コロナによる経済低迷やジョブ型雇用へのシフト、終身雇用の崩壊など、大手企業でも早期退職を募る会社が増えていることが挙げられます。
現在、働き方改革が推進され年齢を問わず「第二の人生」への対応が必要になった事実を証明するような動向として、副業を解禁する会社が爆発的に増えています。
そこで今回、第二の人生とは、年齢を問わず第二の人生の仕事に備える必要性について解説します。
■第二の人生とは?
第二の人生とは、ライフステージにおける仕事を軸とした場合の「第ニの職業」のことを意味します。
ビジネスを中心に仕事をとらえた場合、第二の人生では、「キャリアチェンジ」を図ることが多くなるため、英語で「second life」と呼ばれています。
もちろん「中高年層がこれまでの経験やスキルを生かして新たなキャリアを切り拓くこと」はセカンドキャリアになります。
例えば、プロ野球選手の引退は、35歳から40歳前後が多いですが、現役引退後に元々所属していた球団でコーチとしての仕事に携わったり、テレビ中継を行う際の解説者になるような有名選手も沢山います。
ビジネス感覚の鋭いプロ野球選手の中には、第二の人生を起業家としてチャレンジし、独立して飲食店を開業するなど、これまでとは全く違う仕事を始める人もいます。
「人生100年時代」と呼ばれるようになった今日では、定年退職後にバリバリと仕事をすることは、常識になりつつあります。
激動の世の中を闊歩するためには、人生の節目をきっかけに将来を見据えたキャリアの転身やキャリアアップを日頃から考え、マルチキャリアに備えることが必要になっています。
■第二の人生を考える必要性
アメリカでは、一つの会社で一生を終えるビジネスマンは非常に少なく、スキルを武器に高い報酬やポジション、良い環境を求めて転職することは当たり前です。
日本でも30代~50代で起こる転職によるキャリアチェンジも「第二の人生」を掴み取るための職業の選択肢」として、「セカンドキャリア」と定義されるようになりました。
定年や結婚といった人生の節目をゴールとするのではなく、「天職」と言えるような仕事に出会い、人生をより豊かにする手段としてセカンドキャリアを前向きに捉える風潮が段々と広がり始めています。
中小企業やベンチャー企業では、即戦力となる優秀な労働力人口の不足が叫ばれるています。
そのため、シニア世代や若手など年齢に関係なく、大手企業で培ったノウハウ、知識、経験、人脈、スキルを生かし、顧問やプロ人材として働く、フリーランスや副業の人材を採用する会社が増えています。
■第二の人生が注目される3つの背景
労働力人口の不足が叫ばれる日本では、副業人材の活用や外国人の採用、シニア世代の活用など、年齢に関わりなく労働力の再配置と事業再構築が避けられなくなっています。
1、終身雇用制度の崩壊の始まり
終身雇用とは、一般的に新卒時から定年まで同一の企業で雇用され続けることをいい、日本企業の正社員雇用において古くからある慣行です。
終身雇用は、企業に勤めた年数(勤続年数)が長くなるにつれて賃金が上昇していく制度「年功序列」と、高校や大学を卒業した学生を企業が年に1回一括して採用する制度「新卒一括採用」とともに、日本的経営の特徴と言われています。
終身雇用は右肩上がりの経済状況と企業の成長を前提にした雇用制度です。
しかし、バブル崩壊やリーマンショックなどの影響から、日本経済は長期間の低迷が続いています。
多くの仕事はAIやロボティクスに置き換わると言われており、働き手に求められるスキルは大きく変化すると考えられています。
このことからも、長く働くことでスキルを蓄積させる人材育成を行っていた終身雇用の企業が、今後高い成果を出せるとは言い切れなくなっているのです。
2、役職定年制度の導入
大手企業の役職者の場合には、企業によって「役職定年」制度となる年齢を定めているケースがあるため、50代後半で第一線を退く人もいるでしょう。
役職定年とは一般的に「特定年齢に達した社員が管理職を外れ、一般職や専門職などで処遇される制度」を指します。
主に、人件費の抑制を狙いとするケースと、高齢化した組織の新陳代謝やポスト不足の解消を狙いとするケースに分かれ、大企業ほど導入する比率が高い傾向にあります。
役職定年が開始される年齢は最も多いのは55歳になります。
8割近くのケースで年収は低下し、年収水準は2割程度下がる企業が多いです。
そのため、定年退職というゴールが見え始め、役職定年に該当すると、これまでのような張り合いが少なくなり、仕事へのモチベーションが下がりやくなります。
そのため、定年退職前の50代だけでなく、30代や40代でも早い段階からセカンドキャリアとして何を武器にするかを良く考えながら本業や副業に従事し、ポータブルスキルを磨くことで、サバイバルな時代を生き抜くことが可能になります。
