働き方改革の目的とは?企業に働き方改革の推進が必要性な理由

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 働き方改革   パーマリンク

日本は今少子高齢化による労働人口の減少が問題視されています。中小企業の場合、人手不足による倒産も深刻です。

帝国データバンクの調査によると、従業員の離職や採用難等に起因する倒産企業件数は70件超となり、半期ベースとしては最多件数を記録しました。深刻化する働き手の減少を背景に、特に中小企業における人手不足による倒産はさらに増え続けるものと予想され、決して他人事とは言えません。

働き方改革を実現している企業=労働者の働きやすさを実現している企業であれば、働き方改革の着手に遅れてしまえば、優秀な人材はもちろん、労働者はどんどん離れていくことは明白です。多様性を受け入れないと人材の雇用も難航するでしょう。

そこで今回、働き方改革の目的とは?企業に働き方改革の推進が必要性な理由について解説します。

「何でもそうですが、大事にしなければ逃げていってしまいます。お金を集めたかったら、お金を大事にしなければならない。物を集めたかったら物を大事にしたらいい。大事にしたら必ず集まってきます。人の場合も、よい人財が欲しいなら、人間を大事にするべきだということです。」

<船井幸雄>

■働き方改革とは?
働き方改革とは、これまで当たり前だった 日本企業の労働環境を大幅に見直す取り組みを指します。現在、長時間労働の常態化やそれに起因する過労死、非正規労働者に対する不合理な待遇差など、働き方の問題に伴う弊害は昨今至る所で浮き彫りとなっており、早急な対応が求められています。

日本の場合、人口の減少と少子高齢化によって、生産年齢人口が減少し続けていることから、従来の日本社会の働き方を抜本的に見直すことで、働き手を増やすことが急務となっています。

働き方改革の3本柱は、「労働時間の適正化」「公正待遇の確保」「多様な働き方の実現」です。代表的な取り組みとしては、時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金の適用、年5日の有休取得義務化、テレワークや副業の推進等が挙げられます。

働き方改革とは、一言で言うと「誰もが個々の事情に応じて柔軟に働き続けられる社会を作ること」です。そのビジョンは、「一億総活躍社会」を実現することにあります。働き方改革は、目的を正しく理解し適切な取り組みを行うことで、企業の労働環境の改善や労務問題の解決に活きる有効な手立てとなるのです。

■働き方改革の目的
働き方改革の背景にあるのは、働き手となる労働人口の減少です。人口が減少し、さらに少子高齢化が進展していることで、15~64歳の生産年齢人口は大きく減少しています。

働き方改革を行う目的は、一人ひとりの意思や能力、個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を追求していくことで、「労働者にとっての働きやすさ」を実現していくことにあります。

大手企業以上に働き手減少の影響を受けやすい中小企業においては、人手不足倒産を回避するため、限られた人員でも成果を上げるために労働生産性の向上を図るため、働き方改革に特に前向きに取り組んでいく必要があります。

その人手不足への対応策として、就業機会を拡大し、誰もが個々の事情に応じた多様な働き方を選択できるようにすることがあげられています。働く個人にとって働きやすい環境を構築し、ライフステージに合った仕事の仕方を選択しやすくなることで、企業にとっては、労働力の確保と生産性向上を実現し、働き手を増やす狙いがあります。

■働き方改革の3つの柱
働きから改革の骨子は、以下に挙げる3本柱から成っています。

1、長時間労働の是正
現在、日本では共働き世帯および単身世帯(世帯主が一人の世帯)の割合が増加傾向にあります。1990年代の中頃に共働き世帯の数が専業主婦世帯の数を逆転して以来、共働き世帯の数と専業主婦世帯の数は年々その差を広げています。また、未婚率の増加や核家族化の影響を受け、単身世帯も増加しつつあります。

仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因、また、健康問題の原因にもなっている長時間労働を是正すべく、罰則付きの労働時間規制、休暇取得の義務化、長時間労働に対する割増賃金率の引き上げなどの法改正が行われています。

2、正規雇用と非正規雇用の格差の改正
誰もが納得して働き続けられるためには、4割を占める非正規労働者の待遇を改善することは必須です。そこで、同一労働同一賃金を実現するべく、不合理な待遇差を禁止し、企業の説明義務を強化するなどの法改正が行われています。

近年、共働き世帯や単身世帯の増加に伴い、家事や育児・介護などと仕事を両立できる柔軟な働き方へのニーズが高まっているのです。

そうしたニーズに対応するためには、労働における時間的制約の緩和や、フルタイム以外の労働に対する処遇改善など、働き方改革の促進が必要になっています。

3、柔軟な働き方の実現
ワークライフバランスを保ち、ライフイベントに応じた働き方を選択できるよう、長時間労働の是正と合わせて、テレワークの推進、治療と仕事の両立支援、副業・兼業の推進などといった施策が取られています。

そして、この3本柱の実現のために、これまで働き方改革関連法(正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」)が施行され、さまざまな法律が改正されました。具体的には、働き方改革関連法の施行から大きく以下の11のポイントが変更になりました。

・時間外労働の上限規制の導入
・勤務間インターバル制度の導入促進
・年5日の年次有給休暇の取得
・月60時間超の残業の割増賃金率引き上げ
・労働時間の客観的な把握
・「フレックスタイム制」の清算期間延長
・高度プロフェッショナル制度の導入
・産業医、産業保健機能の強化
・不合理な待遇差の禁止
・労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
・行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争手続(行政ADR)の規定の整備

■働き方改革の実現に向けて企業が行うべきこと
人材は、会社の礎です。深刻化する働き手の減少に対応するために、企業は、既存の労働者の定着を図ると同時に、求職者に選んでもらえる会社作りに着手する必要があります。

なぜなら、「現状のままで良い」と考えて何も手を打たなければ、たちまち時代に取り残され、会社は衰退の一途を辿る可能性があるからです。

1、業務内容と社員のことについて理解を深める
働き方改革の第一歩は、「現状を正しく把握すること」です。働き方に問題を抱える労働者の有無を知り、いるとすれば誰に対してどんな対応が必要かを検討しましょう。

労働者の働き方を見直すと共に、個々が抱える業務内容についても今一度、整理します。その上で、無理・無駄がないかどうか、効率化を図ることが可能かどうかを十分検討し、数ある働き方改革関連の取り組みの中から必要なことを考えましょう。

2、心理的安全性の確保
労働者が能力を最大限に発揮できることが、働き方改革を実現する上でのポイントです。そのためには、個々の労働者が他者の顔色を伺うことなく、自然体でいられる心理的安全性が確保された体制作りに目を向ける必要があります。

心理的安全性を担保することが、労働者間の信頼を高めると共に職場の風通しを良くすることにつながり、仕事の成果及び生産性の向上に寄与します。

3、積極的なIT活用
将来的な人手不足時代の到来に備え、人の力に頼らない業務体制の確立に目を向けることは、いずれの企業にとっても急務となります。ITツールを積極的に活用し、できる限りの業務効率化を図っておくことで、最少の人員で最大の成果を生む工夫を凝らす必要があります。

■基本的な雇用管理の徹底
働き方改革以前に、現状、適正な形での勤怠管理ができていない中小企業は少なくありません。ですが、長時間労働の削減や休暇取得については、「仕事が終わらない」従業員側からすれば有り難くない施策とも受け止められます。

日本の場合、海外のビジネスマンの働く意識と比較すると、遅くまで働いていた方が仕事を頑張っているという雰囲気があります。かつてほどではないにせよ長時間労働が評価されるような価値観が企業にも依然として残っています。

