規制の撤廃』、『2. 会社役員の人数の規制緩和』、といった大幅な法律の改正されました。

これにより、個人事業主からの法人成り(会社設立・法人化)は資金面においても人材確保の点からも従来よりもやりやすくなりました。

法改正の内容は、以下のとおりです。

1、最低資本金規制の撤廃
これまでは有限会社なら最低300万円、株式会社なら1,000万円の資本金が必要でした。しかし、最低資本金制度が撤廃された現在では、1円からでも法人化が可能となっています。

最低資本金の規制が撤廃されたため、極端な話をすれば、資本金1円でも株式会社を設立することができるようになりました。

資本金の下限はなく、資本金に囚われずに会社を設立できます。ただし、資本金額を会社の信用と捉える場合が多いです。資本金額は低くしすぎず、ある程度の額を出資するようにしましょう。

2、会社役員の人数の規制緩和
会社の中心的な存在として、業務執行や組織の監督をする役割を持つ人を役員といいます。会社法に定められている役員は通常、取締役・監査役・会計参与などを指します。

このうち取締役については、株式会社設立時に発起人による選任、または定款の定めにより決まります。

平成18年の法改正以前は、株式会社を設立する場合、最低でも4人の役員(取締役3人+監査役1人)が必要でした。

役員の人数については、非公開会社の場合、取締役が1人以上いればよいとされました。

ただし、取締役会を設置する会社では、取締役は3名以上選任することが定められています。取締役会には取締役を監督する役目があるためで、取締役1人では取締役を監督する機能を果たせないためです。

■まとめ
法人成りとは、個人事業主として事業を行っているフリーランスなどが、会社を設立して事業を引き継ぐことです。

個人事業主と法人では、設立時の手続き方法や支払う税金、社会的信用度などに違いがあります。法人成りによって、法人としての社会的な信頼を得て、雇用を増やしながら事業を拡大していくことができます。

個人で事業を行っている個人事業主には、所得に応じて、税率が5~45%の7段階に分けられた所得税の支払いが生じます。

所得税の最高税率は55%です。また、所得に比例して、税率が高くなる累進課税制のため、所得が多くなるほど、支払う税金も高くなります。

法人化すれば、個人事業主で支払っていた所得税がなくなる代わりに、法人税を支払うことになります。法人税の税率は、所得税と違い、20%前半でほぼ定率です。そのため、負担する税金を減らすことができます。

所得税と異なり、収益に対しての増え幅は緩やかなので、所得が高くなっても税金の負担を抑えることができます。

現在、国の政策的にも、国際的な競争力を確保するために、創業融資が受けやすくなっています。

また、ベンチャー企業の支援をするための助成金や補助金もあり、低価格なレンタルオフィスが増えています。以前と比べると様々な会社からスタートアップが支援されているため、法人化を目指す個人事業主にとっては良いチャンスと言えます。

デメリットとしては、法人としての社会的な責任を果たす義務が生じるため、個人事業よりも会社設立の労力や決算手続きの費用が増加します。

法人成りを検討する際は、単に節税額だけではなく、このような法人成りの意義を理解した上で、どちらを選べばより事業が展開しやすく、利益を上げやすいかを判断しましょう。

■最後に
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本田季伸のプロフィール

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