「自身のキャリアは自ら設計する」という意識を持ち、今の自分にできることは何か?どんなスキルや能力を持っているのかを客観的に見つめ直すことから始めましょう。
3、ジョブ型雇用へのシフトの始まり
これまで日本の働き方は、大学を卒業して入社した企業で定年まで働く「終身雇用制」が一般的でしたが、現在、大手企業でも終身雇用という制度は既に崩壊し「ジョブ型雇用」へシフトつつあります。
ジョブ型雇用とは、採用時に各自のジョブディスクリプション「職務定義書」を定義し、社員の仕事内容を詳細に決め、その仕事が実行された、成果を上げたかどうかで管理、評価をする仕組みです。
つまり、「人を見て、仕事内容や処遇を決める」のではなく、「仕事とその報酬を定義してそこに就く人を決める」という概念になります。
現在、様々な業界でグローバル化による波が押し寄せており、ビジネス環境の変化が原因で、従来の終身雇用制度が時代にそぐわなくなってきました。
その理由としては、終身雇用制度には「自社の理念に合った人材を長期的に育成する」という効果はあったものの、流動的な人材活用や年功序列による賃金体系では「能力が高い人」に対しての対価が見合わず、良い人材を獲得しにくい面があるからです。
このような社会や経済、それに伴う社員の働き方に対する考え方の変化など、さまざまな理由から「ジョブ型雇用」を推進する企業が増加しています。
ジョブ型雇用は、明確なジョブディスクリプションのもとに雇用されるシステムです。
業務内容や責任の範囲、必要なスキル以外にも勤務時間や勤務場所などを明確に定めた上で雇用契約を結びます。ジョブ型雇用では、別部署への異動や転勤などは無く、昇格や降格も基本的にはありません。
■ジョブ型雇用を導入する企業の7つのメリット
日本では新しいシステムと捉えられがちですが、世界ではスタンダードで古くからある雇用制度です。
1、即戦力の採用につなげられる
雇用の基準となるのは、仕事内容や報酬などの労働条件を明確化した「職務記述書(ジョブディスクリプション)」です。
スキルを条件として採用活動を行えば、特定の職務にマッチした・専門分野に強い人材を採用できます。
ジョブ型雇用は職務の能力に応じて報酬を支払うシステムであるため、専門分野のスペシャリストの雇用・育成に適しているためです。
つまり、「プロジェクトを実行するために必要なスキル」を選考の段階で要件として設定できるということです。
また、年功序列では難しい職務に応じた給与を設定できるため、採用における競争力も高めることができます。
2、専門性のある人材を育成できる
ジョブ型雇用は職務内容が事前に明確化されているため、人材のスキルと実際の業務においてミスマッチが発生しにくくなります。
メンバーシップ型雇用とは異なり、一般的にジョブ型雇用の社員は職務にコミットするため、職務以外の業務負担が軽くなる傾向があります。
その分、職務に集中できるため、専門性を高めることができる環境が整います。
人材はこれまでに培ってきた能力をフルに活用でき、契約外の仕事を回されることもないので、専門性を高められるようにもなります。
また、ジョブ型雇用では、年齢や勤続年数ではなく、仕事の遂行能力に応じて人事評価を行います。「スキルの高さ」が評価に直結するということもあり、社員が自律的に業務に携わるようになります。
3、生産性の向上・業務効率化へ
職務範囲や責任が明確になることで、不要な業務が浮き彫りになりやすく、業務が効率化されます。採用段階で希望するスキルや経験のある人材を見つけやすくなります。
採用と共に高いアウトプットを得ることで、企業全体の生産性アップが期待できます。
また、専門的技術をもった人材の採用や社員の専門性が高まる環境であるため、業務品質が上がり、生産性向上につながりやすくなります。
現在は、人材の獲得が厳しい状況が続いているため、専門的なスキル・経験を保有する人材の活用は競争力を高めることにもつながります。
4、採用コストや人件費の削減に繋がる
ジョブ型雇用を導入することで、企業は業務遂行に必要な人材を適切なタイミングで採用できるようになります。急な欠員があった場合も、スムーズに人材を確保しやすくなります。
年功序列制度では、能力に見合わない報酬を支払うこともありますが、ジョブ型雇用ならば成果に応じて報酬を決定できます。結果的に人件費の削減にも繋がると言えるでしょう。
特にスタートアップの新規事業の立ち上げや販路を拡大したりを営業活動強化したい際には、専門性の高いプロ人材に活躍して貰うことが可能になるため、絶好のスタートがきれるでしょう。
5、リモートワークの勤務制度にマッチしている
