日本はこれまで、多くの企業が月給制を採用していました。しかし、近年、優秀な若手人材を獲得したいインターネット系のベンチャー企業など、年俸制を採用する企業が増えています。
会社の人事制度には、成果主義という考え方があります。成果主義は、その名の通り、成果に応じて待遇を決めることです。
年俸制は、成果主義という考え方から出来た報酬制度になります。この成果主義が広がってきたことから、年俸制を取り入れる企業が増加傾向にあります。
そこで、今回、日本企業で年俸制を採用する企業が増えて来た理由について解説します。
■年俸制とは?
年俸制は、過去1 年間の業績を評価し、翌年1年間の賃金の全部または相当部分を決定するもので、固定給や年功給もなく、完全成果主義に近い賃金体系を指します。
労働時間ではなく、成果を見てその年に給与を決めるため、個人個人の実績がダイレクトに給与へ反映されやすくなるというのが特徴です。
年俸制の定義は、「年俸制は本来労働時間に関係なく、労働者の成果・業績に応じて賃金額を決定しようとする賃金制度」です。
年俸制導入の目的として「業績評価を明確にするため」「実力主義・能力主義の色彩を強めるため」という企業が多く、成果主義賃金と同一視されている点が大きな特徴になります。
また、年俸制といっても600万円や800万円を一括で支払う訳ではありません。厚生労働省によると、年棒制では1カ月毎に分割して給与を支払う必要があると労働基準法第24条で義務づけられています。
つまり、年俸制とは1年に1回しかお給料を受け取ることができない制度ではなく、月給制と同じように毎月しっかり給与を受け取ることができる制度です。
労働基準法24条に「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」 とあり、年俸額が決まれば少なくとも12等分して毎月支払うことになります。
■年俸制の報酬が決まる基準
年俸性の決まる仕組みは、前年度の成績が考慮される場合もあれば、従業員ごとの役割や期待値を踏まえたうえで金額を設定する場合もあり、基準は会社によりさまざまです。
年俸額の決定方法は、企業の規模に左右される場合もあります。たとえば、大企業では賃金規定に記載されているルールや計算式に基づいて算出されることが多いです。
一方、中小企業では経営者が従業員に金額を提示し、合意を得られれば年俸額が決定します。
なお、年俸制を採用しても、労働時間を管理しなければならない点や、残業代を支払う必要があるという点は月給制と変わりません。
2014年に厚生労働省により行われた「就労条件総合調査」によると、日本企業の9.5%が年棒制を採用しています。
年俸制の場合は、貰える給与の額が決まっているため、事前に年間の収入が分かります。
一方、月給制の場合は年間の給与が決まっているわけではありません。企業の業績によっては賞与が増減し、場合によっては出ないこともあります。
■年俸制を採用する会社が増えた背景
年俸制を採用している企業は、外資系企業やプログラマーといった専門性が強くスキルが求められる職種は年棒制である場合が多いです。
年俸制は成果報酬型の会社が多く、実力と才能があればあるほどより多く年俸を稼ぐことができます。海外では、日本のように終身雇用制度が浸透しておらず、個人の成果に応じて報酬を決定します。
年俸制の場合、プロ野球選手と同様に、成果を出すことさえできれば、勤続年数に関係なく昇進や昇給のチャンスが与えられます。しかし、一定の期間で成果を上げられなければ、収入が上がらないどころか、下がってしまう恐れもあります。
一般的な月給制は、勤続年数が増えるほど上がる仕組みなっていますが、年俸制は成果主義のため、より1人1人の成果が評価されやすいシステムになります。
そのため、仕事に対する社員のモチベーション向上も期待されています。
■年俸制のメリット
1、企業にとっての年俸制のメリット
年俸制を採用すれば、事前に年間の人件費を決定できます。
また、年俸制は個人の成果や能力により給与額が決まるため、従業員のモチベーションや生産性の向上につながります。
・若くても実力のある社員を採用できる。
・仕事に対するモチベーションアップを実現
・年齢に関係なく有能な人材の昇進・抜てきが可能になる。
・個人業績対応型の賃金で会社貢献度に応じた賃金配分が可能。
・賃金の変動費化が可能になる。
ベテランであっても成果を出せなければ給与額が下がることになってしまうので、自発的にモチベーションを上げ、成果を出そうと努力するでしょう。
年齢や経歴に関係なく、全ての社員が企業に貢献することで、業績の向上も期待できます。
2、従業員にとっての年俸制のメリット
年齢に関係なく高収入を狙える年俸制は、従業員にも大きなメリットをもたらします。
年棒制を採用している企業で働くメリットとして、年齢にかかわらず、実力次第では高収入を目指せるという点が挙げられます。
年俸制なら成果を上げることで翌年の給与額が大幅に上昇する可能性もあるため、評価を実感しやすく、業務にも真摯に取り組むことができます。
・若くても高い報酬が得られる
・希望する職種・職務で働ける
・職務スキルを磨くことでキャリアアップ実現できる
年俸制は、成果主義と密接に結びついており、その年の成果で次の年の年収が決まるケースがほとんどです。
努力することが苦ではなく、成果を上げた分だけ多くの給与がもらえる年俸制は、仕事のモチベーションが高く若い人材に向いています。
■まとめ
企業で年棒制を導入すると、経営計画を立てやすくなります。また、成果に応じた給与が発生するため、従業員のモチベーションアップも期待できるでしょう。
システムエンジニアやプログラマー、プロスポーツ選手など、専門性の高い職業や個人のスキルが要求される職種も、年俸制の場合が多いです。
日本の企業でも年俸制が浸透し始めた背景には、「高度プロフェッショナル制度」の存在があります。高度プロフェッショナル制度というのは、働き方改革により導入された制度の一つです。
高度な専門知識やスキルを有しており、かつ一定の年収を得ているプロ人材に対して適用されます。
1年間の給与が決定されている年俸制では年間を通しての計画が立てやすいのが特徴です。
しかし、成果次第では給料が下がってしまうのでプレッシャーもあります。年俸制には成果の反映が遅いといったデメリットもあります。
メリットとデメリットをよく把握した上で、自分の持つスキルや知見、性格やワークスタイルに合った給与体系の企業と働き方を選びましょう。
「社会共存の道は、人々自ら権利をまもり幸福を求むると同時に、他人の権利幸福を尊重し、いやしくもこれを侵すことなく、もって自他の独立自尊を傷つけざるにあり。」
<福沢諭吉>
■最後に
アメリカでは、現在、フリーランスは既に労働力の35%を占めており、2030年までには50%になると言われています。
企業にとってもは、即戦力となるプロ人材に期間限定でプロジェクトに参画して貰えたり、ハイスキルな顧問に仕事を依頼できるメリットが大きく、高いレベルのフリーランスを組織に入れることが一般的になってきています。
フリーランスは、正社員や人材派遣という働き方とは大きく異なり、1社専属とというワークスタイルではありません。特定分野の専門家として、複数のクライアントを持つプロ人材が過半数を超えています。
今後、日本でも終身雇用が崩壊した今、1社の会社に新卒で入社し定年まで働く人が減りました。転職が当たり前になり、会社への帰属意識も意識が薄れつつあります。
少子高齢化により人材が不足している今、フリーランスの顧問やプロ人材としてのワークスタイルで働く人が増え、副業で働くビジネスマンもさらに増加していくと予測されています。
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