労働基準法の改正に伴い、新たに設けられた規定に対応すると共に、今一度、基本的な雇用管理に目を向けなければなりません。

・日々、勤怠を把握できているか
・適正に社会保険加入できているか
・労働時間が長時間化していないか
・年次有給休暇を取得できているか
・割増賃金等含め、賃金支払が適正か

そうした中で、法律上の義務だからと形式的に改革を行うと、生産性の低下やモチベーションの低下につながり、逆効果を招きかねません。企業に求められる対応としては、以下の二つになります。

・なぜ働き方改革を進めるのか、会社の方針とメッセージを明確にし、発信する
・成果物や時間対効果、残業時間の削減を評価するなど、評価制度を見直す

■働き方改革とウェルビーイングの関係
働き方改革と関係性が深い概念として「ウェルビーイング(well-being)」という考え方があります。ウェルビーイングとは、「肉体的・精神的・社会的に満たされた状態」を指す概念のこと。

従来は社会福祉や医療などの現場で用いられていましたが、近年では企業の在り方や働き方を考えるうえでも重要な概念として注目を集めています。

日本は深刻な労働力不足に直面しており、多様な働き方への対応や、人材が定着しやすい環境づくりが企業に求められています。そうしたなかで、従業員のウェルビーイングを重視する企業が増えてきているのです。

従業員にとって「肉体的・精神的・社会的に満たされた状態」を目指すウェルビーイングの取り組みと、「働く人々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会」を目指す働き方改革は、相互に深く関係していると言えるでしょう。

■まとめ
働き方改革施行直後は予想できなかった新型コロナウイルス感染症の拡大も後押しし、テレワーク勤務は急激に普及しました。柔軟な働き方を認めたり、テレワークで他の社員の働き方が見えにくくなることで、業務量の偏りや不公平感が生じやすくなります。

テレワークによってコミュニケーションの機会が減ったことも、こうした傾向を後押しします。そのため、中小企業で働き方改革を進めていく上では、まず働き方改革について十分な知識を身につけた上で、的確な現状認識を元に課題を抽出することが大切です。

また、長時間労働が常態化しがちな建設業、深刻な人手不足が進む食品産業といった業界特有の事情を踏まえることで、課題抽出や問題解決が円滑に進む可能性があります。その際、正規・非正規、外国人労働者の採用する際の格差解消もまた、働き方改革の課題のひとつとなります。

日本国内における正規・非正規社員の賃金格差は、欧米諸国の水準と比較し大きいと言われています。こうした雇用形態の違いによる処遇の格差は、多様な働き手の就労意欲や生産性の低下を招きかねません。

働き方改革によって正規・非正規という雇用形態による格差が解消されることで、就労意欲がある人々が主体的に働き方を選べるようになり、働くことへのモチベーション向上や生産性向上にも繋がるはずです。

■最後に
残業削減や有給消化に伴い、一人当たりの労働時間は減少します。業務にかかる時間を減らせない限りは、新たな人員を確保しなければいけません。また、従業員が育児休業や介護休業を取得する際には、代替要員の確保が鍵を握ります。

しかし、労働人口の減少の影響で人材確保の壁があり、人材採用そのものが難しくなってきているのが実情です。そのため、企業としては、次のような対応が求められていると言えます。

【企業に求められる対応】
・必要に応じてスムーズに代替要員を確保できるような人員配置を行う
・採用においては、求人像や求人要件を明確にし、働く人の目線に立った魅力発信を行う

深刻な労働力不足を解消するためには、生産年齢人口に含まれない高齢者の就労促進も大きな課題となります。

内閣府が公表している「令和2年版高齢社会白書」によれば、現在仕事をしている60歳以上の人の約4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答。「70歳くらいまで」もしくは「それ以上」という回答も合わせると、約9割が高齢期以降も就業したいと考えていることが示されています。

このような就業意欲を持つ高齢者が働ける環境を整えていくことも、働き方改革を実現するうえで必要になるでしょう。

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