「リモートワーク」とは、ITエンジニアやWebデザイナーなどのスキルを持った人が、ITツールやインターネットを使ってオフィス以外の場所で仕事をする働き方を指す場合が多く、このような業界の仕事は、一つのシステムを作り上げるためにさまざまなスキルが必要となります。
そこで、それぞれ専門のスキルを持った人たちがチームを組んでプロジェクトを作り、仕事を進めていきます。
また、管理面においても業務遂行状況の確認など管理範囲が明確なため、フリーランスならば、人材のマネジメントの工数も削減できます。
リモートワークにおける人材の管理に課題を抱える企業の場合、成果主義の傾向が強いジョブ型雇用制度を導入することでリモートでの働き方を対面で見られない状況下であっても、公平な評価制度を整えやすくなります。
6、DX「デジタルトラスフォーメーション」が実現する
あらゆる業務のデジタル化が加速する中で、IT技術の専門家やDX(デジタルトラスフォーメーション)を担う人材が求められています。
DXの推進に必要とされるスキル、適性を備えた人材をDX人材と呼びます。
デジタル技術は常に進歩しており、新しい技術も出現します。DXで優位性を保つためには、プロジェクトが一度完了したら終わりではなく、常に最先端技術に合わせてビジネスを変革し続ける必要があります。
DX人材について正しく理解した上で、フリーランスのDX人材の確保し、DXの推進に取り組むことが重要です。ジョブ型雇用を行うことで、企業に不足するスキルや知識が明らかとなり、採用するべき人材も見えてくるでしょう。
7、イノベーションが生まれやすい環境になる
変化が大きい世界経済の中で、企業が継続的に事業を発展させ、国際競争力を上げるためには、グローバル人材や高度な専門知識を持つ人材の確保が欠かせません。
ジョブ型雇用により多様なフリーランス人材を獲得することは、新しい価値観や発想を社内に取り込むことにもつながります。そういった環境ではイノベーションが生まれやすく、新規事業を加速させたり、事業拡大への大きな足がかりをつくることも可能になるでしょう。
■第二の人生で活躍するために必要なこと
ファーストキャリアでは、人柄や経営ビジョンへのカルチャーフィット、会社への「帰属意識」が重視されるのに対し、セカンドキャリアにおいては、スキルをベースにこれまでに培った知識や経験、そして人脈があるかが非常に重要となります。
なぜなら、第二の人生の仕事の多くは、「ジョブディスクリプション」を基本とするからです。
また、フリーランスへの業務委託となることが多く、即戦力であることが求められるためです。ここでは、セカンドキャリアにおいて企業側から求められるものを解説します。
1、高い専門性
「フリーランス白書」(2020年)の調査によれば、フリーランスに「現在の働き方を続ける、成功させるのに何が必要か?」の問いに対して最も多い回答は、「成果に結びつく専門性、能力、経験」(約64%)となりました。
フリーランスで稼ぐために必要なスキルとは何を指すのでしょうか?
結論から申し上げますと、「高度な専門的知識や技能」を有することに他なりません。つまり、「セカンドキャリア」の実現するにおいては高い専門性が求められます。
人材の採用でも社会人経験の浅い新卒とは異なり、セカンドキャリアにおいてはある程度、社会人経験を積んだプロ人材に近い人が採用されます。 デジタル化やグローバル競争の激化により、企業が生き残るためには、より高い専門性が追求されるようになりました。
そのため、ICTやAIなど、特定の分野で高いスキルを持つ人材が歓迎される傾向にあります。特定の分野で高い専門性を身につけたプロ人材は、即戦力として必要とされるため、第二の人生でも謳歌できる可能性が高いのです。
2、これまでの経験
セカンドキャリアにおいては、転職前の経歴が重要視されます。キャリアアップの方法として、専門性を深める型と、キャリアの幅を広げる型の2つがあります。
キャリアの幅を広げる型の転職であったとしても、前職での経験や業種とある程度関わりのあるものから幅を広げることが一般的です。
例えば、業界や商材を変えたとしても、同じ営業職に就くことで、自身のこれまでの経験を活かしながらキャリアの幅を広げることができます。 前職までの経験が企業側に注目されることを頭に入れておきましょう。
一方でフリーランスの場合、自ら目標を設定して経験とスキルを磨く必要があります。とはいえ仕事が忙しいと、中長期的な目標を意識しないまま過ごしてしまうこともあります。
しかし目標を設定してスキルを自分で磨かないと、スキルは徐々に陳腐化してしまいます。こうなると、仕事の受注が減っていく可能性も出てきます。
3、知識の幅広さ
セカンドキャリアにおいては、知識の幅広さが求められます。セカンドキャリアで採用する人材は、新卒と比較し多くの職種や業界で経験を積んでいるはずです。 フリーランスとして安定した収入を目指すなら、専門性が必須というわけです。
ただし得意分野の専門性を磨くだけでは、高単価は望めません。単価の高い案件を目指すには、今後ニーズの高まる分野を見据えて、新たな分野の経験を積んで専門性を磨くことも求められます。
そのため、これまでに培ったさまざまな経験や知識を活かして、新たな視点を事業に取り入れてもらうことが期待されるのです。
これまでの職歴とは関わりのない業界や業種への転職であればなおさら、その組織になかった知識によって良い影響が与えられることが望まれています。
■まとめ
セカンドキャリアを築くことは自分の人生をより良くするための手段です。終身雇用が崩壊しつつある現代においては、フリーランスとしてセカンドキャリアに踏み出すプロ人材が増えています。
プロ人材として第二の人生を送る際は、「できること」「やりたいこと」を問われ続け、自分で探りながら、応えていくのが働く姿勢が必要になります。
今後企業と個人の関係は、定年までの雇用を守る代わりに仕事を与えるといった「主従関係」から、スキルにひもづいて必要な人材と企業が向き合うようになる「対等な関係」へ変化していくと考えられています。
理想のセカンドキャリアを築くためにスキルを身に着けようと思っても、何から始めたらいいか分からない方は多いのではないでしょうか。
在籍している会社での仕事を続けつつ、副業で活動を始めることも可能です。
その際、クライアントからは成果を求められるため、プロ人材の採用条件も厳しく、多忙なスケジュールとなることを理解しておくことが欠かせません。
パラレルワークや副業をすれば、心と時間に余裕がなくなると思われがちですが、実はマイナス面ばかりではありません。
サラリーマンとして普段の業務では関わり合いがない仕事を経験する機会に恵まれ、かつ未経験分野の知識を習得にも繋がります。
長期的なスパンで自分の人生を長期的に捉えた上で、今後身につけるべきスキルや知識を整理しましょう。
フリーランスや副業としてのセカンドキャリアを考え始めた際は、日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」のような顧問紹介のエージェント会社にプロフィールを登録して見ることも非常に効果的です。
すぐに顧問やプロ人材としての活動をする予定がなかったとしても、クライアントとなる企業からのニーズを把握し、何か求められているかを早い段階で知ることです。
なぜなら、現在の仕事を通じたスキルの向上や人脈形成に活かしたり、新たな選択肢が増え、収入アップにも繋がる可能性が拡大するからです。
「キャリアは長期的なものであり、予想できないものだと言うことだ。まっすぐ順調に進むことはまずない。ジグザグと回り道をし、立ち止まっては動き、あまたの思いもかけないことに出会う。
まじめに働く姿勢や能力は重要だが、運が果たす役割も大きい。ともかくスタートを切ることだ。あなたのためにあると思わせるような天職はいずれやってくる。」
<ジャック・ウェルチ>
■最後に
セカンドキャリアの時代が到来した今、求められるスキルや知識はどんどん変わっていきます。ですが、どんなに優秀な人でも、1人で全てに対応し続けることはできません。
これからの時代、支援し合えるネットワーク構築の重要性がますます高まっています。
その理由としては、知識や経験、スキルがあり、実績があったとしても、セカンドキャリアのフリーランスとして働く以上、営業活動をしなければ仕事は獲得できないからです。
起業家として会社を立ち上げサービス化を図り、インターネットを駆使したマーケティング活動を行う戦略もありますが、ビジネスとして売上を生み出す状態になるまでにはそれなりの投資を覚悟する必要があります。
また、莫大な資金と時間、労力を投資したが、ビジネスモデルが上手く構築できず、仕事獲得に繋がらないというリスクもあります。
そのため、事業投資リスクを回避しつつ、自身でのマーケテティング活動、営業活動、契約条件の直接交渉、面談の設定、顧問報酬の回収を行うことが苦手なプロ人材の場合には、フリーランス向けのエージェントや案件紹介サイトを利用する方法をお勧めします。
プロ人材や顧問として登録しておくことで、自分の経験やスキルがどの程度、世の中に必要とされるのかを客観的な視点から知ることができます。
また、自身のスキルが需要があるのか、どうすれば仕事が獲得できるのかなど、フリーランスのエージェントに登録することで、一人で考えるよりもセカンドキャリアにおける選択肢が広がることでしょう。
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